春の匂い

  • 2024.03.12 Tuesday
  • 23:30

JUGEMテーマ:

ほのかな梅の香り

 

雨上がりの夜に胸を弾ませ

 

憂鬱な気持ちを溶かしてくれる

 

並木の枝には小さな蕾

 

来月の今頃は満開になり

 

川沿いは桜を見上げる人で賑わうだろう

 

少しずつ 確実に 季節は入れ替わり

 

体を通り過ぎる風も柔らかくなっていく

 

橋から見える河川敷には

 

もうすぐ菜の花とタンポポが咲いて

 

蝶や鳥が踊るから 緑も鮮やかになるから 

 

その日が来るまで顔を上げていよう

春への道

  • 2024.03.03 Sunday
  • 00:27

JUGEMテーマ:

倉庫の隣 手入れのされていない空き地

 

南洋植物の隣に気の早い桜が立つ

 

寒い空に向かってピンクの色を投げ

 

白い雲と美しいコントラストを描く

 

コンクリートにはたくさんの花びら

 

それでもまだまだ枝は賑やかで

 

冷たい風をものともせずに踊っている

 

暦は春なのにしぶとく居座る寒気に我慢できず

 

気の早い桜が次の季節へ道を通す

地層

  • 2024.02.27 Tuesday
  • 23:18

JUGEMテーマ:

変わり映えのない日々が感動を奪い

 

同じスケジュールの繰り返しが感性を鈍らせる

 

だけど稀に訪れる感動と 稀に尖る感性が

 

輝かしい気持ちに生まれ変わらせてくれる

 

同時に退屈なルーティーンへの耐性を失い

 

変わり映えのしない日々が苦しいと感じる

 

それを我慢し 感動も感性も忘れる頃

 

退屈への耐性が蘇り 苦しみからの解放と共に

 

夢も 憧れも 自分自身のことさえ 

 

ただの石ころように なんの価値もないモノになり

 

心は本当に化石のようになっていく

 

人生は 古代の地層のように

 

そこで眠る恐竜やマンモスのように

 

ただ誰かに見つかるのを期待するように

 

またいつか訪れる感動と 尖る感性を

 

深い土の下で待ち続ける

惰性

  • 2024.02.19 Monday
  • 23:46

JUGEMテーマ:

夢は泥の中 希望は沼の底に

 

現実と挫折と後悔は水中を漂い

 

水面に浮かぶのは無気力と虚無感

 

体は浮かび 心は沈み

 

地球と月のように引っ張り合い

 

一定の距離で回り続ける

 

車の中は冬なのに蒸し暑くて

 

春の勢いに飲まれている

 

全部がてんでバラバラで

 

幸せでもなければ不幸でもないし

 

楽しくもなければ退屈でもないから

 

仕方なしにまだ生きている

 

また一日 夜まで歩いていくだけなのに

 

朝の布団を剥ぎ取るのは辛い

 

太陽の隠れた夜明けだから

 

余計にそう思うのかもしれない

相反

  • 2024.02.11 Sunday
  • 01:06

JUGEMテーマ:

どこにでも自分がいるように感じる

 

どこにも自分がいないようにも感じる

 

地に足を着いていても

 

どこにも立っていないような

 

だけど体は重く足が進まない

 

悲しい時はいつだってそうで

 

嬉しい時もいつだってそうなる

 

普段と違う状況になると

 

四方八方から強い力で引き裂かれるような

 

居心地の悪い気分になり

 

悲しかろうと嬉しかろうと

 

いつも通りに戻りたいと思う

 

何事もなく穏やかというのは

 

なんて幸せなんだろうと

 

引き裂かれるような状況の時は

 

相反する心身から目を逸らしたくなる

雨上がりの空

  • 2024.02.04 Sunday
  • 16:36

JUGEMテーマ:

眠る龍のように 

 

細長い雲が西へ横たわる

 

にわか雨は上がり

 

薄い虹が街を渡る

 

ぬかるみに誰かの足跡

 

植え込みに滴る雫の群れ

 

雨上がりは土と木々の匂いが強い

 

日が暮れる頃 あの龍は目覚め

 

太陽の光に染まりながら

 

遠くへ飛んでいくだろう

 

どこかに新しい雨を運んで

 

僕の見知らぬ誰かに

 

僕と同じように空を見上げさせ

 

土と木々の匂いを与え

 

ほんの少しの安らぎをもたらすだろう

しがらみ

  • 2024.01.29 Monday
  • 21:55

JUGEMテーマ:

魂の叫びは泥にまみれ

 

軋む心に体が追いつかない

 

彼は過去に囚われ

 

彼女は今に執着し

 

傍観者だったはずのあの人が

 

面白がって騒ぎ立て

 

彼と彼女の魂はより深い場所に沈み

 

傍観者だったあの人さえ

 

心と体が鎖で縛られる

 

人と人と人の繋がりは 

 

蜘蛛の巣さえシンプルに見えるほど

 

まるで丸まった釣り糸のように

 

まるで川面の木にまとわりつく枯れ草のように

 

もはや解きようもなければ 元通りにすらならない

 

自分はただそれを見ていることしか出来ない

 

力になろうと近づけば 

 

たちまち絡め取られてしまうだろう

 

呪いとは人のしがらみのこと

 

どんなに腕の良い魔術師でも

 

これを解くことは出来ない

名残り雪

  • 2024.01.26 Friday
  • 23:37

JUGEMテーマ:

朝霜を踏み砕き

 

昨晩の名残り雪をつまむ

 

今朝切ったばかりの爪の隙間に

 

冷たい冬の息吹が潜り込み

 

ポケットを探って

 

ハンカチを忘れたことを思い出す

 

取りに戻るには家から離れた

 

ジンジンとかじかむ指を揉みながら

 

もう一度雪をつまむ

 

寂しくないのに切ないのは

 

まばらに残った雪のせいで

 

深く積もった時よりも

 

哀愁が漂い 胸の中を撫でる

光の球

  • 2024.01.20 Saturday
  • 23:42

JUGEMテーマ:

森は暗闇に閉ざされて

 

妖精のように 蛍のように

 

何かの光の球が飛び交う

 

それはただの埃であったり

 

月光の破片だったり

 

寝遅れた羽虫だったりする

 

半分瞼を閉じてボヤけると

 

妖精のようにさえ見えるし

 

魂のようにも見える

 

不思議で不気味で穏やかな森の夜

 

遠くに見える暖かい灯火は希望

 

だけどその光にはに背中を向け

 

妖精や魂の飛び交う暗闇に

 

気の済むまで立ち続ける

 

どうせ朝はやって来るから

 

無理に希望へ手を伸ばす必要はない

 

限られた夜の間に

 

好きなだけ悲しんで

 

思うだけ自分を慰めて

 

明日を生きる準備をしよう

感傷

  • 2024.01.15 Monday
  • 22:54

JUGEMテーマ:

月を映す茂みの川面に

 

獣の鳴き声と足音が響く

 

身を切る冷たい風が

 

火照った頬に気持ち良い

 

枯れ草の土手道は柔らかく

 

どこまでも歩けそうな気がする

 

感傷が溢れ出し

 

気の早い夜に感情を預ける

 

このまま時間が止まって

 

静かで暗い日没の中に

 

うずくまったまま埋もれていたい

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