夏が呼んでいる

  • 2017.07.21 Friday
  • 09:12

JUGEMテーマ:写真

 

 

 

海の傍にある道の駅です。

壁の上に燕の巣がありました。

雛たちが親鳥から餌をもらっていました。

 

 

 

 

 

 

 

夕方だったけど、陽はまだまだ高いです。

8時前でも明るいです。

空が明るいのは嬉しいけど、昼が長いと疲れてしまうような気もします。

 

 

 

 

 

 

 

カラスの羽、砂から芽吹く草。

沖の方で魚が跳ねていました。

命が根付いています。

 

 

 

暑過ぎる夏、外へ出るのも危険なほどですが、それでも出かけたいと思うのが夏です。

向日葵が伸びている間、夏が手招きしています。

不思議探偵誌〜オカルト編集長の陰謀〜 第十九話 古代の怨念(1)

  • 2017.07.21 Friday
  • 08:45

JUGEMテーマ:自作小説
土偶が街を襲っている。
マネキンや銅像、プラモデルや地蔵にまで魂を吹き込んで、人々を襲っている。
人形に捕えられた人たちは、土偶のビームによって奴隷と化した。
人形の群れ、洗脳された人間。
それらが俺たちに襲いかかる。
要するにかなりのピンチってわけだ。
しかし残念ながら、俺は戦うことが出来ないでいた。
超能力を使いすぎて、立っていることすら出来ないほどフラフラになってしまったのだ。
そんな俺を守ろうと、由香里君が人形たちの前に立ちはだかる。
しかし土偶のビームを受けて洗脳されてしまった。
「久能殺す!」
そう叫びながら、俺に向かってカカト落としを放つ。
今の俺は人形に押さえつけられている。
空手の達人である彼女の蹴りをまともに喰らえば、ただでは済まないだろう。
《クソ!もうダメか・・・・。》
目を閉じ、ギュッと拳を握る。
しかしその時、不思議なことが起きた。
なぜかは分からないが、とつぜん股間が熱くなったのだ。
焼けるほど熱さを感じて、思わず唸る。
するとその瞬間、股間から眩い光が放たれた。
《な、なんだ・・・・いったい何が起きているんだ!?》
異様な出来事に、誰もが呆気に取られる。
カカト落としをかまそうとしていた由香里君も、足を上げたまま固まる。
土偶も『ググ』と唸った。
『なぜ急に股の間が光りだしたのだ?』
警戒するようにピカピカと目を光らせる。
『ググ・・・嫌な予感がする。おい小娘!ボケっとしていないでさっさとそいつを殺せ!』
土偶がビシっと指を向けると、由香里君は「死ね!」とカカト落としを打ってきた。
《万事休すか・・・・。》
股間が熱くなったところで、いったいなんだというのだ?
不思議な現象ではあるが、この窮地を脱することは出来そうにない。
《この俺もここで終わりか。でもまあ・・・由香里君に殺されるなら、それも悪くないか。》
事故や病気で死ぬのではない。
最高の相棒の手にかかって死ぬのだ。
考えようによっては、そこそこカッコイイ最後かもしれない。
そう思って目を閉じると、「久能さん!」と茂美が叫んだ。
「こんなのがカッコイイ最後なわけないでしょ!」
そう言って由香里君の前に立ちはだかる。
茂美の頭上にカカト落としが迫る。
このままでは脳天が割れるだろう。
「危ない!」
「ふふふ、平気よ。」
余裕の笑みを見せる茂美。
彼女は埴輪を掲げて、由香里君のカカト落としを受け止めていた。
「おお!」
埴輪は不思議な力を放って、茂美を守っていた。
「この埴輪の力なら、彼女を正気に戻せるかもしれないわ。」
「本当か!?」
茂美は頷き、由香里君に向かって埴輪を投げつけた。
避けようとする由香里君だったが、驚くことに埴輪はそれを追いかけた。
まるでロックオンしたミサイルのように。
「くッ・・・・この!」
由香里君は突きや蹴りで払おうとするが、埴輪はそれもかわしてしまう。
そして・・・・、
「きゃああああああ!」
由香里君の胸にブスリと突き刺さった。
「由香里君!」
「平気よ久能さん。よく見てて。」
そう言って由香里君を指差す。
すると埴輪から眩い光が放たれて、由香里君を吸い込んでしまった。
「あれは・・・・、」
「そう、埴輪と合体したの。」
「さっき俺たちが中に入った時のようにか?」
「そうよ。あの中は埴輪のエネルギーで満ちてる。だったら土偶の洗脳が解けるかもしれないわ。」
埴輪はピカピカと光っていたが、やがて力をなくしたように地面に落ちた。
茂美はそれを拾い、大切そうに胸の谷間にしまった。
「由香里ちゃんのことは私に任せて。その代わり・・・・、」
「ああ、この土偶は俺が捕らえる!」
股間はまだ熱く輝いている。
これが何の役に立つのか分からないが、闘志だけは燃えてきた。
「行くぞ土偶!」
古文書を掲げ、宙に浮く土偶に向ける。
すると奴めは『グググ』と笑った。
『やれるものならやってみろ。』
そう言って洗脳された人間たちを盾にした。
「邪魔だ!どけ!」
『無駄よ無駄。その人間どもは私の操り人形だ。』
「貴様・・・・卑劣な真似を・・・・、」
これでは古文書の稲妻は使えない。
ならば・・・・、
「俺にはまだ武器がある!喰らえ!」
念動力を使って、土偶を地面へ叩きつけようとした。
しかしまったく動かない。
いくら眉間に意識を集中させても、何も起こらなかった。
「そんな・・・なぜだ!?」
『グググ、どうやらエネルギー切れのようだな。』
「な、なに・・・・。」
『貴様、立っているのもやっとの状態ではないか。度重なる超能力の使用で、限界がきているのだろう?』
「・・・・・あ。」
言われて気づく。
そうだった・・・・今の俺はガス欠なんだ。
『グググ、もはや貴様に武器はない。』
「クソ!」
『放っておいても問題ないが、いちおうトドメを刺しておこうか。』
土偶は古文書を掲げる。
ブリザードを撒き散らすつもりだ。
しかし今の俺は宇宙服を着ている。
これがある限りブリザードなど怖くない。
『・・・・と、思っているのだろう?』
土偶は俺の心を見透かす。
『何も冷気を振りまくだけが能ではない。こういうことも出来るのだ!』
そう叫んで、自分の周りに巨大な氷柱を浮かばせた。
『さて、この氷柱を飛ばせばどうなるか?』
「そいつで串刺しにしようってのか?」
『グググ、貴様のようなアホにはお似合いの末路だろう?』
「ふざけやがって・・・・。」
『悔しがっても何も出来まい?ググググ!!』
土偶は古文書を回す。
すると氷柱の先端が俺の方を向いた。
『穴だらけになって死ぬがいい!』
氷柱は弾丸のように飛んでくる。
その時、わずかに残った力のおかげで、未来予知が発動した。
氷柱の軌道が読める。
そのおかげでどうにか回避することが出来た。
しかしその代償として・・・・、
「くッ・・・・もう完全にガス欠だ・・・・。」
ついに立っていることさえ出来なくなる。
膝をつき、がっくりと項垂れた。
『ググググ!愚かな奴よ。無駄な抵抗はさらなる絶望を招くだけというのに。』
土偶はまた氷柱を生み出す。
その数はさっきの三倍。
しかも俺だけでなく、茂美にも狙いを定めた。
「やめろ!殺すなら俺だけにするんだ!」
『グググ、皆殺しにするに決まっているだろう。』
「敵は俺だけだ。そっちの女は関係ない!」
『大ありだ。私のUFOを奪おうとしたのだからな。』
土偶は空を見上げる。
そこにはいつの間にか巨大なカボチャが浮かんでいた。
中から爺さんと婆さんが出てきて、「ファッキュー!」と中指を立てる。
「なんてこった。また土偶に洗脳されたのか。」
『どう足掻いても貴様らに勝ち目はない。抵抗せず、大人しく死ね!』
氷柱が再びこちらを向く。
「まずい!逃げるんだ茂美さん!」
そう言って彼女を振り向くと、驚いた顔で俺を見ていた。
「どうした?」
「久能さん・・・・それ・・・、」
「ん?」
「気づかないの?」
「何が?」
「息子さんが・・・・大変なことになってるわ。」
茂美は怪物と出くわしたかのよに、俺のあそこを指差す。
そして俺自身もまた、自分の息子を見て悲鳴を上げた。
「ぬうあ!なんじゃこありゃあああああ!」
息子が埴輪になっていた。
いや、正確には股間から埴輪の立体映像が浮かんでいた。
「どうしてこんなことに・・・・、」
『だしょ。』
「こ、この声は・・・・、」
股間に浮かぶ立体映像から、特徴的な声が聴こえた。
「ティムティム女王か!?」
『最悪だしょ・・・・。』
「何が?」
『まさかこんな場所から召喚されるなんて・・・・。』
悲し気な声を響かせるティムティム女王。
と、次の瞬間!
土偶が『貴様あ!』と氷柱を飛ばしてきた。
「うおおおお!」
『大丈夫だしょ。』
股間に浮かぶ立体映像が、空に浮かんで行く。
そしてティムティム女王の姿に変わって、氷柱を弾いた。
「おお、助かった・・・・。」
『ホっとしてる場合じゃないだしょ。』
「え?」
『早くこの土偶を捕まえるだしょ。』
「あ、ああ・・・そうだったな。しかしもうエネルギーが・・・・、」
『しょうがないだしょね、ほれ!』
ティムティム女王は杖から光を飛ばす。
その光は俺の股間へと吸い込まれていった。
「ああ・・・・力が漲る・・・・。」
ドクウドクンと脈打って、身体の中から力が湧き上がる。
特に息子が。
『胸を狙ったのに、なんでそこに吸い込まれるんだしょ・・・・。』
呆れ気味の女王陛下。
すると土偶が『ティムティム!』と叫んだ。
『よくもまあ私の前に姿を現せたものだ!』
土偶は怒り狂っている。
女王陛下は『だしょ』と笑みを返した。
『こんな事もあろうかと、その探偵に「召喚の儀」を掛けておいたんだしょ。』
『召喚の儀だと?仲間がピンチになった時に緊急召喚されるアレか?』
『だしょ。だけどあんな場所から召喚されるようにした覚えはないだしょ。ほんとは胸から出て来るはずだったんだしょ。
あの男の性欲・・・・底が知れぬだしょ。』
呆れていた顔は、少しだけ感心に変わる。
『グググ。』
『何がおかしいだしょ?』
『確かにお前が現れたのは予想外だ。しかしそう長くはここにいられまい?』
『そ、それはあ・・・・、』
『お前の魂は南極にあるはず。こんな離れた場所に召喚された所で、大したことは出来ないはずだ。』
勝ち誇たように笑う土偶。
ティムティム女王は『だしょ・・・』と項垂れた。
『お前の言う通りだしょ。あと一分くらいで帰らないといけないだしょ。』
《短すぎだろ!》
『それにその探偵に力を与えてしまったから、ほとんどエネルギーが残ってないだしょ。』
《なんか申し訳ないな・・・・・。》
ティムティム女王はとても残念そうだ。
しかし『だしょが!』と顔を上げた。
『洗脳された人間を元に戻すくらいなら出来るだしょ!』
そう言ってガバっと手を広げる。
『人間を盾にされては、その探偵は戦えないだしょ。私が力になってやるだしょ。』
俺を振り返り、ニコっと笑う。
《う〜ん・・・惜しい。もうちょっと大人だったら息子が喜んだのに。》
愛らしいその笑顔は、まだ子供のあどけなさが残る。
御年225万歳とはいえ、容姿がこれでは欲情できない。
『しなくていいだしょ。』
「・・・・心を読むな。」
ティムティム女王は『後は任せただしょ』と言った。
『この技を使えば、わらわは南極へ戻ってしまうだしょ。』
「OK、洗脳された人々が助かるだけでも充分だ。エネルギーも貰ったし、これなら戦えるさ。」
『たまには男らしい顔するんだしょね。これなら心配ないだしょ。』
そう言ってまた微笑んだ。
《う〜ん・・・やっぱり惜しい。もうちょっとエロいボディだったら欲情を・・・・、》
『だからしなくていいだしょ!』
間抜けなやり取りをしていると、土偶が『黙れ!』と叫んだ。
『ティムティム!今日こそ貴様を塵に還してやる!』
『怖い顔して怒るなだしょ。』
『怒るに決まってるだろう!200万年前のあの恨み・・・忘れたとは言わせぬぞ!』
『まだあんなの気にしてるんだしょか?ほんっとに恨み深い奴だしょねえ。』
『時間の問題ではない!貴様に受けた屈辱・・・・今でも激しく燃えておるのだ!!』
土偶は古文書を掲げて、大量の氷柱を浮かばせた。
『探偵!』
女王が叫ぶ。
『稲妻で迎撃を!』
「いや、そんなことをしたら洗脳された人たちが・・・・、」
『もう解けてるだしょ。』
「え?いつの間に・・・・。」
周りを見ると、人々が眠ったように倒れていた。
『仕事は速さが肝心だしょ!お前もモタモタするなだしょ!』
「さすがはムー大陸の女王、伊達にだしょだしょ言ってるわけじゃないな。」
女王の足を引っ張るわけにはいかない。俺は高く古文書を掲げた。
バリバリと稲妻が鳴って、氷柱を打ち砕いていく。
『ググ・・・おのれ!』
悔しそうに唸る土偶。
ビカビカっと目を光らせて、『お前たち!』と叫んだ。
『そいつらを八つ裂きにしろ!』
そう言って命令を飛ばすと、人形たちはいっせいに襲いかかってきた。
「みんなまとめて丸焦げにしてやる!」
もう一度稲妻を放とうと古文書を掲げる。
すると後ろから誰かの手が伸びてきて、サっと奪われた。
「うお!誰だ!?」
「儂じゃよ。」
「爺さん!」
カボチャのUFOがいつの間にか近くに来ていた。
爺さんは「ひゃっはあ〜!」と叫んで、古文書を持ったままUFOの中に隠れてしまった。
「おいコラ!それを返すんだ!」
追いかけようとすると、人形の群れが立ちはだかった。
「どけ貴様ら!」
『うるさい。』
「ぐほあッ・・・・、」
地蔵のパンチがめり込む。
文字通り石の拳は、由香里君の正拳突きより効いた。
「あ、頭が割れる・・・・。」
フラフラと倒れると、今度は銅像が圧し掛かってきた。
「ぐはあッ!」
マウントポジションを取られてしまう。
相手は銅像なので、上に乗られるだけでもかなりのダメージだ。
「おのれ・・・・こうなったら超能力で・・・、」
眉間に意識を集中させて、念動力を発動させる。
しかしその時、美人なお姉ちゃんの太ももが目に入った。
「なんとエロイ脚だ・・・・。」
煩悩に満たされ、集中力が切れる。
『あはは!バッカでえ〜!』
「・・・・マネキン。」
どうやら人形の足に見惚れていたらしい。
我ながらなんとも情けない。
上には銅像、周りには地蔵やマネキンの群れ。
超能力を使おうとしても、色気で邪魔されてしまう。
なんというピンチ!
「ティムティム女王!こいつらを何とかしてくれ!」
あらんかぎりの声で叫ぶと、土偶が『帰ったぞ』と答えた。
「え?」
『もう疲れたらしい。』
「そんな・・・・、」
『南極からここまで魂を飛ばしていたのだからな。今頃お家でお昼寝でもしているだろう。』
「まんま子供じゃないか!」
『グググ、今度こそ・・・・今度こそ終わりだ!貴様を抹殺し、全ての人間を奴隷にしてやる!
そのあとは大軍を率いて、南極に攻め入ってやる!憎きティムティムの首を討ち取るのだ!』
怒りに染まるように、真っ赤に目を輝かせる。
どうやらティムティム女王に相当な恨みを抱いているらしい。
それも並々ならぬ恨みを。
しかし今はそんなことを気にしている場合ではない。
だって俺は・・・・、
『グググ、もう逃げられまい?古文書も奪われ、超能力も使えない。』
「卑怯だぞ!マネキンにエロいポーズを取らせるなんて!」
『人形に欲情するお前がどうかしているのだ。アホだなほんとうに。』
呆れたように笑う土偶。
『もういい』と言って、俺の傍へ降りてきた。
『最後は私みずからトドメを刺してやろう。』
そう言ってまた氷柱を浮かばせた。
尖った先端が俺の方を向き、命を狙おうとする。
『グググ、最後に言い残すことは?』
「・・・・・・・・。」
『遺言くらいなら聞いてやると言っているのだ。』
「・・・・優しいな。だったら一つだけ。」
俺は目を閉じる。
そこに思い描くのはただ一人、由香里君だ。
最高の相棒にして、かけがえのない戦友。
もし彼女がいなければ、ここまで探偵を続けることは出来なかっただろう。
「由香里君・・・・君と一緒に探偵ができて幸せだった。」
宝くじを当て、脱サラして始めた探偵業。
傍にはいつだって彼女がいた。
何度か廃業せざるをえない危機もあったが、それも二人で乗り越えてきた。
「君と出会えたことが、俺にとって一番の幸せかもしれないな。」
なんとなくニヒルに笑ってみる。
死に際にこんな余裕があるなんて、案外肚が据わってるじゃないかと、おかしくなってしまった。
『ググ、遺言しかと聞き届けた。だが悲しむことはない。あの小娘もすぐに後を追うのだから。』
土偶の殺気が膨らむ。
目を閉じていても、氷柱がすぐそこまで迫っているのが分かった。
「さよならだ、由香里君。」
「誰がさよならなんですか?」
そう声がして、バキバキっと何かが砕ける音がした。
目を開けてみると、氷柱がガラスのように砕け散っていた。
「・・・・・・・・。」
ゆっくりと後ろを振り向く。
するとそこには正気に戻った由香里君が。
足先には氷の破片が付いている。
「・・・・目が覚めたのか?」
「はい!埴輪と茂美さんのおかげで。」
ニコっと笑い、「立って下さい」と手を引かれる。
「私たち、こんな所で終わるほどヤワじゃありませんよ?」
「・・・・・強いな、相変わらず。」
「だって久能さんがいてくれるから。一人じゃここまで戦えませんよ。」
そう言って「二人で久能探偵事務所、そうでしょ?」と胸を小突かれた。
「さよならなんて言わないで下さい。それとも私が他の所に就職先を替えてもいいんですか?」
「・・・ギャラを三倍にしてでも引き止めるさ。」
「なら時給換算で3000円、忘れないで下さいね。」
「ボーナスも付けるさ。ついでに慰安旅行にも行こう。海の見えるホテルで、君の肩を抱きながら朝陽を迎えるのさ。」
「いいですね、私もそういうのやってみたいです。」
「本気か?いつもならセクハラだとか怒るのに。」
「エッチな気持ちだけならセクハラです。でもそうじゃないなら・・・・。」
「由香里君・・・・。」
二人で見つめ合っていると、『グググ!』と土偶が怒った。
『この期に及んでイチャつくとはいい度胸だ!まとめて串刺しになるがいい!!』
今度は先ほどの五倍の氷柱を浮かばせる。
「久能さん!私は人形たちの相手をします。土偶は任せますよ。」
「OK大丈夫さ。君がいてくれるなら、マネキンごときの色香に惑わされることはない。」
超能力さえ邪魔されないのなら、この程度の氷柱はどうにでもなる。
『貴様ごときに何ができるか!死ね!』
無数の氷柱が襲いかかる。
しかしもはやこれは脅威ではない。
ティムティム女王からたっぷりエネルギーをもらったおかげで、体力も息子も絶好調だ。
眉間に意識を集中させて、最大級の超能力で迎え撃った。

