緑が謳う

  • 2019.04.25 Thursday
  • 12:36

JUGEMテーマ:

初夏が近づき 緑が謳う


山も森も公園の木々も


初々しく染まって 全て輝いて見える


あちこちから命が芽吹く


ずんぐりむっくりのハナバチたちが


宴のように羽音を響かせていた
 

稲松文具店〜燃える平社員と動物探偵〜第三部 第十八話 偽り(2)

  • 2019.04.25 Thursday
  • 11:57

JUGEMテーマ:自作小説

「てめえ!」
こがねの湯の事務所で管の胸ぐらを掴み上げる。
「本当か?本当にそんなことしたのか!」
相手は霊獣、俺が本気で掴んだところでビクともしない。
それでも力いっぱい捻り上げた。
御神さんが「ちょっと落ち着いて」と止めるけど、「落ち着けるわけないでしょ!」と叫んだ。
「お前、今の話はほんとなのか?一から十まで全部ホントなのかよ!!」
「ああ。」
そう言って首から掛けたタオルで濡れた頭を吹いていた。
「真面目に答えろ!」
拳を振り上げると、「やめなさいって」と御神さんに掴まれた。
「怒る気持ちは分かるけど殴ったって仕方ないわ。」
「御神さんはなんとも思わないんですか!コイツ・・・・翔子さんを酷い目に遭わせたのに・・・・、」
俺は管を睨みつける。
コイツはやっぱり隠し事をしてやがった。
俺たちに取り入って身を守る為には、どうしても言えないことがあったのだ。
「翔子さんがタカイデ・ココに捕まってる時、コイツは襲うとしたんですよ!」
「知ってるわよ、一緒に聞いてたんだから。」
「だったらなんで・・・・、」
「ブン殴るのはいつでも出来る。それよりも今は・・・・、」
そう言って「管さん、もう一度確認するわね」と冷静な目を向けた。
「社長室には隠し部屋があって、そこに翔子ちゃんが捕らわれてるのよね?」
「ああ。」
「その隠し部屋のさらに奥は稲荷の世界に繋がっていて、伊藤はそっちにいると。」
「多分な。社長室にいないならそこしか考えられない。」
「それ、とっても大事な情報よね?なのに私たちに教えてくれなかったのは、喋ったら自分にとって不都合になるから。」
「ああ・・・・・。」
「工場にいるなんて最初からウソだったのね?」
「あの工場は薬を量産する為に建てられたんだ。まだ稼働していないが、いずれはあそこで大量に生産する予定だった。そんな場所に人質を捕らえたりはしない。」
「翔子ちゃんを助けたら、あなたが彼女を襲おうとしたことがバレてしまう。だから工場にいるなんて嘘をついた、そういうことね?」
「・・・・・ああ。」
バツが悪そうに頷いている。
御神さんの言う通り、コイツはウソをついていたのだ。
翔子さんを酷い目に遭わせたなんて知られたら、ここを追い出されるから・・・・、
「なあお前。」
「なんだ?」
「本当に・・・・本当に襲おうとしただけなんだよな?」
「そう言っただろ。」
「今度ウソついたらどうなるか分かってるんだろうな?」
「襲おうと手を掛けた瞬間、テーブルの上にあった果物ナイフで切りかかってきやがった。
でも歯が立たないと見たのか、次は自分の首を突き刺そうとしたんだ。人質に死なれちゃマズいから、そこで手を出すのをやめた。」
「てことは多少は襲ったってことじゃないのかよ。」
「服は破けてた。でもそれ以上は・・・・、」
「やっぱ手え出してんじゃねえかこの野郎!」
思いっきりブン殴る。
しかし人間のパンチじゃダメージは与えられなかった。
それどころかこっちの拳がジンジン痛む。
「誰か銃もってないか?ケツの穴にブチ込んでやる!」
こんな野郎、タダですますわけにはいかない。
「誰かもってないのか!」と叫ぶと、「じゃあコイツで」とチェリー君が前に出てきた。
「コイツでって・・・・銃は?」
「んなもんよりこっちの方が効くぜ。」
手を上げ、グっと拳を握る。
そして霊獣の姿に変化した。
なるほど、たしかに霊獣の拳骨の方が強力だ。
できれば自分で殴りたいけど、俺じゃ意味がない。
ここは彼にお願いすることにした。
「ようオッサン、歯あ食いしばんな。」
「・・・・本気でやるつもりか?」
「たりめえだろ。」
「ふざけるな!」
「ああ?」
「たしかにちょっとはウソをついていたが、それ以上にたくさんの有益な情報を教えてやったはずだ!黙って殴られる筋合いはない!」
そう言って管も稲荷に変化しようとした。
