短編小説を書き終えて

  • 2010.10.15 Friday
  • 09:18
 全六話の短編小説が終了しました。
稲葉さんのソロアルバムに影響を受けて書いた小説です。
正直言って、書くのは難しかったです
でも書いてよかったなと思っています。
次に書く小説はまだ決まっていません。
だからまたしばらく小説はお休みします。
短編小説を読んで下さった方、本当にありがとうございました。

それでも明日はやってくる 最終話 世界の果てで

  • 2010.10.14 Thursday
  • 11:03
  マンションの窓から街を見下ろした。
街は夕陽でオレンジ色に染まっている。
仕事帰りの車が渋滞していた。
僕は街を見下ろしながら、生きる意味について考える。
生きるとは何だろう。
人生とは何だろう。
僕はある日突然、仕事場で息が出来なくなった。
急いでトイレに駆け込んだ。
仕事場から抜け出すと、息が出来るようになった。
しかし仕事場へ戻ると、再び息が出来なくなった。
翌日、会社を休んで病院に行った。
体に異常は無かった。
医者はおそらく精神的なものだろうと言って、精神科へ行くことをすすめられた。
その翌日、僕は精神科へ行った。
心の病だと診断された。
その日以来、僕は自分の部屋から出ていない。
自分のマンションに閉じこもり、ひたすら生きている意味について考えた。
生きるとは何か。
人生とは何か。
人はどうして生まれてくるのか。
いくら考えても答えは出なかった。
自問自答する日々。
自分の部屋で、毎日ただそんなことを考えて過ごした。
何度か死のうと思ったこともある。
しかし死の恐怖が勝って、今はまだ死ねていない。
心が波打つ。
そして急に真っ暗になったかと思うと、今度は不安が押し寄せてくる。
自分は一体どうなってしまうのか。
自分でも分からなかった。
僕は自分の部屋で座り込む。
ひたすら生きる意味について考える。
そしてケータイを見つめた。
僕はケータイを手に取り、いつもの番号を押す。
数回のコールのあと、電話は繋がった。
「もしもし。」
君の声が聞こえてくる。
「今忙しくない?」
僕はいつもこうやって君に確認する。
「大丈夫だよ。」
君の声を聞く度に、僕は安心する。
深く重たい心に光が射し込むような感じがする。
「特に用事はないんだ。
ただ君の声を聞きたかっただけなんだ。」
「うん。
分かってる。」
君は僕のことをよく知っている。
僕も君のことをよく知っている。
「最近どう?
仕事は忙しくない?」
「大丈夫だよ。
そっちはどう?
また死のうなんて思ってるんじゃないの?」
「そう思うこともある。
でもまだ生きてるよ。」
「そう。
よかった。」
君の安堵の声が聞こえる。
もし僕が死んだら悲しむ人はいるのだろうか。
涙を流してくれる人はいるのいだろうか。
君は僕が死んだらどう思うんだろう?
「ねえ、もし僕が死んだら、君は僕の為に泣いてくれるかい?」
しばらく沈黙が流れる。
「もし死んだりなんかしたら、許さない。
私にことわりもなく死んだりしたら、お葬式にも行ってあげない。」
その言葉を聞き、僕は何て返したらいいのか迷ってしまう。
「死ぬ時は君に一言言うよ。」
僕は窓の外を眺めながら言った。
「そうね。
そうして。
そしたら私が死ぬのをやめるように説得してあげる。」
その言葉を聞いて、僕は君は強いなと思った。
僕は知っている。
君だって今つらいことを。
それなのに、こうやっていつも僕の話し相手になってくれる。
そして励ましてくれる。
自分だってしんどいのに、僕の為に気を遣ってくれる。
僕の心が真っ白になっていく。
君と話すといつもこうなる。
心が真っ白になる。
そして生きる意味も、死ぬことも考えなくなる。
「とりあえず、いきなり死ぬことはないよ。
まだ当分生きているつもりだから。」
「当分じゃなくて、ずっと生きていて。」
「・・・・、そう出来たらいいな。」
「出来るよ。
私は知ってる。
あなたは強い人だって。
ただ今はちょっと疲れているだけなのよ。」
「そうかな?」
「そうだよ。」
僕はいつも君に元気をもらう。
その度に生きようと思う。
「君は強いね。」
僕は言った。
「そんなことないよ。
私は普通だよ。」
「そんなことないよ。
君は強い人だ。」
「そうかなあ。
毎日しんどいことはあるけど、ただそれに負けないように努力はしてるけどね。
ねえ、生きるってすごいことだよ。
すごく大変なこと。
しんどいことやつらいことがたくさんある。
でもそれに負けちゃいけないの。
人は生きているかぎり、戦わなくちゃいけないの。
すごくしんどいけどね。
そしたらたまに、いいこともあるよ。」
「うん。
そうかもしれないね。」
僕は君の言葉に素直に頷いた。
「ありがとう。
いつも励ましてもらって。」
「そんなこと気にしなくていいの。
それより、週末そっちへ帰るの。
時間ができたら、あなたに会いに行くわ。」
「本当?」
「うん、本当。」
僕はその言葉だけで心が明るくなるのを感じた。
「じゃあそろそろ電話を切るよ。」
僕は静かな声で言った。
「うん。
ちゃんと生きるのよ。
死のうなんて思っちゃダメよ。」
君はそう言って電話を切った。
僕はケータイをベッドの上に置き、部屋の中を見渡した。
今はこの部屋が僕の世界だ。
とても狭い世界だ。
さっき君と話していたばかりなのに、また君の声を聞きたいと思っている。
週末、君が会いに来てくれる。
そのことだけが今の僕の希望だった。
早く君に会いたい。
その顔を見たい。
僕は部屋の隅っこに座り込んだ。
今は狭い僕の世界。
いつかその世界が広がることはあるのだろうか。
僕は待っている。
この狭い世界の果てで君が来るのを。
ただじっと座り、君が会いに来てくれる日を待っている。

