足元の感動

  • 2018.11.14 Wednesday
  • 11:37

JUGEMテーマ:生き物

JUGEMテーマ:日常

昨日の夜。コンビニへ行こうとしたらキツネに出会いました。
最初は野良猫かなと思ったんですが、尻尾はフサフサしているし走り方が犬っぽいし、これはキツネだと思いました。
夜だったし、私に気づいて走り去っていく所だったから、ハッキリとは姿を見ていません。
けどキツネで間違いありませんでした。
最近よくキツネを見かけます。
夜になると山から下りてくるようです。
鳴き声がよく聴こえるんですよ。
犬よりも甲高くて、猫の唸り声よりもよく通ります。
子供を連れた母ギツネが道路を走っていく所を見たこともあります。
以前はよくフェレットを見かけたんですが、ここのところはあまり見ません。
代わりにキツネをよく見かけます。
山に食べ物がないのか、それとも人里の旨味を覚えたのか。
動物は賢いですから、例え山に餌があったとしても、人里で餌が手に入ると知れば下りてくることがあります。
キツネの他にはタヌキもちょこちょこ見かけます。
以前、車に轢かれて死んでいました。
道端に死体があったんですよ。
よく見るとタヌキでした。
夏前だったので短い毛をしていました。
濃い茶色の体毛で、よく知らない人なら野良犬と勘違いしてしまうでしょう。
冬になるとみんながよく知るモフモフの毛皮になるので一目で分かるんですけどね。
あれは中々可愛いですよ。
けどキツネよりも鈍臭いのか、たまに車に轢かれているのを見かけます。
可哀想に・・・・。
田舎はよく野生動物を見かけます。
鹿やイノシシはもちろんのこと、キジの群れに出くわしたこともあります。
キジはハーレムを作るんですよ。
一羽のオスが複数のメスと群れを作ります。
オスは鮮やかな体毛、メスはウズラのような地味な体毛をしています。
他の鳥のように長距離を飛ぶことは出来ませんが、大きな川でも対岸くらいまでなら飛んでいきます。
こういった野生動物に出くわすと嬉しくなります。
人に飼われている動物とは全然動きが違うんですよ。
キツネの走る姿なんてものすごく躍動感があります。
タヌキはテコテコっと可愛らしく走り、鹿は飛び跳ねるように駆けていきます。
イノシシは怖いです。
以前に犬の散歩中に茂みの中からイノシシの鼻息が聴こえてきたんですよ。
慌ててその場を離れました。
でも自分の知らない場所で、人の手を借りずに生きている動物たちがいることに、なぜか喜びを感じます。
この喜びの正体はハッキリとは分かりませんが、おそらくだけど人間は孤独じゃないって安心感があるのかもしれません。
全ての動物が人間の飼育下にいるなら、人間は孤独です。
対等に並ぶ者がいないんですから。
でもそうじゃありません。
人間以外にも自分の力だけで生きている者たちがいる。
虫も花もそうなんですが、やっぱりキツネやタヌキを見た時の方が、そういう思いが強くなります。
あまり人目につく場所には現れませんが、だからこそ出くわした時に嬉しくなるのでしょう。
空を見上げて遠い星のことを考えるのもいいですが、足元を見ればまだまだ感動できることは転がっています。
よく目を凝らさないと分からないことの中にも、大事なことはあると思います。

稲松文具店〜燃える平社員と動物探偵〜第二部 第九話 キツネの少年たち(1)