夏風邪

  • 2017.07.20 Thursday
  • 10:48

JUGEMテーマ:日常

JUGEMテーマ:健康

夏風邪にかかってしまいました。
今年はインフルエンザにもかかったし、病気になりやすい一年なのかもしれません。
お腹にきています。
ひどい下痢です。
けっこうきついので病院へ行ったら、脱水症状を起こしていると言われました。
そしてすぐに点滴です。
お腹を下したり、または吐いたリって辛いですよね。
喰っても飲んでもすぐに出てしまうんですから。
でも最近は経口補水液っていう良い飲み物があるので、そのおかげで助かっています。
味はちょっと飲みにくいんだけど、普通のスポーツドリンクよりも、風邪の時にはいいそうです。
一日たってかなりマシになりました。
熱も下がったし、お腹も安定しています。
・・・夏に風邪引いたのって、ここ10年くらいなかったのに・・・。
冬にはインフルにかかるし・・・・・。
体が弱くなっているのかもしれません。
体の抵抗力が落ちると、風邪などにかかっても気づきにくいそうです。
そして風邪に対する特効薬はありません。
風邪薬は頭痛や咳などの症状を緩和するものだからです。
日頃の食事や睡眠が大事なんですね。
寝不足も食事の偏りも、免疫を下げる原因になります。
ちゃんと寝て、ちゃんと食わないとダメですね。

不思議探偵誌〜オカルト編集長の陰謀〜 第十八話 人形の街(2)

