とりあえずのご挨拶

  • 2010.04.29 Thursday
  • 15:05
 ここまでXファイルのパロディネタ小説をご覧下さった皆様。
本当にありがとうございます。
稚拙な文章に低俗な下ネタ。
気分を害された方もいらっしゃると思います。
しかし、少しでも笑って頂けたり、面白いと思ってもらえたりしたら、それが一番の喜びです。
とりあえずXファイルネタの小説は全十話を持ちまして完結です。
番外編やシーズン兇箸い辰新舛任泙申颪かもしれませんが、とりあえずは未定です。
ですが小説自体はこれからも書き続けようと思っていますので、どういう形になるか分かりませんがよかったらご覧になって下さい。
次回より新しい小説を始めたいと思いますのでよろしくお願いします。
それではここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。
駄文ではありますが、これで失礼致します。

第十話 僕の相棒は君しかいないさ 最終回

  • 2010.04.29 Thursday
  • 13:10
 薄暗い工場の中で二人の男が立っている。
これから起こることは全人類の平和を守る、というくらいの大義であればいいのだが、現実にはこの辺り一体を汚物と悪臭から守る為のものである。
しかしそれであっても、これは男と男の一対一の果たし合いのようなもの。
大義名分の大小など、何処に関係があろうか。
俺は必ず勝つぞと気合を込め、スカリーが水を運んで来るのを待っていた。
「ふふふ、オシッコの我慢でこの俺に勝とうなど片腹痛いわ。
筋肉とアクションでしか魅せられないアーノルド・シュワルツネッガーっが、戦闘シーン無しのシリアスなラブロマンスで大ヒットを収めるよりも可能性が低いと知るがいい。」
「ふん、勝負なんてやってみなければ分からないさ。
俺は何としてもお前よりオシッコを我慢してみせる。」
大見栄は張ったものの、完全に排泄をコントロールしているレイに勝つのは容易いことではない。
しかし、FBIの、Xファイルの捜査官としてここは何としても勝たなければいけない。
とりあえずウンコ爆弾のリミットは解除させたので時間的猶予はあった。
スカリーが台車に大量の2リットル入りのペットボトルの水を運んで来て俺達の間に置く。
俺は覚悟を決めて「俺ならやれるさ!」と気合を入れた。
「モルダー。私はあなたを信じているわ。
だから離れた所であなたを見守っていることにする。」
そう言ってスカリーは俺達のそばから鼻を押さえて下がって行った。
どっちが勝手っても臭いそうと言ったスカリー。
近くでどちらかが漏らす光景など見たくはないのだろう。
しかしその言葉だけでも充分に励みになる。
「用意は出来たな。今からこの水をお互い10リットル飲み干す。
そして後はどちらがオシッコを我慢できるか勝負というわけだ。
いくぞ!」
言うが早いかレイはもうペットボトルの水をごくごくと飲んでいる。
10リットルって・・・。
飲むだけでも大変だぞ。
しかし弱音は吐いていられない。
俺もペットボトルの水をグイッと一気に飲み干した。
くそう!一本飲んだだけで水っ腹になりやがる。
レイはもう3本目を空けていた。
どんな胃袋をしていやがる。
俺も負けじと次々に水を飲んで行き、何とか10リットルを飲み干した。
お腹が妊婦のようになってしまい、面倒くさくなって服は全部脱いでしまった。
また裸だ。
マタニティ用の服が必要になりそうな体形の男が二人、裸でオシッコを我慢してる。
スカリー。君の目に今の俺はどう写っている。
10リットルの水の威力は半端では無く、さっそく尿意をもよおしてきた。
我慢しようにも次々と襲いかかる尿意は容赦無かった。
俺はスキップをしながら尿意を誤魔化していた。
「ははは、その程度でもうそんな状態に追い込まれているとは笑止千万。
俺など腹筋の力だけで荒れ狂う膀胱を抑えているわ!」
レイは平然と言いながら笑い、スキップに捻りを加えてオシッコを我慢する俺を嘲笑っている。
駄目だ。このままでは!
俺はレイの下腹部を蹴った。
「ぐぼう!何をする!?」
焦り出して俺と同じようにスキップをするレイ。
裸の男が二人、スキップをしながらオシッコを我慢している。
スカリー。君の目に今の俺はど写っているのだろうか。
俺はさらにレイの下腹部を蹴った。
スキップをしながら。
「やめろ!卑怯だぞ。」
レイのスキップの速度が増す。
「これはバトルロワイヤルだ。
誰もじっとオシッコを我慢するとは言っていない!」
「畜生!」
そう言いながらレイの蹴りも俺の下腹部を捉えた。
「ぐふ!この野郎!」
そう言って俺も蹴り返す。
そんな応酬が何度か続き、俺達のスキップの速度は音速近くまで達していた。
裸のままで。
「クソ!このままではらちが明かない。
いずれお互い音速の壁に衝突して、その衝撃で漏らしてしまう。」
もしそうなってもドローだが、それは俺のプライドが許さなかった。
「これはやりたくなかったが最後の手段!くらえ!」
俺は強制的にレイにオムツを穿かせた。
「あ、貴様!」
次の瞬間、レイの緊張していた顔が弛緩し、オムツの色と体積が明らかに変わっていった。
「まさか、こんな手で俺が・・・。」
吸いきれなオシッコがオムツから溢れ出ている。
それと一緒にレイの目からも涙が溢れていた。
「考えたな、モルダー。裸で何も守る物が無いという緊迫感から、急にオムツをさせられることによって「ああ、この中でしてもいいんだ」という安堵感がオシッコを我慢させる意識を刈り取る。
実に高度な心理戦だ。悔しいが俺の負けだよ。」
何処か健やかになった表情のレイが俺に言った。
「レイよ。排泄というのは確かに俺達の有用な時間を邪魔することもある。
しかし、排泄というのはごく自然な生理現象なんだ。
お前は自分の悲しい過去に排泄を当てはめて、それを歪めていただけだ。
これからはトイレがある時は我慢せず、思いきりしたらいい。」
レイの肩に手を置いて優しく語りかけると、奴は大声を出して泣き始めた。
「くそう!完全に俺の負けだ!お前の言う通り、ウンコ爆弾は爆発は停止させて、大人しく自首しよう。」
やれやれ、これでこの事件も解決だ。
スカリーが鼻を押さえながらこちらへやって来る。
「やったわね、モルダー!きっとあなたが勝つと信じていたわ。」
鼻声でスカリーが言う。
俺は笑いながら応えて、ほっと一息安堵する。
その時パトカーのサイレンの音が聞こえた。
スキナー達がやってきたようだ。
工場へ入ってくるなり捜査官達は悪臭に顔をしかめたが、スキナーだけは笑顔で俺達の方に駆け寄ってくる。
パンツ一丁で。
「無事だったか、二人とも!」
泣き崩れているレイを見て頷きながら言った。
「どうやら上手くやったようだな。さすがは名コンビだ。
モルダー。お前の言葉を信じて正解だったようだ。」
レイはぼたぼたに濡れたオムツを穿きかえさせられ、他の捜査官達によって連行されていった。
きっと奴も戦い続けることに疲れていたのだろう。
その背中は寂しいような、それでいて安心したような、何とも言えないような感じだった。
俺はゆっくり立ち上がり、事件が解決したことの喜びを噛みしめながら息をはいた。
「お疲れ様、モルダー。見事な勝利だったわよ。
やっぱり私たちは最高のコンビね。」
スカリーが笑いながら言う。
「ああ、その通りだ。
スカリーの励ましの言葉が無ければ、俺はここまで戦えなかった。
今までも、そしてこれからも、僕の相棒は君しかいないさ。」
スカリーも微笑みながら頷き、それを見たスキナーが俺達の肩をぽんぽんと叩く。
「お前達の言う通り、Xファイルでの最高のコンビだ。
何より二人とも無事だったことが喜ばしい。
さあ、みんなで一緒に俺達のいるべき場所に帰ろう。」
そう言って俺とスカリーの背中を押しながらスキナーが歩きだす。
スカリーと目が合い、お互い無事でよかったわね微笑み合う。
そして俺は途中で立ち止まった。
「どうしたんだ、モルダー?」
怪訝そうに尋ねるスキナー。
「もしかして、何処か怪我でもしているの?」
心配そうに聞いてくるスカリー。
俺は唇を噛みしめながら言った。
「とりあえず、トイレに行かせてくれないか。」

事件が解決して3日が経ち、みんなはいつものように仕事をこなしていた。
スキナーは包茎改善の本を読み、スカリーはキャサリンの為に体に良いマヨネーズをネットで探し、ジェフは片手にチキン、片手にハンバーガーと相変わらず食ってばかりいた。
俺はというと今日は休日で、眠たい体をシャワーとコーヒーで起こした後、ベッドに座ってくつろいでいた。
後でスキナーから聞いたのだが、レイは以前にロスアンゼルスで裸にオムツ姿の男数人を引き連れ、排泄をコントロールして有意義な人類の発展をと言いながらデモをして新聞で話題になったことがあったそうだ。
レイにはレイの考え方ややり方があって、それが少し強引すぎて今回の事件を引き起こしてしまったようだ。
願わくば、次はもっとマシな形で迷惑の無いように自分の考えを主張してもらいたいものである。
俺は着信に残るスカリーの伝言を聞き、今日もキャサリンとランデブーをする為に出かけることになる。
そして玄関まで来た時に、何か暗い闇の影が心をかすめたような気がした。
すかさずケータイを手にと取り、彼女の番号をプッシュする。
数回のコールの後、聞き慣れた声が出た。
「おはよう、モルダー。
もうキャサリンに餌はやってくれた?」
俺は真顔で、遠い目をしながら答える。
「いや、それは今からだ。それより・・・。」
俺は一つ息をはいて彼女に言う。
「スカリー、事件だ。」
受話器の向こうで呆れたようなため息が聞こえ、皮肉っぽく笑いを含んだ声で返してくる。
「またなの、モルダー。」
今日もXファイルの事件が俺を呼んでいる。
彼女との名コンビでそれに立ち向かわねば。
俺はスカリーのため息まじりの声を聞きながらこう言った。
「僕の勘がそう言ってるんだ。」