  • 2018.11.14 Wednesday
  • 10:58

JUGEMテーマ:自作小説

動物探しで聞き込みをするのはいつものことだ。
今、俺が子犬であることを除いて。
最も頼りになるチェリー君はどこかへ行ってしまうし、残ったメンバーはモンブランたちとマシロー君だけ。
さて、これで無事に依頼を果たせるのか?
まったく自信がない。
とりあえずマシロー君に案内されて、薬を捌いていた高速道路の下までやって来た。
今日も老人会のゲートボールはお休みのようで、空き地には誰もいなかった。
代わりに近くの電柱にハトが2羽とまっていた。
とりあえず話を聞いてみよう。
「そこの君たち、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
ハトはこっちを振り返る。
「俺は動物探偵の有川悠一っていうんだ。実は捜している動物・・・・じゃなかった、人間がいるんだけど、何か知ってたら話を聞かせてくれないか?」
いつものように尋ねると、ハトたちは失笑した。
「子犬が探偵だとさ。」
「しかも有川悠一って・・・・人間みたいな名前だな。」
まったく相手にしてくれない。
するとチュウベエが「ようお前ら」と手を振った。
「俺だよ俺、オレオレ。」
まるで詐欺みたいな挨拶だ。
「チュウベエだよ。ちょっと聞きたいことがあるんだ。」
ハトは首を傾げ、「クルック〜」と鳴いた。
そしてどこかへ飛び去ってしまった。
「なんだアイツら。いつもはオッスって返事してくれるのに。」
納得いかない顔で空を見上げている。
すると今度は猫が通りかかった。
白と茶色の斑模様の猫だ。
風貌からしておそらく野良だろう。
話しかけようとすると、「カモメちゃん!」とモンブランが駆け寄った。
「いい所で会ったわ。実はちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・、」
親しげに話しかけている。
野良猫は怪訝な顔で後ずさった。
「最近この辺りで人間に変わった動物の噂とか聞いてない?」
「・・・・・・・。」
「ちょっと、なんで逃げるのよ。私たち友達でしょ?」
「フシャー!」
「ちょッ・・・・危ないわね!」
爪をむき出して猫パンチを放ってくる。
そして一目散に逃げ出していった。
「ちょっとカモメちゃん!」
追いかけるが猫の足には敵わない。
モンブランは「なんなのよ!」と怒った。
「私たち仲良しでしょ。なんでパンチなんかしてくるわけ?」
腰を手を当てながらカモメちゃんが逃げた方を睨んでいる。
するとマサカリが「もしかして・・・・」と呟いた。
「今の俺たちって動物に言葉が通じないんじゃねえか?」
「え?なんでよ?」
「なんでって・・・俺たちは人間なんだぜ。だからハトや猫とは話せないんだよきっと。」
言われて固まるモンブラン。
チュウベエも「あちゃ〜」と唸った。
「このデブの言う通りだ。でなきゃアイツらが俺を無視して行くわけないからな。」
「私だって同じよ。カモメちゃんは仲良しの友達なんだから。」
「てことはやっぱり動物とは話せねえんだよ。」
みんな困った顔をしている。
マリナが田んぼを泳いでいたカメを見つけ、話しかけてみる。
しかしこっちを振り返って首を振った。
「ダメみたい。」
「そんな!じゃあ猫のお友達とはもうおしゃべりできないってこと?」
「おいおい、さっきのハトは大事な取引相手なんだぜ。マサカリのカリカリをあげる代わりにミミズを貰ってるんだからよ。それも無理になっちまうのか?」
「テメエ!勝手に俺様の餌を!」
「落ち着きなさいよマサカリ。チュウベエのおかげでダイエット出来てるんだから。」
「うるせえマリナ!俺だってもうコロンと話せねえんだぜ・・・・。せっかく・・・・せっかく仲良くなったってのによお・・・グス。」
コロンとはマサカリが恋をしているトイプードルである。
翔子さんのペットだ。
他にカレンっていう猫を飼っているんだけど、こっちはモンブランの親友。
だから当然・・・・、
「そんなのイヤだああああん!もうカレンとおしゃべりできないなんて!!」
さっきまでの陽気はどこへやら?
うずくまって泣いている。
チュウベエも空を見上げ、「俺の商売もここまでか・・・」と切ない顔をしていた。
「このままじゃコロンの恋犬になれねえ!」
「このままじゃカレンとの友情が壊れちゃう!」
「あいつらの持って来るミミズ・・・・美味かったなあ。」
「あ、枝毛。」
マリナだけ堪えてないようである。