                             最終話 完

それでも明日はやってくる 第五話 どこでもない場所

  • 2010.10.13 Wednesday
  • 09:19
 車に乗って、いつもの場所に向かう。
国道沿いにある大きなスーパーマーケットを通り過ぎ、一つ目の信号を左に曲がる。
そしてしばらく真っすぐ進むと海が見えてくる。
俺は海の近くに車をとめた。
海は浜辺になっている。
そして浜辺には一つのベンチがある。
今日もいつもと同じようにそこに座る。
浜辺には何人かの人がいて、海は太陽の光を受けて輝いていた。
俺はそんな光景を見ながら、誰も座っていない隣を見た。
今は俺の隣には誰もいない。
しかし以前はそこに、俺の大切な人が座っていたのだ。
彼女と二人で、よくこうして海を見に来た。
しかしその彼女はもういない。
俺は誰もいない隣をしばらく見つめた。
そこに彼女が座っているような気がするからだ。
彼女は、ある日突然俺の前からいなくなった。
二人でデートをして、俺の家の前で別れたあとだった。
彼女は不幸な事故に巻き込まれた。
彼女がいなくなった日、俺は泣いた。
一生分の涙を流したような気がした。
彼女がいた時、いつもここに二人で座って、海を見ながら話していた。
「ねえ、明弘。
海って不思議よね。
見ているだけで心が落ち着く。」
「そうだな。
なんでだろうな。」
いつか彼女とした会話が思い出される。
「海はこの地球のどことでも繋がっているのよね。
そう考えると、とても不思議な気分。」
彼女はベンチに背を預けて言った。
「俺もそう思うよ。
海はどことでも繋がっている。
俺達が見ている海を、遠い異国の人達も見ているんだもんな。」
そう言うと、彼女は笑って頷いた。
そして海に目をやりながら言った。
「海って不思議。
でももっと不思議なものがある。」
彼女は目を細めて言った。
「何だい?
海より不思議なものって。」
俺は彼女の横顔を見て尋ねた。
「それは水平線。
ねえ、面白いと思わない?
水平線って、海でも空でもないのよ。」
そう言った彼女の目は輝いていた。
「確かにそうだな。」
「私、思うの。
水平線は、この世のどこでもない場所なんじゃないかって。
海と空が両方あるけど、そのどっちでもない。
なんて不思議な場所なんだろう。」
そう語る彼女の顔を、俺は今でも鮮明に覚えている。
あの時、俺は彼女に言った。
「水平線はどこでもない場所か。
その通りかもしれないな。
その水平線も、この世のあらゆる場所に繋がっている。
そう考えるともっと不思議だ。」
俺の言葉を聞いた彼女は笑って頷いた。
「そうね。
水平線も地球のあらゆる場所と繋がっているんだもんね。
遠い異国の人達は、水平線を見てどんなふうに感じているのかしら。」
そう言った時の彼女の顔は、とても真剣だった。
真剣な眼差しで、水平線を見ていた。
「私ね、海を見てたら思うの。
人は海から生まれた。
だから死んだら天国に行くんじゃなくて、海に戻るんじゃないかって。」
「そうかもしれないな。
母なる海って言うしな。」
「ねえ、明弘は死んだら空と海、どっちに行きたい?」
彼女は肩までの髪を風でゆらしながら尋ねてきた。
「そうだな。
俺は天国に行きたいから空かな。」
すると彼女は髪をかき上げ、海を見ながら言った。
「私は死んだら海に行きたいな。
そしてもう一度海で生まれかわるの。」
「でもそれじゃ生まれかわったら、魚とかイルカになっちゃうよ。」
「いいの、それでも。
私は一度海の中で生きてみたい。」
「そうか。
じゃあ生まれかわったら海の中で生きられるといいな。」
そう言うと彼女は微笑んで海を見つめていた。
彼女が生きていた時、俺の隣に座っていた時の会話。
今でも忘れない。
あの時はずっと彼女が俺の隣に座ってくれていると思っていた。
そして海を、水平線を見ながらずっと彼女と話していられると思っていた。
しかしもう彼女はいない。
俺の隣に、彼女は座っていない。
どうしてだろう?
なぜ彼女はいなくなってしまったのだろう?
ずっと彼女と一緒にいたかった。
喧嘩もした。
お互いに傷付いたこともあった。
そして雨の降りしきる中で抱きしめ合ったこともあった。
あの時、彼女が俺の隣からいなくなるなんて、思いもしなかった。
俺は今、誰も座っていない隣を見つめている。
そこに彼女がいるかのように。
そして海に目をやる。
涙が出てきた。
彼女と話したい。
もう一度俺の隣に座って欲しい。
涙はとまることなく溢れてきた。
涙で視界がぼやける。
俺は流れる涙を拭うことはしなかった。
泣きたいなら泣けばいい。
自分にそう言い聞かせた。
誰もいない隣に、そっと手を伸ばしてみる。
彼女の笑っている影が見えたような気がした。
俺は隣に伸ばした手をしばらくそのままにする。
彼女がこの手を握ってくれるんじゃないかと思って。
そんなことはないと分かっている。
しかしそれでもしばらく隣に手を伸ばしていた。
いつか彼女に聞かれたこと。
死んだから空と海、どっちに行きたい?
あの時俺は、天国に行きたいから空だと答えた。
しかし今は違う。
俺も死んだから海へ行きたい。
彼女が言っていたように、海の中で生まれかわりたい。
俺は隣に伸ばしていた手を引っ込めた。
記憶の中の彼女が、俺に微笑みかける。
俺は涙を拭いた。
そして記憶の中の彼女と向かい合う。
彼女は笑っている。
笑って俺の隣に座っている。
記憶は鮮やかに蘇る。
俺はいつもと同じように、一時間ほどベンチに座っていた。
ここに来る度に思い出す彼女の笑顔。
そして彼女との会話。
浜辺にいた何人かの人は、いつの間にかいなくなっていた。
海は相変わらず太陽の光を受けて輝いている。
俺はベンチから立ち上がった。
海は不思議だ。
でも、水平線はもっと不思議だ。
空でも海でもない。
俺はしばらく海を見つめていた。
彼女は死んだら海へ行きたいと言っていた。
しかし、俺は彼女が海にいるとは思っていなかった。
きっと彼女は水平線にいる。
そこで生まれ変わって、空と海の両方を見つめているに違いない。
水平線。
それはこの世のどこでもない場所。
彼女は、きっとそこにいる。