                          第十話 最終回 完

第十話 僕の相棒は君しかいないさ(3) 

  • 2010.04.28 Wednesday
  • 16:54
 工場の外はまだ夕方の明かりが残っていて、逃げて行ったレイを追うのには問題はない。
スカリーは先ほどまで人質になっていたとは思えないほど精神的な消耗は見せず、俺と並んでレイが消えていった方へと勢いよく走っている。
スカリーを取り戻せたことで俺の中の不安と焦りはほとんど解決されたが、それは個人的な問題で、FBI捜査官の身分としてはレイを捕まえるまでは完全に安心することは出来ない。
人通りの少ない入り組んだ路地が続き、もはやレイの姿は見えない。
しかしスカリーが自分が誘拐され、閉じ込められていた場所は覚えていたのでおそらくレイもそこに逃げ込むつもりだろうということで、俺達は必死にその場所を目指していた。
「スカリー、君が閉じ込められていたのはどんな場所なんだい?」
走りながらも冷静に彼女は答えてくる。
「この辺りには他にも廃工場があるのよ。その工場内の一室に閉じ込められていたわ。
レイの他に数人の話し声が聞こえていたから、組織的な犯行じゃないかしら。」
レイはいつも我々と言っていた。
やはり彼は何らかの組織の一員であり、先ほどスキナーが言っていた「レイを調べていたら分かったことがある」という言葉もそれに関係するものだろう。
「そしれにしても。」
スカリーが俺の方を見ながら言った。
「何で服を着ている時、あんなに恍惚とした表情だったの?
もしかして、また変態度が増したのかしら。」
その言葉に反論は無く、俺はこのまま変態度が増していけば、一体どんな変態的行為に及ぶのだろうと悲しくなってしまう。
しかしそこから新たな快感が得られるのなら、それはそれでいいかもしれないと思ってしまう自分が情けなくなる。
とりあえず今は俺の変態に関することは置いておくとして、レイの後を追うのが先決である。
連れてこられた道のりを把握しているスカリーが先導し、俺はまだ少し金的蹴りの余韻が残るあれを気にしながら彼女に着いて行った。
10分ほども走った頃、スカリーが急に足を止めた。
「ここよ。」
それは俺達がいたのと同じような廃工場で、中からはやはり錆びた鉄の臭いが漂っていた。
「敵は一人じゃないはずだ。慎重に進もう。」
そう言って俺は拳銃を構え、スカリーを俺の後ろに下がらせた。
中に入ると錆びた鉄とは別の異様な臭いが漂っていて、これはキバールの部屋で嗅いだ悪臭と良く似ていた。
俺とスカリーがあまりの臭いに鼻を押さえていると、裸にオムツを穿いた数人の男を引き連れたレイが現れた。
「やあ、お二人さん。ようこそ我がアジトへ。」
高らかに笑いながら、裸のままのレイが俺達を歓迎するかのように言った。
「お前を誘拐の容疑で逮捕する!観念しろ!」
拳銃をレイに突き付け、一歩前へ出た。
「ふふふ、逮捕ねえ。
モルダー、私は大いなる目的の為に動いている。
それは君たち一般人には理解し難いだろうがねえ。」
目を細めながら薄ら笑いを受けべてレイが続ける。
「何故私だけオムツをしていないか分かるかね?」
そんなものは分かりたくもない。
だが是非聞いてくれと言わんばかりの目をしているので一応聞いてやった。
「何故だ?」
他のオムツを穿いている男たちは急にしゃがみ込み、両手を上げてレイを称えるような仕草を始めた。
「それはねえ、俺が完全体となったからだ。」
「完全体?」
何のことか分からず、思わず聞き返した。
「どういうことかと言うと、自分の排泄を完全にコントロール出来るようになったのだよ。
もう私にはオマルもオムツも必要ない。
これがどういうことか分かるかね?」
分かりたくもないが、聞き返してほしそうな目をしていたので一応聞き返した。
「分からない?どういうことだ?」
そう言うとレイはタップリ間を取ってからこう言った。
「トイレを我慢する必要が無くなったのだよ。」
「何だって?」
「友達といる時、恋人とデートしている時、映画を見ている時、仕事をしている時、我々はいつも排泄という行為の為にその有効な時間を割くことになる。
せっかくの大事な時間なのに。
だがまだトイレに行ける状況ならいいとしよう。
しかし考えてみたまえ。
彼女との初デートで映画館を選んだとする。
その時に強烈な尿意がもよおしたとしよう。
初めてのデートの時に「オシッコに行きたいからちょっと抜けてくるわ」などと言えるだろうか。
もしそんなことをすれば初デートでの彼女に対する印象は間違いなくマイナスだ。
結局男は彼女の好意を取るか、オシッコを取るかで肉体的にも精神的にも追う詰められて疲弊してしまうだろう。
初デートなのに。」
確かに一理ある。
しかしスカリーは呆れ顔で枝毛を探していた。
「それだけじゃない。
大事な仕事の会議中、急にもよおしてきたとしよう、大の方が。
こんな所で漏らすわけにはいかない。
しかし途中でウンコをしたいのでトイレに行かせて下さいと言うのには相当な勇気がいる。
結局この場面でも肉体、精神共に大きな負担を強いられることになる。」
それも一理ある。
しかしスカリーは見つけた枝毛を抜いていた。
「分かるかね。排泄を完全にコントロールするということは、日々のこのような場面で便意、尿意に悩まされて有意義な時間を台無しにせずに済むということなのだよ。
もし人類がこの技をマスターすれば、世の中はもっと効率的に発展していくことだろう。」
周りのオムツの男たちが「ミスター・レイ!」「ミスター・レイ!」と両手を上げながら歓喜の声で称えている。
俺も確かにその理屈は何となく分かるなと、妙に納得してしまった。
「ここにいるオムツを穿いた男達はまだ修行中の身でね。
しかし後半年もすればかなり完全体に近づくはずだ。
どうだ、素晴らしい理想計画だと思わんかね。」
クソ!以外に理屈の通った主張で、俺は反論することが出来なかった。
こんなことでは奴を逮捕出来ないというのに。
「さあ、我が弟子達よ。あいつらを捉え、我が同志にするのだ。」
レイがそう言うとオムツ姿の男達がわらわらとこちらへ迫ってくる。
うわあ!怖ええ!
凄まじいいまでの生理的恐怖だった。
拳銃を構えていた俺の手は震えだし、上手く照準を合わすことが出来なくなる。
もう駄目かと思った時、スカリーがレイに向かって言い放った。
「馬鹿な男。
それって結局今までのあなたの失敗談でしょ。
要するに、あんたは初デートの映画の途中にオシッコに抜けて、それが原因で彼女に振られた。
そして会社の会議中にトイレに行きたいと言えず、まあきっと彼女のことがトラウマになっていたんでしょうね、それでトイレに行きたいと言いだせないまま会議中に漏らしてしまった。大の方を。
そして恥ずかしさのあまり次の日から会社へ行けなくなった。
違うかしら。」
そう言ってスカリーは俺から拳銃を奪い取り、迫り来るオムツの男達を片っ端から撃った。
「ぐわあ!」「ぎゃあ!」
辺りに悲鳴がこだまする。
「安心しなさい。足を撃っただけよ。死にはしないわ。
さあ、レイ。私の主張はどうかしら?」
スカリーは撃った拳銃の煙をフッと口で吹き消し、腰に手を当てて凛として立っている。
俺は心の中で思わず「カッコイイぞ、スカリー!」と叫んでいた。
レイは青ざめた顔をして体中を震わせ、目には涙を溜めていた。
うおおおおおおおお!発狂したように叫び、両手で頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
「お前らに!お前らに何がわかるう!
俺はいつもここぞという時に排泄にうよる奇襲攻撃でチャンスを逃してきたんだ。
あの時だってそうだ!
有名な一流大学の試験中に急に尿意をもよおしてきた。
俺は漏らすよりマシだと思って途中でトイレに抜けたんだ。
そしたら時間が足りなくなって試験は不完全。
当然大学には落っこちたよ!
こんな話を上げればきりがない!
その苦しみを!辛さを!
お前らに分かってたまるかあああああ!
俺は俺と同じ苦しみを持つ奴を助けようとしただけなんだああああああ!」
発狂したレイは目の前でもがき苦しみ、やがてそれが収まるとゆっくりち立ちあがった。
「もう何かもかも終わりだ。計画に当てるはずだった一億円は手に入らず、同志は足を撃たれてもんどりうっている。
しかも俺の恥ずかしい過去を暴露され、もう手元にには何も残ってはいない。
こうなったらウンコ爆弾を爆発させてみんな巻き添えにしてやるう!」
そう言って工場の悪臭漂う奥の部屋に入り、中から鍵をかけて出てこなくなってしまった。
「ははは、このウンコ爆弾が爆発するまでのタイムリミットは5分だ。
こいつでみんなウンコまみれになればいいのさ、ははは!」
クソ!何とかこいつを止める手立ては無いのか!
焦る俺の肩に手を置いてスカリーが言う。
「大丈夫、落ち着いて。あなたなら、いいえ、私達ならきっとこの状況を何とか出来るはず。」
そう。そうだった。
今まで俺たちは二人でどんな難事件にも立ち向かってきたじゃないか!
何か、何か方法があるはずだ!
俺はしばらく考え込んだ末、あることを思いついた。
「スカリー、俺を信じて任せてくれるかい?」
彼女はニッコリと微笑み、優しく頷いた。
ようし、もう方法はこれしかない。
俺はレイが閉じこもった部屋に近づき、奴に言った。
「俺と勝負しよう!
どちらがオシッコを我慢できるか勝負するんだ。
お前が勝ったらそのウンコ爆弾を爆発させるがいい。
しかし俺が勝ったらウンコ爆弾を停止させて、大人しく自首するんだ。」
レイからの返事は無い。
俺は続けた。
「ここには修行の為に、オシッコをもよおさせるはずの水が大量にあるはずだ。
お互いにそれを飲んで、どちらがより耐えられるか勝負しようじゃないか!
それとも俺と勝負するのが怖いのか、この臆病者め!」
しばらく待った後、レイの閉じこもっていた部屋のドアが開いた。
「ククク、俺がビビるだと。この身の程知らずめ。
いいだろう。俺とお前のオシッコの我慢の差、どれほど開きがあるか見せてやろう。」
ここからは俺とレイの一騎討ちだ。
もし俺が負ければそこら中に悪臭が漂ってしまう。
何としても勝たなけれな!
「スカリー、何処かに水があるはずだ!
悪いが取って来てくれ!」
スカリーは頷き、足を撃たれてもんどりうっているオムツの男から水の在りかを聞き出している。
そして水を取りに行く途中、ポツリと言った。
「どっちが勝っても、臭いそうね。」
確かにそうだが、もうこれしか思いつかなかった。
そして俺は頭の中で言った。
俺のはそんなに臭くはないぞと。

