便利な車ゆえの弊害

  • 2019.04.23 Tuesday
  • 13:50

JUGEMテーマ:社会の出来事

JUGEMテーマ:車/バイク

便利な世の中になりました。
テクノロジーが進歩したおかげで至れり尽くせりです。
しかし進歩したテクノロジーのおかげで、今までにない問題も出てきました。
便利になったのはいいんですが、あまりにテクノロジーを信用しすぎて、人間の注意力が落ちているように思います。
アクセルとブレーキの踏み間違えによる事故が増えています。
アートマ車はとても便利だけど、便利ゆえの罠があります。
操作が簡単なので、自分が上手くなったかのように錯覚してしまうことです。
マニュアル車の場合、自分でギアチェンジしないとスピードは上がりません。
しかしオートマ車の場合はアクセルを踏み続けるだけでスピードが上がります。
そして発進の時もマニュアル車の方が難しいです。
半クラッチしながらアクセルをゆっくり踏まないとエンストしてしまいます。
オートマ車の場合はいきなりアクセルを踏み込んでも発進します。
アクセルとブレーキを間違って強く踏み込んだ場合、マニュアル車であればエンストする可能性が大きいです。
仮に発進できたとしても、ギアチェンジしない限りは一速以上のスピードは出ません。
そしてガードレールなどにぶつかった場合、これまたエンストして止まる可能性が高いです。
でもオートマ車はそうじゃないんですよね。
アクセルを踏むだけで走り出し、スピードが上がる。
マニュアル車の場合ならば運転手がやらなきゃいけない操作を車がやってくれます。
便利ではありますが、そうやってスムーズに車が走るのは車の機能のおかげであり、運転手の技術ではありません。
だから勘違いしてしまいます、自分の運転はまだまだ大丈夫とか、これくらいの注意力でも平気だろうとか。
でも実際はそんなことはなくて、マニュアル車だろうとオートマ車だろうと、一番大事なのは運転手の注意力です。
昔、上岡龍太郎さんが仰っていました。
「なんでも機械に任せたら人間は終わりだ」と。
どんなに便利な機械であれ、それを使うのは人間なんだから、機械を信用しすぎるのはよくありません。
いくら進歩していくら便利になろうとも、しょせん機械は道具です。
便利になった車は人間がやるべき操作や、人間が身に付けるべき技術を肩代わりしてくれますが、注意力や状況判断までは肩代わりしてくれません。
どんなに便利な車であっても、注意だけは怠らないようにしたいですね。

稲松文具店〜燃える平社員と動物探偵〜第三部 第十六話 より強く(2)