                                  第五話 完

それでも明日はやってくる 第四話 もうこの手は届かない

  • 2010.10.12 Tuesday
  • 09:16
 誰もいない道を、車に乗って走る。
アクセルを踏み込んで、スピードをあげる。
夜の街の光が通り過ぎていく。
自分は一体どこに向かっているのか。
どこに向かおうとしているのか。
答えのないままただ車を走らせる。
昨日、付き合っていた彼女からふられた。
「鈍感な人は嫌い。」
そう言われて別れを告げられた。
俺は彼女のことを愛していた。
一番好きな存在だった。
しかし俺は、彼女から愛を感じたことはなかった。
彼女をいくら抱いても、彼女の愛を感じ取れなかった。
俺は彼女の愛が欲しかった。
しかしそれは手に入らないものだと思っていた。
彼女を抱いた夜は、今日と同じようにこうして車を走らせていた。
目的地などない。
ただ車を走らせていた。
彼女に愛されたい。
彼女の愛が欲しい。
そう思って俺は彼女を強く愛した。
強く愛すれば、いつか彼女も俺のことを愛してくれると思っていた。
俺は努力を続けた。
彼女に愛される為に。
色んな愛の言葉もかけたし、プレゼントもした。
彼女を抱く時だって、愛を込めていた。
それでも彼女から愛を感じたことはなかった。
俺はさらにアクセルを踏み込み、スピードをあげる。
道には誰もいない。
歩いている人も、すれ違う車もなかった。
一人車に乗りながら、流れゆく街の景色を眺めた。
心臓が高鳴る。
心と体が彼女を求めていた。
彼女に言われた言葉。
鈍感な人は嫌い。
俺はその意味が分からなかった。
俺は自分を鈍感だと思ったことはなかった。
だから彼女にそう言われて別れを告げらた時はわけが分からなかった。
俺は彼女に必死に弁明した。
自分に悪い所があるなら直す。
君の望むような男になる。
だから別れないで欲しい。
一緒にいて欲しいと強く言った。
彼女は黙って俺の言葉を聞いていた。
しかし彼女からは何も言葉は出てこず、「さようなら」と言われて別れられた。
俺は一体何が悪かったのか。
一体彼女は俺の何が気に入らなかったのか。
車を走らせながら考えた。
やがて赤信号が見えて、車をとめた。
俺は彼女を愛していた。
でも彼女は俺を愛していなかった。
だから別れることになったのか。
赤信号で車をとめている間に考えていると、信号はいつの間にか青になっていた。
俺は車を発進させる。
そしてどんどんスピードをあげていく。
もう一度彼女に会いたい。
そして彼女を抱きたい。
そんな強い欲求が俺の頭を支配した。
このまま彼女の家に行こうか。
彼女は俺に会ってくれるだろうか。
もう一度やり直してくれと頼んでみても、その願いが叶うことはないように思えた。
俺は誰もいない道を車を走らせながら、何も考えないことにした。
頭の中を真っ白にしてみる。
何も考えない。
何も思わない。
するとその時、ふと彼女に言われた言葉が頭をよぎった。
「鈍感な人は嫌い。」
その言葉は心の奥深くに突き刺さり、頭の中で響いた。
鈍感な人は嫌い。
もしかして・・・。
俺は車のスピードをおとしながら思った。
俺はもしかしてとんでもない大馬鹿者だったのではないか。
俺は鈍感。
そう、彼女の言う通り、俺は鈍感だった。
鈍感な人は嫌い。
それは言葉通りの意味だった。
俺は気付いていなかったのだ。
きっと彼女は俺のことを愛していた。
俺が彼女を愛するのと同じように、彼女も俺を愛していたのだ。
頭の中を真っ白にしてみて、そのことに気付いた。
今さらこんなことを気付くなんて。
俺はずっと彼女に愛されていないと思っていた。
でもそれは間違いだった。
鈍感な俺は、彼女の愛に気付かなかっただけなのだ。
俺が彼女に愛をアピールしていたように、彼女も俺に愛をアピールしていたはずだった。
しかし鈍感な俺はそれに気付かなかった。
なんて俺は馬鹿な奴なんだろう。
今さらそんなことに気付いても、もう彼女は俺の元から去ってしまったというのに。
彼女に会いたい。
抱きしめたい。
しかしもうこの手は彼女に届かない。
彼女は待っていたのだろう。
俺が彼女の愛に気付くのを。
ただじっと待っていたのだ。
彼女の愛を見逃していた自分。
今さら取り返しはつかない。
俺達はちゃんと愛し合っていたのだ。
ただ、鈍感な俺がそのことに気付いていないだけだった。
悲しくなって、逆に笑えてくる。
いくら自分を責めても、もう遅い。
ずっとずっと、彼女の愛を見逃していた自分。
本当に馬鹿だ。
もう彼女に会えない。
彼女を抱けない。
そう思うと、情けない自分を笑いながら涙が出てきた。
俺は自分勝手だったのだ。
愛しているのは自分だけだと思っていた。
彼女の愛に気付く努力などしなかった。
彼女の愛を感じ取れなかった責任は俺にある。
悪いのは俺だ。
今さら気付いた所で、もう遅い。
彼女は去ってしまったのだ。
もう後戻りは出来ない。
しかし、俺は今気付いた。
彼女に愛されていたことを、今ちゃんと気付いた。
もう本当にこれで終わりなのだろうか。
もう元には戻れないのだろうか。
そう、後戻りは出来ない。
なら、もう一度やり直せばいい。
俺はまだ彼女を愛している。
そして彼女が俺を愛してくれていたことに気付いた今なら、もう一度一からやり直せるのではないか。
俺は彼女と別れたくなかった。
彼女の傍にいたい。
彼女に傍にいて欲しい。
そう、もう一度始めからやり直そう。
俺は車をUターンさせた。
誰もいない道を走って行く。
目的地は決まっている。
俺はアクセルを踏み込み、スピードをあげた。
そして彼女の家を目指した。
もう一度始めからやり直す為に。

