虫の戦争 イラスト(11)

  • 2017.11.25 Saturday
  • 10:38

JUGEMテーマ:イラスト

 

     虫を惑わす光

 

虫の戦争 第十五話 狂気の光(1)

  • 2017.11.25 Saturday
  • 10:36

JUGEMテーマ:自作小説

光に引き寄せられる虫は多い。
蛾、カメムシ、カナブン、そしてカゲロウ。
夜、彼らは光を求めて彷徨う。
店先の蛍光灯、街灯、自動販売機。
人が生み出した文明の利器は、夜でも煌々と輝いている。
しかしその光は、虫が本当に求めている光ではない。
彼らが欲しがる光、それは月の光なのだ。
夜に行動する虫たちにとって、月は大事な道しるべになる。
月の光に対し、一定の角度を保って飛ぶことで、道に迷わずにすむからだ。
地球から月までの距離は約38万4千キロ。
虫たちがいくら飛んだところで、この距離は縮まらない。
ということは、どこへ飛んでいこうとも、月の見える位置は変わらないとうことだ。
月に対して一定の角度で飛べば、コンパスを見て歩くがごとし、方向を間違うことはない。
蛍光灯に、街灯に、そして自販機に集まる虫たちは、人が生み出した光を求めているわけではない。
人が生み出した光に惑わされているのだ。
街の中にあるたくさんの人工光。
それを月と勘違いして、一定の角度を保って飛行する。
しかし月と違って、人工光はすぐ傍にある。
飛んだ分だけ距離が近くなるのだ。
それでも角度を保ったまま飛ぼうとする。
虫はそれを月だと思っているから。
光の周囲をグルグル飛び回るのは、それが原因だ。
「ねえムー、いつまで回ってるつもりよ?」
アビーがムスっと尋ねる。
ムーは「んなこと言ったって・・・・」と困った。
「こういう習性なんだから仕方ないだろ。」
「さっきから二時間も回ってるじゃない。いい加減飽きないの?」
「飽きるとか飽きないとか、そういう問題じゃないんだ。虫の習性としてだな・・・・、」
ムーはコンビニの前の灯りをグルグル回る。
近くには電撃殺虫器もあるので、いつ死んでもおかしくない。
「またバチバチってなっちゃうよ?」
「なったらなった時だ。」
「でも一昨日復活したばかりだよ?ムーがいなきゃ遊び相手がいなくなるわ。退屈しちゃう。」
アビーは「もう行こ」と手を引っぱる。
しかしその時、大きな蛾が飛んできて、光の周囲を回り始めた。
アビーはその蛾にぶつかって、ムーを放してしまう。
そして・・・・、
「ぎゃああああああ!」
青い光にぶつかって、バチバチっと音が鳴る。
「ムー!」
憐れ、ムーは感電死してしまう。
ポトっと地面に落ちて、仰向けに倒れた。
そこへコンビニから人が出てきて、ムーの死骸を踏み潰した。
「あ!アイツッ・・・・、」
カッとなって、その人間を追いかける。
しかし後ろから「やめなさい」と声がした。
「あ!この声は・・・・・、」
振り返ると、そこにはおチョウさんがいた。
「アビー、久しぶりね。」
「おチョウさん!」
手を握り、「お帰り!」とはしゃぐ。
「やっぱり帰って来たのね!」
「色々とまわってみたんだけど、虫の王国はどこにもなかったわ。」
「そりゃそうよ。猿モドキがウヨウヨしてるんだもん。」
「はあ・・・人間のいない理想郷、いったいいつになったら訪れるのかしら。」
空を見上げ、目に月を映す。
「昔はねえ、夜になればよく月が見えたのよ。今よりもウンと輝いてたわ。」
「星だってよく見えたよね。」
「年々虫も減少してるし、私たちの方が先に滅んだりしてね。」
「そんなことないわ。虫は何億年も前からいるんだもん。新参者の猿モドキより、先に滅んだりなんかしないわ。」
「だといいけど。」
またため息をつき、疲れた表情を見せる。
ぺちゃんこになったムーを見下ろして、「最近死ぬ回数が多くなったわ」と言った。
「妖精は何度でも蘇る。けど死ぬのは気持いいものじゃないわ。」
「私も去年の夏から三回も死んだのよ。」
「大変だったのね、こっちも。」
「おチョウさん、もうどこにも行かないんでしょ?」
「分からないわ。また旅に出るかも。」
優雅に羽ばたき、パタパタと飛んでいく。
途中で右に曲がって、自販機に体当たりしていた。
「ああもう!人間は厄介なモンを作って!」
ガツンと蹴り飛ばし、「道に迷うじゃない!」と怒鳴った。
「夜くらい大人しく寝てなさいよ、まったく。」
ブツブツ言いながら、夜の闇に消えていった。
「確かにねえ、田舎にも人口の光が増えたわ。」
ここはコンビニの駐車場。
そして向かいにも別のコンビニが。
その先には24時間営業のスーパーがあって、さらにその向こうには深夜までやっているファーストフード店がある。
アビーたちがこの町に来たのは30年前。
その頃まもっと光が少なかった。
灯っているのは電柱の街灯か、たまにある自販機くらい。
夜になれば静かで暗くて、とても住みやすい場所だったのだ。
「どうして人間は住処を変化させるんだろ?落ち着かなくなったりしないのかな?」
アビーは夜空へ消えていく。
高い空から見ても、至る所に光があった。
「あれは恐ろしい光ね。虫を殺す魔性の光だわ。」
ムーはその光にやられた。
夜、人が灯す光は、アビーたちにとって狂気の光だ。
本当に求める光は、遠い空にある月の光。
それを遮るほどの輝きを生み出す人間は、憎いながらもすごいと思うしかなかった。
「ムーが戻ってくるまでは退屈ね。また蛍子さんに服でも作ってもらおうかな。」
もし虫が文明を持っていたらどうなっていたか?
ちょびっとだけ人間を羨ましく思った。

