秋の光

  • 2017.11.19 Sunday
  • 15:00

JUGEMテーマ:写真

 

 

 

 

 

秋晴れです。

雲は多いし風も強いけど、秋空の青は透き通るように気持ちいいです。

 

 

 

 

 

 

 

夏のように輝くわけでもなく、冬のように荒涼としてわけでもなく、春のように希望を感じさせるわけでもありません。

どこか寂しく、そして清々しいのが秋の空です。

秋の光のせいでそう見えるのでしょうか。

夜が来る前の夕暮れのような、そんな風情の光です。

 

虫の戦争 イラスト(6)

  • 2017.11.19 Sunday
  • 14:15

JUGEMテーマ:イラスト

 

 

 

     マー君

 

虫の戦争 第九話 下水道の悪魔(1)

  • 2017.11.19 Sunday
  • 14:14

JUGEMテーマ:自作小説

日本最大の都市、東京。
世界でも有数のこの街にも、ちゃんと虫が根付いている。
それは夏になればよく分かる。
エアコンで快眠を得ようとも、とある虫の鳴き声がそれを邪魔するのだ。
「うるせえなオイ!」
若い男が怒鳴って、石を投げる。
一匹のセミが「ジジッ!」と飛び立った。
          *

「ここが東京かあ。」
六年かけてようやくやってきた東京。
アビーとムーはビルの上に立ち、行き交う人間を観察した。
「ほんとに多いのな、人間。」
「ねえ。川原のアリより多いわ。」
「天敵がいないからだよ。」
「増えすぎると自滅するのに・・・ほんとに馬鹿なのね。」
人間に自然界の法則は通用しない。
それは分かっているが、皮肉を飛ばさずにはいられなかった。
「こんな猿モドキはどうでもいいわ。マー君を捜さないと。」
「どこにいるんだ?」
「東京っていっても広いからね。鳴き声で探してみようか。」
東京へ向かう途中で鳩に食われ、この世へ戻る輪廻の間に、クマゼミを経験した。
そのおかげでアビーはクマゼミに変身できる。
「ジ〜!ジ〜!」
腹弁という器官をゆすって、大きな鳴き声を響かせた。
しかし返事はない。
セミはあちこちで鳴いているが、近くにマー君はいないようだった。
「違う場所捜そうか?」
「だな。」
いま二匹がいるのは新宿。
高い空を飛び続けていると、ふと公園が目に入った。
「お、あそこなんかいそうじゃないか。」
「近くに大きなビルがあるわね。」
二匹がやってきたのは東池袋中央公園。
傍にそびえるサンシャインシティに圧倒された。
「さすが東京ね。馬鹿みたいに大きい。」
「田舎じゃお目にかかれないな。」
初めて見る高層ビル。
公園の木の上から、しばらく眺めていた。
すると二匹の後ろから一匹のセミが近づいてきた。
「もしかしてアビーちゃん?」
「・・・・おお!マー君じゃない!」
二匹はガバっと抱き合う。
「元気にしてた?」
「そこそこね。」
「出会えてよかったわ。一日探して見つからなかったら帰ろうと思ってたの。」
「え?どういうこと?」
「だって東京にいるって書いてたけど、東京のどこかは書いてなかったじゃない。」
アビーは枝切れを取り出す。
「できればこの公園にいますって書いててほしかったわ。まあ会えたからいいけど。」
「ちゃんと書いてたよ。」