                                   第四話 完

それでも明日はやってくる 第三話 葛藤

  • 2010.10.11 Monday
  • 09:09
 仕事を終えて、会社を出ると日付がかわっていた。
ここの所のはいつも残業ばかりである。
こんな生活を続けていれば、いつか過労で倒れてしまうんじゃないかと思う。
重い体を引きずるようにして、家まで歩いて帰った。
家に帰ると、佳恵が来ていた。
夕食を作って俺を待ってくれていたようである。
「今日も遅かったね、良ちゃん。」
佳恵が俺の上着を脱ぐのを手伝ってくれる。
「いつから来てたんだ?」
「八時くらいかな。」
壁掛け時計を見ると、午前一時前だった。
「こんなに遅くまで待っててもらってすまないな。」
「いいよ、別に。」
佳恵が脱がした上着をハンガーに掛けている。
俺は風呂に入る気力もわかず、すぐにパジャマに着替えた。
そして佳恵の作ってくれた夕食を一緒に食べた。
「良ちゃん、最近顔色悪いよ。
大丈夫?」
佳恵が心配そうな目で見つめてくる。
「ちょっと仕事が忙しくてな。
体がだるいんだ。」
「あんまり無理してると、体を壊しちゃうよ。」
「ああ、分かってる。」
無理をしているのは自分でも十分分かっている。
でも、最近何かがおかしい。
体の不調だろうか。
確かに残業続きで体調はよくない。
しかし、それだけではない。
何かが心に引っ掛かっているのだ
それが何かは分からない。
夕食を終えると、俺と佳恵はすぐにベッドに入った。
それから一時間。
佳恵はすやすやと寝息をたてていた。
俺は目を閉じて何も考えないようにする。
また明日も忙しいのだ。
なんとか眠らないと。
しかし中々寝つけなかった。
最近は不眠症に悩まされていた。
医者からもらった睡眠薬を飲んだ。
そして佳恵の手を握って眠ろうとする。
しかし眠れない。
何だろう。
何かが心をざわめかせている。
明日は仕事があるから早く眠らなければいけないのに、全く眠れない。
何かが心に引っ掛かる。
それは波のようにうねり、俺の心を刺激してくる。
俺は目を閉じた。
しかし結局眠れず、朝になってしまった。
俺はベッドの上に身を起こして窓の外を見ていた。
朝陽が眩しい。
すると佳恵が起き上がってきた。
「良ちゃん、起きてたの?」
「ああ。」
「もしかし全然眠れてないの?」
「ああ。」
佳恵は心配そうに俺を見つめて手を握ってきたあと、ベッドから降りて朝食を作り始めた。
俺は窓の外を眺めていた。
頭の中で誰かの声が聞こえるような気がする。
よく耳を澄ましてみる。
するとその声の主は俺だった。
俺が俺に何か言っているのだ。
しかし何を言っているのかまでは聞き取れない。
「良ちゃん、朝ご飯できたよ。」
佳恵に呼ばれ、俺は彼女と一緒に朝食をとる。
その間もずっと頭の中に声が響いていた。
そして朝食を終えると、俺はシャワーを浴びた。
それからしばらく休憩してから仕事に向かう。
佳恵と一緒に家を出た。
「じゃあね、良ちゃん。
今日も来るから。
あんまり無理しないでね。」
「ああ、分かってる。」
そして佳恵と軽いキスを交わしてから仕事に向かった。
体がだるい。
心も重い。