あんまり外に出ないから、動物と話せなくなっても特に困らないのだろう。
「マリナさん以外悲しんでますね。」
「ようやく事態の深刻さを理解したらしい。」
「じゃあみなさんには人間に聞き込みをして頂きましょう。僕たちは動物担当ということで。」
マシロー君は冷静だ。
この落ち着きよう、俺も見習いたい。
まあとにかく、聞き込みを再開するしかるまい。
「ほら行くぞ。」
ガックリうな垂れながら歩くモンブランたち。
しばらく行くと、ファミレスや車屋やスマホショップが立ち並ぶ大通りに出た。
早朝のせいか人が少ない。これでは聞き込みも難しいだろう。コイツらは落ち込んだままだし。
「お前ら、落ち込んでばかりいても仕方ないんだぞ。今は出来ることをやらないと。」
「そんなこと言ったって・・・・、」
この世の終わりみたいな顔をしている。
これじゃ仕事をしてくれそうにない。
「元気出せって。一生元に戻れないわけじゃないんだから。」
「でもでも!もし解毒剤が手に入らなかったらずっとこのままなんでしょ!私そんなのイヤよ!」
ブンブンと首を振るモンブラン。
するとマサカリが「元気を出すにはアレしかねえよなあ」と遠い目をした。
「どこ見てるんだよ?」
「だからアレだよアレ。」
そう言って指さした先にはファミレスがあった。
「俺たちまだ飯食ってねえんだぜ。」
「そういえばそうだったな。でもお金なんて持ってないぞ。」
するとチュウベエが「持ってるぞ」と、ポケットから万札を一枚取り出した。
「いつの間に!?」
「悠一が散歩に行ってる間に源ちゃんがくれたんだ。」
「源ちゃん・・・・なんて気遣いの人なんだ。」
「貸しだって言ってたけどな。悠一が元に戻ったら返してもらうって。」
「も、もちろんだよ!うん。」
ちょっと憂鬱になる。
けどこいつらが人間でいる間はお金も必要だ。
「というわけでファミレスに行くぞ。」
マサカリが「やったぜ!」とガッツポーズをする。
「源ちゃんめ、いいとこあるじゃねえか。」
「ほんとよね、ご飯を食べればちょっとは元気が出るかも。」
「ねえ悠一、ファミレスってフレンチのフルコースあるわよね?」
「ないよ。」
ゾロゾロとファミレスに入って行く。
すると案の定というか、店員が出てきて「動物の持ち込みはちょっと」と止められた。
「なんで?ダメなの?」
キョトンとするモンブラン、店員は「飲食店ですから」と愛想笑いを返した。
「衛生上の問題で。」
「でもこれぬいぐるみよ。」
「ぬいぐるみ?」
「ほら。」
ブランブランは俺を振ってみせる。
ここは心までぬいぐるみに徹するべきだろう。
チュウベエもマシロー君をブラブラさせていた。
「いや、でもさっきは自分で歩いてじゃないですか。」
「ここにスイッチがあるのよ、ほら。」
耳をグリグリひねってから床に置く。
俺はオモチャのようにトコトコ歩いて、途中で「ワン!」と吠えた。そしてまたトコトコ歩く。
「なんか妙にリアルなんですけど・・・・、」
「だってこれ高かったから。30万円もしたのよ。」
「消費税を入れたら38万だぜ。」
マサカリがアホなことを言う。
たぶん8パーセントの8を足して38にしたんだろう。
しかし店員は「38万!」と驚いていた。
「道理でリアルなはずだ・・・・。」
「写真撮ってもいいわよ。」
「ホントですか!?」
スマホを取り出してパシャパシャ撮影している。
あとでインスタにでも上げるつもりだろう。
「中に入ってもいいわよね?」
「どうぞどうぞ!」
どうやら店員も残念な頭の人らしい。
まあそのおかげで助かったけど。
禁煙席へ案内してもらい、マサカリが早速メニューを開いていた。
「どれどれ?」
顔をしかめながら睨んでいる。
「ほとんど読めねえ。」
そりゃそうだろう。読み書きは習ってないんだから。
普段目にする字くらいは覚えているかもしれないけど、さすがにメニューを完全に理解するのは無理だ。
「それなら僕にお任せ下さい。」
マシロー君もメニューを覗き込む。
「どれが分からないんですか?」
「これ。」
「これはチーズインハンバーグです。中にトロリとしたチーズが入っているハンバーグですよ。」
「マジかよ!じゃあそれにするぜ!!」
「ねえねえ!私のも見てよ!」
「いやいや、俺が先だ。」
「ねえ、フレンチのフルコースはないの?」
《だからねえよ!》
さっきまであんなに落ち込んでいたクセに・・・・。
げんきんにも程があるだろう。
いや、それよりもだ。
「マシロー君、君は字も読めるのか?」
「ええ、だいたいは。」
「なんでそんなに賢いんだよ?」