「ウソ、どこにも書いてないじゃない。」
「・・・・もしかしてさ、先っぽ折ったんじゃない?」
「ん?」
「これ知り合いの妖精に頼んで運んでもらったんだ。」
「知ってるわ、アブラゼミの妖精が来たもの。」
「これその時より短くなってない?」
「・・・そう言われれば。」
アビーは首を傾げる。
そして「ああ!」と思い出した。
「枕代わりに使って折れたんだったわ。それで捨てちゃったんだ。」
「読む前に捨てたの?」
「うん。」
「じゃあ仕方ないな。」
「そうね、仕方ないわ。」
二匹は納得する。
ムーは「仕方ないならどうでもいいじゃん」と言った。
「マー君、俺のこと覚えてる?」
「もちろん。人間の子供から助けてくれたよね。」
「あん時は危なかったな。」
「仲間は標本にされたみたいだよ。夏休みの宿題の為に。」
「人間どもめ・・・・本当に残酷だな。俺たちは猿モドキの学習道具じゃないんだよ。」
「いつか虫が覇権を取ったら、人間を標本にしてやろうよ。」
「当たり前だ。壁いっぱいに貼り付けてやる。」
久しぶりに会った三匹は会話が弾む。
途中で鳩に食われたことや、セイタカアワダチソウとの戦争のこと。
マー君は「色々あったんだね」と労った。
「実はこっちも大変なんだ。」
「何かあったの?」
「言葉で説明するより、見てもらった方が早いと思う。」
そう言って「ついて来て」と飛んでいった。
三匹はとある道路の傍に降りる。
東京にしては人の気配がなく、閑散とした場所だった。
「ここはあんまり人間がいないのね。」
「ここは多摩ってところなんだ。」
「東京にも田舎があるのね。」
「どこもかしこも人間だらけじゃ落ち着かないからね。こういう場所だっているんだよ。」
「で、なんでこんな所に来たの?」
「ここ。」
マー君は地面を指差す。
そこには古くなったマンホールがあった。
「この中に悪魔がいるんだ。」
「何それ?」
「入ってみる?」
「入れるの?」
「変身すればね。小さい虫いける?」
「ごめん、さっきセミに変身しちゃったんだ。ムーは?」
そう言って振り向くと、険しい顔をしていた。
「アビー、これはヤバイかもしれない。」
「なにが?」
「入らない方がいいかも。」
「だからなんで?」
「マー君の言う通り、この中には悪魔がいるんだ。なあマー君?」
「ムーは小さい虫に変身できる?」
「ノミになれるよ。」
「僕はアリになれる。」
「・・・・一緒に入れってことか?」
「その目で見てほしい。」
マー君はルリアリに変身する。
体長2ミリほどの小さなアリだ。
ムーは浮かない顔をするが、アビーに「見てきてよ」と言われた。
「マンホールの中に悪魔がいるなんて興味あるわ。」
「お前も知ってる生き物だぞ、きっと。」
「じゃあますます気になる。せっかく東京まで来たんだから見てきてよ。」
「いいけど・・・・怖いなあ。」
ムーはノミに変身する。
そしてマー君と一緒に、縁の隙間から中へ入っていった。
「何がいるんだろ?」
アビーはワクワクしながら待つ。
二匹が入ってから数分後、「ぬああああああ!」と悲鳴があがった。
マンホールの縁から這い出てきて、慌てて元の姿に戻る。
「やっぱりいやがった!」
ムーは仰向けに倒れる。
アビーはワクワクしながら「何がいたの?」と尋ねた。
「ドブネズミだよ!」
「なんだ、つまんない。」