俺は無理をしながら仕事に打ち込んだ。
その間も頭に声が響いている。
すると隣の席の同僚が声をかけてきた。
「なあ、俺来月結婚するんだ。」
とても嬉しそうな顔で言ってくる。
たんに報告しただけなのか、それとも自慢したいだけなのかは分からなかった。
しかし俺は笑顔を作って「おめでとう。」と言った。
同僚は喜んでいた。
本当はこいつが結婚しようがどうしようがどうでもいい。
しかし俺は笑顔を作って喜んでみせた。
その時、頭の中に響いていた声が大きくなった気がした。
何かを言っている。
何だ。
一体何を言っているんだ?
俺の心が激しくざわめく。
結局その日も残業となり、家に帰ったのは昨日と同じくらいの時間だった。
また佳恵が来ていて、夕食を作って待っていてくれた。
「おかえり、良ちゃん。」
「ただいま。」
俺は疲れた声で返事をする。
「今日も遅かったね。」
「ああ、疲れたよ。」
「あんまり無理しないでね。
過労で倒れたりなんかしたらいやだよ。」
俺は佳恵の言葉に笑って頷き、上着を脱いでバスルームに向かう。
そして熱いシャワーを浴びた。
その間にも頭の中に声が響く。
俺が俺に何か言っている。
「このままでいいのか?」
今まで頭の中に響いて聞き取れなかった言葉が、聞き取ることが出来た。
「本当にこのままでいいのか?」
その声はだんだんと頭の中で大きくなってくる。
俺は頭を大きく振り、その言葉をかき消そうとした。
バスルームから出ると、佳恵と二人で夕食をとった。
俺は疲れているので、夕食を終えるとすぐにベッドに入った。
佳恵も入ってくる。
そして二人で手を繋いだ。
目を閉じる。
しかし全く眠れる気がしない。
横を見ると、佳恵は眠っていた。
きっと俺を待って疲れていたのだろう。
俺は彼女を起こさないようにしながら、どうせ効かないだろうと思いながらも睡眠薬を飲む。
そしてベッドに戻り、また佳恵の手を握った。
「このままでいいのか?」
頭の中に声が響く。
他のことを考えようとしても、頭の中の声はやまなかった。
そしてなぜかは分からないが、急に体が熱くなった。
頭の中に響く声。
俺が俺に何を言おうとしているか、だんだんと分かってきていた。
昔、俺にだって夢はあった。
しかし俺は自分の夢に挑戦することなく、今の道を選んだ。
毎日くたくたになるまで働く。
特に刺激や希望があるわけでもない。
とうの昔に忘れた夢が、今頃になって蘇ってきたのだ。
俺はベッドから身を起こして考える。
本当に今のままの生活でいいのだろうか?
俺はそれで納得しているのか?
昔に抱いた夢は、まだ俺の心に残っている。
俺が俺に言っている。
夢を追えと。
しかしそう簡単に今の仕事を辞めて夢を追えを言われても、困ってしまう。
夢をみるのは簡単だ。
だが夢を追うのは大変だ。
しかし俺は今の生活に納得していないのが本音だった。
頭の中で声が響く。
自分の夢を追えと。
しかしその前に現実が立ちはだかる。
夢と現実の板挟み。
頭の中の声はどんどん大きくなる。
俺は強く葛藤していた。
しかしだんだんとその葛藤にも疲れてきた。
もういい。
もう今日は考えるのはやめよう。
心に消えない葛藤を抱いたまま、俺は今日も眠れない夜を過ごした。