                          第十話 またまたつづく

第十話 僕の相棒は君しかいないさ(2)

  • 2010.04.27 Tuesday
  • 13:51
 薄暗い工場内に、どこで滴っているのか水の垂れる音が響く。
錆びた鉄の臭いと、埃っぽい空気が不愉快に鼻を刺激して苛立ちを募らせる。
今はもう動くことはない様々な機会が、錆びた体を横たえて静かに眠っているように思えた。
俺は一億円の入ったバッグを持って、レイとスカリーが現れるのを待っていた。
電話で俺を指名したレイの条件はこうだった。
現金一億円を持って俺一人で指定された廃工場まで来ること。
それ以外の捜査官は一切同行させないこと。
もし他の捜査官も来たらスカリーの無事は保障出来ない。
そして指定の場所に午後4時に来いというものだった。
スキナーや他の捜査官と相談した後、俺が奴の指定通り、一億円を持ってこの廃工場へ来たわけだ。
スキナーから渡された魔のパンツは脱いで、裸も何だか飽きてきたので一応服を着てここに立っている。
何時現れるかもしれないレイに、俺は焦りと苛立ちを募らせながら待っていた。
そしてここに来て30分ほど待った頃、奴はスカリーを連れて現れた。
「スカリー!無事か!?」
俺は叫ぶように彼女に尋ねた。
「来てくれたのね、モルダー。私は大丈夫よ、心配しないで。」
その言葉を聞いて安心し、俺は少しネクタイを緩めた。
「ふふふ、感動の再会の挨拶は終わったかな?」
レイがいやらしげに笑って言う。
「お前の言う通りに俺一人で一億円を持ってきた。
さあ、スカリーを開放しろ!」
レイはチッチッチという風に指を振って見せ、高らかに笑いながらスカリーを縛っているロープを引き寄せた。
勢い余ってスカリーが倒れ込む。
ロープに縛られているスカリー。
俺はこんな時に何を興奮しているんだ!
「まずが一億円が先だ。そいつをそこに置いてお前は後ろへ下がるんだ。」
俺は奴の指示に従った。
「ああ、それと。武器を持っていないか確認させて貰わないとな。
服を脱いで裸になれ。」
しまった!
万が一を考えて拳銃を所持してきたのだが、奴にはお見通しということか。
「さすがに裸になるのは恥ずかしい。
パンツ一丁で勘弁してもらえないか。」
クソ!何を今さら恥ずかしがっているんだ。
さっきまで俺は裸だったじゃないか。
「確かにお前の言うことにも一理ある。
だから俺も裸になろう。」
そう言ってレイな服を脱いだ。
向こうが裸になってはこっちもならないわけにはいかない。
俺も裸になった。
俺は奴のものが俺よりも一回りデカイな、などといらぬことを考えていた。
「変態が二人・・・。」
スカリーがポツリと呟いた。
「よし、いいだろう。
ではそこから動くなよ。」
レイは俺のいた所まで歩いて来て一億円を手に取った。
「さあ、約束だ。スカリーを放せ!」
レイはまた高らかに笑って指を振った。
「申し訳ないが彼女は開放出来ない。」
「何だと!?」
「彼女はこれからも我々の有効な交渉のカードとして利用するつもりだ。
残念だったな、モルダー。」
「約束が違うぞ!」
いくら俺が吠えようと、レイはスカリーを放すつもりは無いようだった。
「一億円は確かに受け取った。また会おう!」
そう言ってスカリーを連れたままレイが去ろうとした時、ピタと奴の動きが止まった。
「思っていたより小さいのね。」
スカリーがレイに向かって何か言っていた。
「あたなのあれ、思ってたより小さいわ。
色も形も良く無いし。
それに何だか臭うわ。」
レイは一瞬凍りのように固まり、物凄く悲しそうな顔をしていた。
「まるで出来の悪いホットドッグみたい。
醜いわ。さっさとしまって頂戴。」
レイは涙ぐんでいた。
そして奴が一瞬スカリーのロープを握る手を緩めたのを俺は見逃さなかった。
俺は裸のままダッシュしてレイに体当たりをした。
裸のままもんどりうって転がっていくレイ。
その手からスカリーを縛っているロープの手が離れた。
「大丈夫か、スカリー!?」
裸のまま彼女を抱え起こし、縛っていたロープを解いてやる。
「ありがとうモルダー。あなたならきっと助けてくれると信じていたわ。」
俺は笑顔で彼女の言葉に応え、優しく立ちあがらせた。
裸のままで。
「何処も怪我は無いか?」
「ええ、大丈夫よ。
ただもう少しでオシッコを我慢するようにさせられかけたけど。
金的を蹴飛ばして罵ってやったわ。」
それでこそスカリーだと思い、この状況なら許されるだろうと彼女を強く抱きしめた。
裸のままで。
金的蹴りはこなかった。
「今回は助けてくれたお礼にこれくらいなら許してあげるわ。
開放してくれてありがとう、モルダー。」
俺は天にも昇る思いになり、さらに抱きしめようとしたら金的蹴りをくらった。
その場にうずくまる。
裸のままで。
「一回抱きしめれば十分でしょ。
それよりも奴が逃げるわ!」
俺は股間を抑えながら立ち上がり、逃げて行くレイを捕まえようとしたが、残念ながら取り逃がしてしまった。
クソ!もう少しだったのに。
うなだれる俺にスカリーが言った。
「追いかけましょうモルダー。今ならまで間に合うわ。」
確かにそうだ。
諦めてはいけない。
俺は脱いだ服からケータイを取り出し、捜査本部に電話をかけた。
「スキナーか?モルダーだ。
スカリーは無事に助け出したが、レイの奴は取り逃がしてしまった。
今から後を追う。」
スキナーはスカリーの救出を多いに喜んだが、奴を追うのは危険だと言った。
迎えをやるから一旦スカリーと捜査本部に戻るようにと。
しかし俺はそれに反対した。
時間を置けばレイに逃げられてしまう。
追うなら今しかないと。
スキナーは唸っていたが、やがてため息をつくようにこう言った。
「分かった。お前は優秀な捜査官だ。お前の判断に任せよう。」
さすが俺の上司だ。
話が分かる。
「スカリー、俺はレイを追う。
君は迎えが来るまでここにいるんだ。」
電話越しに聞いていたスキナーもその方がいいと言う。
しかしスカリーは納得しなかった。
「いいえ、私も行くわ。
なんたって私を誘拐した身の程知らずな犯人なんだもの。
大人しく待っているなんて出来ないわ。それに・・・。」
少し間を置いて彼女は言った。
「私はあなたの相棒でしょ。」
その通りだ。
俺たちはいつだって二人で難事件に立ち向かってきた。
言うなれば命を共にした戦友のような相棒だ。
俺は彼女の言葉に納得した。
「分かったよ。君の言う通りだ。
俺達は最高のコンビさ。
どんな事件だって二人で解決してきた。
今回だって例外じゃないさ。」
電話越しにやれやれと言った声が聞こえてくる。
「スキナー。聞いていた通りだ。
今から二人でレイを追う。
必ず捕まえると約束するし、スカリーは俺が絶対に守ってみせる。
だから・・・。」
「分かったよ。そこまで言いだしたら聞かないからな、お前らは。
こっちでレイのことを調べていたら少し分かったこともある。
今から俺達も応援に駆け付けるから、それまで無事でいろよ。」
「勿論だ。また二人で裸バーへ飲みに行こう。」
「ああ、事件が解決したら是非。」
そう言って電話は切れた。
「話は終わった?」
スカリーはいつものように皮肉っぽい笑顔で髪を掻き上げながら聞いてくる。
俺はレイの逃げて行った先を見つめ、少し格好をつけてスカリーに行った。
「さあ、捜査の開始だ。Xファイルの名コンビが今回も大活躍する時間がやってきた。」
俺はレイの逃げて行った方に目をやり、一つ息をついて言った。
「よし、行こうスカリー。」
彼女を促し、レイの後を追う為に走りだした。
そしてスカリーが言った。
「モルダー、服は着ていってね。」
そう言えば俺は裸のままだった。
彼女に言われた通り、いそいそと服を着ている間、俺は思った。
裸でいるより、裸から服を着て行くのを見られる方が恥ずかしいなと。
新たな快感の発見だった。