拍子抜けして、ツンと口を尖らせた。
「そんなのどこにでもいるじゃない。」
「違う!ドブネズミの妖精種がいるんだ!」
「ウソ!だってネズミって哺乳類だよ?妖精になれるわけないじゃん。」
妖精になれるのは、虫と植物だけだ。
希に微生物の中からも出てくるが、哺乳類からというのは聞いたことがなかった。
「何かの見間違いじゃない?」
「いいや、あれは間違いなくドブネズミの妖精だ。なあマー君。」
「うん。それを見せたくてアビーを呼んだんだ。」
そう言われては余計に見たくなってくる。
アビーはマンホールの隙間を覗き、「ドブネズミ〜!」と呼んだ。
「出てきてよ。」
「やめろバカ!めちゃ怖いんだぞ!!」
「でも私だって見たいもん。」
「やめとけ・・・・。俺は過去に一度だけ会ったことがあるんだ。奴らは恐ろしいほど凶暴だぞ。」
「元々気性が荒いからね。」
「イザとなったら人間に襲いかかることもあるからな。
昔に出会った奴は、人間を襲ってた。長い前歯で噛み付いて、病気にしちまったんだ。」
「すごいね、人間を全部やっつけてくれればよかったのに。」
「身を守る為にやっただけなんだよ。人間の家に侵入して、餌を食ってたんだ。
でも家人に見つかって、金属バットで叩き殺されそうになったんだよ。
あいつは咄嗟に噛みついた。そんで人間は悪い細菌に感染したんだよ。そんで死んだ。」
「死んだの!?」
「ネズミは伝染病を媒介するからな。それに雑菌の宝庫だし。」
「哺乳類だからね、虫よりたくさんの菌を飼ってるわ。」
「奴は人間の家から逃げ出して、その後に車に撥ねられた。妖精だけど不死にはなってなかったから、もう戻ってこない。」
「ふう〜ん。それと同じようなのがここにいたんだ?」
「あれは怖いんだよ。やたらと不気味っていうか、ほんとに悪魔みたいなんだ。俺は関わりたくない。」
ムーは空に舞い上がる。
「どこ行くの?」
「帰る。」
「ダメよ。面白そうだから一緒に遊ぼ。」
むんずとムーを連れ戻す。
マー君が「また明日来よう」と言った。
「多分今日はもう出てこない。」
「なんで?」
「ドブネズミは薄暮性なんだ。」
「何それ?」
「夕暮れと明け方に活動するってこと。もうじき日が落ちるから、下水道を通って表に出るはずだ。餌とか食べる為に。」
「じゃあ探しに行こうよ。」
「無理だよ、どこに出てくるか分からないから。でもこのマンホールで待ってればまた会える。奴はここを根城にしてるから。」
「分かったわ。じゃあ今日はマー君の家に泊まっていい?」
「いいよ。でもセミは巣を持たないから。木の上とかでいい?」
「いいよ。」
「俺は帰りたい!」
「ダメ。」
嫌がるムーを引っ張って、空へ昇っていく。
池袋の公園に戻る途中、ふと見下ろした街には人間が群生していた。
「そういえばネズミって、人間の次に多い哺乳類なのよね。もしここの人間が全部ネズミだったら、どんな星になってたんだろう?」
ネズミは虫を食う。
しかし大型の虫には食べられてしまう。
お互いに食う食われるの関係で、食物連鎖のバランスが取れた星になっていたかもしれない。
「ネズミも可哀想ね、害獣扱いされて。ここに一番の害獣が群れてるのに。」
夏の空は高く、どこまでも昇っていけそうなほど青い。
遠い空から隕石が降ってきて、この害獣どもを皆殺しにしてくれればいいのにと願った。