「遠藤さんが教えてくれました。絵本を読ませてくれたり、児童文学を読ませてくれたり。」
「ほとんど親子だな。」
「彼はとても良い人ですよ。」
「君も良いネズミだけどな。」
「恐れ入ります。」
なんと丁寧なネズミか。
やっぱりモンブランたちとは大違いだ。
やがて料理が運ばれてきて、みんな一斉にガッツき始めた。
「もうちょい行儀よくしろよ。」
注意するけど誰も聞いちゃいない。
でもまあ落ち込むより元気な方がいい。
「マシロー君は食べないの?」
「朝に遠藤さんからいただきましたので。」
「そっか。お腹がすいたらいつでも言ってよ。」
「恐れ入ります。」
みんなあっさりと平らげてしまい、次の料理を注文する。
よく食う奴らだと感心していると、後ろの席からゴニョゴニョと話し声が聞こえた。
「やっぱりまずいって・・・・勝手にこんな所に来ちゃ。」
「平気だって・・・・。」
「お母さんぜったい怒るって・・・・。」
「むしろ喜ぶって。これ食ったらお母さんの働いてるところに行くんだから・・・・。」
「俺やだなあ・・・・。」
見ると中学生くらいの男子が二人いた。
今日は平日のはず、学校はサボったのだろうか?
「だいたいさ、あんな薬を飲んだことじたい間違いじゃないの・・・・?」
「元に戻る薬もあるから平気だって・・・・。」
「それに俺たちお金持ってないんだよ?これマズいんじゃない・・・・?」
「走って逃げちゃえばいいじゃん。人間なんかノロマだから余裕だって・・・・。」
「今は俺たちも人間じゃんか・・・・。」
「でも元はキツネだ。普通の人間より速いから平気だろ・・・・・。」
とんでもなく気になることを話している。
マシロー君も気づいたようで、じっと聞き耳を立てていた。
「俺はやめた方がいいと思うけどなあ・・・・岡山に帰ろうよ。」
「ここまで来て何言ってんだよ・・・・。こっそりトラックに忍び込んでせっかく来たのに。」
「でもやっぱまずいって・・・・。だってここ人間の街だよ。ウロウロしちゃダメだっていつもお母さんが言って・・・・、」
「今は俺たちだって人間だろ・・・・。だいたいお前はお母さんお母さんってビビリすぎなんだよ・・・・。」
「だって怒ったら怖いじゃん・・・・。お稲荷さんだし。」
「ぜったいに怒られないって・・・・。ていうか自分の子供が会いにきたら喜ぶよ。」
「僕は怒ると思うけど・・・・。」
マシロー君と目を見合わせる。
「なあマシロー君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
「なんでしょう?」
「実は俺の知り合いの息子さんが、岡山で変わった人間を見たって言ってたんだよ。
犬みたいにウンチの臭いを嗅いだり、足を上げてオシッコしたり。」
「それは変わってますね。いわゆる変態というやつかもしれません。」
「そうかもしれない。でも俺は別の可能性もあると思ってるんだ。」
「どんな可能性ですか?」
「その人、ほんとは犬なんじゃないかって。」
「それはつまり・・・・、」
「ああ、例の薬を飲んだんじゃないかってことさ。」
「それは有り得ません。だって僕たちは岡山へ行ったことはありませんから。」
「ほんとに?」
「ホントです。もし仮にその犬みたいな人が例の薬を飲んだなら、それは僕たちとは別の誰かからもらったんだと思いますよ。」
「まさか君たち以外にも薬をばら撒いている人がいるのか?」
「分かりません。その可能性があるかもしれないと言っただけです。」
俺は後ろの少年たちを振り返る。
もし俺の考えが正しければ、この子たちはきっと・・・・・、
「悠一、お前も食えよ。」
マサカリが残した野菜を寄越してくる。
チュウベエも「俺もやるわ」としなしなになった沢庵を差し出した。
「いま忙しいんだ、大人しく食ってろ。」
「おいおい、なんだよせっかくやるって言ってんのに。」
「好き嫌いはよくないぞ、食え。」
チュウベエに抱えられ、鼻先に沢庵を押し付けられる。
「やめろお前ら!」
「沢庵好きだろ悠一は。」
「だから今は忙しいんだって!」
「ちょっとアンタたち。無理矢理食べさせちゃ可哀想でしょ。」
モンブランが俺を奪い取る。
マリナも「そうよお」と頷いた。
「今は私たちが悠一の飼い主なんだから。もっと優しくしてあげないと。」
そう言って「はいどうぞ」とスプーンでグラタンを食べさせようとした。
「熱ッ!」
「あ、ごめん。ふーふーしてあげるわね。」
「マリナ、犬にグラタンはよくないわ。こっちにしましょ。」
ポケットからカリカリを取り出すモンブラン。