                           第十話 またつづく

第十話 僕の相棒は君しかいないさ

  • 2010.04.26 Monday
  • 14:58
 緊迫したFBIの捜査本部では、誰もが慌ただしく走り回っていた。
多くの捜査官が資料を手に話し合い、また忙しく電話をかけていた。
ピリピリと張り詰めた空気の中、俺は少し肩の力を下ろそうと喫煙所でタバコをふかしていた。
いつもの倍はいるであろう捜査官が駆け回る中、俺は心の中で最も信頼出来る相棒のことを考えていた。
「スカリー、どうか無事でいてくれ。」
事件が起きたのは三日前。
FBIにレイと名乗る男から電話がかかってきた。
その男は名指しで俺を指名し、お前の大切な相棒は預かったと言った。
レイ?
何処かで聞いたことのある名前だと思ったら、キバールのオシッコ我慢事件の時に電話をかけてきた男だった。
あの事件も、元はこの男が無垢な少年の心に付け込んで引き起こしたものだった。
俺は大切な相棒と言われてすぐにスカリーを思いう浮かべた。
「スカリーを誘拐したというのか!?何の為に?
お前は一体誰なんだ!?」
「ふふふ、詳しいことはまた連絡する。それでは。」
そう言って電話は切れた。
そしてその翌日にまたレイから電話がかかってきた。
また俺を指名してきた。
「やあモルダー。元気にしているかな?」
「スカリーは!スカリーは無事なのか!?」
レイはおどけたように笑い、お前の相棒は無事だと言った。
「モルダー。スカリーを返して欲しければこちらの言う条件に従うことだ。」
俺はスカリーの為なら何だってする。
レイの要件を聞いた。
「二日後にまた連絡する。その時に詳しいことを。
それと下手なまねはしないことだ。君の大切な相棒の無事を保障しかねるのでね。
我々は大いなる目的の為に動いている。
彼女はその人質というわけだ。
ではまた二日後に連絡する。」
そして電話は切れた。
今日がレイが言っていた日だ。
何時かかってくるかも分からない電話に、捜査本部は慌ただしく動いていた。
俺が一本目のタバコを吸い終える頃、スキナーが喫煙所に入ってきた。
パンツだけ穿いて。
今やこのパンツスタイルはFBIで未来を先取りするクールビズだと大人気で、先ほどから目の前で動き回っている多くの捜査官もパンツ一丁だった。
ちなみに俺はというと、裸だった。
スキナーが心配そうに俺に話しかけてくる。
「モルダー。スカリーはきっと無事だ。
何たって君の相棒を務めるくらいだからな、今頃独力で脱出しているかもしれんぞ。」
もしそうならスカリーはすぐに俺に連絡を寄こすわけで、それはスキナーも分かっている。
焦燥している俺を励まそうとする彼の優しさだというのは分かるが、俺はそんな言葉も聞き入れられないくらいに焦っていた。
二本目のタバコに火を付け、長く煙を吐き出しながら俺は言った。
「スカリーが無事でいてくれたらそれいい。
だがその為に今はただ待っていることしか出来ないのが辛いんだ。」
スキナーはパンツの中からパンツを取り出し、それを俺に勧めてくる。
「裸だと風邪を引くぞ。
せめてパンツくらい穿くんだ。
私のブリーフだがな。」
俺は彼のブリーフを受け取り、それを穿いてまたタバコを吸った。
「少しデカイな。股の所が黄ばんでいるし。」
「贅沢をいうな。穿けるだけでもありがたいと思え。」
スキナーは笑いながら言った。
俺はスカリーの身に何かあったらどうしようかと、パンツの黄ばんだ部分を見ながら考えていた。
あの抜け目の無いスカリーが誘拐されるなんて。
レイは我々と言っていた。
ということは奴は何らかの組織に所属しているということだろうか?
もし大規模な組織ならスカリーを誘拐することくらいわけは無いのかもしれないが、それでも彼女が誘拐されるなんて、俺は自分を責めた。
家で痛車の動画サイトなど見ていた自分が悔やまれる。
そんな俺の気持ちを察してか、スキナーが言う。
「モルダー。自分を責めるな。
彼女が誘拐されたのは君のせいじゃない。」
スキナーの股間の部分も黄ばんでいて、それは最初に見た時より色が濃くなっている気がした。
ちょっと漏らしているのだろうか?
俺は二本目のタバコも吸いつくし、大き目のパンツを穿き直しながらこれからのことを考えていた。
「俺のせいじゃないのは分かっている。
しかしどうしても家で痛車のサイトなんて見てはしゃいでいた自分が情けなくなるんだ。
それに問題は、どうやってスカリーを取り戻すかだ。
今日はレイが連絡を寄こすと言っていた日だ。
俺は奴の電話を待つことしか出来ない自分が歯がゆいんだ。」
ふと見るとスキナーがパンツからブラジャーを取り出し、自分の胸に着けようとしていた。
「君も着けるか?心が落ち着くぞ。」
俺は首を振って拒否し、一体そのブラジャーは誰の物なのだろうとどうでもいいことを考える。
スキナーの黄ばみはやはりさっきより濃くなっていて、俺はこんな所で漏らすなよと辟易とする。
その時、捜査官の一人が喫煙所にかけ込んできた。
「奴です。レイからです。
モルダー捜査官を出せと要求しています。」
「何だと!」
俺より先にスキナーが立ち上がり、捜査本部のある部屋へ走っていった。
「モルダー!君も早く来るんだ!」
勢いよく走っていくスキナーの背中は必ず事件を解決してやるぞという覚悟に満ちていて、俺はそれに勇気づけられるように喫煙所を飛び出し、彼の後を追った。
スキナーのパンツの後ろは、こんもりとして茶色くなっていた。
俺は萎えた。
事件を解決したいのは分かるが、先にトイレに行くべきだ。
俺は走りながら捜査本部のある部屋に向かい、スカリーの無事を祈っていた。
何気なし見た俺の股間は、さっきより黄ばんでいた。
俺はスキナーから魔のパンツを穿かされたようだった。
裸の方が良かった。