            *

夏が終わり、秋が過ぎ、冬が訪れる。
その冬もどこかへ去って、命芽吹く春がやってきた。
「・・・・・ぶはあ!」
ムーが土の中から顔を出す。
ブルブルっと頭を振って、土を振り払った。
「あ〜まったく・・・・油断したぜ。」
また電撃殺虫器で死んでしまった。
何度も引っかかっているのに、学習しない自分に腹が立った。
「おのれ人間め。こうなったらこっちも黙ってないぞ。」
復活を遂げたムーは、すぐにアビーを探しに行った。
飛び回ること二時間ほど。
かつてセイタカアワダチソウと戦った川原の向こうの、細い川の傍にアビーはいた。
「お〜い!」
手を振ると、「ムー!」と手を振り返してきた。
「おかえり!」
「まいったまいった、また死んじまうとは。」
照れながら肩を竦める。
すると「おつとめご苦労さん」とおチョウさんが言った。
「ああ!戻ってきたのか!」
嬉しそうに笑って、「いつだよ?」と肩を叩く。
「去年の夏ね。ちょうどアンタが死んだ日。」
「そうなの!?すごい偶然だな。」
「偶然ねえ・・・。」
「違うのか?」
「偶然といえば偶然だけど、そうとも言い切れないわ。だって夏から秋にかけて、たくさんの虫が死ぬもの。」
「そりゃ数が増えるからな。死ぬ奴も多くなるさ。」
「他の生き物に食われて死ぬのは仕方ないのよ。私が言ってるのは人間のこと。」
そう言って青い空を指差した。
「夜はお月様の光だけで充分なのに、人間は色んな光を生み出してる。」
「夜?今は昼だけど?」
「夜になったらの話。アンタだって人口の光で死んだじゃない。」
「ほんっとに迷惑な話だよなあ。自販機の光で惑わされるのはともかく、あんな電撃兵器を作るなんて。
夜行性の虫にとってはたまったもんじゃないよ。」
「そうよ、たまったもんじゃないわ。だからぶっ壊してやるのよ!」
「ぶっ壊す?」
物騒なことを言う。
アビーとムーは顔を見合わせた。
「ねえおチョウさん。」
「また何か企んでるのか?」
「ええ。町から狂気の光を無くすわ。」
「それってつまり・・・・、」
「人工光を破壊するってことか?」
「YES!」
ビシっと親指を立てる。
「もう仲間は募ってあるの。色んな虫が手を貸してくれることになってるわ。」
「さすがおチョウさん!すごい虫望!」
「俺たちとは虫徳が違うぜ。」
「まあね。妖精としての年季が違うから。」
ファサっと触覚をかき上げて、「アンタたちも手伝ってね」と言った。
「もちろん!」
「でも大丈夫かな?本気で人間を怒らせたらえらいことだぜ。」
ムーは恐れていた。人間の報復を。
「俺たちは死んでも復活できるからいい。でも他の虫はそうはいかないぜ。
虫が自販機や街灯を壊してるってバレたら、無関係な虫まで皆殺しにされるかもしれない。」
人間の駆除能力は、虫の繁殖力を遥かに上回る。
いくら虫の数が多かろうと、本気になった人間の前では無力なのだ。
「おチョウさんのことだから、何か作戦があるんだろうけど。」
そう尋ねると、「まあね」と頷いた。
「今回は虫以外にも手伝ってもらおうと思ってるの。」
「へえ?誰に?」
「ゴイサギ。」
「ゴイサギ?なんであの鳥に?」
意外な答えに眉を寄せる。
ゴイサギとはサギの一種である。
カラスと同じくらいの大きさで、真っ赤な目をしている。
頭から背中は濃い青色、羽は灰色、お腹は真っ白な羽をしている。
個体によっては、頭に羽飾りを持っている。
サギにしてはずんぐりした体型をしているが、これは長い首を折りたたんでいる為。
獲物を捕らえる時は、バネのようにビヨ〜ンと伸びるのだ。
漢字で書くと「五位鷺」
後醍醐天皇がこの鳥を気に入っており、五位の位を冠したという説がある。
この鳥にはもう一つ名前があって、別名「夜鴉」
夜行性の鳥で、「グワッ!」と独特な声で鳴くからだ。
夜、どこからか響いている不気味な鳥の声は、ゴイサギによるものだ。
「おチョウさん、なんでゴイサギなんかに手伝ってもらうんだ?
あの鳥が夜行性なのは知ってるけど、だからって何かの役に立つのか?」
「立つわよ。まず夜行性の鳥自体が珍しい。フクロウやミミズクはプライドが高いから手伝ってくれないわ。」
「猛禽類だしなあ。虫なんかに手え貸せるかって思うだろうな。」
「そこでゴイサギよ。例えば自販機の灯りを消すには、コンセントを抜く必要があるわ。
残念ながら、これは虫の力じゃ無理。」
「だからゴイサギに手伝ってもらうのか?」
「ええ。それに街灯だってゴイサギなら壊せる。長いクチバシを持ってるから、思い切りつつけば割れるはずよ。」
「でもそんなの引き受けてくれるかな?」
「すでにOKをもらってるわ。」
「マジかよ!どうやって交渉したんだ?」
おチョウさんは「ふふ」と微笑む。
草地を探って、「これよ」と何かを取り出した。
「それは・・・ミミズ?」
「の疑似餌。」
「は?」
「茂みの中に落ちてたのよ。きっと人間が捨てていったのね。」
「んなもん拾ってどうしようってんだ?」
「ゴサイギはね、この疑似餌を必要としているの。だってあの鳥は釣りをするから。」
「・・・・ああ!そういえば・・・、」
ムーはなるほどと頷く。
おチョウさんの言う通り、ゴイサギは釣りをするのだ。
石や木の枝を水面に落とし、虫だと勘違いしてやってきた魚を獲る。
こういった鳥は他にもいて、ササゴイという鳥が同じことをする。
ササゴイもサギの一種で、ゴイサギよりもスマートな体型の鳥だ。
「釣りは人間の専売特許じゃないってわけ。ゴイサギだって上手に魚を獲るわ。
だけど石や木の枝よりも、疑似餌を使った方がもっとたくさん魚が獲れるはず。」
「なるほどな。じゃあその疑似餌を見返りに手伝ってもらうわけだ。」
「そういうこと。決行は今日の夜よ。」
「また急だな。」
「思い立ったらすぐ行動。でなきゃいつかどうでもよくなっちゃうもの。」
ミミズの疑似餌を抱えながら、空に舞い上がる。
「日が沈んだらまたここへ来て。」
「ああ。人間どもにギャフンと言わせてやろうぜ。」
ムーは拳をにぎって応える。
おチョウさんは「それじゃ」と遠くへ飛び去っていった。
「ようし!こうなりゃ思う存分人間の光を消し去ってやる。夜はお月さんの光だけで充分なんだ。」
そう言って「頑張ろうぜアビー!」と振り返った。
「・・・どうした?浮かない顔して。」
「う〜ん・・・そんな上手くいくかなあと思って。」
「なんで?鳥が協力してくれるんなら、きっと上手くいくさ。」
「でもゴイサギって肉食性だよ?魚だけじゃなくて、虫だって食べるんだよ。」
「知ってるよ。だから見返りにミミズの疑似餌を用意してあるんだ。
事が終わるまでは俺たちを襲ったりはしないって。」
「そうだけどいいけど・・・・。」
アビーの不安は募る。
人間は憎い、ギャフンと言わせてやりたい。
しかしそれと同時に、鳥を恐れていた。
鳥は虫の天敵である。
というより小動物の天敵だ。
虫もトカゲもヘビさえも、鳥には敵わない。
ムクドリのような小さな鳥でさえ、大きなムカデを平気で食べてしまう。
またハチクマという猛禽類は、スズメバチの巣を襲うことがある。
巣を見つけると、猛スピードで飛んでいき、鋭い爪でキックをかますのだ。
ハチクマの一撃を受けたスズメバチはパニックを起こし、統率の取れた攻撃が出来なくなってしまう。
そして毒針で反撃しようにも、ハチクマの羽は硬い。
得意の噛み付き攻撃も、これまた羽によって防がれてしまう。
最強と名高いスズメバチの群れでさえ、ハチクマの前では成す術がないのだ。
虫にとって、鳥は人間に次ぐ強敵だ。
そんな生き物の手を借りるとなると、冷静ではいられなかった。
「ねえ。もし途中でゴイサギが裏切ったらどうするの?そりゃあ見返りの疑似餌は魅力的だろうけど、私たちを前にしてじっとしていられるかな?」
「さあなあ。」
「なによ、曖昧な返事。」
「だって分かんないもん。鳥と一緒に戦ったことなんてないから。」
「私たちが人間の光を壊す前に、全部ゴイサギに食べられちゃうかも。」
アビーは心配だった。
この作戦、果たして上手くいくのか?
年々虫は減少し、数で勝負すればいい理論が通用しなくなっている。
死んだ分は増やせばいいといっても、増える場所がないし、増えた以上に殺されてしまうのだ。
不安そうにするアビーを見て、ムーは「らしくないな」と言った。
「いつもならお前の方がやる気になるのにさ。」
「最近不安なのよね。いつか虫が消えちゃうんじゃないかって。」
「そうなったら人間も消えるよ。俺たちがいるから、この星の緑は栄えてるんだ。」
「そうだけどさ・・・。」
脚を組み、ツンと唇を尖らせる。
空を見上げ、まだまだ夜が静かだった頃を思い出した。
「この町へ来たとき、もっと暮らしやすい場所だったよね。」
「しょうがないさ、人間はすぐに景色を変えちゃうんだから。
例え自分たちが住みにくくなったとしても。一種の病気だぜありゃ。」
「月だけが光ってた夜・・・・いつかまたやってくるかな。」
満点の星の中、誰よりも強烈に輝く月。
その光は、夜を彷徨う虫たちを、正しい方向へ導いてくれる。
だが今の時代、月の光は人の光によってかき消される。
至る所に狂気の光が満ちているのだ。
「月と星明かりだけでいいのに。」
空に重ねた目に、懐かしい思い出が滲んだ。