  • 2019.04.23 Tuesday
  • 11:00

JUGEMテーマ:自作小説

窮地を救ってくれるヒーローはありがたい。
いや、ヒーローだからこそ窮地に現れてくれるのかもしれない。
どっちにしたって、絶体絶命のピンチの時、ヒーローほどありがたい存在はいないだろう。
「伊藤!」
突如現れた鬼神川に怯える中、奴の背後に伊藤が立っていた。
鬼神川が振り返るのと同時に銃を撃つ。
眩い火花、空気を貫通するような鋭い銃声。
鬼の狐火の頭から鮮血が飛び散った。
《おお!やった・・・・。》
伊藤の弾丸は霊獣も殺傷できる。
頭にアレを受けては鬼神川といえども終わりだろう。
「・・・・・・・。」
鬼神川はこちらに背中を向けたまま動かない。
足元にはポタポタと血が落ちているので、弾丸は間違いなく命中したはずだ。
なのにまだ立っているということは・・・・、
伊藤はまた銃を撃つ。二発、三発と連続で。
しかしそれでも倒れなかった。
わずかに伊藤の顔が歪む。
すると肩からマシロー君が飛び降りて、トコトコっとこっちに走ってきた。
「早く逃げて下さい!」
「逃げる?なんで?」
「ここにいたら危ないからですよ!」
「でも鬼神川はもう終わりだろ?ついでにここにある薬も全部ぶっ潰さないと。」
技術部のドアの向こうには、今回の事件の発端となった薬がある。
あれが残っている限りはまた似たような事件が起きるだろう。
「あのドアは頑丈らしいけど、アカリさんや狼男たちがいればどうになるだろ。」
「無理です!だって・・・・、」
「だって鬼神川はまだ死んでいないから。」
マシロー君に被せるようにアカリさんが言った。
「死んでないって・・・・伊藤の弾丸は霊獣も殺せるんですよ?あれを至近距離から何発も食らったらおしまいじゃ・・・・、」
「普通ならね。でも間違いなく鬼神川は生きてる。どういうわけか分からないけど。」
するとツムギ君も「俺も逃げた方がいいと思う」と言った。
「アイツの殺気は萎むどころか大きくなっている。このままじゃマリナさんを守りきれない。」
「そんなまさか・・・、」
「有川!お前はマリナさんの飼い主だろう。危険に晒されてもいいのか!?」
「そりゃよくはないけど・・・・。」
ツムギ君の後ろでは狼男たちが怯えている。
さっきまであれだけ暴れまわっていたのに。
「ここはアカリさんたちの言うことを聞きましょ。」
御神さんも同じ意見のようだ。
「霊獣がこう言ってるんだもの、素直に従った方が賢明だわ。」
「でもあと一歩であの薬を潰せるのに・・・・、」
「ていうか私の勘も逃げろって言ってる。仕事柄そういう勘は敏感でね、賭けたっていいわ。」
そう言って「早く逃げましょ」と踵を返した。
狼男たちもそそくさとついて行く。
ツムギ君は「マリナさんは僕がお守りします!」と、お姫様だっこをして逃げていった。
「なんかヤベえみたいだな。」
マサカリが呟く。チュウベエも「だな」と頷いた。
「というわけでとっととずらかるぞ。」
「悠一も急げ!」
「あ、おい!」
「アンタも早く!」
振り返ると、アカリさんが尻尾でチェリー君を抱えていた。
「まだ生きてますよね?」
「ええ。この程度なら少し寝てれば回復するわ。それより早く!」
「・・・・分かりました。」
俺もあちこちやられて痛いけど、動けないほどじゃない。
「ほらモンブラン、ボケっとしてないで行くぞ。」
「・・・・・・・。」
「どうした?」
「アイツら・・・・私のことほっといて逃げちゃった!」
「アイツら?」
「ロッキーとヒッキーよ!私を愛してるなんて言いながら、この仕打ちはないじゃない!」
「まあ・・・・よっぽど鬼神川が怖かったんだろう。」
「ツムギ君はちゃんとマリナを守ったのに。これだからチャラい男なんて信用できないのよ!!」
「愚痴はあとで聞くから今は・・・・、」
「おぶって!」
ピョンと背中に飛び乗ってくる。こっちは怪我人だってのに。
まあいい。とにかくここからオサラバするしかないようだ。
「マシロー君!君はどうずるんだ?」
「ここに残ります。」
「でも危ないんだろ?逃げた方がいいんじゃないか?」
「いいんです。彼だけ残して逃げられませんから。」
そう言って銃を構える伊藤を振り返った。
「僕に構わず行って下さい!」
「わ、分かった・・・・君もどうか無事でな。」
サっと踵を返し、この場から逃げ出す。