                            第十話 つづく

第九話 僕はいつだって紳士さ

  • 2010.04.25 Sunday
  • 13:07
 仕事も一段落つき、俺とスカリーは久しぶりにランチを一緒にしようということになって近くのカフェで軽食でも食べようということになった。
本当はこじゃれたレストランでランチを御馳走したかったのだが、財布の中身がそれを許さなかった。
ここは職場の近くにあるカフェで、昼休みともなるとかなり込み始める。
軽食とは言ってもここはレストランに近いくらいの品ぞろえと品質を誇っており、安く美味しいものを求める人達でごった返すことが多かった。
幸いにも俺とスカリーはテラスの日当たりの良い席に座ることが出来て、俺の心は晴天の太陽と相まって弾んでいた。
スカリーとランチを共にするのは久しぶりだった。
例えここが場末の立ち飲み屋だったとしても俺の心は弾んだだろう。
「うーん、中々決まらないわね。オムライスにでもしようかしら。」
髪を掻き上げながらメニューを眺める彼女の顔に太陽の光が陰影を作り、俺はその色気にとろけそうになる。
「じっくり選べばいいさ。僕はピラフにでもしようかな。」
彼女は少し迷った後、やはりオムライスに決めたようだ。
ウェイターを呼んで注文を済ませ、食事が届くまでの時間を、俺はわずかに緊張しながら水で口の中を湿らした。
「こうやってランチを一緒にするなんて久しぶりだな。」
「そうね。最近は忙しくてそんな暇が無かったものね。
あなたとランチなんて久しぶりで嬉しいわ。」
俺はヒャッホウーと心の中で叫んでいた。
「しかしまあ、何と言うかこうやって面と向かうと何を話していいやら迷ってしまうな。」
俺はもう一度水で口を湿らせ、見るでもなく通りの方に目をやった。
「あらそう?私は前まら一度あなたとじっくり話しがしたいと思っていたわ。」
俺はヒャッホウーを心の中で二回叫び、水を一気にグイっと飲み干してしまった。
「君が俺とじっくりと話をしたいだなんて以外だな。
キャサリンの餌やり以外に最近君との接点が少なくなっていたから正直寂しかったよ。
それで、何をじっくり話したいんだい?」
ウェイターが料理を運んで来て、俺はそのピラフを頬張りながら彼女の答えを待った。
スカリーは真剣な顔をしていて、スプーンでオムライスを軽く突いていた。
「あのね、私前から思っていたんだけど、最近のあなたって変態度が増してきてると思うの。」
俺はピラフを吹いた。
「何だって?」
「前から宇宙人だのUFOだの言って少し変態じみた所はあったけど、最近はひどくなってきている気がするのよ。」
「俺はいたって普通だぞ。今さら何を言っているんだ?」
スカリーは深くため息をつき、オムライスを一口食べて言った。
「あなたは自分で自覚はないの?
確かに私も腐女子な部分はあるけど、あなたほどじゃないわ。」
あきれ顔でもう一口オムライスを食べる。
「私って心が広い方だからあなたにつきあってあげているけど、普通の女性ならドン引きしている所よ。」
俺は首を振りながらスカリーに反論した。
「悪いがスカリー。君の言っている意味が分からない。
君だってこの前東京タワーとエッフェル塔がどうのとか言って事件を解決していたじゃないか。
あれだって十分普通の思考回路じゃ無いと思うぞ。
それに確かに俺はちょっとおかしな所があるかもしれないが、変態度が増してきているなんてことはないさ。
昨日スキナーに付き合って深酒をして、今日だって二日酔いで頭がガンガン言っているが、さっきまでちゃんと仕事もこなしていただろう。」
自分が確かに少し変態であることは分かっているが、俺は健全な変態であって、どうしようもない変態ではない。
それにしても今日はやけに寒いなと思った。
こんなに晴れているのにどうしてだろう?
「あなたは優秀な捜査官だけど、自分のことはからっきしなのね。」
スカリーが突き刺さるような目で俺を見る。
一体何だというのだ?
「分かった。君の言う通り、俺の変態度が増してきているとしよう。
それで、具体的に何処が変態になってきているんだ?」
スカリーは水を一口飲み、真っすぐに俺を見て答えた。
「今日のあなた、服を着ていないわ。」
そう言われて見てみると、確かに俺は裸だった。
しかしそれがどうしたというのだ。
裸でも仕事は出来るし、食事も出来る。
他の人間が服を着ていても、俺は裸で何が悪い。
サービスで食後のコーヒーが運ばれてきて、俺はそれを手に取った。
良く晴れたカフェのテラスで、裸の男が太陽の光に目を細めながら足を組んでコーヒーを飲む。
実に開放的じゃないか。
周りの視線など気にすることは無い。
俺は裸でコーヒーを飲み続けた。
そして頬杖をついてそれを眺めるスカリー。
「あなたって、ある意味素敵かもね。
でもやっぱり変態だわ。」
スカリーが伝票を持って立ち上がる。
「ここは私のおごりでいいわ。
また一緒にランチをしたいのなら、最低でもパンツくらいは穿いてきてね。」
そう言ってスカリーは去って行ってしまった。
そうか。
パンツくらいは穿くべきだったか。
スカリー。君の言葉に一つ訂正しなければいけないことがある。
それは、俺の変態度が増してきているのではなく、俺の頭がおかしくなってきていることだ。
何故今日裸で来たのかは自分でも分からない。
多分、そんな気分だったんだろう。
何たってスカリーに言われるまで自分でも気が付かなかったのだから。
だがどんなに見た目が変態でも、僕はいつだって紳士さ。
だから、次はパンツくらいは穿いてこよう。
俺は立ちあがり、恥ずかしがることもなくそのまま職場へ戻る。
途中ですれ違った通行人に笑顔で挨拶したが、驚いた顔をして走り去ってしまった。
そしてまたすれ違った通行人に笑顔で挨拶するとその男も裸だった。
俺は何だか嬉しくなって手を振った。
向こうも笑顔で手を振り返してきた。
スキナーだった。

                            第九話 完

第八話 無駄な努力もたまには実るさ(3)

  • 2010.04.24 Saturday
  • 11:40
 人気の少ないショッピングモールの屋上で罵声を上げながらののしり合う、晴れた日の休日。
この休日は、俺の正しい過ごし方でないことは確かで、家で惰眠を貪ることと天秤にかけても確実に惰眠の方が有意義な気がする。
屋上にまばらにいた人達は、最初はこの修羅場を面白そうに眺めていたが、気が付けばみんな何処かへ消えていた。
過激なアトラクションも、長く眺めていれば嫌気がさして飽きてきたのだろう。
今屋上にいるのは俺と罵り合っている三人だけである。
頭が完全に沸騰しているスキナーはもうどんな理屈も受けつない様子であったが、それを必死に奥さんとニコライがなだめている。
俺もそろそろこの無意味な罵り合いに付き合わされるのはごめんなので仲裁に入ることにした。
「みんなとりあえず落ち着こう。スキナー、君はそれでもFBIの人間か?
冷静さを欠くにもほどがある。少しは頭を冷やすんだ。」
俺の言葉で一旦罵り合いは止まり、スキナーは頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
「あなた、ごめんなさい・・・。こんなことになるなんて。
おなたを傷付けたことを謝るわ。」
奥さんは申し訳なさそうにスキナーの肩に手を置いてそう言った。
スキナーは声を殺して泣いていて、細かく震える肩からはいつもの毅然としたスキナーからは想像も出来ないほど惨めに見えた。
「くそう。何でなんだ。やはり俺が包茎だから・・・。」
いつまで言ってるんだ!
さっきからそればかりである。
「あ、あの、その。こんな大事になるなんて・・・。
すみません。僕は奥さんと不倫をしていました。1ヶ月前に奥さんが道端でナマズの飼い方という本を落としたのを僕が拾ったことがきっかけなんです。
目を見た瞬間に野菜的な奥さんの顔にビビっときて、それで僕の家に誘った所から始まったんです。
最初は軽い気持ちだったんですが、だんだん深い仲になっていって・・・。
でも信じて下さい。僕は何処かでけじめをつけて関係を終わらせるつもりだったんです。
だって、奥さんが本当に愛しているのは旦那さんなんだって付き合っているうちに分かったから。
ちなみに僕は包茎じゃありません。」
「このお!」
途中までは大人しく聞いていたのに、包茎じゃ無いと分かった途端に怒りだしたスキナーを俺は制止し、これ以上怒ると体に悪いぞと言ってなだめる。
「あなた。ごめんなさい、不倫なんかして。
でも信じて。私が愛しているのはあなただけなのよ。
君のそのカボチャのような栄養たっぷりな顔と、大豆のようなタンパク質豊富な感じの性格に惚れた。
俺を一生支えてくれってプロポーズしてくれた言葉は今でも忘れないわ。」
奥さんは涙を流しながらニンジンが描かれたハンカチで口元を押さえている。
どこまでも野菜的な人だ。
「ニコライ、ごめんなさい。あなたとの関係は今日で終わりよ。
やっぱり私にはこの人しかいないから。」
「いや、僕の方こそ申し訳ない。
実は今日のデートが終わったら、僕の方もそろそろこの関係を終わりにしないかと言おうとしていたんだ。
こんな関係はいつまでも続けておくべきじゃないからね・・・。」
どうやら奥さんとニコライは話しがついたようだ。
問題はスキナーだが、この二人を許してくれるのだろうか?
スキナーはまだ泣いていて、ポケットから取り出したハンカチで涙を拭っていた。
「お前、どうして浮気なんかしたんだ?やっぱり俺が包茎だから・・・。」
まだ言うか。
「そんなことで浮気なんかするわけないでしょう。あなたの包茎なんか27年間付き合ってきてもうとっくに慣れているわよ。
ただ最近は仕事が忙しいからってあまり二人の時間が持てなかったじゃない。
それで寂しくなってつい・・・。」
「そうなのか?」
涙で赤くなった目でスキナーが奥さんを見上げる。
「私はもっとあなたとの二人の時間が欲しかったの。
でも仕事の邪魔は出来ないと思ってすっと我慢していたのよ。
それで寂しさを紛らわそうとナマズでも飼おうと思ったの。
ナマズの飼育の本を買って、その帰りにニコライと出会ったのよ。
でもね、信じて。私が本当に愛しているのはあなた一人だけよ。」
「エムリン・・・。」
スキナーは立ちあがって奥さんを抱きしめた。
奥さんもスキナーを抱きしめ、ここに今回の浮気の事件は決着をみたことになるのだろう。
「スキナーさん、本当に申し訳ない。
今後二度と奥さんには近づきません。」
ニコライが真剣な顔でスキナーに謝った。
「今回のことは仕事にかまけてエムリンに寂しい思いをさせていた私にも原因がある。
包茎、包茎と叫んで悪かったな。
もう私の妻には手を出さないと誓うのなら今回のことは水に流そう。」
スキナーはいつもの毅然とした態度に戻っていて、ニコライに対しても大人の対応を見せている。
「勿論です。もうあなたの奥さんに手を出すことはありません。」
奥さんは二コリと笑ってニコライに別れの言葉を言った。
「あなたにも迷惑をかけたわね。もう会うことは無いでしょう。
さようなら。」
俺は何故かちょっと感動し始めていた。
「いや、悪いのは僕の方だから。
どうやらもうここにいてはお二人の邪魔になるようだ。
僕はさっさと退散しますよ。
ではお二人ともお幸せに。」
ジャック・バウアーのように格好をつけて走り去るニコライは、少しだけ本物のニコラス・ケイジに見えた。
しかし屋上から去るときに見せた、本人にとっては最高のつもりの笑顔はやはりくたびれたニコラス・ケイジだった。
「さて、事件は片付いたな。俺もそろそろ帰るとするよ。」
「こんなことに巻き込んですまなかったな、モルダー。
お礼に次回のキャサリンの餌やりは私が代わるよ。」
「気にしなくても、ローテーションから言って次は君だ。
それは俺が代わるよ。
キャサリンとランデブーする時間があったら、奥さんを大事にしてあげることだ。」
「モルダー・・・。」
俺はやっと帰れると思い、大きなあくびをしながらエレベータへ向かう。
去り際に二人の会話が聞こえてきた。
「あなた、随分包茎のことを気にしているのね?」
「う、うむ。そのせいで君を満足させられずに浮気されたんじゃないかと疑ったくらいだからな。」
俺は少し足を止め、二人の会話に耳を傾けた。
「うふふ、私は知っているわよ。あなたが私の為に努力してくれていることを。」
「何のことだ?」
「いやねえ、毎日お風呂でムキムキして鍛えているんでしょう。」
「何故知っている!?」
「分かるわよ。だって最近のあなたのあれ、感度が違うもの。
いつもより長くお風呂に入っていると思っていたらそんなことをしていたのね。」
「う、うむ。」
普通に聞いているとおそろしく恥ずかしくなる会話だった。
「でもそれは全て私を思ってくれてのことじゃない。
だから私はあなたのあれの感度が上がる度に嬉しくなったわ。
だってその分だけ私は愛されているってことじゃない。
あなたの努力、とっても嬉しいわ。
愛してるわよ、あなた。」
「俺もだ、エムリン。」
振り返って見なくても、二人が抱き合っていることは分かる。
恥ずかしく聞いていた会話だが、その中に少し感動も混じっている。
よかったな、スキナー。
無駄な努力もたまには実るさ。
俺はまたあくびをしてエレベーターに乗り、一階のボタンを押して目をつぶる。
やれやれといった休日だった。
今さら帰って惰眠を貪ろうかという気にはなれず、本気で先ほどのセガール似の男のスクワットに混じろうかなんてイカれた考えまで出てくる。
エレベーターが一階に着き、俺は出口に向かって足を進める。
そしてふと出口の近くで外を見るとやはりセガール似の男はスクワットを続けていた。
警官と一緒に。
そしてニコライも一緒に。