 

体感時間

  • 2017.11.25 Saturday
  • 10:34

JUGEMテーマ:写真

 

 

 

 

 

この前も祭りをやっていたけど、また祭りをやっています。

今月だけで三つの祭りです。

素朴な疑問なんですが、どうして秋は祭りが多いんでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

夏は暑く、冬は寒いから避けるのは分かります。

春は・・・どうなんでしょうね。

もちろん祭りがあるにはありますが、秋ほど多くない気がします。

 

 

 

 

 

 

 

外に出掛けるには一番いい季節だからかもしれません。

他の季節より時間がゆったりしている感じがします。

秋は短いのに、体感時間は伸びていような、そんな気さえします。

時には止まってさえいるようなほどに。

もうかなり寒くなりました。

冬はすぐそこですね。

 

虫の戦争 第十四話 ハチの巣コロリ(2)

  • 2017.11.24 Friday
  • 11:27

JUGEMテーマ:自作小説

この世にはたくさんの兵器がある。
銃、爆弾、戦車に戦闘機。
どれも強力な兵器だが、最も恐ろしいのは核兵器だ。
たった一発で街を吹き飛ばし、爆発後は放射能によって汚染される。
人類が生み出した最悪の火だ。
それに次ぐ恐ろしい兵器として、化学兵器と生物兵器がある。
化学兵器はスプーン一杯で何千人、何万人と殺すほどの力がある。
生物兵器は一度バラ撒けば、あとは勝手に増殖して、次々に感染していく。
どれもこれも人類に致命的な被害をもたらすので、NBC条約という国際ルールで使用が禁止されている。
Nはニュークリアボムの頭文字をとった核兵器、Bはバイオの生物兵器、Cはケミカルの化学兵器のことだ。
しかしこの条約は人間に対してのもの。
虫相手になら化学兵器の使用は許される。
そう、殺虫剤だ。
めでたくヒメスズメバチを撃退したアビーたちだったが、次なる敵が迫っていた。
そいつはこっそりと窓を開け、アシナガバチの巣に化学兵器を向ける。
遠く離れていても使える、ジェット式の「ハチの巣コロリ」だ。
ゆっくりと腕を動かし、照準を定める。
・・・まず最初に気づいたのはムーだった。
「人間が狙ってるぞ!」
変身を解き、一目散に空へ逃げる。
アビーとアシナガバチは呆気に取られた。
「ムー、どうしたの?」
「殺虫剤!そこの窓から狙ってる!」
アビーたちは慌てて振り向く。
それと同時に、恐ろしい猛毒ガスが発射された。
「いやあああああ!」
アビーは悲鳴を上げながら逃げる。
アシナガバチもそれに続いた。
有毒ガスは巣を直撃し、中に眠る幼虫とサナギの命を奪っていく。
「そんな!せっかく守ったのに・・・・、」
アビーは「猿モドキ!」と怒った。
「いっつもいっつも私たちの邪魔をして!今日こそ一匹くらい仕留めてやるわ!」
「よせアビー!馬鹿なことすんな!」
ムーが慌てて追いかけるが間に合わない。
アビーはチャイロスズメバチに変身したまま、お尻の針を突き刺そうとした。
人間は慌てて窓を閉める。
殺虫剤を持っていることすら忘れて、バタン!と窓を閉じた。
「一足遅かったわね、人間。」
アビーは家の中に入っていた。
人間は再び殺虫剤を向けてくるが、アビーには当たらない。
家の中をブンブン飛び回って、タンスの後ろに隠れた。
「おいアビー!出てこい!」
ムーはバンバン窓を叩く。
人間に喧嘩を売ったらどうなるか?
かつてのドブネズミのようになってしまうだろう。
「今のお前はスズメバチなんだぞ!もし人を刺したら、最悪は死んじまう!そうなったら人間たちは絶対に黙ってない!
おっかない駆除業者が来て、無関係なハチまで殺されるんだ!」
ムーは必死に叫ぶ。
自分とアビーは復活できるからいい。
しかし普通の虫はそうはいかない。
減った分は増やせばいい理論の虫たちだが、人間の駆除は虐殺レベル。
増える間もなく駆逐されてしまうのだ。
「アビーってば!余計なことすんな!ここのハチたちが迷惑すんだろ!」
何度呼んでもアビーは出てこない。
人間は殺虫剤片手に、恐る恐るタンスの裏へと近づいた。
その瞬間、アビーはいきなり飛び出して、人間の顔にとまった。
「いやあ!」
慌てて払いのけようとする人間。
アビーはサッとその手をかわして、服の中に入り込んだ。
「いや!いやあああああ!」
大きなハチがシャツの中に入り、背中をモゾモゾしている。
いてもたってもいられなくなって、慌てて服を脱いだ。
しかしアビーを追い払うことは出来ない。
服から飛び出して、人間の首にしがみつく。
そして・・・・・、
「痛っだッ・・・、」
大きな針をブスリと刺す。
そしてありったけの毒を注いだ。
人間は痛みと恐怖で暴れ狂う。
アビーはすでに離れていて、「バ〜カ」と舌を出した。
「地球はお前らのものじゃないんだ。バイ菌みたいに繁殖しちゃってさ。」
人間は苦しむ。
首を押さえ、辛そうにうずくまった。
手を伸ばし、手探りで受話器を探す。
救急車を呼ぶつもりだ。
「そうはさせるか!」
アビーは受話器を持つ手にとまる。
そしてもう一度ブスリ!
「あいッ・・・・、」
受話器を落とし、手を押さえる。
アビーはダメ押しとばかりに、もう一度首に突き刺した。
「おいやめろアビー!それ以上やったら・・・、」
ムーは叫ぶ。
しかし間に合わず・・・・アビーは残った毒液を全て注ぎ込んだ。
人間は声にならない声で悲鳴をあげる。
首を押さえ、プルプルと痙攣し始めた。
白目を向き、口からは泡と唾液を漏らした。
「まずい!」
ムーは辺りを見渡す。
すると換気用の窓が開いているのに気づいた。
慌てて中に入り、アビーを引っ張る。
「すぐ逃げるぞ!」
アビーはまだ針を刺そうとしていたが、「目え覚ませ!」と頬を叩いた。
「殺してどうすんだよ!」
そう言って倒れた人間を指差す。
痙攣は激しくなり、呼吸も荒くなり、子供みたいにヨダレを垂らしていた。
アナフィラキシーショックだ。
「いいじゃない死ねば。」
アビーはひと仕事やり終えた達成感があった。
ムーも「それは同感だけどさ」と頷くが、さすがにこれはまずい。
「いいかアビー。人間は俺たち虫の見分けなんかつかない。ハチは全部同じに見えてるんだ。
だからここら辺のハチというハチは皆殺しにされる。お前がこんな事するから。」
「だって腹が立ったんだもん。」
「それを堪えなきゃこの星で生きていけないんだ。分かってるはずだろ?」