          *

東京といえども、朝は静かだ。
車はちょこちょこ走っているが、人気はあまりない。
犬を散歩させている者、ジョギングをしている者がいるくらいだ。
「ふああ・・・・よく寝た。」
アビーは木の上であくびをする。
東京で一晩過ごしたが、夜はうるさくて敵わなかった。
「朝だけじゃなくて、夜も静かになればいいのに。」
人が群れる場所は住みづらい。
東京を選んだマー君は、いったい何がよくてここに住んでいるのか?
起きたばかりの彼に尋ねてみた。
「どうしてこんな場所がいいの?故郷へ戻ってきなよ。」
「東京は面白いんだ。そりゃあ人間以外の生き物にとっては辛い場所だけど、僕は妖精だから。
普通の虫と違って、どこか人間っぽさがあるのかもしれない。」
「妖精って人間と虫の中間みたいな見た目だもんね。もしかしたらだけど、どっかで人間の祖先の遺伝子が入ってるのかも。」
「人間は賢いし高度な社会性を持ってるけど、数を増やすには向いてない生き物だよ。
だって人間って大型哺乳類だよ。体格や体重だけなら、ジャガーやヒョウにだって負けてないんだ。」
「マー君はこう言いたいのね?もしもジャガーやヒョウだらけになっちゃったら、すぐに餌になる生き物がいなくなって、自分自身も絶滅するって。」
「うん。人間は文明の力でどうにか乗り切ってるけど、それがどこまで通用するのか興味があるんだ。
僕が東京に住んでるのは、人間がどうやって滅んでいくのか見たいからっていうのもあるんだよ。」
「それいいね!この猿モドキが死んでいくのを見るのは楽しそう!」
「僕は思うんだ。妖精ってさ、人間以外の生き物が、地球の覇者になっていた時の姿なんじゃないかって。
コンパクトで燃費もいいし、身体が小さいから増えても場所を取らない。」
「なるほどお。私たちがこの星の王様かあ・・・・悪くないねそれ。」
「ただの妄想だけどね。でも人間を見てると、色々考えちゃうんだよ。
どんな生き物より頭が良いクセに、理屈に合わない行動だってしょっちゅうだ。
明らかに他の生き物と違うよ。それはなんでだろうっていつも思う。
自然界から離れて暮らしているからそうなったのか?
それとも元々がそういう生き物で、自然界に馴染めないから文明の中で生き延びてるのか。
たくさんの人間を見てると、考えることが尽きないんだよ。」
「マー君は昔からそういうの好きだよね。人間っぽいわ。」
アビーは「う〜ん」と背伸びをして、明けていく街を眺めた。
まばらに人が増えてきて、騒がしさが増していく。
「同じ虫でも、住む場所が違えば考え方も変わるのかしら?」
遠い未来、人間と虫が手を取り合う日が来るのかもしれない。
それはお互いにとっていいことか?
それとも大きな争いを招く原因になるのか?
アビーには分からなかった。
「ねえ、もうドブネズミは戻って来てるかな?」
「まだいないよ。もうちょっと陽が昇ってからじゃないと。」
「じゃあ朝ごはん食べてくるわ。」
近くに生えていた花の蜜を、チューチュー吸いまくる。
マー君もジュルジュルと樹液を吸いまくった。
「うるさいなあ・・・チューチュージュルジュル・・・・。静かに寝かせろよ。」
「おはようムー。花の蜜いる?」
「そんな不味いもんいるか。」
「樹液の方が不味いわよ、ねえマー君?」
「僕はセミだよ。樹液派に決まってるじゃないか。」
「だよな!この美味さが分からん奴に、不味いとかどうとか言われたくないよ。」
「絶対に花の蜜の方が美味しいもん。」
しばらく樹液派と蜜派の争いが続く。
気がつけば陽はかなり高くなっていた。
「ねえ、もうそろそろいいんじゃない?」
「そうだね、これくらい明るくなれば戻って来てるはずだ。」
三匹は昨日のマンホールへ向かう。
すると傍を流れる小川に、ひときわ大きなネズミがいた。
排水管から顔を出し、辺りの様子を窺っている。
「アレだ!」
ムーが叫ぶ。
アビーは「うわあ・・・」と気味悪がった。
「なんか怖い・・・・。」
「だから言っただろ、見ない方がいいって。」
ドブネズミはただでさえ気持ちのいい動物ではない。
それが妖精になったもんだから、人だかネズミだか分からない姿に変わっている。
「まさに悪魔って感じね。」
「近づくなよ、いきなり襲いかかってくるから。」
三匹は少し離れた場所に降りる。
「ほんとに不気味ね。」
「哺乳類の妖精種って気味悪いよな。」
「見た目も雰囲気も本物の悪魔みたい。下手に関わらない方がよさそうね。」
「もうちょっと見たら帰ろう。」
「うん。」
自分から見たいと言い出したクセに、ちょっと後悔するアビー。
彼女の後ろで、マー君が不気味な笑をたたえていた。

 

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