しかしアカリさんが「そこまで」と止めた。
「ケンカするっていうなら、ここにいる全員を敵に回すわよ?」
アカリさん、ロッキー君、ヒッキー君。
みんな霊獣に変化する。
モンブランたちも怖い目をしながら詰め寄っていった。
「アンタ最低!よくも親友の大事な人を・・・・。」
「ねえ、この人にもバズーカ撃ち込んでいい?」
全員から睨まれ、「ちょ、ちょっと待ってくれ!」と変化をやめた。
「ウソをついてたことは謝る!でも悪気はなかったんだ!!」
「あああん?」
チェリー君が詰め寄る。リーゼントがくっ付くほどの距離でメンチを切った。
「そ、そんな怒らないで・・・・、」
「怒るかどうかはこっちが決めんだよ。」
「ち、違うんだ!俺はただ鬼神川から身を守りたかっただけで・・・・、」
「じゃあ鬼神川の指示か?」
「え?」
「翔子とかいう女を襲ったのは鬼神川の指示なのかって聞いてんだよ!」
胸ぐらを捻り上げる。
人間の姿のままの管は軽々と持ち上げられていた。
「それはその・・・・、」
「テメエが勝手に襲おうとしたんじゃねえのかよ?」
「いや・・・ほんとにその・・・・、」
「ゴニョゴニョ言ってねえで答えろや!」
ヒッキー君とロッキー君も詰め寄ってメンチを切る。
管は「き、鬼神川に言われて!」と叫んだ。
「アイツに命令されたんだ!俺は嫌だったのに・・・・。」
「本当だろうな?」
「ほ、本当本当!」
「だったらテメエ、なんで途中で襲うのやめたんだよ。」
「は、はい・・・・?」
「鬼神川の命令には逆らえねえはずだろ?」
「だ、だからそれは・・・・、」
「アイツに逆らったらぶっ殺されるんだろ?だったらよお、保身のことしか考えてねえチンケな野郎が、途中でやめるはずねえだろうがよお!!」
グワングワンと揺さぶっている。
管は右に左に揺れながら「ひいいい!」と叫んだ。
「俺はよお、テメエみてえなコウモリ野郎が大ッ嫌れえなんだよ!!」
チェリー君のコウモリ嫌いには理由がある。
大事なお姉さんを傷つけた元彼がコウモリの霊獣だったからだ。
しかも今はまたヨリを戻している。
チェリー君として面白くないだろう。
モンブランが小声で「相変わらずシスコンねえ・・・」とささやいた。
「おいアンタ!」
俺を振り向き、「何発やってほしい?」と拳を握った。
「10発でも20発でも好きなだけ殴ってやるぜ。」
「そうだな、じゃあ100発で。」
「サンドバッグにしちまえってか。いいねえ。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!そんなに殴られたら身がもたな・・・・、」
「うるせえ!ぶっ殺すぞ!!」
「ひいいい・・・・、」
目を背けながら怯えている。
しかし同情なんて出来ない。
ウソをついて俺たちを騙し、挙句に翔子さんまで傷つけたなんて・・・・万死に値する!
「チェリー君!遠慮なくやっちゃってくれ!!」
「おうよ!」
漬物石みたいなゴツイ拳を振り上げる。
「やめてくれ!」と怯える管、「うるせえ!」とチェリー君の拳が振り下ろされた時、「待って!」と誰かが止めに入った。
「許してあげて下さい!」
イタチみたいな霊獣が管を守るように立ちはだかる。
「なんだテメエは?」
ギロっと睨むチェリー君。
モンブランが「そいつ私たちが捕まえた追っ手よ」と言った。
「追っ手?」
「ほら、浴室にいた。」
「・・・・ああ、てことは管の仲間か。」
事務所に続々と仲間の霊獣が入ってくる。そして動物たちも。
霊獣たちは「許してやって下さい!」と土下座した。
「酷いところもあるけど、良いところだってあるんです。」
「こう見えて私たちには優しくて・・・・。」
「面倒見のいい人なんです。ミスした時も庇ってくれたりして・・・・。この人がいなきゃ、俺たちの中の何人かは鬼神川に殺されてたかもしれません。」
事務所がいっぱいになるほどの霊獣たちが頭を下げている。
チェリー君は困惑しながら俺を振り返った。
「どうするよこれ?」
「どうするもこうするも・・・・、」
「私たち本当は人間じゃないんです!」
「え?」
「新薬で霊獣になったなんてウソで、最初から霊獣なんです!」
「そ、そうなの?」
「元々が人間だったら、例の薬でただの動物に戻ったりはしません。」
そう言って仲間の動物たちを振り返った。
「言われてみれば。じゃあなんで管はアンタたちが元人間なんてウソを?」