「じゃあいつまで我慢してればいいの?蛍子さんが生まれる前から人間がはびこってるんだよ?」
「昔はそうひどくなかったんだ。だってここまで文明が発展してないから、人間は自然と共に生きてたんだよ。
でもここ100年前後で急に酷くなったんだ。特に蒸気機関車ってのが出来てからは。」
蒸気機関車の登場は、産業革命へと繋がることになる。
今までの輸送手段ではあり得ないほどの物資や人材を、短時間で、そして高速で運べるようになったからだ。
蒸気機関は、人間が初めて手にした「動力」
人や牛の力で動かすのではなく、機械の力で物を動かす。
そのパワーは人や牛とは比べ物にならず、走る距離だって桁違いだ。
動力を得てからの人間は、凄まじい勢いで文明を発展させた。
車が登場し、飛行機が登場し、タンカーが登場した。
物が、人が、一斉に世界各地へ広がっていった。
人間の勢力が拡大した分だけ、他の生き物は住処を追われた。
滅んだ生き物は数知れない。
人類誕生から500万年。
その5万分の一の時間で、地球の環境をガラリと変えてしまったのだ。
499万9900年は、いったい何をしていたのかというくらいに。
「大昔の人間は、必ずしも俺たちの敵じゃなかったんだ。」
「昔はどうだっていいわ。これからいつまで人間の時代が続くのかってことよ。
いつまで経っても滅ばないなら、いっそのこと私たちが・・・・、」
そう言いかけたとき、誰かが家に帰ってきた。
白いシャツに黒いズボン。
肩にはスポーツバッグ。
「あれはさっきの人間の子供か?」
高校生くらいの少年が、「ただいま」と家に入る。
靴を脱ぎ、居間に入り、ボトっとスポーツバッグを落とした。
「お母さん!」
慌てて傍に駆け寄る。
「どうしたん!?」
母は痙攣している。
素人目にも危険と分かる状態だ。
息子は受話器を持ち上げ、すぐに119番した。
やがて救急車がやって来て、急いで病院へ運ばれる。
救急治療室へ運ばれて、すぐにステロイドを打たれた。
息子がすぐに発見したおかげで、母は命を取り留める。
しかし三度も刺され、そのうちの二回は首ときている。
ショック症状は治まっても、大きなダメージが残った。
結果、一週間以上も入院する羽目になった。
この出来事を知った役所は、すぐに駆除を開始した。
ムーが懸念した通り、あの家の付近のハチたちは皆殺しにされてしまった。
アナフィラキシーショックはスズメバチだけが引き起こすわけではない。
アシナガバチ、ミツバチ、それにムカデでも起こりうる。
毒による抗体が引き起こす症状なので、この虫なら安全ということはないのだ。
近所の家の人間がアナフィラキシーショックで死にかけたとあっては、周りの家もじっとしていられない。
普段以上に害虫に目を光らせた。
いつもは軒下のアシナガバチの巣を放置していた隣人まで、この年はすぐさま駆除に当たった。
その様子を、アビーとムーは遠くから眺めていた。
「な?だから言っただろ。」
「ごめん・・・・。」
「謝ることはないよ。先に仕掛けてきたのは人間なんだ。でも喧嘩を売っちゃダメなんだよ。
何度も言うけど、奴らは賢いんだ。武器だって持ってるし、病院だってある。
いくら頑張ったって、俺たち虫に勝ち目なんかないんだ。」
しばらくの間、この辺りにハチは住めないだろう。
あのアシナガバチたちも、あれから姿を見かけていない。
駆除されてしまったのか?
それとも別の場所に巣を移したのか?
今となっては知る由がなかった。
本来、アシナガバチは危険なハチではない。
攻撃性は低く、巣に触れたりしない限りは、集団で襲ってくることもない。
ミツバチもハナバチも、多くのハチは穏やかで大人しい性格なのだ。
希にクマバチという、黒くてずんぐりした巨大なハチが追いかけてくることがあるが、これも攻撃をしようとしているわけではない。
クマバチはハナバチの仲間で大人しい。
ただ目が悪いので、近づかないとそれが仲間かどうか分からないのだ。
人を追いかけている時は、仲間だと誤解している時。
違うと分かれば去っていく。
ただ羽音はスズメバチにも負けないほどの重低音なので、恐怖は覚えるだろうが・・・・。
獰猛なのはオオスズメバチとキイロスズメバチ。
毎年20人以上がスズメバチに刺されて亡くなるが、犯人はこのどちらかだ。
民家にスズメバチの巣ができた場合、多くの自治体が無料、もしくは補助金を出して撤去してくれる。
特にキイロスズメバチの場合は、民家に巨大な巣を作る習性がある。
初めは洞窟や木の枝に作るのだが、働き蜂が増えると、新たな営巣地を探しに出かけるのだ。
その場合、雨風が凌げ、広いスペースが確保できる民家が対象になることが多い。
アシナガバチに比べて攻撃性が高く、毒も強力なので、とても危険なハチだ。
ちなみにオオスズメバチは民家に巣を作らない。
営巣地は山で、しかも土の中と決まっている。
その辺を一匹で飛んでいるオオスズメバチは、餌を探しているだけ。
刺激しなければ襲ってこないので、無理して駆除しようとするのは、かえって危険である。
しかしハチを恐れる人は多い。
攻撃性の低いハチであっても、絶対に刺さないというわけではない。
そしてどんなに毒性の低いハチでも、アナフィラキシーショックを起こす可能性はある。
もし隣人がハチに刺され、死にかけたとしたらどう思うか?
どんなハチであれ、危険とみなされて駆除される。
ムーはそのことをよく知っていた。
もちろんアビーも。。
今まではなるべく人間に手を出さないようにしてきた。
駆除されそうになったり、捕まえられそうになった時は反撃するが、こちらから攻撃を仕掛けることはなかった。
今回、アビーは感情的になって、人間に喧嘩を売ってしまった。
今となっては、そのことを後悔していた。
「あのアシナガバチたち、ちゃんと無事かな?」
「さあな。」
「私さ、間違ったことはしてないよね?」
「うん。でも正しいからって、なんでも許されるわけじゃないんだ。
俺たちの正義や怒りなんて、人間にとっちゃ興味もないだろうから。」
「ほんとに理不尽よね。いったいいつになったら滅んでくれるのかな?」
二度と同じ失敗はしたくないと思うアビーだったが、絶対にやらないとは言い切れなかった。
あの時、ムーだって手を貸したかった。
しかし自分たちだけの問題ではすまないので、どうにか堪えることができたのだ。
・・・・もし人間たちが文明を失い、武器も病院も無くしてしまったら、その時こそが復讐のチャンス。
アビーとムーの胸にある、人間への怒りと憎しみ。
それは人間が滅ぶまで消えることはないのだ。