するとその瞬間、鬼神川が「何をしている」と低い声で唸った。
「その小僧を逃がすな。」
静かな声だが迫力がある。
さっきまで貝になっていた敵の霊獣たちが、「はは!」と動き出した。
ノックアウトされたはずの警備員たちも起き上がり、ゴリラみたいな霊獣に変化する。
バズーカを食らっても生きてるなんてタフにも程がある。
「待てやコラアア!」
「ひいい!」
モンブランを抱えて必死に逃げる。
アカリさんが「こっちこっち!」と尻尾を振った。
見るとヒッキー君が壁を壊し、外に飛び降りていた。
みんな次々と飛び降りていく。
俺も急いで向かうけど、あと少しってところで尻尾を掴まれてしまった。
「痛だだだだ!」
「逃がさん!」
ジャッカルの霊獣だった。
いつの間にか復活していたらしい。
「お前を殺らないと俺が鬼神川さんに殺されちまう!」
「そんなの知るか!」
ガンガン蹴るけど離してくれない。
そうこうしているうちに大勢の敵に囲まれてしまった。
「くッ・・・・モンブラン、お前だけでも逃げろ!」
穴の空いた壁から外に放り投げる。
「ちょっと悠一イイイイイイィィィ・・・・・、」
下にはアカリさんたちがいるはずだ。
きっと受け止めてくれるだろう。
「散々好き勝手やってくれやがって。」
ジャッカルがボキボキと拳を鳴らす。
周りの奴らも殺る気満々で睨んでいた。
「ええっと・・・・もうちょっと待ちませんか?」
「待つ?」
「ほら、ヒーローは遅れて現れるっていうでしょ?」
「だからなんだ?」
「もうちょっと待ったら新しいヒーローが出てきて、あなた達をやっつけてくれるんじゃないかなあなんて・・・・、」
「・・・・・・・。」
「ダメですか?」
一瞬だけニヤリと笑うジャッカル。
そして「ざっけんなテメエ!」と吠えた。
「ひいいいい!」
「どこの誰がんなもん待つってんだ!!」
「す、すいませんすいません!」
「根っから舐め腐りやがって。殺すだけじゃ気が済まねえ。地獄を味あわせてから殺ってやるぜ!」
めちゃくちゃ怖い顔をしながら飛びかかってくる。
しかしその時、「待て!」と野太い声が響いた。
みんなビクっと竦み上がる。
「この声は鬼神川・・・・。」
敵の群れを押しのけながら、ゆっくりと現れる。
そして俺の足元に何かを投げた。
「これは・・・・銃?」
見たことのある形だ。これはたしか・・・・・、
「もう一人の伊藤の物だ。」
「やっぱり!」
チャンスとばかりに銃を拾う。
「ふ、お前も馬鹿だな。自分から武器を寄越すなんて。」
「・・・・・・・。」
銃を構えると、他の霊獣たちは後ずさった。
しかし鬼神川は逃げない。
撃ってみろと言わんばかりに立ちはだかる。
「な、なんだよ・・・・えらい強気だな?まさか弾が入ってないんじゃ・・・・、」
「まだ残っている。」
「そ、そうか・・・・。なら撃つぞ!」
眉間を狙って銃口を向ける。
でも・・・・撃てない。銃で誰かを殺すなんて・・・・。手が震えて狙いさえズレてしまいそうだ。
鬼神川はガシっと俺の手を掴み、自ら眉間に銃口を当てた。
「お、おい・・・・、」
グっと手を握られる。
「痛ッ!」と叫ぶのと同時に引き金を引いてしまった。
ゼロ距離で眉間に当たる。
赤い地が飛び散り、「ひい!」と怯えた。
でも奴は死ななかった。
それどころか残った弾丸を全て自分に撃ち込む。
その度に血が飛び散るんだけど、やはり死にはしなかった。
「な、なんで・・・・?」
「不思議か?」
「だってこの銃・・・・霊獣でも倒せるはずじゃ・・・・。」
「以前の私なら死んでいただろう。しかし今は違う。」
「ど、どう違うの・・・・?」
「教える義理はない。」
すごい目が怖い・・・・。
ていうかこの銃、なんでコイツが持ってるんだろう?
「まさかとは思うけど・・・・伊藤をやっつけちゃったの?」
「さあな。」
「マシロー君は?無事なんだろうな?」
「それも答える義理はない。」
そう言って俺の手から銃を奪い取る。
そしてポケットから一発の弾丸を取り出した。
「あ!それは・・・・、」
紫の弾丸だった。
撃ち尽くしたはずなのにと思ったけど、よくよく考えれば伊藤はもう一人いるのだ。
そっちの伊藤から渡されたんだろうか?
鬼神川は弾を込め、銃のスライドを引く。
ガチャリと弾丸が装填され、俺の頭に突きつけた。
「ちょ・・・ちょっとタンマ!」
「お前はたまきの愛弟子らしいな。」