                                  第三話 完

それでも明日はやってくる 第二話 真紅のリップ

  • 2010.10.10 Sunday
  • 09:12
 どうやら少し眠っていたみたいだ。
先ほどまで、彼女と激しく体を重ね合わせていた。
ベッドから身を起して、横に寝ている彼女を見た。
彼女も眠っているようだ。
俺はしばらく彼女の体を見る。
透き通るような白い肌に、なめらかな曲線を描いた腰のライン。
そしてそっと彼女の顔を見る。
とても美しい顔だ。
目鼻立ちが整っている。
しかし一番心を惹かれるのは、その真っ赤な唇だった。
見ているだけで、吸い込まれそうになる。
俺はその唇に、そっとキスをした。
そして彼女を起こさないようにベッドを降りると、台所へ向かった。
コップを手に取り、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。
コップに水を注ぎ、グイッと飲み干した。
先ほどまでの彼女との熱い抱擁が思い出される。
俺はもう一杯水を飲んだ。
そして彼女の方に目をやると、体を寝かせたまま、顔だけをこちらに向けていた。
「起きてたのか?」
「うん。」
俺は彼女の方に歩み寄る。
「私にもちょうだい。」
「ん?」
「水。」
「ああ。」
俺はコップに水を注ぎ、彼女の方に持って行く。
彼女はしなやかな指でコップを受け取った。
そして俺と同じように一気に飲み干した。
俺は彼女の隣に腰掛ける。
彼女はふうっと息を吐いている。
俺はその唇に見惚れていた。
「今日、なんだか暑いわね。」
「そうかな。」
「体が火照ってる。」
そう言うと彼女はコップをテーブルに置き、俺に抱きついて来た。
俺はそれを受け止める。
そしてまた激しく彼女と体を重ね合わせた。
朝になり、彼女は微笑みだけを残して去って行った。
俺は軽い朝食を取り、仕事に向かう。
会社では、ずっとぼーっとしていた。
彼女を抱いた次の日は、いつもこうなる。
彼女は今までに抱いた女とは明らかに違っていた。
何か野性的というか、それでいて洗練されているというか。
言葉では上手く表現出来ない。
そして思い浮かぶのは、あの赤い唇だ。
魅惑的で、何か不思議な力を持っていそうなあの赤い唇。
俺は彼女の唇と自分の唇を重ねるたびに、自分が丸裸にされているような感覚に陥った。
彼女に嘘は通用しない。
彼女に小細工は通用しない。
唇を重ねれば、彼女はきっと全てを見抜いてしまうから。
その日一日は、ぼーっとしたまま仕事にならなかった。
仕事を終え、会社を出る。
そして彼女のケータイに電話をかけた。
しかし彼女は出なかった。
俺は知っている。
彼女が俺のものでないことを。
彼女には俺とは別に、本気で心を寄せている相手がいることを。
それでもよかった。
彼女の心が本気で俺に向いていないとしても、俺が彼女にとって遊びだとしても、彼女との繋がりは断ちたくなかった。
俺はその夜、一人ベッドに寝転がりながら、彼女を思い出していた。
あの熱い抱擁。
そしてあの真っ赤な唇。
彼女に会いたかった。
しかしそれが叶わない夜もある。
俺は彼女の肌の温もりを思い出しながら眠りについた。
翌日、仕事を終えると彼女の方から連絡があった。
「今夜会える?」
「もちろん。」
「じゃあ会いに行くわ。」
「ああ、待ってる。」
短い会話で電話は切られ、俺は急いで家へと帰った。
帰ってから熱いシャワーを浴び、ビールを一杯飲んだ。
そしてしばらくベッドの上で横になっていると、ドアをノックする音がした。
俺はドアを開けた。
彼女が立っていた。
「あがっていい?」
「ああ。」
家にあがると、彼女は何も言わずにバスルームへと向かった。
シャワーを使っている音が聞こえる。
俺はベッドに座って彼女が出てくるのを待った。
今夜も彼女の赤い唇とキスが出来る。
あの何とも言えない感覚を味わうことが出来る。
「お待たせ。」
彼女がバスルームから出て来た。
体にはバスタオルを巻いている。
俺は彼女を抱き上げ、ベッドまで連れて行く。
そして彼女をベッドに寝かせると、真っ赤な唇にキスをした。
すると、まるで自分が裸にされているような、自分の全てを見透かされているような感覚に陥った。
俺は夢中でキスをした。
自分が解放されいく感じがする。
それから俺は彼女と激しく体を重ね合わせた。
彼女のしなやかな体を強く抱く。
その間もキスをしていた。
彼女の肌と俺の肌が触れ合う。
時間の感覚がなくなっていく。
自分がとろけていくような感じがする。
彼女とキスをし、体を重ねているうちに自分が自分でないような感覚になってきた。
彼女との行為を終え、俺達は抱き合って寝た。
そして朝がやってきた。
目が覚めると、彼女は服を着ていて、もう帰る所だった。
「じゃあまたね。」
そう言って彼女は真っ赤な唇でキスをしてくる。
そして彼女は去って行った。
俺はベッドから立ち上がり、水を一杯飲んだ。
部屋にはかすかに彼女の匂いが残っている。
今夜、彼女は誰に抱かれるのだろう。
また俺の元に来てくれるだろうか。
さっきキスしたばかりなのに、俺はまた彼女の真っ赤な唇を求めていた。