 

冬といえば暖房

  • 2017.11.24 Friday
  • 11:23

JUGEMテーマ:日常

暖房の出番です。
私は寒さに強い方なんですが、さすがに夜は暖房なしじゃキツイです。
布団に入ってしまえばどうってことないんですが、起きてる時はもう・・・・。
たくさん着込めば耐えられないこともないですが、それだったら暖房に頼った方が手っ取り早いです。
でも暖房といっても色々あります。
こたつ、ヒーター、エアコン、ストーブ、電気カーペットなどなど。
やっぱり定番はこたつでしょうか。
私が唯一使っている暖房もこたつです。
あったかいし気持ちいいし。
でも長所は短所。
あまりの気持ちよさの為に、入るとすぐに寝てしまいます。
こたつで夜を明かすなんてしょっちゅうです。
気合入れて出てしまえば問題ないんですが、そもそも出ようって気合が起こりません。
結果、風邪引いたリするんです。
こたつはぐっすり眠るもんじゃないですね。
次の定番はストーブでしょう。
電気ストーブと石油ストーブがありますが、暖かいのは石油ストーブです。
部屋全体が温もるし、傍にいるとほんとうに暖かいですから。
けど即効性は電気ストーブです。
電気代がかかるのが難点なのと、部屋全体が温まらないのは欠点ですが。
ちなみに火事の危険性はどちらもあります。
石油ストーブだけが危険じゃないんですよ。
電気カーペットも暖かいですが、動物が多い家では使いにくいです。
とくに猫はバリバリっと引っかいたり、たまに吐いたリしますから。
こたつに匹敵するくらい気持ちいい暖房なんですけどね。
まんべんなく部屋を暖めるならエアコンでしょうか。
今の時期、お店に入るとどこでもエアコンをかけていますから、暖かくて助かります。
けど喉がイガイガしやすいと思うのは私だけでしょうか。
それにエアコンの温かさって、体にこもるような暑さで、正直あまり好きではありません。
短い時間ならいいけど、長時間だと体調が狂いそうになります。
夏でも冬でも、エアコンの使い過ぎは風邪の原因になりますので、注意がいりますね。
最後はヒーターです。
今は色んな種類があるんですね。
電気のやつ、石油のやつ、あとオイルヒーターってやつ。
この前ホームセンターに行って、ヒーターを見ていました。
電気と石油+オイルの違いは分かるんですが、石油とオイルヒーターの違いが分からなかったんです。
店員さんに尋ねると、石油はまんま油を燃やして温めるヒーターとのこと。
対してオイルヒーターは、中にあらかじめオイルが入っていて、電気の力でそれを温め、温風を出すとのことでした。
なるほど・・・てっきり同じものかと思っていました。
暖かいのは石油ヒーターらしいですが、手軽なのはオイルヒーターだそうです。
石油ヒーターはすぐに温まるし、物によっては広い部屋全体をカバーしてくれます。
オイルヒーターは電気の力を必要とするので、少し時間がかかるのと、石油に比べると若干暖かさが落ちるとのこと。
けどコンセントさえ繋げばいけるので、やはり手軽です。
ちなみに電気ヒーターと電気ストーブって同じ物だそうです。
もっというなら電気ストーブは電気ヒーターの一種なんだとか。
ヒーターにも色々あって、素早く、しかも広い範囲を温めてくれるのは、温風を送り出すファンーヒーターです。
赤外線ヒーターは電気ヒーターのことであり、即効性はあるけど、広く温めるには向かないそうです。
そして電気の力でセラミックを加熱し、その熱を温風として送り出すセラミックヒーターもあります。
電気ファンヒーターとも呼ぶそうです。
こちらは完全に電気の力でありながら、風を送り出すので広い範囲を温めることが可能とのこと。
暖房も色んなものがあるんですね、勉強になりました。
ただ寒いからといって、暖房に頼ってばかりも良くありません。
例えば子供の場合でも、暖かい部屋ばかりにいると、体が弱くなって風邪を引きやすくなるといいます。
ある程度は寒さを体感させた方がいいんだとか。
私が子供の時代は、冬でも半ズボンを穿いていました。
それこそ年中半袖半ズボンの子とかいました。
そしてそういった子ほど風邪を引いていなかった印象があります。
暖房はありがたいものだけど、ほどほどにってことですね。
ただし冷え性の人は暖房がないと地獄だと思うので、体を冷やさない方がいいです。
これからの季節、暖房が神様のように思えるでしょうね。