                              第八話 完

第八話 無駄な努力もたまには実るさ(2)

  • 2010.04.23 Friday
  • 11:13
 どうしてこうも休日のショッピングモールというのは人が多いのだろう。
何処から掘り出してきたのかというくらい人で溢れていて、真っすぐ歩くことすら困難である。
皆休日というこの日に、仕事という重い日常から解放されたいという願望があることは分かるし、ショッピングモールでの買い物が辛い現実を忘れさせてくれるというのも分かる。
しかし、それでもこの人の多さはどうにかならないものか。
ただ今日に関してはこの人ゴミが、スキナーの奥さんを尾行するのに有効な煙幕になっていることは間違いなかった。
尾行は仕事柄得意ではあるし、素人に気付かれずに後を追うことなど造作もないが、スキナーに関しては個人的事情が絡んでいるので彼が平常心を失わないように気をつけることの方に意識をとられる。
「スキナー、尾行の基本は平常心と常に普通を装おうことだ。忘れるなよ。」
「俺を誰だと思っている。そんなことは百も承知だ。」
そう言いながらスキナーは目を血走らせ、指の爪をかじり、時折股間をいじってそわそわしている。
それに尾行というのにはあまりにも対象との距離が近く、奥さんの50センチ後ろをついて歩いている。
そんなものはもはや尾行では無く、ストーカーだ。
これで気付かない奥さんも鈍いを通り越しているとは思うが。
俺はスキナーの裾をひっぱり、もう少し距離を取るように言った。
「焦る気持ちは分かるが、見つかったら元も子もないぞ。」
「分かっているさ、分かっているが落ち着かないんだ。
相手がどんな男なのか、俺よりカッコイイのか、金持ちなのか、包茎なのか。
考えるだけで気が気じゃ無いんだ。」
「とりあえずたまに股間を触るのだけはやめよう。変態だと思われる。
それに目が血走りすぎてウルバリンのようになっている。
落ち着くんだ。」
ハアーハアーと荒い息遣いのスキナーを何とか諫めながら、俺たちは尾行を続けた。
そして三階にある宝石売り場で奥さんは足を止めた。
「ここか!?ここに男が来るのか!
エムリンよ!俺は包茎でもお前を満足させられるように頑張る、だから俺以外の男と会うなんてやめてくれ!」
「冷静になれ!まだここで会うと決まったわけじゃない。
何度も言うが、落ち着いて様子を見るんだ。」
スキナーの頭からは湯気が立ち上っていて、これ以上何か刺激すれば湯気と一緒に魂まで蒸発してしまいそうな勢いだった。
もう手は股間を触りっぱなしで、通行人の痛い視線に俺は誤魔化しながら笑顔を振りまいていた。
「スキナー、そんなに股間をいじると包茎が悪化して風呂場でのムキムキのトレーニングも無駄になるぞ。」
「む、そ、そうだな。少し冷静になろう。」
奥さんは歩きながら宝石を見ていて、接客に来た店員を笑顔で追い払うと腕時計を確認した。
やはりここが待ち合わせ場所なのか?
「エムリン・・・。」
不安そうに奥さんを見つめるスキナーと二人で、宝石店から少し離れた靴屋で様子を窺っていた。
そして5分ほど時間が過ぎた頃、宝石店にニコラス・ケイジを少しくたびれさせたようなスーツ姿の男がやって来た。
そしてその男を見つけるなり、奥さんは嬉しそうにくたびれたニコラス・ケイジに駆け寄っていった。
「もう、ニコライったら、遅いじゃない。私寂しかったわ。」
「すまない、家で飼っているニワトリが脱走して危うく隣に住んでいるジェフとかいう刑事にフライドチキンにされかける所だったんだ。
君に寂しい思いをさせて申し訳ないと思っているよ。」
ニコライと呼ばれた男がそう言うと、奥さんは人目もはばからず抱きついていた。
これはもう決定的な浮気だ。
「スキナー、気の毒だが・・・。」
そう言いながらふと横を見るとスキナーはおらず、奥さんの方に奇声を上げながら走り寄っていた。
「貴様あ!よくも、よくも内のエムリンに!この野郎!
包茎か!?貴様も包茎かあ!」
ニコライの胸ぐらを掴み、鬼のような形相で包茎を連呼するこの状況を、ビデオで撮って後でスカリーに見せたらどんな反応をするだろう。
「やめてください!何なんですか、あなたは!警察を呼びますよ!」
「俺がその警察だ!しかもFBIだぞ。
おらあ、吐け!包茎なのかあ!」
「やめてあなた!暴力はやめて。」
見かねた奥さんが止めに入るが、面白いので俺としてはもう少し続けて欲しかった。
「なんでここにいるのよ!もしかして私を尾けてきたの?」
「ああ、そうだ。俺は一週間程前にお前が男と腕を組んで歩いているのを見た。
その時から浮気をされているんじゃないかと疑っていたんだ。」
「え?この人はもしかしてエムリンの旦那さん。うわあ、まずいことになったなあ。」
これはいわゆる修羅場というやつだろう。
自分がこの状況に置かれるのは絶対に嫌だが、見ている分には中々面白い。
「貴様!エムリンなどと呼び捨てにしおって!おら、吐け!包茎か?包茎なんだろう!」
「だからやめてって、お願いよあなた。」
ショックと怒りと包茎でパニックになっているスキナーは、今にもニコライに殴りかかかんとしている。
ここはもうそろそろ止めに入るべきだろう。
「よすんだスキナー。ニコライから手を話して、とりあえず頭から包茎を忘れるんだ。
通行人のいい笑い物になっているぞ。」
俺の言葉で少し我に返ったスキナーは、肩で息をしながら通行人の好奇の眼差しにちょっと恥ずかしそうにしていた。
「奥さん、初めまして。旦那さんの部下のモルダーと言います。
ここでは目立つので、とりあえず人目の少ない屋上にでも行きませんか?」
そう言って俺は三人を屋上へ促し、好奇の目を向ける通行人の脇を抜けてエレベーターへ向かう。
「やあ、皆さん。申し訳ない。実はこの三人は宇宙人に頭にチップを埋め込まれていて、ちょっと取り乱している所なんです。
どうぞ気にせず、楽しく買い物を続けて下さい。」
俺は三人の背中を押して足早にエレベーターに乗り、屋上までやってきた。
少し落ち着いたかと思ったら、またスキナーが爆発し始めた。
「エムリン!この裏切り者め!浮気なんかしおって!」
「ちょっと待ってよ。私の話しも聞いて!」
「僕は旦那さんが来るなんて知らなかったんだ。これは一体どういうことなんだエムリン!?」
「だから呼び捨てにするなと言っているだろう。貴様は包茎なのか!?」
「あなた、さっきから恥ずかしい言葉を連呼しないで!」
「そうですよ。何で僕が包茎かどうかなんてあなたに言わなければいけないんですか!」
三人の間では怒号と罵声と包茎が飛び交っていて、それはもう見るに堪えない醜いものだった。
こんなものに巻き込まれるくらいなら、俺もセガール似の男と一緒にスクワットをしていた方がマシだったかもしれない。
奥さんとニコライはともかく、さっきから包茎を連呼するスキナーの頭には本当に宇宙人のチップが埋め込まれているんじゃないかと思った。
スカリー、今日俺は厄日らしい。
スキナーが包茎であることをスカリーも職場のみんなも知っているとスキナーが分かったら,きっと彼の頭のチップは爆発するだろう。