                                   第二話 完

それでも明日はやってくる 第一話 わがまま

  • 2010.10.09 Saturday
  • 09:09
 誰にも束縛されない。
そのかわり、誰も束縛しない。
それが俺の信条だった。
仕事を終えて、帰り仕度をする。
コートを羽織り、カバンを持って会社を出ようとした時、同僚から声がかかった。
「なあ、西沢。
今日飲み会があるんだけど、お前も行かないか?」
「いや、俺は遠慮しとくよ。」
柔らかい笑みと口調で、同僚の誘いを断った。
俺はそのまま会社を出て行こうとする。
「あいつを誘ったって無駄だよ。
付き合い悪いんだから。」
「そうなのか。」
後ろから同僚の話し声が聞こえる。
そんな言葉を背中に受けながら、駐車場まで行って自分の車に乗り込む。
エンジンをふかし、車を発進させた。
付き合いが悪い。
そう、俺は他人とほとんど交流を持たない。
理由は誰にも束縛されたくないから。
行きたくない誘いには行かない。
俺は会社の中で付き合いの悪い奴だと言われていた。
しかし評判が悪いかといえばそうでもない。
基本的に俺は怒らないのだ。
例え誰かが大きなミスをしようと、笑って許している。
そういう意味では、会社での俺の印象は悪くなかった。
家に帰り、コートを脱いでソファに座ってテレビをつける。
画面ではお笑い芸人が馬鹿騒ぎをやっていた。
俺は見るでもなくテレビの画面を眺めていた。
そろそろ腹が減ったなと思い、何か作ろうかと思った。
いや、今日は外食にしようか。
そう思った時だった。
ケータイの着信音が鳴った。
相手は冬実からだった。
「ねえ、今近くのファミレスにいるの。
これから出て来れない?」
冬実はいつもの抑揚のない声で言った。
「ああ、いいよ。
俺もちょうど夕飯を食べようと思ってた所なんだ。」
「じゃあ待ってるわ。
早く来てね。」
そう言って電話は切れた。
俺は仕事着のままコートを羽織り、家を出た。
冬実のいるファミレスは近いので、歩いて行く。
季節は冬。
寒い風から身を守る為、コートの前を強く閉じ合わせた。
道を行き交う人は少なかった。
もうすぐクリスマスということもあって、夜の街には鮮やかなイルミネーションが輝いていた。
そして冬実のいるファミレスまでやって来た。
中に入ると、冬実がこちらを見て手をあげた。
「外は寒いよ。」
俺はコートを脱ぎ、メニューを手にしながらそう言った。
冬実の前にはスパゲティの食べあとがあった。
俺はボタンを押して店員を呼び、冬実と同じスパゲティを頼んだ。
ついでにドリンクバーも頼み、熱いコーヒーを淹れて自分の席に戻った。
「最近仕事はどう?」
冬実も自分のコーヒーを飲みながら尋ねてくる。
「まあ普通かな。」
俺は熱いコーヒーを胃の中に流し込んだ。
「普通って何?
忙しいとか、暇とかあるでしょう。」
「どっちでもないさ。
だから普通と答えたんだ。」
俺はもう一口コーヒーを飲む。
「あなたって本当に淡泊な答えしか返さないわよね。」
冬実が不機嫌そうに言った。
「そうかな。
俺としては手短に要領よく答えているつもりだけど。」
冬実は自分の化粧が気になるのか、鏡を出して顔をチェックしたあと、真剣な眼差しで俺を見て言った。
「ねえ、何か私に言うことはないの?」
「何かって?」
俺は運ばれてきたスパゲティをフォークでつつきながら答えた。
「自分の彼女が、仕事で遠くに行くのよ。
もうこれからは簡単に会えなくなる。
それについて何か私に言うことはないかって聞いてるの。」
俺はスパゲティを一口食べてから答えた。
「だって仕事だろう。
仕方ないさ。」
その答えに不満だったのか、冬実は顔を怒らせた。
「ねえ、普通こういう場合何か声をかけてくれるものでしょ。
遠くに行ってもちゃんと連絡を取り合おうとか、俺を残して遠くに行くなとか。」
冬実は苛立った様子で俺を見ている。
「普通はそういうもんなのか。
俺には分からないな。」
「どうして?」
「どうしてって言われても・・・。」
しばらく沈黙がおちる。
そして冬実が言った。
「理由は分かっているわ。
あなたはいつか言っていた。
自分は誰にも束縛されない。
そのかわり、誰も束縛しない。
それが自分の信条だって。」