そいつを鼻先に押し付けてくる。
「こらお前たち!いま忙しいって言ってるだろ!」
「なんでそんなに暴れるのよ?」
「あ、もしかしてトイレじゃない?」
「なら俺が連れてってやるぜ。」
「ダメよ、アンタなんかに任せたらトイレに落としちゃうに決まってるわ。」
「そんなことするかよ、いいから貸せって。」
「イヤだってば。」
「いいからよこせ。」
「ちょっと乱暴しないでよ!」
「ぐはあッ!」
「お前らいい加減にしろ!」
どうしていつも騒々しくなるのか。
落ち込んで元気になって喧嘩して・・・・このパワーはいったいどこからくるのか?
呆れていると「あのう・・・」とさっきの店員がやって来た。
「それ、やっぱり本物の犬ですよね。」
《しまった!》
モンブランとマサカリは慌てて首を振る。
「そんなわけないじゃない!ねえ?」
「そうだぜ。アンタきっとアレだよ、働き過ぎで疲れてるんだ。過労死する前に休んだ方がいいぜ。」
「昨日まで三連休だったんで大丈夫です。それよりぜったいに本物の犬でしょ?」
「ぬいぐるみよ。ねえ?」
「そうそう。消費税入れて80万だぜ、リアルに出来てんだこれ。」
「いやいや、絶対に本物の犬ですよね、それ?」
「だからぬいぐるみだって。」
「ここのスイッチをひねれば鳴くんだぜ。ほれ。」
「ワン!」
「いやいや!わざとららし過ぎでしょ。」
もはや言い訳は通用しない。店員は「店長〜!」と叫んだ。
厨房から油ぎった感じのおじさんが出てきて、「なんで犬が!」と驚いた。
さらにマシロー君を見て「ヨツユビハリネズミまで!」と叫ぶ。
やけに詳しい。
もう誤魔化せない。ファミレスでの朝飯はお開きだ。
「出てって下さい。でないと警察呼びますよ。」
店員にそう言われて席を立つ。
モンブランたちはブチブチ言うけど仕方ない。
会計を済ませ、店を出ようとした・・・・・その時だった。
俺たちの後ろを誰かが駆け抜けていった。
「あ、食い逃げ!」
それはさっきの少年たちだった。
店員は「待てガキ!」と追いかける。
店長はオロオロしながら「け、警察!」と電話を掛けていた。
「やあねえ、食い逃げなんて。」
「貧乏人は悲しいなあ。」
マリナとチュウベエが切ない目で見ている。
俺は「あの少年たちを追いかけろ!」と叫んだ。
「なんで?」とモンブラン。
「いいから!」と急かした。
「事情はあとで説明するから。」
「・・・・ああ!そっか。食い逃げを捕まえたら警察からお金がもらえるのね!」
「なにい!じゃあステーキ食い放題じゃねえか!」
「いやいや、ここは鰻重にしよう。」
「私はフレンチのフルコースがいいわ。」
「なんでもいいから追いかけろ!」
みんな我先にとダッシュする。
モンブランとチュウベエはかなりの瞬足で、あっという間に追いついていた。
しかし少年たちは抵抗した。
店員も加わるけどなかなか取り押さえられない。
そこへ遅れて追いついたマサカリが「神妙にしやがれ!」と飛びかかった。
足は遅いけどパワーはあるようで、あっさりと少年たちを取り押さえた。
ちなみにマリナは走った勢いが止まらず、マサカリに体当たりをかましていた。
「ごはあッ!」
こいつもなかなかパワーがある。
少年たちは怯え、その場にへたりこんでしまった。
「よくやった!」
「へへ、まあ俺様が本気を出せばこんなもんよ。」
マリナに吹っ飛ばされて鼻血を出している奴がよく言う。
けどまあこいつらのお手柄だ。
褒めてやるとまた調子に乗っていた。
俺は少年たちに近づき、こう尋ねた。
「君たち、お母さんの名前を当ててみせようか?」
「?」
「なんだこの子犬・・・・。」
「マシロー君、通訳を頼む。」
「御意。」
「君たち、ずいぶんお母さんを怖がってたみたいだけど、名前を当ててみせようか?」
「・・・・・と申しております。」
「うわ!ネズミが人間の言葉をしゃべった!!」
「不思議だよな。まあそれは置いといて、お母さんの名前を当ててあげるよ。」
不思議そうにする少年たち。
俺は「お稲荷さんのアカリさんだろ?」と言った。
「え!なんで知ってんの?」
二人して目を丸くしている。
「お前お母さんの知り合いか?」
「まさか俺たちの知らないところでペットを飼ってたとか?」
「ペットじゃない。」
「じゃあなんなんだよ?」
「元同僚。」
「は?」
「同僚?」
ポカンとしている。
モンブランが「犯人捕まえたからご褒美ね!」とはしゃいでいた。

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