                           第八話 またつづく

第八話 無駄な努力もたまには実るさ

  • 2010.04.22 Thursday
  • 11:03
 目の前をウェイトレスが慌ただしく行き来し、注文された品を片手に愛想笑いを振りまいている。
周りは家族連れやカップルが多く、うるさいほどの話し声が俺達の会話を邪魔する。
異常とも思える客の出入りが、今日は休日であるということを物語っていた。
ウェイトレスが俺達の席にも注文を取りに来て、薄い化粧の顔でやはり愛想笑いを振りまく。
「アメリカンコーヒーのホットを。君は?」
「同じ物を。」
ウェイトレスが去ったことを確認して再び俺達は話しを続けた。
「なあスキナー。お前の思い越しじゃないのか?
疑うなというわけじゃないが、心配のしすぎも良くない。」
「いや、私は確かに見た。あいつが知らない男と腕を組んで歩いている所を。」
ここは休日には人が溢れる大型のショッピングモールで、俺達はそこの少し洒落たカフェでスキナーの奥さんの浮気調査をしていた。
こうなったのには原因があって、一週間程前スキナーが仕事を終えて車で帰っていると、その途中で奥さんが知らない男と腕を組んで歩いていたというのだ。
辺りは暗かったし見間違いかと思ったが、家に帰ってその疑惑は確信に変わったという。
まず玄関に入ると男物の香水の臭いがしたのだそうだ。
スキナーは香水などつけないので、他の誰かの物に違いなかった。
そして家の中に入るとテーブルの上にコーヒーカップが二つ。
奥さんの友達が来ていたのかもしれないとも思ったが、コーヒーカップに口紅の後はついていなかった。
スキナーの奥さん位の歳になると22ミリ口径の弾丸なら跳ね返しそうなくらいの厚化粧になるので、コーヒーカップに口紅がついていないのはおかしい。
そして極めつけはベッドが乱れていたことだった。
いつも衣類や食器などをキレイに片付けておくらしいスキナーの奥さん、ベッドだっていつもキレイに整えてあるのにその日はあれが行われた後のように乱れていたという。
スキナーが家に帰ってしばらくすると奥さんが帰ってきた。
何処へいっていたのかと聞くとただの散歩だという。
しかしどう見ても散歩をする格好では無く、綺麗にめかし込んでいたという。
その日からスキナーは奥さんの浮気を疑うようになり、夜も眠れないほど悩んだ挙句、浮気は真実かどうかを調査しようということにしたらしい。
そして何故か俺までそれに巻き込まれている。
今日は俺も仕事は休みで、キャサリンと朝のランデブーをした後はさっさと家に帰って惰眠を貪ろうと思っていた矢先にスキナーから呼び出されたのだ。
ウェイトレスがコーヒーを運んできて、俺は一口そいつを飲んで何故自分がここにいるのかを考える。
カフェの窓から見える外では、スティーブン・セガールに似た男が噴水の近くでスクワットをしており、何故か上半身は裸で満面の笑みを浮かべながら通行人を恐れさせていた。
俺は色んな人間がいるのだから、浮気くらいする妻がいた所でどうだと思ったが、それは結婚していない俺が口に出す資格は無かった。
「なあモルダー。」
スキナーが唐突に口を開いた。
「どうした?」
「俺は包茎だ。」
「知ってるさ。」
「毎日風呂場で皮をムキムキして鍛えている。」
「それも知っている。」
「病院へは怖いから行っていない。」
「切っては駄目だという意見もあるからな。」
「満足してなかったのかな・・・。」
スキナーが伏し目がちにコーヒーをすすり、ため息をつく。
「結婚して27年になる。その間不甲斐ない俺のあれを我慢して、もう満足出来なくなったんだろうか。」
そのことに関しては俺は何も言えない。
奥さんのみぞ知るである。
今日ここへ来たのは奥さんの手帳を盗み見したスキナーが、このショッピングモールの何処かで誰かに会う予定が書いてあったからだ。
俺達がいるカフェはショッピングモールのメインの入り口に近い場所だ。
ここで張り込みをして奥さんを尾行しようというわけだった。
包茎なんてほとんどの男がなっているわけで、まだ浮気かどうかも決まったわけではない。
スキナーが俺の上司で無ければ断っている所だ。
さっさとこんなことは終わらせて、家に帰って寝ていたい。
上半身裸でスクワットをしていたセガール似の男は、誰かが通報して駆けつけた警官によって、笑顔を崩さずにスクワットをしたまま連れていかれてしまった。
それから時間を潰す為にスキナーと仕事の話や他愛ない世間話をしていると、不意にスキナーが立ちあがった。
「エムリンだ!」
「奥さんか?」
「そうだ!あいつ、あんなにお洒落をして楽しそうな顔をしている。
きっとこのショッピングモールの何処かで男と会うに決まっているんだ。
くそう!そいつにあったらお前も包茎かどうか問い質してやる!」
「落ち着けスキナー、見つかるぞ。」
スキナーを席に座らせて俺も奥さんの顔を確認してみた。
きっとあれはブルックリンの田舎でとれたカボチャが人間に化けているに違いないと思った。
Xファイル扱いの事件でも通用しそうだ。」
「なあモルダー。今何か酷いことを考えなかったか?」
「とんでもない。野性的で健康的で栄養があって、体に良さそうな奥さんだ。
さすがはスキナーの妻になるだけある。」
よせよと言いながら得意げに笑うスキナーは、じっと奥さんに熱い視線を送っている。
普段冷静なスキナーが俺と一緒に奥さんの尾行をしろなんて、裏を返せばそれだけ奥さんのことを愛しているのだろう。
この熱い視線がそれを物語っている。
俺はその視線の先を追った。
金髪で美人でミニスカの、若い女性がいた。
奥さんはとうに先に歩いて行っていた。
やはりこのまま帰ろうか。
俺はスキナーに言った。
「奥さんはもう先に行ってるぞ。」
ハッと我に返ったスキナーが面目無さそうに咳払いをする。
「じゃあ尾行を開始しよう。」
スキナーが立ち上がり、レジで精算して奥さんの後を追う。
俺も仕方無しにそれに続いた。
ふと窓の外に目をやると、セガール似の男がまたスクワットをしていた。
警官と一緒に。

                           第八話 つづく

第7話 君の意見はいつだって正しいさ(3)