「愛弟子かどうかは分からないけど・・・いちおう弟子だよ。」
「お前を殺せばたまきは怒り狂うだろう。だが今となってはアイツも脅威ではない。」
「脅威ではないって・・・・アンタ一度たまきにボコボコにされたはずだろ?俺を撃ってみろ、次はボコボコにされる程度じゃすまないぞ。」
「脅威ではない・・・・と言ったはずだ。」
目にグッと力が篭る。
《撃たれる!》
そう確信して目を閉じた。そして実際に撃たれた。
眩い火花、近すぎて耳鳴りがする銃声。
でもまったく痛みは感じなかった。
酷い怪我は痛みを感じないというけど、頭を撃ち抜かれた時も同じなのかもしれない。
しかし何の感触もないっていうのはちょっと不思議だ。
痛みはなくても衝撃くらいはありそうなものだけど・・・・。
「貴様・・・・、」
鬼神川が唸る。
俺はふと誰かの気配を感じ、ゆっくりと目を開けてみた。
そこには鬼神川の腕を掴み、ねじり上げている人物がいた。
「う・・・・ウズメさん!」
「ギリギリだったわね。」
そう言って俺の頭を指さした。
「まさかウズメさんが助けてくれたんですか?」
「ついさっきこっちに戻って来たのよ。こがねの湯に行ったら管って稲荷がいてね、悠一君たちの居場所を教えてくれたわ。
でも教えてもらった工場は燃えて無くなってるし、じゃあ他に?って考えたらここしか思いつかなかった。
でもまさか・・・・ねえ?君が霊獣になってるなんて思わなかったけど。その気配、間違いなく悠一君でしょ?」
「はい!鬼神川たちが開発した新薬を飲んだせいでですね・・・・、」
「そんなところでしょうね。」
ニコっと笑い、さらに鬼神川の腕を捻り上げる。
「貴様はウズメだな!ダキニの後釜の。」
「そうよ。アンタらの悪さを止める為にやって来たのよ。」
「ぐうッ・・・・、」
「いくら頑張っても無理よ。こっちはあんたよりずっと位が上なんだから。」
「ふん!ダキニが戻ってくるまでの代理の分際で!!」
鬼神川はあの工場で見せた時のように、青く燃える六本の尻尾を生やした。
そいつを大きく振り回すと、周囲の物は全て消し炭に変わってしまった。
燃える暇なんてない・・・・一瞬で蒸発するなんて・・・・。
「アンタ仲間まで・・・・、」
ウズメさんは怒る。
さっきの一撃で敵の霊獣全てが消えてしまったのだ。
「どいつも下っ端だ。稲荷は一人もいなかっただろう?」
「だからって自分の部下を・・・・、」
「噂には聞いていたが、お前はずいぶんと甘いようだな。そのせいでダキニほどの求心力がないのだとか?」
「ダキニ様はダキニ様、私は私よ。」
「だが仏教系の稲荷が神道系に寝返る例が増えている。全ては貴様が長になってからだ。」
「下の者には申し訳ないと思ってるわ。私はダキニ様のほどの器じゃない。そのせいで迷惑かけてるってね。」
「ならばもう退いたらどうだ?」
「そうはいかないわ。ダキニ様が戻ってくるまでの間は私が長よ。アンタらのやってる悪事は見過ごせない!」
「いいのか?長ともあろう者が勝手なことをすればどうなるか・・・・大きな争いに発展しかねんぞ。」
「もうその心配はないわ。」
「なに?」
「ついさっきまでアンタらの親玉がいる稲荷の世界へ行ってたのよ。前は門前払いだったけど、今回はちゃんと話を聞いてくれたわ。」
そう言ってウズメさんも尻尾を生やした。
黄金色に輝く八本の尻尾を。
鬼神川は「なんと!」と狼狽える。
「尻尾が八本・・・・しかもこの神々しい金色の輝き。いくらなんでもここまで位の高い稲荷なわけが・・・・、」
「ダキニ様よりも前の長から格上げしてもらったのよ。」
「前の長だと?・・・・ということは白髭ゴンゲンか。まさかあのご老体までこの件に関わっているというのか!」
「いいえ、ちょっと手を貸してくれただけ。でもおかげで神道系の稲荷のお偉いさんたちと話が出来たわ。
この尻尾を見せると一人前の稲荷神だと認めてくれたからね。ただのダキニ様の代理じゃないって。」
「・・・・で?上の者たちはなんと?」
「好きにしろって言われたわ。ただし・・・・、」
「ただし?」
「キッチリとならず者の始末をつけること。要するにアンタを叩きのめせってことね。」
「・・・・・・・・。」
「アンタ、向こうでも鼻つまみ者で有名らしいじゃない。きっと厄介払いしたいのね。」
そう言ってニヤリと笑う。
鬼神川は「なるほど」と頷いた。