 

神社スペシャル(6)

  • 2017.11.23 Thursday
  • 11:11

JUGEMテーマ:神社仏閣

 

     越部八幡神社

 

 

 

     宮内八幡神社

 

 

 

     宮内天満宮

 

 

 

     小宅神社

 

 

 

     姫路護国神社

 

 

 

     姫路神社

 

 

 

     岩倉稲荷神社

 

 

 

     揖保石見神社

 

虫の戦争 イラスト(10)

  • 2017.11.23 Thursday
  • 11:00

JUGEMテーマ:イラスト

 

     ハチの巣の攻防

 

虫の戦争 第十三話 ハチの巣コロリ(1)

  • 2017.11.23 Thursday
  • 10:58

JUGEMテーマ:自作小説

季節は秋の始め。
紅葉にはまだ早いが、夏の熱気は治まった。
アビーとムーは、人間の子供が落としたアイスを拾って、ペロペロと舐めていた。
「これ美味しいね。」
「だろ?この前アリんこのモっさんが言ってたんだよ。人間の食い物は一食の価値があるぞって。」
「アリはよく人間の家に上がるもんね。」
「だから美味いものをたくさん知ってるんだ。」
二人が舐めているのは、人気アイスのゴリゴリ君。
暑い季節にはバカ売れする人気商品だ。
「ちょうどいい甘さだね。」
「ヒムラ屋のお餅バーってのも美味いらしいぞ。」
人間もなかなか悪くないものを作るじゃないか。
そう思ってアイスを舐めていると、頭上を一匹のアシナガバチが飛んでいった。
「口に泥を咥えてたわね。」
「きっと巣を作ってるんだ。」
「追いかけてみよっか。」
「暇だしな。」
二匹はアシナガバチを追いかけていく。
すると案の定、民家の軒下に巣を作っていた。
「あらあ、あんな所に作っちゃって。」
「見つかったら破壊されるな。」
玄関からすぐ近くの屋根の下に、ソフトボール大の巣がある。
数匹のハチがせっせと巣作りをしていた。
「こんにちわ。」
話しかけると、「いま忙しいんだ」とそっぽを向かれた。
「暇なの。」
「遊んでくれよ。」
「子供かお前らは。」
一匹のハチが苛立たしそうに言う。
秋、アシナガバチは最も数を増やす。
まずは五月頃に、女王蜂が一匹で巣作りを開始する。
その次に卵を産み、せっせと育て上げるのだ。
やがて働き蜂が誕生し、じょじょに数を増やしていく。
働き蜂が増えれば、その分巣も大きくなっていく。
女王はさらに卵を産み、夏ごろにはたくさんの蜂が誕生する。
そして暑さが極まる八月、オスバチが生まれてくる。
ハチは母系社会なので、オスは少ない。
ちなみにオスバチは毒針を持っていない。
刺すのはメスだけなのだ。
ハチの毒針は産卵管が変化したものなので、オスに毒針はないのだ。
真夏に誕生したオスバチは、翌年に生まれる新たな女王と交尾する。
新女王は巣から旅立ち、自分の巣を作って数を増やしていくのだ。
今は秋なので、アシナガバチの数はもっとも多い。
巣の増設、餌の確保、そして子育てにと大忙しだ。
「ほらほら、とっとと失せな。邪魔するなら力づくで追い払うよ。」
「そんなこと言って。アシナガバチって大人しい性格じゃない。スズメバチと違ってさ。」
「奴らが凶暴すぎるんだ。同じハチのお前なら分かるだろ?」
「まあね。怒らせたら一番怖いハチだから。」
アビーとムーを無視して、アシナガバチはせっせと仕事をする。
するとどこからか大きな羽音が聴こえてきた。
それは耳を揺らすほどの重低音で、恐ろしい何かが近づいてくる合図だった。
「おいアビー、この羽音って・・・・、」
ムーが言いかけるのを遮って、アシナガバチが「来やがった!」と悲鳴を上げた。
「何が?」
「ヒメスズメバチだ!」
「ええ!ヤバいじゃない!!」
「あいつらはアシナガバチの天敵なんだ!このままじゃ巣は壊滅して、幼虫もサナギも持っていかれる!」
アシナガバチは混乱する。
大人たちが集まって、巣の守りを固めた。
そこへ重低音の羽音が近づき、恐ろしい天敵が姿を現した。
「みい〜っけ。」
ヒメスズメバチがニヤリと笑う。
アシナガバチは「ひえ!」と戦慄した。
ヒメスズメバチは、オオスズメバチに次いで巨大な蜂である。
大きな者だと四センチ近くにもなる。
お尻の辺りが黒く染まっているので、オオスズメバチとの見分けは付きやすい。
一見すると獰猛そうだが、オオスズメバチと違って大人しい蜂だ。
それに毒性もそこまで強くない。
ただし警戒心が強く、誤って巣に近づくと、大顎をカチカチ鳴らして威嚇してくる。
人間にとってはさほど恐れる蜂ではないが、アシナガバチにとってはそうはいかない。
なぜならヒメスズメバチの幼虫は、アシナガバチを主食としているからだ。
アシナガバチが最も増える秋頃、このハチは頻繁に巣を襲撃してくる。
体格もパワーもヒメスズメバチの方が上なので、どう足掻いても勝てないのだ。
巣を守る方法はただ一つ。
偵察のハチが応援を呼ぶ前に仕留めてしまうことだ。
「敵はまだ一匹だ!そいつさえ仕留めれば応援を呼ばれることはない!」
アシナガバチの一群がヒメスズメバチに襲いかかる。
しかし敵は強かった。
先頭を切ったアシナガバチの一匹が、簡単に咬み殺される。
「早く仲間に知らせなきゃ♪」
鼻歌まじりにフェロモンを撒き散らすヒメスズメバチ。
仲間の合図を嗅ぎつけて、続々と群がってきた。
「ああ、もう終わりだ・・・・。」
絶望するアシナガバチ。
するとアビーが「一緒に戦うわ」と言った。