  • 2017.07.20 Thursday
  • 10:47

JUGEMテーマ:自作小説

戦いとは過酷なものである。
相手は自分の思い通りには動かず、自分だって自分の思い通りに動けるわけではない。
こんなはずじゃなかった!
その連続をどれだけ乗り越えられるかで、勝利への道が近づくのだ。
さて、いま目の前にそびえる巨大な壁。
とてつもなく大きな「こんなはずじゃなかった!」
これを乗り越える為にはどうするべきか?
俺は真剣に悩んだ。
「まさかこんな展開になるとはなあ。」
目の前にそびえる真っ白な壁。
それは古代アトランティスの便器だ。
ここは便器の中。
用を足したあと、水が吸い込まれていくあの場所にいる。
「大変だ。もし水を流されたら、俺までどこかへ流されてしまう。」
行き着く先は肥溜めか?
それとも下水道か?
どこかは分からないが、嬉しい場所でないことは確かだ。
「なあ由香里君、これを乗り越えるにはどうしたらいいかな?」
そう尋ねると「知りません」と怒った。
「なんで私までトイレの中に叩き込まれなきゃいけないんですか?」
「だって仕方ないじゃないか。あの土偶が強すぎたんだから。」
「私も茂美さんも、ちゃんとそれぞれの敵を倒しました。なのに久能さんだけ負けちゃって。」
そう、俺は負けたのだ。
1000年分の便秘を解消した土偶は強かった。
あり得ない速さで飛びまくり、その都度ソニックブームが襲いかかる。
さすがの俺もお手上げだった。
「まあこういう事もあるさ。」
「私は嫌です!トイレの中だなんて!」
「そりゃ俺だって嫌だよ。でもねえ・・・あの土偶は強すぎるから。君だって勝てなかったんだろ?」
「それは・・・そうですけど。」
俺が敗北したあと、土偶は由香里君に襲いかかった。
さすがの由香里君も、音速で飛び回る相手には敵わない。
あっさりと膝をつかされて、便器の中に叩き込まれた。
その次は茂美が襲われた。
この女はあろうことか、自力でUFOを乗っ取ってしまった。
爺さんと婆さんを洗脳し(本人いわく説得だそうだが)、UFOを我が物としてしまった。
しかしそこへ土偶が襲いかかった。
茂美は応戦したが、古文書の冷気でバキバキに凍らされてしまった。
そして俺たちと一緒に便器の中へ。
俺たち三人は土偶に敗北したあと、奴の目から出るビームを受けて、便器に収まるほど小さくされた。
今は親指ほどのサイズしかない。
「奴の目から出るビーム、まるでドラえもんのスモールライトだったな。
あんな切り札があったんじゃ、勝てなくて仕方ないさ。」
のほほんと笑うと、「笑ってる場合ですか!」と怒られた。
「どうにかしてここから出ないと、世界は土偶に支配されちゃうんですよ?」
「分かってるさ。でもどうにもこうにも・・・・なあ?」
そう言って茂美を振り返ると、便器の水のおかげで半分ほど氷が溶けかかっていた。
「寒いわ・・・・。」
「よく生きてるな。」
「だって埴輪と合体してたから。」
「でも今は元に戻ってるじゃないか。」
「そうなのよ。バキバキに凍らされたあと、急に合体が解除されちゃって。
どうやら大きなダメージを受けると、合体は解けちゃうみたいね。」
「生身で氷漬けにされて、それでよく生きていられるもんだ。」
「寒さには強いのよ。でもねえ、さすがにこれは堪えるわ。」
ブルっと震えながら、パキパキに凍った頭を撫でた。
「これじゃ髪が傷んじゃうわ。」
「その程度ですむあんたが怖いよ。本当は宇宙人か何かなんだろう?」
「かもね。」
冗談か本気か分からない顔で笑う。
「とにかく!」
由香里君が叫ぶ。
「ここから出ないと話になりません。久能さん、瞬間移動を使って下さい。」
「いや、それは無理だよ。」
俺は上を指差す。
「便座が閉じてるんだ。ここで使ったら頭を打つだけだ。」
「大丈夫です。トイレから出る瞬間に、私が蹴り上げますから。」
「そんなこと出来るのかい?」
「出来るかどうかじゃなく、やるしかないでしょう?」
「でも瞬間移動は相当なスピードだよ?いくら君でも・・・、」
「もう!弱気にならないで下さい!やってみないと分からないじゃないですか。」
「相変わらず男前だな。この件が終わったら君が所長をやってみるかい?」
「それいいですね。久能さんを助手にして、毎日コキ使ってあげます。」
「それはいいけど、読書の時間はだけは許してほし・・・・、」
「エッチな本は全部捨てます。そういう動画を見るのも禁止です。」
「厳しいな、やっぱり所長の座は譲りたくない。」
「だったらやって下さい。大丈夫、私と久能さんなら必ずできます。」
強気な顔で、グっと拳を握る。
すると茂美も「やるべきよ」と言った。
「さすがに命の危機を感じてきたわ。」
「唇が紫になってるな。」
「早く出ないと凍死しちゃう。」
「俺としてはそうなってくれた方がありがたいんだが・・・・・痛ッ!」
「もう!意地悪言わないで!さっさとやってちょうだい。」
「だったらまた埴輪で暖まればいいだろう?」
「何言ってるの?埴輪だってバキバキに凍ってるのよ。文句はいいからやって。」
「へいへい。」
俺は頭上を見上げる。
《重そうだなあ、あの便座。》
今の俺たちは小人のようになっている。
便器は監獄のように巨大で、出口を塞ぐ門は重そうだ。
だがしかし、助手がやる気になっているのに、俺だけ尻込みするのは情けない。
「じゃあ今から瞬間移動を使う。由香里君、タイミングを合わせてくれ。」
「任せて下さい!」
目を閉じ、頭の中に外の景色をイメージする。
《外へ出たい・・・・外へ出たい・・・・。便器の中からオサラバしたいんだ。》
イメージしながらそう願うと、一瞬で便座まで舞い上がった。
・・・・その瞬間、由香里君は見事は蹴りを放って、便座をこじ開けた。
そのおかげで俺たちは無事脱出。
「すごいぞ由香里君!よくやった!」
なんと心強い助手だろう。
感嘆を惜しまずにはいられない。
しかし当の由香里君は「まだです」と言った。
「ただ外へ出ただけですから。」
「そうだな、俺たちは小人のままだ。どうすれば元に戻れるのか・・・・、」
腕を組み、険しい顔で唸る。
すると茂美が「これ、もしかしたら使えるかも」と言った。
「なんだそれは?」
「UFOの中にあったのよ。」
茂美は何かの粉末を手にしていた。
ポケットから大量に出して、「これ肥料なの」と言った。
「肥料?」
「お爺さんとお婆さんが言ってたのよ。これを野菜に与えると、信じられないくらい大きく成長するって。」
「なるほど、要するに巨大化する薬ってわけか?」
「おそらくね。これを飲めば元のサイズに戻れるかもしれないわ。」
「おお!じゃあ早速飲んでみよう。」
茂美は俺と由香里君に「はい」と粉末を分ける。
少し青みがかったその粉は、手に持っているだけで不思議なパワーを感じた。
「すごいエネルギーが宿っているのが分かる。これならいけるかもな。」
「だけどちょっと怖いですね。もし上手くいかなかったらって思うと・・・、」
「どうした?さっきは強気だったのに。」
「だって便座を蹴り上げるなんて簡単だから。でもわけの分からない薬はちょっと・・・・、」
不安がる由香里君。
すると茂美が「先に飲むわ」と言った。
「私だってたまには良いとこ見せなくちゃ。」
「そうだな、いつもトラブルばかり起こすからな。」
「人を疫病神みたいに言わないでちょうだい。」
ムスっとしながら、バフバフと肥料を頬張る。
《なんて豪快な薬の飲み方だ・・・・。》
腹を空かした犬のごとく、あっという間に肥料を平らげる。
するとしばらくしてから、茂美はどんどん大きくなっていった。
「おお!」
「すごい!」
ウルトラマンに変身するハヤタ隊員のごとく、茂美は巨大化していく。
そのおかげでスカートの中が丸見えに・・・、
「見るんじゃありません。」
由香里君に目を塞がれる。
せっかくいい所だったのに。
「どうです成美さん?」
「バッチリよ。」
「なら私も!」
由香里君も肥料を食べる。
彼女もウルトラマンのごとく巨大化していった。
「おお!すごいぞ!由香里君の服の中も丸見えに・・・・、」
「踏み潰しますよ?」
「失敬。」
なんと冗談の分からない子か。
ちょっとくらいいいじゃないかと思ったが、目が笑ってないので悪ふざけはやめよう。
俺も肥料を頬張る。
すると見る見る大きくなって、元のサイズに戻った。
「なんちゅう薬品だ・・・・そりゃカボチャも空を飛ぶってもんだ。」
感心していると、由香里君が「そのカボチャがいなくなってます」と言った。
「・・・本当だな。」
「土偶もいなくなってるし。」
「UFOに乗って逃げたか?」
「ねえ久能さん、透視能力で土偶を捜せませんか?」
「ん?いやあ、それは難しいな。だってこれは物を透かして見る能力だから。
見えなくなったモノを探す能力じゃないんだよ。」
そう言ってから、「ぬうあ!」と気づいた。
「どうしたんです!?」
「今の俺はパワーアップしてるんだった。」
「ええ。」
「となれば当然透視能力も・・・・、」
「もしかして探し物が見つかるほど強力になったとか?」
「いや、そうじゃない。」
「じゃあなんなんですか?」
「・・・・・・・・。」
「なんですか?じっと見つめて。」
「・・・・・・・・。」
「久能さん?」
「・・・・・・・・。」
「・・・・ああ!」
由香里君は俺の下腹部を見て叫ぶ。
「覗くな!」
「ごはあッ!」
「こんなことの為に超能力を使わないで下さい!」
「す、すまん・・・つい出来心で。」
「今度やったら久能さんの所へ就職するのやめますよ。」
「す、すまない。悪気はなかったんだ。」
「悪気しか感じません。」
ツンとそっぽを向いて、頬を膨らませる。
すると茂美が「ねえ」と口を開いた。
「今の久能さんって、どれくらい先まで透視出来るの?」
「そうだな・・・・・。」
眉間に意識を集中させて、遠くを見つめる。
「・・・・10キロくらい先かな。」
「そんなに?」
「でもすごく疲れる・・・・。パワーアップした分、エネルギーも消費するみたいだ。」
目がチカチカして、頭も痛くなってくる。
息子も元気を失くした。
《ティムティム女王も言っていたな、乱用は禁物だと。最悪は種無しになっちゃうとか。》
「いいじゃない、種なんかなくても。」
「また心を読んだな?」
「あのね、久能さんと私の力、二つ合わせれば土偶を見つけられるかもしれないわ。」
「どういうことだ?」
「久能さんの透視能力に、私の読心術を合体させるのよ。そうすればどうなるか?」
「どうなるんだ?」
「すごい地獄耳になるわ。」
「なんだそりゃ?」
「この埴輪を使うの。この中に久能さんと私、二人を吸い込ませる。
そうすれば私たちの力が合わさって、遠い場所の心の声まで聴こえるはずよ。」
自信満々に言う茂美。
それを聞いた由香里君は「いいですねそれ」と頷いた。
「目で捜すより、心の声で捜した方が見つかりやすいですよ。」
「でしょ?幸い埴輪の氷も溶けてきたし。」
そう言ってニコリと俺を見つめた。
「というわけで・・・・これを久能さんの胸にこう!」
埴輪を思いっきり俺の胸に突き刺す。
「ぐはあ!」
激痛が走る・・・・それと同時に俺は埴輪の中に吸い込まれた。
「今度は私。」
茂美は自分の胸にも突き刺す。
すると埴輪という身体を通じて、俺と茂美は一つになった。
『おお!なんか・・・アレだな。すごい体験というか、妙な感覚だ。』
『すぐに慣れるわ。』
『・・・・・・・・・。』
『久能さん?』
『今まで一晩共に過ごすと言いながら、いつもはぐらかされてばかりだった。
それが今日、こうして願いが叶うなんて・・・・、』
『ねえ由香里ちゃん、久能さんが私のお尻を触ってるわ。』
「はあ!?」
『あ、今度は胸を・・・・、』
「久能さん!!」
由香里君は鬼の形相で詰め寄る。
俺は『嘘を言うな!』と怒鳴った。
『どこも触ったりしてないだろう!』
『あれ?じゃあ私の勘違いかしら?』
「久能さん、こんな時にまでセクハラなんて・・・・、」
『待て待て!俺は何もしちゃいない!』
「ほんとに・・・・?」
『茂美の言うことなんか信じるな!』
「・・・・・・・・。」
なんとも疑わしそうな目で睨んでいる。
こうやって誤解されるのは、日頃の行いが悪いせいだろう。
だがしかし!今はコントをやっている場合ではない。
『茂美さん、頼むから冗談はやめてくれ。』
『ふふふ、からかい甲斐があるわあ。』
不敵に笑うこの女は、俺をいじめて楽しんでやがる。
・・・見ていろ、いつか本当に床を共にして・・・、
『あ、今度は太ももに・・・・、』
『OK悪かった。もう何も言わない。』
これ以上由香里君を怒らせるわけにはいかない。
すでに拳に血管が浮いているのだから。
『ええっと・・・俺と茂美さんの力で、土偶の声を捜せばいいわけだな?』
『そうよ。さあ、私の手を握って。』
『握るのか?』
『エロくない程度にね。』
『わ、分かった・・・・。』
言われた通り、エロくない程度に手を握る。
そして透視能力を発動させると、なんと遠くの声が聴こえるようになった。
《な、なんだこれは!?街の方からたくさんの人々の声が!!》
騒音激しい電車の中にいるような、耳を塞ぎたいほどのうるささに駆られる。
『うおおおお・・・・頭が痛い・・・・。』
『我慢して。どうにかして土偶の心の声を捜すの。』
『ぐうう・・・・長くはもたんな。』
遠くから聴こえる人々の声。
これは内なる心の声だ。
(あの姉ちゃん良い足してんなあ。)
(くっそあの女!よくもター君寝取りやがって・・・・絶対殺してやる!)
(あ、アカン・・・・うんこ漏れそう。)
(もう会社行きたくない・・・学生の頃に戻りたいよ・・・・。)
(死にたい・・・もう死にたい・・・・生まれてこない方がよかった。)
耳に響く人々の声、その多くはネガティブなものだ。
どれもこれもうんざりするほど暗い気持ちになってくる。
お姉ちゃんの良い足に見とれるのは共感できるが。
『茂美さん、あんたよくこんな声に耐えていたな。』
『ふふふ、もう嫌になったかしら?』
『予想はしていたさ、きっと明るい声なんて聴こえてこないって。でもこうまで暗い気持ちが耳に入るとな。気が滅入るよ。』
『そんなものよ、人間なんて。だけど今はそんなこと話してる場合じゃないわ。』
『ああ、とっとと土偶を見つけないと。』
早くこんな能力から解放されたい。
その為にはあの土偶を見つけるしかないのだ。
(いやあああ!助けて!!)
誰かの悲鳴が聴こえる。
その悲鳴はだんだんと増えていって、多くの叫びが耳を揺さぶった。
(なんだあれは!?)
(土偶だ!土偶が人を襲ってる!)
(きゃあああ!人形が・・・お店の人形が動き出した・・・・、)
(おい!マネキンが勝手に動いてるぞ!)
(いやあ!お地蔵さんまで動いている!)
(こっちは銅像が動いてるぞ!)
(ひいいいい!二宮金次郎が追いかけてくるうううう!!)
阿鼻叫喚とはこの事だ。
誰もが恐怖に怯えている。
その原因はもちろんあの土偶。
じっと耳を澄まし、奴の声が聴こえないか注意を払った。
すると阿鼻叫喚の中に、(グググ)と特徴的な笑いが混じっていた。
(恐れろ人間ども!この世界は私が支配するのだ!)
《あの野郎・・・・人を襲ってやがる!》
(貴様ら低俗な現代人は、人形の奴隷でちょうどいいくらいだ。)
悲鳴の数は増えていく。
俺は茂美から手を離し、元の透視能力に切り替えた。
すると・・・・・、
《な、なんてことだ・・・・。街中に人形が溢れている・・・・。》
土偶を中心として、大勢の人形が闊歩している。
マネキンから銅像からプラモデルまで、ありとあらゆる人形が群れをなしている。
そして手当たり次第に人間を襲って、土偶の前に連れていった。
土偶は目を光らせて、真っ赤なビームを放つ。
それを受けた人間たちは、洗脳されたように土偶に従った。
『クソ!なんてことをしやがるんだ!』
もはや透視している場合ではない。
すぐにでも助けに行かないと。
『茂美さん、街はえらいことになっているぞ。』
『分かってるわ、私にも阿鼻叫喚が聴こえたから。』
茂美も神妙な顔で頷く。
そして『埴輪から出ましょ』と、俺のケツを蹴飛ばした。
『ぐはあ!』
ドンと外へ投げ出され、顔面から突っ込む。
「久能さん!どうでしたか?見つかりました?」
心配そうな顔をする由香里君。
俺は「街は地獄さ」と答えた。
「そんな・・・・。」
「幸いこの山へ来る途中に、あの街は通ってる。瞬間移動ですぐに行けるはずだ。」
頭の中に街をイメージする。
《街へ行きたい・・・・あの街へ飛んでいきたい・・・・。》
山の麓に広がる街を、強くイメージする。
すると一秒もたたない間に街へと飛んでいった。
「これは・・・・・・。」
「ひどい・・・・・・。」
俺も由香里君も絶句する。
ここはまさに地獄だった。
『グググ、愚かな人間どもよ。人形たちの前にひれ伏すがいい。』
街は悲鳴とパニックで満たされていた。
土偶は次々に洗脳をかけていき、人間を奴隷化していく。
「なんて酷い・・・・。」
由香里君が歯を食いしばる。
「久能さん!すぐにあの土偶を捕まえましょう!」
そう言って駆け出すが、俺は走ることが出来なかった。
それどころか立っていることすら辛い・・・・・。
「どうしたんですか?顔色が悪いですよ。」
「・・・・どうやら超能力を使いすぎたようだ。」
「大丈夫ですか?」
「・・・ああ、なんとか・・・、」
「でも顔が真っ青ですよ。」
心配そうな由香里君。
すると茂美まで「重症ね」と言った。
「由香里ちゃんの胸に手が当たってるのに、息子さんが反応しないなんて・・・・これはもう・・・・、」
「やめてくれ!」
俺は首を振った。
「その先は言わないでくれ・・・・・。」
そう、分かっている。
これ以上超能力を使えば、俺は種無しになってしまう。
今のとろこ子供を作る予定はないが、それでも種無しになるのは嫌だ。
「久能さん・・・・。」
由香里君は物陰に俺を寝かせる。
「ここでじっとしてて下さい。私と茂美さんでなんとかしますから。」
「いや、俺だけ休んでるわけには・・・・、」
「何言ってるんです。無理して戦ったら命に関わりますよ。」
「だが君たち二人で勝てる相手では・・・・、」
「いいんです、久能さんが命を落とすより。」
「由香里君・・・・。」
健気に微笑むその顔が、グサリと心に突き刺さる。
するとその瞬間、俺たちの頭上に奴が飛んできた。
『グググ、こんな所まで追いかけてくるとは。』
ピカピカと目を光らせて、俺たちを威圧する。
『秘宝から抜け出して、ここまで来たことは褒めておこう。
だがしかし!それは更なる災いを呼ぶと知れ!』
土偶は大きな声で『ナアアアアアアア!!』と叫ぶ。
まるでサカリのついた猫みたいに。
するとその声を聞きつけた人形の群れが、俺たちを囲んだ。
いや、人形だけじゃない。
洗脳された人間までもが・・・・。
「いかん!逃げるんだ由香里君!!」
「久能さんを置いて逃げられません。」
「俺のことはいい。どうか君だけでも生き延びて・・・・、」
そう言いかける俺に向かって、由香里君は小さく首を振った。
「久能さんのいない世界を生きたって、意味なんてありません。」
こんな絶望的な状況なのに、その笑顔には曇り一つない。
なんとも素直な笑顔だった。
「・・・君は・・・まさか俺のことを・・・・、」
『ググ!私の目の前でイチャつくとはいい度胸だ。』
土偶はまた目を光らせる。
『その小娘、貴様の愛する者と見た。ならば私の手駒とし、お前にトドメを刺してやろう。』
土偶の目からビームが放たれる。
それは由香里君を包んで、彼女の意志を支配しようとした。
「ああああああああ!」
「由香里君!!」
俺は手を伸ばす。
しかし茂美が「無駄よ!」と止めた。
「離せ!由香里君を助けないと・・・・、」
「だから無理だってば。・・・・もう手遅れよ。」
茂美は冷たく言い放つ。
次の瞬間、由香里君の目が赤く染まった。
ゆっくりとこちらを振り向き、猛獣のように襲いかかってきた。
「死ね久能!」
「うおおおおお!」
由香里君のカカト落としが炸裂する。
咄嗟に茂美が引っ張ってくれたおかげで、どうにか直撃は免れた。
「由香里君!目を覚ますんだ!」
『ググ、無駄だ。その小娘の意志は私が支配している。もう貴様の味方ではない。』
「そんな・・・・なんてことだ!」
『人形たちよ、その男を押さえつけろ。』
周りを囲んでいた人形たちが、俺と茂美を拘束する。
「おい離せ!」
「ちょっと!胸を掴まないで!」
いくら抵抗して多勢に無勢。
そこへ由香里君が近づき、真っ赤な目で俺を睨んだ。
「久能・・・・殺す!」
「おいよせ!目を覚ますんだ!!」
必死に呼びかけるが、彼女の耳には届かない。
それどころか不敵に微笑んでいる。
「・・・・死ね!」
彼女の足が高く跳ね上がる。
渾身のカカト落としが目の前に迫る。
「由香里君!目を覚ましてくれええええ!!」
このままでは死ぬ・・・・。
あらん限りの声で叫んだとき、不思議なことが起きた。
なんと元気を無くしていた息子が、突然反り立ったのだ。
「な、なんだ・・・・息子が・・・股間が熱い・・・・。」
何が起きているのか分からない。
しかし何かが起きようとしていることは分かる。
股間が焼けるように熱い。
そして燃えるように疼く。
怒張した息子が、淡い光を放ち始めた。