  • 2010.04.21 Wednesday
  • 15:21
 女というのは何故か男同士の恋に興味があるらしい。
しかし何でもいいというわけではなく、やはりその女性ごとの好みにあったボーイス・ラブがあるのだろう。
さきほどまで号泣していたスカリーはいびきをかいて寝ており、起こすか起こすまいか判断に迷う所だった。
しかしモルダーとスカリーが揃ってこそのXファイルである。
俺はスカリーを起こして、とりあえずまだ残っているヨダレを拭くように言った。
「ごめんなさい。途中から展開が読めて飽きてぃちゃって。
で?結局被害者はどっちとくっついたの?」
気になる所はそこか。
俺は日記を読み進めていくうちに事件の解決になりそうな部分があったことを伝え、どっちとくっついたかは書いてなかったと言った。
「チッ!やっぱり肝心な所が抜けているわね。
そんなのじゃ安物の同人誌でも読んでいる方がマシだわ。」
すっかり注目する所がズレているスカリーを、俺は事件に集中するように促し、日記の最後の部分を見せた。
「あら、この日付って事件のあった当日じゃない!
どういうこと?」
「日記は三人が家に帰った後の事は詳しくは書かれていない。
きっとその後何かあったはずだと思うんだが、注目して欲しいのはこの部分なんだ。」
俺は日記の最後の方を指で指し示した。
「まさかあれが生き物だったなんてって所ね。
これって・・・。」
俺は頷く。
「きっと妙な石とネバネバした生き物のような物のことだろう。
それがどう事件に絡んでいるのかは分からない。
けどこうは考えられないか?
どちらも地球外のものだった。」
「また始まったわね・・・。」
スカリーが呆れ顔でため息をつく。
「しかし妙な石を拾ったのはアリゾナ州のグランドキャニオン。
隕石の可能性もある。そしてその隕石は金属生命体だったのかもしれない。
それにアマゾンはまだまだ未知の生物が潜んでいる可能性がある。
どちらも地球外のものである可能性は否定出来ない。」
スカリーは黙ったまま腕を組んでいる。
「そしてここからは僕の勘なんだが、家に帰った三人は口論になったはずだ。
何たって三角関係なんだからな。
そしてそれはだんだんと白熱していき、やがては殴り合いのような形でマイケルとジョーイが争い始めた。
その時に妙な石とネバネバが何らかの反応を起こしたんだ。
それが事件に結びついた。」
我ながら中々悪くない推理だと思うが、きっとスカリーはいつもの反応を見せるのだろう。
しかし返ってきた言葉は以外なものだった。
「悪くない推理ね。三角関係が引き起こした事件。
大筋はそれで合っていると思うわ。
それと妙な石とネバネバが生き物だった。
これも完全には否定はできないかもしれない。
見つけた場所から考えるとその可能性もあるわ。
それらがどうにかこうにかなって被害者は死に至った。
そのどうにかが問題なんだけど・・・。」
珍しく俺の推理に肯定の意見を述べてくれたことが嬉しくて、俺は思わずスカリーに抱きついた。
金的が潰されそうになった。
「子供が出来ない体にしてあげましょうか?」
ああ、良い!
その金的蹴りと冷徹な言葉こそが俺の生きがいだ。
君はやっぱりそこいらの腐女子とは一味違う。
俺は股間を抑えて立ち上がり、気になっていることを確認した。
近くにいた警官を捕まえてマイケルとジョーイの所在を掴んで欲しいと頼んだのだ。
警官はすぐに確認しますと言って出ていった。
さて、問題はどうやっって事件に至ったか?
それを考えるのは難儀しそうだった。
スカリーは自分のハンカチについたネバネバを眺めていて、何かを考え込んでいた。
俺はその姿を見ていらぬことを考え込んでいた。
膨張したあれの位置をずらし、スカリーに話しかけた。
「どうしたんだい?難しい顔をしているけど、何か分かったのか?」
スカリーは一瞬目を閉じ、そして俺の方を見て言った。
「東京タワーとエッフェル塔。」
「何だって?東京タワーとエッフェル塔?
それがどうしたんだ?」
「日本のハイレベルな腐女子の間では、東京タワーとエッフェル塔のどちらが攻めでどちからが受けかという非常にマニアックで海外の腐女子達では太刀打ち出来ない会話がなされているそうよ。」
そいつは何というか、マニアックを通り越している。
ちなみに今の俺が気になっているのはスカリーが何故そんなことを知っているかだ。
まさか、彼女も日本のエキサイティング・コメント動画「NIKONIKO DOUGA」を見ているというのか。
頼むからやめてくれスカリー。
どんどんと俺の中での君のイメージが崩れていく。
「しかしその話がこの事件にどう関係があるんだい?」
俺は悲しみながらも再度あれの位置をずらしながら聞いた。
「多いにあるのよ。さっきあなたは警官にマイケルとジョーイの居場所を警官を確認するようにと警官に頼んだわね。
「ああ、そうだ。二人はこの事件の重要参考人だからな。」
スカリーは全てを見抜いたかのような顔でこう言った。
「これは私の推測なんだけど、おそらくその二人はできてるわ。」
「何だと!」
「本当よ。これは多少変態が入った程度の男のあなたには分からないでしょうけどね。
けどきっとその二人はできてる。
あなたの言うように三人で言い争う内にヒートアップしてマイケルとジョーイは殴り合いになったはず。
けどそこで愛が芽生えたのよ。」
何故だ!?
そんなものはいくら考えたってドクター・ドリトルでも思いつかない発想だ。
俺が多少変態が入った程度の男だから分からないなんて関係あるものか!
「男は殴り合いの後は友情が芽生えるもの。
これは腐女子の間では常識だわ。
ただ問題は二人ともゲイだったってこと。
芽生えたのは友情ではなく愛情だった。
分かるわよね?この二人がくっつけば誰がはじき出されるか。」
「当然被害者だ。」
こんな馬鹿げた推理を真面目に聞いている自分が悲しい。
相手がスカリーでなければ便器に顔を突っ込ませた後、裸にしてニューヨークのメインストリートに貼り付けてやる所だ。
「お互いに愛を感じるようになったマイケルとジョーイは被害者が邪魔になった。
けど二人にとってもかつての恋人。
殺したりはしなかったと思うわ。」
「しかし実際に被害者は死んでいるんだぞ。」
「だから東京タワーとエッフェル塔の話をしたのよ。
この話は一見頭の弱い行く所まで行った腐女子の戯言に聞こえるけど、そうじゃなかった。
あの時この部屋あったのは東京タワーとエッフェル塔では無く、妙な石とネバネバした生き物のような物だった。
それは被害者がマイケルとジョーイの思い出の品として持つ内に自分の意志を持つようになったのよ。
妙な石はマイケルの、ネバネバはジョーイの分身と言ってもいいかもしれない。
きっと生き物だけど自我というものを持たなかったこの二つは、被害者のマイケルとジョーイを思う心があまりにも強すぎてその意識が宿ってしまったんだわ。」
腐女子モードになるとこうも変わるものなのか。
スカリーが今口にしている推論は、本来は俺が得意とするはずなのだが。
いつもなら俺がそんなことを言っても「あなた疲れてるのよ」の一言で片付けられてしまうのに。
さらにスカリーは続ける。
「そしてここからが本題よ。意志を持ったこの二つの物体はいわば本人達の分身のようなものと言ったわよね。
それがあの日、この分身達は本体に会ってしまった。
マイケルとジョーイが争い、それがやがて愛に変わってしまった時、この分身達は愛の力によって反応して本体に乗り移ったのよ。
当然二人は驚いた。
助けてくれと叫んだかもしれないわ。
それを見た被害者は二人の間に割って入って、その分身達を何とかしようとした。
その時、被害者は分身達に攻撃されてあんな姿になったのよ。
地球外の生物ですもの。
私達人間では考えられないような力を持っていてもおかしくは無いわ。
あの胸の傷はその時に受けたもの。
道理でどんな凶器とも判別がつかないはずだわ。
そして被害者とその近くから発見されたネバネバ。
あれは被害者と分身達が争っている時に付着したもの。
これもまた地球外のものだからどんなに調べたって分かりっこないわ。
そして分身達は本体と合体し、マイケルとジョーイは何処かへ駆け落ちした。
これがこの事件の真相よ。」
俺の膨張したあれはすっかり収まり、スカリーとは思えない馬鹿げた推論をどうしたものかと高速で頭が処理をしている所だった。
ツッコミ所は満載すぎてツッコめず、俺は今度キャサリンやるマヨネーズは低カロリーにしようかなどと考えていた。
いくらXファイルでもこの推論は常軌を逸している。
俺は腐女子モードになっているスカリーを正気に戻すべく話しかけた。
「あのな、スカリー・・・。」
その時だった。
マイケルとジョーイの所在の確認を頼んでいた警官が戻ってきた。
俺は頭をかきながら報告を聞いた。
「それで、二人は何処にいた?」
警官は敬礼をし、力強くこう言った。
「ハワイのビーチで抱き合いながら寝そべっていました。
話しを聞くと駆け落ちをしたとのことでした。」
そんな馬鹿な・・・。
「それと二人の体の事なんですが・・・。」
警官が言いにくそうに口ごもっている。
俺は先を促した。
「何だ?言ってみろ。」
ハッと返事をして警官は続けた。
「その、正直に言いますと二人はビーチで昼間から行為に及んでおりまして、そしてマイケルの男根がまるで石のように頑丈で硬質なものだったと。
それと二人はネバネバだったので、ローションを使ったのかと聞いた所、ジョーイが笑いながらこれは俺達にとってこれはナチュラルさと言いました。
どうやらそのネバネバはジョーイの体から分泌されているようでした。」
頭が痛くなってきた。
「やけに早くハワイにいると分かったな?
「はい。マイケルの部屋に二人が情熱的に燃えるには常夏のビーチ、ハワイに行くしかないと日記がありまして。」
マイケル、お前もか!
俺はうんざりしながら警官に下がっていいと言った。
何故か警官は興奮しているようだった。
まさか彼もゲイなのだろうか?
いや、今はそんなことはどうでもいい。
スカリーの馬鹿げた推論は全て正しかったのだ。
何時も俺が宇宙人だ何だと言うと軽くあしらうくせに、この差は何なのだ。
これが腐女子の力なのだろうか?
スカリーは別段驚きもせず、落ち着いて髪を掻き上げている。
「お手柄だなスカリー。君が優秀な捜査官だってことは勿論知っているけど、今回のは驚きだよ。
けど何故君はそんなに冷静なんだい?」
ふうっとため息をつき、俺の方を見ながら彼女は言った。
「最初に言ったでしょ。こんな安直な展開の日記しか書けない奴のボーイズ・ラブを読むくらいなら、同人誌でも読んでいる方がマシだって。
私はマニアックでかつ作品としては二流のボーイズ・ラブの展開を予想して言い当てただけ。
あなただって、ドラゴンボールでクリリンがエネルギー弾の連発を放った後に「やったか!?」なんて言っていて、実際に敵がやられている所なんて見たことないでしょう。
それと同じよ。」
馬鹿らしいが妙に説得力のある意見に俺は反論出来なかった。
確かに、クリリンがやったことはない。
少し疲れたようにスカリーがため息をつく。
「今日は君のおかげで事件が解決できた。後は僕達にまかせて君は先に帰ればいいさ。」
「ええ、そうするわ。家に帰ってもっと上物のボーイズ・ラブで口直しをしなくちゃ。
じゃあ、後はお願いね。」
俺の言っていることはいつも妄想のように捉えられ、彼女言うことは馬鹿げたことでも核心を突いている。
全く、君の意見はいつだって正しいさ。
とりあえず、家に帰って熱いコーヒーでも飲みたい気分だった。
寝起きの電話でキャサリンとのランデブーを頼まれても、今回の彼女のお手柄に免じて快く引き受けるとしよう。
「スカリー!」
俺は帰ろうとしているスカリーを呼びとめた。
「そう言えば被害者の名前は何だったかな?」
彼女は振り向いてダルそうに答えた。
「ヒトサワ・ガ・サセール」よ。
なるほど、お後がよろしいようで。
俺も家に帰ってたら、ちょっとボーイズ・ラブとかいうものを見てみるか。
今回の唯一の戦利品、スカリーのヨダレ付きハンカチも、その臭いは薄くなってきていた。
そう言えばスカリーも自分の指についたネバネバをハンカチで拭き取っていたはずだ。
あれを何に使うのか?
少し考えただけでまたあれが膨張し、おれはその位置をずらすことなく堂々とさせたまま事件の後始末に取り組んだ。
俺もスキナーと関係を持てば、スカリーもボーイズ・ラブで興味を持ってくれるだろうか?
俺は想像してみた。
スキナー、いくら想像したってやっぱりあんたとは無理だ。
俺は臭いの薄くなったハンカチを嗅いで、頭を正気に戻そうと思った。

                             第7話 完

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