「ぶっちゃけ私もスズメバチは嫌いなの。」
アビーはトラマルハナバチというハナバチ類の仲間だ。
そしてハナバチ類を狙うスズメバチがいる。
その名はコガタスズメバチ。
小型といっても三センチ近くあり、よく人を襲うキイロスズメバチよりも大きい。
この蜂は花の傍で待ち伏せして、蜜を吸いにやってきたハナバチなどを襲うのだ。
アビーの仲間も何匹も食べられてしまった。
「スズメバチは他の蜂の天敵よ。協力して追い払いましょ。」
「追い払うっていったってどうすんのさ!こんなの勝てっこないよ!」
巣はすでに包囲されている。
重低音の羽音は、さながら爆撃機のよう。
アシナガバチたちは逃げる準備をした。
「巣は乗っ取られるけど仕方ない・・・ここで全滅するよりは。」
苦渋の決断。
この巣には幼虫もサナギもいるが、もはや見捨てる以外に手はなかった。
「みんな、残念だけど逃げるよ。」
女王が悔しそうに首を振る。
その時、一匹のヒメスズメバチが「ぎゃあ!」と悲鳴をあげた。
「なんだい!?」
振り返るアシナガの女王。
そこには新たな敵がいた。
「チャイロスズメバチ!!」
全身が茶色っぽくくすんだハチが目の前にいた。
大きさはヒメスズメバチより小さいが、鎧のように頑丈な甲皮を持っている。
この甲皮は他のスズメバチ類よりも硬く、オオスズメバチの大顎や毒針でさえ簡単には通さない。
そしてこの頑丈な鎧にものをいわせて、他のスズメバチの巣を乗っ取ってしまうのだ。
「ムー!あんたも変身して!!」
「おう!」
ムーは仮面ライダーのように変身ポーズを決める。
別にポーズを決めなくても変身できるのだが、これが最近のマイブームなのだ。
「とおりゃ!」
カッコをつけて、わざわざ一回転する。
次の瞬間、オオクワガタに変身した。
日本最大のこのクワガタは、大きなものだと8センチにもなる。
硬い甲皮、力強い大顎。
性格こそ大人しいが、本気を出せばカブトムシでさえ圧倒する。
アビーとムーは巣の前に陣取り、ヒメスズメバチを威嚇した。
「サノバビッチ!妖精種がいるなんて!」
ヒメスズメバチの部隊長が叫ぶ。
しかしこのままオメオメとは引き下がれない。
せっかく見つけたご馳走の山である。
なんとしてでも手に入れたかった。
「アシナガさんは巣を守って。近づく奴らは私たちが追い払うから。」
「無理だよ。チャイロスズメバチもオオクワガタも強いのは知ってるけど、さすがにあの数相手じゃ・・・・。」
ヒメスズメバチは全部で15匹。
オオスズメバチに近い巨体が15匹もいるというのは、それだけで足が竦んだ。
しかしアビーは「平気」と笑う。
「何も全員倒す必要はないのよ。ねえムー。」
「そうだぜ。ヒメスズメバチは強い虫だけど、弱点だってあるんだ。」
「弱点・・・・?」
「とにかくアンタらは巣を守ってくれ。」
アビーとムーはヒメスズメバチに向き合う。
アビーはカチカチと大顎を鳴らし、ムーは黒光りする巨体で威圧した。
「うむううッ・・・・私たちの邪魔をして!」
「スズメバチは私たちの敵だもん。」
「樹液争いの時だって、カナブンはいっつもやられるんだ。」
「それはオオスズメバチでしょ!私らは関係ないわ!」
「ならとっとと退散することね。」
「でないとこの大顎で真っ二つだぜ。」
ムーは巣の真ん中に陣取る。
オオクワガタの巨体なら、どこへ敵が来てもすぐに攻撃が届く。
アビーは巣の周りをグルグルと周り、いつでも来いとばかりに挑発した。
「舐めやがって・・・・いいわ、やってやるわよ!」
部隊長が突撃の合図を出す。
15匹の兵隊が一斉に襲いかかった。
「ひやあああ!来たあああああ!」
パニックになるアシナガバチ。
「いただき!」
一匹のヒメスズメバチが巣に飛びかかる。
しかしムーが巨体を翻して噛み付いた。
「ぎやッ!」
「いくらスズメバチでも、オオクワガタの顎は防げないぜ。」
強靭な大顎でメキメキと締め上げる。
「ち、千切れるうううううう!」
悲鳴を挙げるヒメスズメバチ。
そこへ仲間が助けに入った。
「このウスノロ!」
「毒針の餌食になりなさい!」
尻尾から毒針を出し、ムーを突き刺そうとする。
しかしまったく効かない。
オオクワガタの甲皮は、ハチの毒針を通すほどヤワではないのだ。
しかも表面がスベスベしているので、いくら頑張っても滑ってしまう。
さらにオオクワガタは関節の隙間がほとんどない。
カブトの場合だと、関節の隙間が大きいので、そこへ毒針を受けて負けることがある。
だがオオクワガタは違う。
隙間がほとんどなく、しかも全身が地面に張り付くように平べったい。
関節を狙うことも、装甲の薄い腹部を狙うことも不可能。
いくらヒメスズメバチが攻撃を仕掛けようとも、まったくビクともしなかった。
「針は効かないわ!顎で噛み千切りなさい!」
毒針を引っ込め、大きな顎で噛み付く。
狙うのは脚。
いくら大きな身体でも、脚を封じられては動けまいと考えたのだ。
しかし残念ながら、これも効果がなかった。
ハチとクワガタではパワーが違いすぎる。
いくら脚に噛み付いても、簡単に振り回されるだけだった。
「この化け物め・・・・。」
ムーが巣の中央に陣取っている限り、ここは難攻不落の要塞と化す。
ヒメスズメバチはいったん空へ退いた。
「正面から挑んでも無理ね。だったら全方位から攻撃をしかけるしかないわ。」
クワガタは頑丈だしパワーもある。
しかし動きはハチの方が速い。
四方八方から攻撃を仕掛ければ、攪乱することが出来る。
その隙にアシナガバチの幼虫やサナギを頂くつもりだった。
「あんなウスノロに負けてられないわ。いくわよみんな!」