不思議探偵誌〜オカルト編集長の陰謀〜のイラスト(3)

  • 2017.07.19 Wednesday
  • 09:29

JUGEMテーマ:イラスト

 

 

 

     由香里

不思議探偵誌〜オカルト編集長の陰謀〜 第十七話 人形の街(1)

  • 2017.07.19 Wednesday
  • 09:25

JUGEMテーマ:自作小説
南極の地下に眠る古代都市。
俺たちはそこでムー大陸の女王と出会った。
見た目は幼いが、御年225万歳。
不思議な力の持ち主で、色々と手助けをしてくれた。
俺は今、彼女のおかげで偉大なパワーを手に入れた。
瞬間移動という新たな能力、それに加えて元々の超能力もパワーアップした。
これならばあの土偶が相手でも戦えるだろう。
南極の地表に出た俺たちは、熱い闘志を燃やした。
見渡す限り白銀の世界、凍てつく冷気が襲いかかるが、俺たちの闘志はそんなものに負けたりはしな・・・、
「寒い!」
由香里君が腕をさする。
茂美も「死ぬ!」と震えた。
そういえばこの二人は宇宙服を着ていない。
ここは極寒の南極。
残念ながら闘志だけで生きてける世界ではなかった。
「久能さん!早く瞬間移動して下さい!!」
由香里君が叫ぶ。
俺は頷き、人形塚をイメージした。
《あそこへ行きたい。俺たちを運んでくれ。》
そう念じると、凄まじい勢いで空に昇った。
そしてほんの一瞬で人形塚の近くまでやって来た。
「うおお・・・・本当に瞬間移動した。」
我ながら驚く。
この力があれば、大阪や東京のキャバクラにだって一瞬で行けるじゃないか!
乱用は禁物だと分かっているは、少しくらいならと息子が膨らむ。
「またエッチなこと考えてるんですか。」
由香里君が女王陛下のように冷たい目を向ける。
それを気持ちいいと感じる俺は、もはや病気なのかもしれない。
「まあなんだ。これからが本当の仕事になる。注意してかかるように。」
「偉そうに言わないで下さい。さっきまで危うく凍死するところだったんですから。」
そう言ってツンとそっぽを向く。
そして「茂美さん!」と彼女に駆け寄った。
「大丈夫ですか!?」
茂美は苦しそにうずくまっていた。
南極の冷気にやられてしまったのか?
「しっかりして下さい!」
由香里君は心配そうに揺さぶる。
俺も「病院へ行くか?」と尋ねた。
「今の俺には瞬間移動能力がある。辛いならすぐにでも病院へ・・・・・、」
「・・・・・ひどい。」
「え?」
「ひどいわこんなの・・・・・・。」
あの茂美が泣いている。
これはかなりの重症とみた。
「茂美さん、今すぐ病院に行こう。放っておいたら命に関わる・・・・・、」
「見てよコレ!せっかく写真を撮ったのに!」
泣きながらスマホを見せる。
それは真っ白に凍りついていた。
「これじゃ中のデータは壊れてるわ!せっかく本物の古代人を撮ったのに!」
茂美は大地に突っ伏し、「来月号があああああ!」と叫ぶ。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
由香里君と顔を見合わせる。
スマホはカチコチになっているのに、自分は何ともない茂美。
俺たちのように宇宙服や古代服を着ているわけでもないのに、どうして平気なのか?
いっそこいつ自身をネタにした方が、雑誌は売れるのではないか?
そもそもこいつ自身が宇宙人か古代人なのではないのか?
いや、もしかしたらUMAなのかも・・・・、
「私は人間よ。」
「うお!心を読まれた!」
「見て、埴輪が戻ってきたの。」
茂美の手の中には、あの埴輪が握られていた。
「いつの間に!?」
「気がついたら握ってたのよ。」
「ならティムティム女王を呼び出してくれないか?彼女が一緒なら心強い。」
「無理よ、魂はあの神殿にあるから。ここには宿ってないわ。」
「そうか、残念だ。」
「でもこれのおかげで心を読むことが出来るわ。」
「・・・・・・・・。」
「何よその目は?」
「それはあんたが一番持ってはいけない能力だと思ってな。」
「ふふふ、久能さんの心、丸見えよ。」
不敵なその笑顔は、悪魔の微笑み。
もはやこいつには逆らうまい。
「そうそう、その心意気。私が雇い主だってこと、忘れないようにね。」
「あんたの部下になった覚えはない。」
「土偶の捕獲は私の依頼よ。もし解決してくれたら、それなりの報酬を払うわ。」
「・・・・・・・。」
「ねえ由香里ちゃん、今久能さんがイヤらしいことを考えたわ。私と一晩共にできたらって・・・、」
「な、何を言う!」
由香里君の表情が曇る。
殺気の宿ったその目は猛禽類のようだ。
「だいたいそれは茂美さんから言い出したんだろう?もし依頼を解決できたら、一晩共にしてもいいと・・・・、」
「ね?イヤらしいこと考えてたでしょう?」
悪魔の微笑が魔王の悦に変わる。
由香里君は鬼神のようになってしまった。
「ち、違うぞ!茂美さんの言ってることはデタラメだ!」
「・・・・・・・。」
由香里君は無言で近づいてくる。
恐ろしい殺気を放ちながら。
「だから誤解だぞ!俺は決してそのような邪なことはだね・・・・、」
「てええりゃああああ!!」
「ひいいいいいい!!」
鬼神が迫ってくる。
俺は頭を抱えてしゃがんだ。
正拳突きか?それともカカト落としか?
どんな技が来るにせよ、相当な威力であることは間違いない。
しかし・・・・・、
「・・・・あれ?」
攻撃が来ない。
どうしたのかと顔を上げると、由香里君は俺の後ろに向かってキックを放っていた。
「な、何してるんだい・・・?」
「決まってるでしょ、借りを返したんです。」
そう言ってニコリと笑う。
「借りって・・・まさか!」
由香里君が蹴飛ばした方を振り向く。
するとその先に土偶が倒れていた。
「出やがったか!」
土偶は人形塚の傍に倒れている。
『ムググ・・・・』と唸り声を響かせて、『よくも!』と睨んだ。
『よくもこの私を蹴飛ばしてくれたな!人間の小娘の分際で!!』
「あんたこそ人形の分際で世界征服なんか企んで!そんなの叶うと思ってるの?」
『グググ・・・・言わせておけば。』
土偶の目が赤く光る。
かなりご立腹のようだ。
『後悔するぞ・・・・人間ども。』
「それはこっちのセリフ。今の私は南極の時とは違うわよ。」
由香里君は本気だ。
前のように油断してやられることはないだろう。
ないだろうけど、さすがにあの土偶と一騎打ちはまずい。
「土偶よ、俺も相手だ。」
『ググ。』
「パワーアップした俺の能力、受けてみるがいい!」
眉間に意識を集中させる。
使うは念動力。
土偶の傍にある大きな岩を、フワリと宙に浮かせた。
「潰れろ!!」
大きな岩を土偶めがけて飛ばす。
しかしアッサリとかわされてしまった。
『こんな攻撃を喰らうか!貴様らこそ潰してやる!!』
土偶はピカピカ目を光らせる。
すると遠い空からカボチャのUFOが飛んできた。
「おい!UFOは反則だぞ!」
『戦いに反則もクソもあるか!行けUFO!奴らを叩きのめせ!!』
カボチャの中から爺さんと婆さんが出てきて、「ファッキュウー!!」と中指を立てる。
「やばい・・・・。」
いくらなんでもUFOが相手では勝目はない。
そう思っていると、茂美が突然叫び出した。
「こうなったら来月号はUFO特集よ!もう一度中に乗って、くまなく調べてやるわ!!」
「乗るってどうやって?」
「埴輪と合体するのよ!」
茂美は胸に埴輪を突き刺す。
「おい!」
とうとう脳ミソがパンクしたか?
そう思ったが、次の瞬間には土偶に吸い込まれていた。
「さあ!思う存分調べてやるわ!何もかも丸裸にして、来月号の目玉にしてやる!」
闘志を燃やすかのように、真っ赤に輝く。
そして弾丸のごとくUFOに向かっていった。
爺さんと婆さんは慌てて入口を閉めようとするが、間一髪茂美の方が速かった。
「婆さん!変な人形が!」
「便所に流せ!」
UFOの中から怒号が響く。
なんだかよく分からんが、ここは茂美に任せよう。
『ググ・・・またしても邪魔を。』
UFOを封じられた土偶はさらに怒る。
『だがこの程度で終わると思うな!他にも仲間はいるぞ!』
土偶は人形塚を振り向いて、『であえ!であえええい!!』と叫んだ。
すると中から大量の人形が現れた。
マネキン、剥製、ぬいぐるみ、日本人形に西洋人形、プラモデルまでいる。
「そいつらは中で眠っていた人形たち!」
『こいつらには洗脳をかけてある。今は私の手駒だ。』
「クソ!すでに仲間を増やしていたか。」
人形の群れはジリジリと迫ってくる。
俺は古文書を掲げて、バリバリと稲妻を走らせた。
「お前らに恨みはない。恨みはないが・・・・黙ってやられるわけにはいかない。
悪いがこいつで焼き払わせてもらう。」
この人形たちは元々埴輪の味方。
それを倒すのは心苦しいが、ここは心を鬼にするべき場面だろう。
しかし・・・・、
「待って下さい。」
由香里君が前に出てくる。
「この人形たちは私に任せて下さい。」
「何?君一人でこの大群を相手にする気か?」
「だって稲妻を当てたら死んじゃうじゃないですか。」
「元々死んでるんだ。魂はもう失くなっていて、残留思念だけが残っている。」
「それでも稲妻で焼くのは可哀想です。だけど私なら手加減できる。」
ギュッと拳を構え、人形たちを睨みつける。
「痛い思いはするだろうけど、焼き払うよりかはマシですから。」
「由香里君・・・・本当に一人で平気か?」
「どうにかしてみせます。」
そう言って「土偶は任せますね」と頷いた。
「思いっきり蹴ってやったから、借りは返しました。」
「やり足りないって顔してるがな。」
「やり返すことだけ考えてると、復讐になっちゃうから。空手は暴力じゃないんです。」
さすがは由香里君、なんとも立派だ。
「分かった、ならそっちは任せる。」
「久能さんも気をつけて下さい。油断のならない相手ですから。」
人形たちはジリジリと迫ってきて、周りを囲んでいく。
すると由香里君、完全に囲まれる前に「てえええりゃあああ!」と飛びかかった。
得意の回し蹴りが炸裂する。
しかしその蹴りは普通の蹴りではなかった。
まるで竜巻旋風脚のように、グルグルと回りながら敵を蹴散らした。
いくら彼女が強いとはいえ、これは異常だ。
きっとティムティム女王からもらった古代服のせいだろう。
宇宙服ほどではないにしろ、それなりにパワーアップするようだ。
「これなら心配ないな。」
人形たちは彼女に任せ、土偶と向き合う。
「残念だったな。UFOも人形も封じられたぞ?」
『グググ・・・・人間め。だがこの程度で諦める私ではない!』
土偶はピカピカと目を光らせる。
と、次の瞬間、突然眉間に痛みが走った。
《これは・・・予知能力か!?》
未来予知は自分の意志とは関係なしに発動する。
多くの場合、危険が迫った時だ。
そして今、俺の足元から危険が迫っていた。
本来なら一秒先の未来しか見えないが、今の俺はパワーアップしている。
一秒よりも遥か先の未来が浮かんで、慌てて飛び退いた。
すると予知通り、さっきまで立っていた場所からある物体が現れた。
それは便器だった。
真っ白に磨かれた、洋式タイプの便器。
土偶は便器の上に乗って、『グググ』と笑った。
『これこそは古代アトランティスの秘宝なり!』
「その便器が・・・?』
『これをこうして被るのだ。』
「装着品なのか・・・・。」
頭から便器を被る土偶。
被るといっても土偶は手のひらサイズなので、便器の中にすっぽり隠れてしまった。
しかしこれはこれで恐ろしい。
姿が見えないということは、何を仕掛けてくるか分からないということ。
俺は硬く身構えた。
『グググ・・・私にこれを使わせたこと、後悔するぞ。』
《くッ・・・・この秘宝は命を削ると言っていたな。
そこまでのリスクを背負ってまで使う物だ、きっと凄まじいパワーを秘めているに違いない。》
果たして俺の力だけで勝てるだろうか?
いささか不安になってくる。
するとその瞬間、便器の中から水が溢れてきた。
「な、なんだ!?」
溢れる水は洪水のようで、辺りを濡らしていく。
最後はジャーっと水を流す音が聴こえて、『ふう』とため息が漏れた。
そして・・・・・、
『グググググ・・・・どうだ!』
便器の中から土偶が出てくる。
なぜかやたらとスリムになっていた。
顔はそのままなのに、スタイルだけが良くなっているという、なんともアンバランスな体型だ。
そうだな・・・・例えるならサザエさんの顔に、峰不二子のボディとでも言おうか。
『おいどうだ!』
「どうだと言われても・・・・なんとも答えようが・・・・、」
『1000年分の便秘を今解消した。スリムになっただろう?』
「べ、便秘?」
『私は体内の構造上、どうしてもお通じが悪くなるのだ。』
「そ、そうか・・・。コーラックでも飲んだらどうだ?」
『それもアリだが、私のお通じは特殊でな。
ある程度体内に貯めておかないと、肛門からエネルギーが漏れてしまうのだ。そうなれば命に関わる。』
そう言って頭のてっぺんからオナラを吹き出した。
《そこに肛門があるのか・・・。まるでニコちゃん大王だな。》
なんとも特殊な構造である。
ケツが頭頂部にあるのなら、そりゃあ便秘にもなるだろう。
重力という物理法則が、便を掴んで離さないだろうから。
ていうかそれが理由で便器を頭から被っていたのか。
「お前がお通じに悩まされる体質であることは分かった。だが便を解消したからどうだというんだ?」
『グググ、体内の循環が良くなって、何倍にもパワーアップするのだ。』
「パワーアップだと!」
『普段はエネルギーが漏れるから、循環が悪くなっても便意を我慢する必要がある。』
「身体に悪いぞ。」
『そして1000年分の便を受け止めるには、普通の便器ではダメだ。
古代アトランティスの便器でなければ受け止めきれな・・・・、』
「細かい解説はいい。色々と想像してしまうからな。」
『今の私は体内の循環が良くなり、身体の隅々までエネルギーが駆け巡っている。
もう貴様に勝目はないぞ。グググググ!』
なんてことだ・・・・お通じを解消してパワーアップするだなんて。
しかも古代の秘宝が、便を受け止める為だけにあるなんて。
やはりこいつに常識は通用しない。
・・・だがしかし!弱点もある。
お通じが良くなった後は、頭上の肛門からエネルギーが漏れるらしい。
ということは、そう長くは戦えないはずだ。
長期戦に持ち込めば、こちらにも充分な勝機が・・・・、
『ない!』
「なに?」
『私のエネルギー切れを狙っているのだろう?』
「まさかお前も心が読めるのか!?」
『読心術は使えない。だがお前の顔を見れば、だいたいの想像はつく。』
「なるほど、自分でちゃんと弱点を理解してるってわけか。」
『当然だ。伊達に長く土偶をやっていない。』
表情から心を読むのと、土偶を長くやることに何の因果関係があるのか分からないが、とにかくこちらの考えは筒抜けということらしい。
『今の私は強いぞ。長期戦に持ち込むなどまず無理と知れ!そして死ね!』
土偶はドリルのように回転する。
そして・・・・、
《また未来予知が!》
眉間に痛みが走り、土偶の攻撃が見えた。
俺はサっとしゃがんで頭を抱えた。
その瞬間、頭上一センチのところを土偶が飛んでいった。
そのスピードは尋常ではなく、音速を超えた時に起きる現象、シニックブームが放たれた。
「うおおおおおお!」
凄まじい爆音、そして衝撃波。
俺は高く吹き飛ばされた。
『グググ、空中ではかわせないだろう?』
そう言ってまたドリルのように突っ込んできた。
《まずい!直撃したら終わりだ!》
慌てて念動力を使う。
眉間に意識を集中させて、土偶の軌道を変えさせた。
そのおかげで右に逸れていき、地面に突っ込んだ。
地面が揺れ、もうもうと土煙があがる。
『ググ・・・超能力か!!』
あれだけのスピードで激突したのに、かすり傷すら負っていない。
俺の背中に冷や汗が流れた。
《なんてパワーとタフネスだ。まともにやり合っても勝てない。》
こんな強敵を相手に、いったいどう戦えばいいのか?
「俺は勝てるのか?この恐ろしい人形に。」
『グググ、無駄なあがきはやめることだ。絶望が広がるだけだぞ!』
ピカリと目を光らせて、また突っ込んでくる。
「うおおおおお!」
どうにかかわしたが、またソニックブームの衝撃を食らってしまった。
「ぐはあ!」
『グググググ!もはや勝負は決したな。』
高らかに笑う土偶。
俺は大地に横たわった。
この土偶はあまりに強い。
パワーアップした超能力でさえ通用しない。
果たして俺はどうなってしまうのか?
便所から流れ出た水が、じんわりと宇宙服に染み込んでいった。