「つまり本気で私を叩き伏せるつもりだと?」
「そういうこと。アンタ鬼の狐火って呼ばれてるんだっけ?かなりの腕っ節らしいけど私の敵じゃないわ。」
ウズメさんから殺気が放たれる。
まさかここで巨大な稲荷に変身する気か?
「大人しく降参するなら痛い目に遭わなくてすむけど・・・・どうする?」
余裕の笑みを浮かべるが、鬼神川は「馬鹿を」と突っぱねた。
「強くなったのは貴様だけではない。」
そう言ってニヤリと笑う。なんだこのバトル漫画みたいな展開は・・・・。
いや、でも実際に強くなっているんだろう。
だって伊藤の弾丸が効かなかったんだから。
なにか秘密があるんだろうけど、聞いても教えてくれなかった。
でも相手がウズメさんなら・・・・、
「別の気配が混じってるわね。」
笑みを消し、鋭い眼差しで呟く。
鬼神川は「その通り」と頷いた。
「ある霊獣と契約を結んでな。」
「契約?」
「私の上司が契約中の霊獣だ。」
「アンタの上司?・・・・まさか!」
「そう、そのまさか。あの狼と契約を結んだ!」
鬼神川の殺気が膨れ上がる。
青い炎をまとう六本の尻尾が束ねられ、紫に燃え盛る一本の尻尾へと変わった。
「悠一君!ここから逃げて!!」
ウズメさんが叫ぶ。しかし鬼神川は「その必要はない」と言った。
「私と貴様、本気で戦えばこの会社などあっという間に潰れてしまう。だがここには大事な薬もあるのでな、それは避けたい。」
「なら場所を変えようってこと?」
「ああ。」
鬼神川は後ろを振り返る。
そこには黒のスーツを着た数人の男女が立っていた。
そのうちの一人が前に出て来て、「ま〜た暴れるんですね」と肩を竦めた。
「紺野よ、少しここを離れる。留守を頼むぞ。」
「まあいいですけど・・・・相手は仏教系の稲荷の長でしょ。勝てるんですか?」
「さあな。」
「鬼神川さんにしちゃ弱気な答えですね。」
「ダキニの代理を務めている稲荷だ、弱いわけがなかろう。だがここで引いたら社長に顔向けが出来ん。」
「まあぶっ殺されるでしょうね。」
「霊獣が支配する世を創るまでの我慢だ。そのあとは・・・・社長にも消えてもらう。」
それを聞いた鬼神川の部下は「ほんとにやるんですか?」と眉を潜めた。
「社長はしょせん人間だ。私たちとは相容れない。」
「まだ霊獣を絶滅させたがってるんだから・・・困ったもんですよね。」
「お喋りはここまでにしておこう。私はウズメと決着をつけてくる。それまでここを頼んだぞ。」
「イエッサー。」
ふざけた感じで敬礼している。
鬼神川は「では行こう」と背中を向けた。
「この会社の地下に私の神社がある。」
「勝負は稲荷の世界でってことね。望むところだわ。」
ウズメさんもあとをついて行く。
でも途中で振り返り、「そうそう」と戻ってきた。
「悠一君。」
「は・・・はい!」
「ここは危ないから、私が戻って来るまで近づかない方がいいわ。」
そう言って穴の空いた壁からドンと突き落とされた。
「ちょ・・・・ウズメさあああああん!!」
地面に向かって真っ逆さまに落ちていく。
霊獣だから死にはしないだろうけど、それでも怖い・・・・。
《ちょっと痛いくらいだよな・・・・我慢だ!》
グっと歯を食いしばって覚悟を決める。
でも落ちていく途中で、全身からモクモクと白い煙が上がった。
そして・・・・、
「ぬううあああ!!人間に戻っちまった!」
なぜだ?薬の効果が切れたのか?
とにかくこのままだと死ぬ。
だってアスファルトの駐車場はすぐそこに迫って・・・・、
「なにやってんのよ!」
地面に激突する前にフサフサした尻尾に受け止められた。
顔を上げるとアカリさんがいた。
人間の姿に戻り、尻尾だけ生やしている。
「なんでさっさと逃げないのよ!ていうかなんで人間に戻ってんの!?」
「あ、あの・・・・他のみんなは?」
「とうに逃げたわよ!ほら、さっさと立って!!」
慌てて駐車場から駆け出していく。
俺は立ち上がり、さっきまでいた場所を見上げた。
鬼神川の部下がニヤニヤしながら手を振っている。
来るならいつでも来いと挑発するかのように。
《見とけよ・・・・このまま終わらせないからな!》
最近消えかかっていた情熱というか、青臭い炎が燃え上がる。
眉間に皺を寄せながら、柄にもなく睨み返していた。

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