そう言って突撃しようとした時、「させるか!」とアビーの方から突撃した。
「たかが一匹で!」
迎え撃つヒメスズメバチの部隊。
アビーは臆することなく突っ込んだ。
わちゃわちゃと群がるヒメスズメバチの前に、アビーは何も出来ない。
しかしオオスズメバチの攻撃すら通さない頑丈な甲皮のおかげで、大してダメージを受けなかった。
それどころか、隙をついてヒメスズメバチの脚に噛み付いた。
「ぎゃッ!」
ガッチリ噛み付いて、脚の関節を切断しようとする。
仲間が助けに入るが、それでも離そうとしなかった。
そして・・・・、
「あぎいいッ!」
アビーはついに脚を噛み千切ってしまう。
間髪入れずに、次は首元に噛み付いた。
「ぎゃあああああ!」
戦いにおいて数は力。
多勢のヒメスズメバチが優勢のはずなのに、戦況は不利だった。
なぜならヒメスズメバチにはある弱点があるからだ。
このハチは他のスズメバチ類に比べて、とても数が少ない。
アシナガバチを主食とする性質のせいで、餌を手に入れられる期間が限られているからだ。
秋は短い。
それが過ぎると、幼虫を育てる餌が確保できなくなってしまうのだ。
さらに日本にはスズメバチ類が多く、勢力を拡大するのも難しい。
オオスズメバチは、体格とパワーで他のスズメバチを圧倒できる。
キイロスズメバチは都会の環境に適応することで、人間の生活圏にまで勢力を広げた。
そして今アビーが変身しているチャイロスズメバチは、硬い甲皮を武器として、他のスズメバチの巣を乗っ取ってしまう。
それらのスズメバチ類に対して、ヒメスズメバチにはこれといった武器がない。
先に書いたように、ヒメスズメバチは攻撃性の低いバチである。
その理由は、無駄な戦いを避けて、数を減らさない為だ。
他のスズメバチのように攻撃的になってしまうと、その分だけ犠牲者も出る。
そうなれば元々少ない仲間が、さらに数を減らしてしまう。
数は力。
その数を持たないヒメスズメバチは、大きな犠牲を払ってまで勝利にこだわらない。
仲間に犠牲が出ると、とたんに戦意を削がれてしまうのだ。
ちなみに東南アジアにもヒメスズメバチはいて、こちらは日本のものより攻撃的な性格をしている。
なぜなら餌となるアシナガバチが一年中生息しているからだ。
数を保てる海外のヒメスズメバチは、犠牲を恐れる必要がない。
しかし日本のヒメスズメバチは、多少の犠牲でさえも致命的になる。
アビーとムーが言っていた弱点とはこのことだった。
敵は全部で15匹、しかしその全てを倒す必要などないのだ。
一匹か二匹でも傷つければ、向こうから勝手に退散してくれる。
そのことを知っているので、無茶を承知で戦いを挑んだのだった。
二匹の目論見通り、敵は狼狽えている。
アビーはここが勝機とばかりに、むちゃくちゃに暴れまくった。
「普段の恨みよ!全員噛み殺してやるううう!」
「ひぎゃ!乱暴にも程があるだろ!!」
アビーの攻撃は見境がない。
目に付く全ての敵に襲いかかった。
ヒメスズメバチは「くそッ・・・・」と引き下がる。
「これ以上犠牲者がでたら、こっちがヤバくなる。悔しいけどここは・・・・、」
餌は欲しいが、無理は禁物。
悔しさを押し殺して、「撤退よ!」と叫んだ。
敵は背中を向けて、慌てて逃げていく。
アビーとムーは「よっしゃあ!」とガッツポーズした。
「やったねムー!」
「上手くいったな。」
作戦は見事に遂行された。
アビーとムーは巣を振り返る。
アシナガバチたちはポカンとしていた。
「もう平気だよ、怖い虫は追い払ったから。」
「けっこうヒヤヒヤもんだったけどな。あれ以上応援が来てたらヤバかった。」
簡単に撃退したように見えても、実際はかなりギリギリの戦いだった。
アシナガバチは「ありがとおおおおお!」と叫んだ。
「アンタらすごい!」
「さすが妖精種!」
「まあね、こんなもんよ。」
「威張るなアビー。ちょっと脚が震えてるぞ。」
「よかった・・・よかったあ!巣が乗っ取られずにすんだ・・・。」
涙ぐむアシナガバチ。
それを見てドヤ顔をするアビー。
なにはともあれ、恐ろしい天敵は去った。
しかしみんなはまだ気づいていない。
本当に恐ろしい敵はすぐ傍にいるということを。
ここは民家の軒下。
人間が暮らす家である。
人間は危害を加えてくる虫には容赦しない。
アビーたちの戦いを、窓の隙間から人間が眺めていた。
その手に殺虫剤を持ちながら。

 

神社スペシャル(5)

  • 2017.11.22 Wednesday
  • 15:16

JUGEMテーマ:神社仏閣

神社の写真がたまったので、神社スペシャルを載せます。

もしかしたら以前と重複している写真があるかもしれませんがご容赦下さい。

 

 

 

     皇子神社

 

 

 

     八幡神社(相生市)

 

 

 

     磐座神社

 

 

 

     十二世神社

 

 

 

     稲荷神社(養父市)

 

 

 

      大将神社

 

 

 

     今宮権現神社

 

 

 

     中臣印達神社

 

 

 

     五社稲荷神社

 

虫の戦争 イラスト(9)

  • 2017.11.22 Wednesday
  • 13:48

JUGEMテーマ:イラスト

 

 

 

     ナギサ

 

 

 

     虫たちのファッション

 

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