不思議探偵誌〜オカルト編集長の陰謀〜のイラスト(2)

  • 2017.07.18 Tuesday
  • 10:12

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     埴輪VS土偶

 

 

 

     久能

 

 

 

     由香里

 

 

 

     茂美

 

 

自然と向き合う番組 鉄腕ダッシュ

  • 2017.07.18 Tuesday
  • 08:21

JUGEMテーマ:テレビ全般

JUGEMテーマ:生き物

毎週鉄腕ダッシュを見ています。
TOKIOってすごいですね、特に山口さんは。
本職の大工や料理人じゃないかと思うほどです。
あれだけ多彩にこなせるって羨ましいです。
色んなコーナーがあるけど、一番好きなのは自然を調査するやつです。
東京湾や多摩川の調査は大好きです。
昨日は鮎についてやっていました。
私の近所の川もそうなんだけど、昔に比べて綺麗になっています。
スッポンがいたりウナギがいたり、水が綺麗になれば生き物は戻ってくるんですね。
川原をショベルカーで馴らしても、すぐに草でボーボーになります。
すごいんですよ、植物の生命力って。
昨日放送していた鉄腕ダッシュでは、鮎を狙う生き物を調べていました。
川辺には動物の足跡があって、監視カメラでその映像を捉えていました。
最初はタヌキが現れましたが、足跡が一致しません。
じゃあいったい誰の足跡なのか?
それはテンでした。
イタチ科の動物で、イタチよりも一回りほど大きいです。
毛皮が美しいので、乱獲で数が減ってしまった模様。
それにヒバカリというヘビも出てきました。
山口さん、素手で捕まえていました。
ウナギは苦手なのに、どうしてヘビは平気なんでしょうね。
ヒバカリは「噛まれたらその日ばかりの命」という意味の名前です。
でも実際に毒はありません。
毒を持つのはマムシ、ハブ、ヤマカガシです。
ヒバカリはシマヘビやアオダイショウと同じナミヘビ科です。
ナミヘビ科のヘビは基本的に毒を持ちません。
有毒なのはマムシやハブなどのクサリヘビ科。
そしてコブラなどのコブラ科です。
前者は肉体の組織を破壊する血液毒。
後者は神経を侵す神経毒です。
致死性は神経毒の方が高いけど、血液毒は患部が壊死する可能性もあります。
どっちも怖い毒なんですよ。
だけどナミヘビ科でも毒を持つ者はいて、それがヤマカガシです。
このヘビの毒は独特で、血液が固まらなくなるんです。
もし毒が体内に入ったら、至る所から出血します。
ヤマカガシの毒って、マムシやハブよりも強いんですよ。
だけどハブに比べると牙が小さく、しかも口の奥にあるので、噛まれたからといって絶対に毒が入るわけじゃありません。
マムシもヤマカガシも、それにヒバカリも、今では数が少なくなっています。
それに対して、鮎を食べてしまうニゴイという魚は数が増えているよう。
別名キツネと呼ばれているそうです。
とても大きな顔をしていて、口も大きいです。
鮎なんか一飲みだそうですよ。
数が多く、なんでも食べてしまうほど獰猛なので、在来種でありながら駆除対象になっているんです。
外来種だけが自然を脅かすわけじゃないんですね。
数が増えすぎると、在来種だって生態系を脅かす存在になるってことです。
自然は微妙なバランスで成り立っているから、極端に数が増えたり、逆に減ったりというのはよくないんでしょう。
鉄腕ダッシュを見ていると、そういうのがよく分かって面白いです。
時には専門家の人でも驚く動物が見つかったり。
鉄腕ダッシュは余計な演出がないから見やすいです。
ずっと続いてほしい番組です。

不思議探偵誌〜オカルト編集長の陰謀〜 第十六話 氷の中の古代人(2)