俺の信条を冬実が覚えていたことに少し驚いた。
「そうだよ。
それが俺の信条だ。」
そう言ってもう一口スパゲティを食べた。
「あなたは遠くに行く私に何も言ってくれないのは、その信条のせいね。
私に何か言ったら、それは私を束縛することになるって思っているんでしょう。」
俺は冬実から視線をそらし、フォークを置いて窓の外を見た。
相変わらずクリスマス用のイルミネーションが輝いている。
「俺は誰にも束縛されない。
そのかわり、誰も束縛しない。
正直、君には遠くに行ってほしくないと思ってる。
でもそれを言うと君を束縛することになってしまう。」
俺は窓からテーブルの上のコーヒーに視線をやった。
「あなたは結局自分のことしか考えていないのね。」
冬実が真っすぐ俺を見ながら言った。
「どういうことだ。」
「あなたは他人を束縛しないと言っている。
それは他人の自由を尊重しているようにも聞こえるけど、そうじゃないわ。
あなたは、他人を束縛すれば、自分も束縛されると思ってる。
あなたは自分の自由を失うのが怖いのよ。」
「そんなことはない。
俺は冬実のことが好きだし・・・。」
「だったら何か言ってよ。
遠くに行ってほくないのなら、行かないでって言えばいいじゃない。
私はあなたの言葉を待ってる。
でもあなたは何も言ってくれない。
それはあなたが自分の信条を何よりも大事にしているから。
自分の自由を一番大事にしているから。
私はあなたに言ってもらいたかった。
遠くに行かないで欲しい。
近くにいて欲しいって。
でも結局あなたは何も言ってくれないわ。
だって、あなたにとって一番大事なのは、自分の自由だもの。
他人を束縛しないっていうのは、自分が束縛されない為の言い訳よ。」
俺はコーヒーを一口飲み、また窓の外に視線をやった。
「自分でも気付いているんでしょう。
はっきり言ってあげるわ。
あなたはわがままなのよ。
自分のことが一番大事。
いくら私のことが好きだって言っても、自分の信条を捨ててまで私を引き止めることはしない。
そうやって、自分以外の大事なものをどんどん失っていくのよ。」
俺は返す言葉がなく、ただ窓の外を見ていた。
「もう行くわね。」
そう言って冬実は立ち上がった。
「きっとあなたと会うことは二度とないわ。
私はあなたのことが好きだった。
一番大事に思ってたわ。
でもあなたは違った。
あなたは自分が一番大事。
もう、終わりにしましょう。
さようなら。」
そう言い残し、冬実は店を出て行った。
俺は残りのスパゲティを食べる気にもなれず、しばらく窓の外のイルミネーションを眺めていた。
また大切なものを失ってしまった。
冬実は言った。
俺は自分が一番大事だと。
他人を束縛しないのは、自分が束縛されたくないからだと。
その通りだった。
俺は残りのコーヒーを飲み干し、店を出た。
こうやって、今までどれだけのものを失くしてきたのだろう。
そして、これからどれだけのものを失くしていくのだろう。
理想はある。
本当は冬実と一緒にいたかった。
結婚も考えていた。
しかしそれは到底無理だと分かっていた。
自分の信条があるかぎり、俺は俺の思う幸せにはなれないのだ。
それでも自分の信条を捨てられない。
それは自分の自由を失くすのが一番怖いから。
「わがままか・・・。」
冬実に言われたことを呟いた。
その通りだなと思って、自嘲気味に笑った。
冬の冷たい風が頬を撫でる。
「俺はわがままか・・・。」
冬の夜道を歩きながら、もう一度冬実に言われたことを呟いた。

                                   第一話 完

短編小説を書く

  • 2010.10.08 Friday
  • 09:19
 明日から、短編小説を書きたいと思います。
内容は、B’zの稲葉さんのソロアルバムに影響を受けた作品です。
一話完結で、全六話で書こうと思っています。
多分すごく短い小説になると思います。
小説というより誌に近い形になるかもしれません。
稲葉さんは作詞の天才だと思っています。
その歌詞の内容にすごく刺激を受けました。
明日から書くので、よかったら見てやって下さい。

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