  • 2017.07.18 Tuesday
  • 08:18

JUGEMテーマ:自作小説

どんな時代にも流行はある。
お歯黒だったりボンタンだったり、山姥みたいなガングロだったり。
俺の青春時代はヤンキーが流行っていた。
そして今はというと、『萌え』が流行りになっている。
本来はアンダーグラウンドだったオタク文化が、何を血迷ったか地表に溢れてきた。
その影響か、元素や戦艦まで美少女になる始末。
今や萌えに敵う流行などないのだ。
どんなに高尚なことを語ろうとも、どんなに人生の意義について考察しようとも、そんなものは次の一言で一蹴されてしまう。
『可愛いは正義』
老人でさえ『アリスリローテッド』にハマる時代なので、どこもかしこも萌えに支配されてしまっているのだ。
それは古代都市も同じようで、ここにも萌え化の波が押し寄せていた。
今、宙に美少女が浮かんでいる。
気の強そうな目、ツインテールの黒髪、顔や腕には紋章のような彫り物が入っている。
そして卑弥呼とクレオパトラを足して二で割ったような服を着ていた。
手にはエジプト王みたいな杖を持っていて、なんとも神々しいオーラを放っていた。
この美少女の正体は人形。
古代ムー大陸で作られた埴輪だ。
俺と由香里君が敵に囲まれ、ピンチになった瞬間、まさかの美少女へと変身した。
《古代都市にも萌えが広がっていたとはなあ。》
俺の知らない間に、ここまでワールドワイドな文化になっていたとは。
萌えの力恐るべしである。
『萌えじゃないだしょ。』
美少女が口を開く。
俺は彼女を見上げたまま固まった。
「心が・・・読めるのか?」
『わらわは26代目ムー大陸の女王、ティムティムだしょ。』
「ティムティム・・・・・。なんというか・・・けっこう微妙な名前で・・・・、」
『言っとくけどチンチンの変化系じゃないだしょ。』
「え?」
『今こう思っただしょ?チンチン・・・チンティン・・・・ティンティン・・・ティンティム・・・・ティムティムって。』
「やはり心が読めるのか・・・・。」
『天罰!!』
「あぎゃあ!」
杖から雷を落とされる。
由香里君まで感電して、「ぴぎゃッ!」と跳ね起きた。
「な、な、なんですか!!」
「おお、目が覚めたか。」
「すっごいビリっとしましたけど・・・・何かあったんですか?」
「ああ、埴輪がチンチン女王に変身して・・・・、」
『天罰!!』
「ぐぎゃあッ!」
「ぎゅふうッ!」
二人して倒れる。
一瞬だけ髪の毛がアフロになった。
「な・・・なんなんですかさっきから・・・・、」
「分からん・・・・埴輪がいきなり萌え化したんだ・・・・。」
「萌え・・・・?」
「美少女に変わったのさ。」
「またそんな妄想を・・・・・、」
「上を見るがいいさ。女王陛下がお怒りだ。」
由香里君は立ち上がり、頭上を睨む。
「なんですかあの子・・・・なんか宙に浮いてますけど・・・・。」
「だから分からん。」
「ていうか今日平日ですよね?学校はどうしたんだろう?」
真面目な顔で言う由香里君。
この子もなかなかズレている。
『そこの女子。』
ビシっと杖を向けるティムティム女王。
由香里君は「私?」と指差した。
『ハレンチだしょ。』
「ハレンチって・・・何が?」
『すっぽんぽんなんて恥ずかしいだしょ。』
「す、すっぽん・・・・、」
由香里君は自分の身体を見る。
目を見開き、一瞬で茹でダコみたいに赤くなった。
「きゃあああああ!なんで!?」
慌てて背中を向ける。
俺は「覚えてないのかい?」と尋ねた。
「さっき目を開けた時に説明しただろう?君はペンギンどもに裸にされて・・・・、」
「見ないで下さい!」
「あおふッ!!」
「ていうか久能さんがやったんでしょ?」
「ち、違う!俺は君を守ろうとしたんだぞ!」
「・・・・・・・・・。」
「ほんとだ!君を無理矢理すっぽんぽんになんかしたら、俺は棺桶に入ることになる。それくらい分かってるさ。」
「・・・・それもそうですね。」
渋々ではあるが頷いてくれた。
するとティムティム女王が『仕方ないだしょなあ』と言った。
『すっぽんぽんなんてハレンチだしょ。これはサービスだしょ。』
杖を掲げ、チョイと振る。
「おお!」
「すごい・・・・。」
由香里君はすっぽんぽんではなくなった。
卑弥呼とクレオパトラを足して2を掛けたような服装に変わった。
しかも膝上のミニだ。
これはこれでたまらん!
「どうですか久能さん、似合ってます?」
嬉しそうに回る由香里君。
俺は息子を反り立てた。
「そういうリアクションはいらないです。」
「最高級の褒め言葉さ。」
「最低のボディランゲージです。」
ツンとそっぽを向く由香里君。
するとそこへ茂美がやって来た。
「なんだかよく分からないけど、助かったみたいね。」
「ああ、まさか埴輪が萌え化するなんてなあ。」
『だから萌えじゃないだしょ!』
ティムティム女王は俺たちの前に下りてくる。
見た目は幼いが、女王を名乗るだけあって、威厳のある顔つきをしていた。
『わらわは子供じゃないだしょ。』
「え?どう見ても中学生くらいにしか・・・・、」
『これでも225万歳だしょ。』
「・・・・それはツッコんだ方がいいのかな?」
『ボケたわけじゃないだしょ。』
ポコンと杖で叩かれる。
『わらわは古代ムー大陸の女王なんだしょ。そしてここにいるペンギンたちは、古代人の生き残りなんだしょ。』
「生き残り?このモフモフした生物が?」
『見た目はペンギンでも、中身は古代人なんだしょ。』
「なら古代人らしくすればいいじゃないか。どうしてペンギンの振りを?」
『ここは南極だしょ。だから寒さに対応する為に、ペンギンの姿を借りてるんだしょ。』
「なるほど、天然の毛皮を着込んでるってわけか。」
『だしょ。』
「でもそれなら服を着ればいいじゃないか。わざわざペンギンにならなくても・・・・、」
『うるさいだしょ!可愛いからいいんだしょ!』
またポコンと叩かれる。
どうやらペンギンが可愛いから、下々の者たちにその姿を強要しているようだ。
なんともワガママなお姫様だ。
『違うだしょ!寒さに対応する為だしょ!』
「はいはい、そういうことにしておくよ。」
『女王の頭を撫でるなだしょ!』
225万歳なんて抜かしているが、中身はまるっきり子供だ。
しかしこの子のおかげで助かったのは事実。
俺は礼を言った。
「女王陛下、あなたのおかげで命拾いしました。なんと感謝すればいいか。」
『分かればいいんだしょ。』
今度は偉そうにふんぞり返っている。
しょうもないことを考えると心を読まれてしまうので、なるべく無心を心がけた。
「あの・・・・、」
由香里君が手を上げる。
『なんだしょ?』
「まずは助けてくれてありがとう。」
『わらわを敬うがいいだしょ。』
ふんぞり返る女王陛下。分かりやすい性格をしている。
『誰が単細胞だしょ。』
「痛・・・・そこまで思ってないぞ。」
『悪意を感じたでしょ。』
「はいはい、無心に徹しますよ。」
また心を読まれる。
なんともやりづらい相手だ。
でも心が読めるのは当たり前か。
マネキンに宿っていた茂美は、読心術を持っていた。
その能力は埴輪から来ていたものなのだろう。
『無心になるんじゃなかっただしょか?』
「気をつけるさ。」
『お前の頭の中、イヤらしいことで一杯だしょ。不潔だしょ。』
「子供に言われると恥ずかしいな。」
『だから子供じゃないだしょ!』
また叩かれる。
全然話が進まなくて、由香里君は「久能さん!」と怒った。
「話の腰を折らないで下さい。」
「別にそんなつもりはないさ。ただその子が俺の心の読むからだな・・・・、」
「邪なことばっかり考えてるからそうなるんです。ちょっとあっちへ行ってて下さい。」
そう言って俺の背中を押しやる。
「ええっと・・・ティムティム女王でしたよね?」
『だしょ。』
「尋ねたいことがあるんです。どうして私はこんな所へ連れて来られて・・・・・、」
『生贄にする為だしょ。』
「やっぱりそうなんですか。じゃあなんで・・・・、」
『あの泥人形に命を吹き込む為だしょ。』
「どうしてそんなことを・・・・、」
『いちいち質問しなくていいだしょ。』
「え?」
『心の中が読めると言っただしょ?』
「ああ、はい・・・。」
由香里君は困った顔でうろたえる。
「ほらね、心を読まれるとやりづらいだろう?」
「久能さんはそっちにいて下さい。また話が進まなくなるから。」
「へいへい。」
どうやら俺は不要らしい。
まあ質問しなくても答えてくれるそうなので、黙って聞いていればいいだけだ。
無駄な労力は省けるわけで、その分由香里君のコスプレでも堪能しよう。
『その男、お前のことをイヤらしい目で見てるだしょ。』
俺に杖を向ける女王陛下。
由香里君は「お気になさらず」と言った。
「いつものことですから。」
『だしょか。きっと毎日苦労してるんだしょな、その男のせいで。』
「ええ、とっても。」
ニコリと微笑むその笑顔、殺気が誤魔化しきれていない。
『ではお前たちの疑問に答える。まず一つ目、ここはどういう場所か知りたいのだしょ?』
「はい。南極の下にこんな都市があるなんて信じられません。」
『だしょうな。ここは古代人の生き残りが集う場所。主にムー大陸とアトランティスの末裔が住んでるんだしょ。
どちらの大陸も、地殻変動とか戦争とか、それに火山の噴火とかなんとか、色んなことがあって沈んでしまっただしょ。
僅かに生き残った古代人たちは、新天地を求めて世界を彷徨っただしょ。
そして彷徨い続けてるうちに、新たな人類が誕生してきたんだしょ。』
「新たな人類?」
『現代人の祖先だしょ。彼らは長い時間をかけて、だんだんと今の人間の姿に変わっていっただしょ。
そして文明を持ち、自分たちの世界を創り上げていったんだしょ。』
「へええ、面白い。ずっと聞いてたいです、その話。」
『話として聞く分には面白いかもしれないだしょが、わらわたち古代人にとっては大変なことだったんだしょ。』
「どうしてですか?」
『古代人と現代人では、価値観も生き方も違いすぎるんだしょ。
下手に関わると、大きな争いになりかねないんだしょ。』
「そういうものなんですか?私なら仲良くしたいと思うけど。」
『もちろんわらわだってそう思っただしょ。
だけど現実は酷なもので、異なる種族の共存は難しいだしょ。
それこそお互いに文明を持った者同士だと、最悪は戦争ということもあるだしょからね。』
「う〜ん・・・色々と難しいんですね。」
『わらわは古代人を導く女王だから、色々と考えねばならんのだしょ。平民のお前には分からん苦労だしょ。』
「すいません・・・。それで現代人が出てきた後はどうしたんですか?」
『とにかく現代人に見つからないようにする必要があっただしょ。
だからここに街を作り、ひっそりと暮らしているわけだしょ。』
「つまり古代人の隠れ家ってことですね?」
『だしょ。幸い大きな争いもなく、みんな平和に暮らしてきただしょ。つい最近までは。』
「どういうことだしょ?」
《由香里君・・・・語尾がうつってるぞ。》
女王陛下がジロっと睨む。
俺は肩を竦めながら、口にチャックをした。
『実は南極大陸の下にある海底火山が、にわかにアクティブになってきてるだしょ。
それに加えて地球温暖化のせいで、古代都市の周りの氷が弱くなってるんだしょ。
最近では地表から本物のペンギンまで落ちてくる始末。もうここには住めないだしょ。』
「それは大変だしょ。どこかにお引越ししないと。」
『そうなんだしょが、それは難しいだしょ。』
「どうしてだしょ?」
『だってこれほどの大都市を隠せる場所となると、南極以外に考えれないだしょ。
現代人の文明もにわかに進んできてるから、他の場所だとすぐに見つかってしまうだしょ。』
「なるほど・・・・。」
『それにわらわはペンギンが好きだから、にわかにここを離れたくないだしょ。』
「私もペンギンが好きだから、その気持ちは分かるだしょ。」
『あ、ちなみにここに住んでるペンギン型の古代人は、ペンゲンという名前だしょ。
長い時間をかけて、古代人は一つの種族へと変化したんだしょ。』
「ペンギンと人間、だからペンゲン?」
『だしょ。』
《とんだ親父ギャグだな。》
『そこ、うるさいだしょ。』
「痛ッ!」
ちょっと愚痴っただけじゃないか、なんてめざといガキだ。
『このままだと古代都市は滅びるだしょ。だけどお引越しも難しいだしょ。
となればやることは一つ!守り神を作ることだしょ!』
「守り・・・・、」
「神・・・・・?」
由香里君と顔を見合わせる。
「それってまさか・・・・、」
「さっきの泥人形?」
『だしょ。あれに人間の魂を入れて、新たな人形神を作るんだしょ。
そうすれば偉大かつ広大なパワーを発揮して、ここを守ってくれるだしょ。』
「ふうむ・・・なるほどなあ。偉大かつ広大なパワーで。それなら君がやればいいんじゃないか?
なんたって古代ムー大陸の女王なんだろ?実際に強そうだし。」
『出来ればやってるだしょ。でも残念ながら無理だしょ。』
「どうして?」
『わらわは一度死んでるだしょ。土偶との戦いで。』
「そういえば茂美さんが言っていたな。魂が消滅したって。」
『かつてわらわはこの埴輪を作り、中に自分の魂を閉じ込めたんだしょ。
人形神となり、この古代都市を守る為に。
だけど土偶との戦いで消え去ってしまったんだしょ。
それを悲しんだここの住人たちが、復活の儀式を用いて、どうにかこうにか魂を呼び戻したわけだしょ。』
「ほう、となると生き返ったわけか?」
『生き返りはしないだしょ。ただ魂だけがこの神殿にあるんだしょ。』
「半分幽霊みたいなもんか?」
『だしょ。わらわはすでにお亡くなりになっているので、再び人形神になることは無理なんだしょ。』
「ふうむ、人形の世界も複雑だな。」
『人形神のいなくなった今、古代都市を守る力はなくなってしまっただしょ。
そう遠くない未来、ここは海底火山の影響で沈んでしまうだしょ。だから・・・・、』
「由香里君をさらったと?」
『そのお嬢さんはなかなかいい魂を持ってるだしょ。純粋で健全で、それでいて逞しくて強いだしょ。
お前みたいに煩悩に汚れ切った者とは違うだしょ。』
「自覚してるさ。でも由香里君を渡すわけにはいかない。生贄にするのは諦めてくれ。」
ティムティム女王は『やっぱり無理だしょか』と残念そうにする。
『人形神になれば、毎日ペンギンと触れ合えるんだしょがねえ。』
そう言ってチラチラ由香里君を見る。
すると彼女は「それはいいだしょね」と微笑んだ。
「私も毎日ペンギンをモフモフしたいだしょ。」
『だしょ〜?』
「でも残念ながらそれは出来ないだしょ。だって卒業したら久能探偵事務所に就職するだしょから。」
『そんな煩悩マンよりも、ペンギンパラダイスの方がいいだしょよ。』
「でも私がいないと、煩悩マンは寂しくて死んでしまうかもしれないだしょ。見捨てるのは可哀想だしょ。」
「由香里君、君も散々に言ってくれるな。」
「なんたってウサギなみの寂しがり屋だしょ。だから傍にいてあげないと心配なんだしょ。」
そう言ってニヤニヤと俺を見つめた。
「というわけで、お人形さんになるのは無理だしょ。」
『どうしてもだしょか?』
「どうしてもだしょ。」
しょんぼりするティムティム女王。
一国の運命が掛かっているのだから、落ち込むのも無理はないだろう。
「女王陛下、俺に妙案がある。」
『なんだしょ・・・・・?』
「あそこで興味深そうにペンゲンの写メを撮ってるオカルト編集長がいるだろう?よければあれを生贄に捧げて・・・・、」
『あんなもん生贄に捧げたら、人形が腹を壊すだしょ。』
即行で拒否する女王。
茂美は人形からも敬遠される存在のようだ。
『このままではここは滅ぶだしょ。やっぱりお引越ししかないだしょかねえ・・・・。』
この世の終わりみたいな顔で落ち込んでいる。
『地表から楽に入れるようになったせいで、土偶まで侵入してくるし・・・・、』
「おお!それだそれ!」
俺はポンと手を打った。
「あいつはなんでここに来てたんだ?」
『決まってるだしょ、ここを侵略して、ペンゲンたちを従わせるつもりだったんだしょ。そうすれば手下が増えるから。』
「世界征服の足掛かりにする為か。」
『あいつは欲深い奴だしょ。今でも世界の覇権を諦めてないんだしょ。
この世を人形の世界に変えて、人間たちを奴隷にするつもりなんだしょ。』
「恐ろしいな・・・・。奴の行先に心当たりはないか?」
『おそらく人形塚に行ったんだと思うだしょ。あそこにはまだ秘密があるから。』
「ほう、どんな?」
『あそこには古代アトランティスの秘宝が眠ってるんだしょ。それを使えばパワーアップ出来るだしょ。
でも命を削るリスクもあるから、今まで使わなかったんだしょ。』
「命を削る秘宝か・・・・。そんな危険な物を使おうとしてるってことは、けっこう追い詰められているんだな?」
『大昔のわらわとの戦いで、大した力は残ってないんだしょ。でも今はUFOを手に入れたから、どうなるか分からんだしょ。
そのうえ古代アトランティスの秘宝まで使われたら、もう打つ手がないかも・・・。』
「OK分かった。この超能力探偵、久能司が一肌脱ごうじゃないか。なあ由香里君?」
「はい!私だって借りを返さないと気が済みませんから。」
やるべきことは決まった。
これから人形塚に向かい、土偶の企みを阻止する。
しかし南極から出る手段がない。
《参ったな・・・・。》
ボリボリと頭を掻いていると、『心配しなくていいだしょ』と言われた。
『お前は超能力探偵なんだしょ?』
「ああ。今までに解決してきた事件は数限りなし。FBIからモサドまで、みんなが俺を頼る始末さ。」
『UFOとかザリガニとか、そんなもんばっか探してたんだしょ。可哀想に。』
「・・・・人の心を読むのはためて頂きたい。」
心が丸裸にされるというのは、なんとも恥ずかしい。
これならまだ全裸になった方が・・・・、
『脱がなくていいだしょ。』
「え?ああ・・・・すまない。」
『今からお前にパワーを与えるだしょ。』
「パワー?」
『一時的に超能力をパワーアップさせるだしょ。そうすれば南極から出られるだしょ。』
「それって・・・まさか・・・・、」
『瞬間移動を使えるようにしてあげるだしょ。』
「本当か!?」
『でも多用は禁物だしょ。ものすごい負担がかかるから、下手したら100歳くらい老けちゃうだしょ。』
「OK平気さ。超能力を乱用するほど馬鹿じゃない。」
『それと元々持ってる超能力もパワーアップさせてあげるだしょ。』
「それはありがたい。あんな土偶と戦うには、それなりの武器が必要だ。」
『念動力、透視能力、未来予知。全てパワーアップするだしょ。もちろんだけどこっちも乱用は禁物だしょ。』
「馬の耳に念仏さ。」
『最悪は精力が尽き果てて、種無しになるから気をつけるだしょ。』
「分かってるって。やってくれ。」
俺はガバっと手を広げる。
ティムティム女王は杖を掲げ、『だしょ〜!』と念力を送った。
「お・・・おおおお・・・・身体が熱い・・・・。パワーが漲ってくる・・・・。」
胸が熱い・・・・脳が熱い・・・・そして息子も熱い・・・・。
『そこにパワーを送った覚えはないだしょ・・・・。』
呆れ気味に言われてもなお、あそこは天に向かってそびえ立っていく。
『誰かモザイクかけてほしいだしょ・・・・。』
「ごめんなさい、悪気はないんです。ただこういう体質なもので・・・・、」
俺に代わって由香里君が頭を下げる。
ジロっと睨まれ、「いい加減にして下さい」と怒られてしまった。
『もう充分だしょ。これ以上は身体に悪いし、汚いモノも見たくないし。』
蔑むような目で睨まるが、それはそれで快感だと思う俺は、やはりくる所まできているのだろう。
「女王陛下、この久能司が必ずや土偶を捕まえてみせます。」
『よ、寄るなだしょ!』
「大船に乗ったつもりで待っていて下さい。」
『分かったら寄るなだしょ!握手とかいいから!』
本気で嫌がるティムティム女王。
後ろから由香里君に叩かれてしまった。
「それじゃティムティム女王、私たちは土偶を捕まえに行ってきます。」
『頼んだだしょ。』
由香里君には笑顔で応えるクセに、俺には冷たい目が向けられる。
どうやら嫌われてしまったようだ。
「じゃあ久能さん、人形塚まで瞬間移動しましょ。」
「ああ。・・・・って言っても、どうやったらいいんだ?」
『頭の中にイメージするだしょ。一度行ったことのある場所なら、一瞬で飛んでいけるだしょ。』
「なるほど、ルーラみたいなものか。」
『だしょ。だから建物や洞窟の中で使ったらえらいことに・・・・、』
ティムティム女王が言い終える前に、俺は瞬間移動を使ってしまった。
すると一瞬で宙に飛び上がり、天井にぶつかった。
「ぐはあ!」
頭蓋骨が割れそうな衝撃が走る・・・・・。
地面へ落下して、また頭を打った。
「ごはあッ!」
『・・・・馬鹿だしょか?』
また冷たい目が向けられる。
由香里君は「すいません・・・」と苦笑いした。
『街の外れから外に出られるだしょ。そこから瞬間移動を使うといいだしょ。』
「はい!色々ありがとうございました。」
ペコっと頭を下げて、「ほら行きますよ」と首根っこを引きずられた。
「茂美さんも。日本へ帰りますよ。」
「うふふ・・・本物の古代人の写真。来月号は売れるわあ。」
スマホの写真を見つめながらウットリする茂美。
こんな状況でも雑誌の売上を気にするとは、編集者の鑑だ。
俺たちは街の外れへ向かっていく。
そこには長い梯子があって、天を突くように地表へ伸びていた。
「由香里君、先に行きたまえ。」
「久能さんが先にどうぞ。」
「いやいや、君が先に・・・・、」
「覗くのが目的だってバレバレの顔してます。」
そう言って膝上の丈を押さえる。
顔は笑っているが、殺気は鋭い。
仕方ないなと諦めて、長い梯子に手を掛けた。
えっちらおっちらと上っていくと、遠くにティムティム女王の影が見えた。
手を振りながら『頑張るだしょよ〜!』とエールを送ってくれた。

いつまでも飽きない 自然の音色

  • 2017.07.17 Monday
  • 09:30

JUGEMテーマ:日常

この前山に行ったら、ヒグラシが鳴いていました。
カナカナカナカナ・・・・。
いいですよね、あの声。
控えめなんだけど耳に残るし、夏の情緒が何倍にも増幅される音色です。
いつまでも聴いていられるほど風情があります。
波の音や川の音もそうなんだけど、自然の音ってどうして飽きないんでしょうか。
誰もいない海辺のベンチに座って、波の音を聴く。
海を眺めながらでもいいし、目を閉じていてもいい。
あの音はずっと聴いていられます。
鈴虫やコオロギの羽音も飽きません。
あれって求愛の為の音で、メスを引き寄せているんですよ。
決して人間を癒す為にやっているんじゃありません。
なのにどうしてか癒されてしまいます。
コオロギを近くで見たら、「気持ち悪い!」と思う人は大勢いるでしょう。
セミだって同じです。
バルタン星人のモデルになるくらいですから、かなり不気味な姿なんですよ。
でも虫たちの奏でる音色を、気持ち悪いと思う人は少ないでしょう。
クマゼミのようにジージーと鳴かれるとうるさいと思うかもしれません。
だけどヒグラシや鈴虫の音色は、ほんとに飽きない音なんです。
どんなに優れた音楽だって、ずっと聴いていると飽きてしまいます。
良い楽器使って、腕の良い音楽家が奏でても、必ず飽きる瞬間がやってくるんです。
だけど自然の音色はそうじゃありません。
もしかしたらだけど、人が奏でないというのがポイントなのかも。
人の観念、人の意図、人の主張。
それは音に乗せれば気持ちのいいものでもあるけど、同時に不快さも備えています。
どんなにすごいミュージシャンであっても、万人が好きになるわけじゃないのは、この為でしょう。
人に対してのメッセージや意図がない。
だから素直に音だけを受け取れるのかもしれません。
自然の音色は、感情や好みを超えて、人の深い部分に訴えかける力があると思います。

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