「その方が同情を買えるから・・・・。」
「同情?」
「カグラを追われた私たちに行くあてはありません。ここを追い出されたらもう・・・・、」
「つまり元人間ってことにしとけば、俺たちが簡単に見捨てたりしないだろうってことか?」
「はい。」
「じゃあ・・・・本当は霊獣なんだな?」
「そうです。管さんは酷いところもあるけど、私たちには優しかった。
鬼神川のせいで苦労してきた人だから、自分は部下に対して同じことはしないっていつも言ってて・・・。
だから許してあげてほしいんです!そもそも北川翔子を誘拐しようって言い出したのは鬼神川なんです!アイツが一番ヒドい奴なんです!」
みんな一斉に「お願いします!」と叫ぶ。
こんな大勢に土下座されたら・・・・どうしたらいいんだ。
「なあアンタ、早く決めてくれよ。」
チェリー君がイライラしながら言う。
「この野郎をボコるのか?それとも見逃してやんのか。」
「・・・・見逃すことは出来ないよ。悪いことたくさんしてんだから。でも今ブン殴るのはやめとこう。その代わり・・・・、」
管に詰め寄り、「手を貸してほしいことがあるんだ」と言った。
「あのさ・・・・、」
「か、カグラに行くとかは嫌だぞ!」
めちゃくちゃビビってる。「それなら100発ブン殴られた方がマシだ!」と首を振った。
「鬼神川の所に戻るのだけはぜったいに・・・・、」
「違うって。動物たちの里親探しをしてやってほしいんだ。」
「さ、里親・・・・?」
キョトンとしているので、「実はさ・・・」と説明した。
アナグマ医師の病院に、例の薬の被害者を預けたままなのである。
みんな人間に捨てられた動物たちだ。
俺が里親を探してやるって約束してたんだけど、この状況だと今すぐには難しい。
かといってこれ以上放っておけば約束を違えることになる。
「アンタなら適任じゃないかと思ってさ。」
「なんで俺が・・・・。」
「だって見ろよ、こんなに大勢の霊獣がアンタを慕ってる。翔子さんを傷つけたことは許せないけど、でも悪い面ばかりじゃないんだろ?
アンタなら困ってる動物の為に親身になってくれるはずだ。」
管はなんとも言えない顔で固まっている。
すると「やりましょうよ!」と部下の霊獣が立ち上がった。
「それで許してもらえるなら!」
「いやしかし・・・・里親なんてそう簡単に見つかるものじゃ・・・・、」
「私たちも協力しますから!」
「お前たちが?」
「霊獣だからこそ人間と動物、両方の気持ちが分かるんじゃないですか。私たちならきっと里親を見つけられますよ!」
そう言って「ね!」と仲間を振り返った。
みんな頷き、「もし無理だったら俺たちで引き取りましょう」とまで言った。
「霊獣だって元々は普通の動物だったんです。人間のせいで困ってる奴らを見捨てておけませんよ。」
「そうですよ。それにカグラは動物実験だってしてたんです。本当なら霊獣は動物の味方じゃないといけないのに・・・・。
里親を見つけてあげることが出来れば、ちょっとは罪滅ぼしになるかも。」
みんなで「やりましょう!」と詰め寄る。
管は俺を振り向き、「引き受けたらここに置いてくれるのか?」と尋ねた。
「ああ。ただし全員の里親を見つけられたらな。」
「・・・・・・・。」
「もし約束を守ってくれたら、俺からもウズメさんにお願いしてみるよ。アンタとここにいる霊獣たちを、こがねの湯で雇ってやってくれないかって。」
「・・・・本当に?」
「約束する。ただし翔子さんが許してくれるかどうかは別だけどな。事が終わったら俺も何発かブン殴らせてもらう。」
少し迷っているようだったが、周りから「管さん!」と迫られて「分かったよ・・・・」と頷いた。
「捨てられた動物たちの里親探し、引き受けよう。」
「ほんとか!」
「今さらウソはつかん。で、どこへ行けばいいんだ?」
「アナグマ動物病院って所があるんだ。いま地図を描くから・・・・、」
その辺にあった紙切れにササっとペンを走らせ、管の手に握らせた。
「頼んだぞ。」
「必ず全ての動物を助けてみせよう。でも・・・・いいのか?」
「なにが?」
「アンタたちはまたカグラに乗り込む気でいるんだろう?」
「もちろん。あの会社をぶっ潰さない限り同じような事件が起こるからな。」
「ほんとは俺に案内を頼みたいはずなんだろ?」
「いやいや、アンタの案内なんかなくたって・・・・・、」
「そうはいかないはずだ。社長室の隠し部屋、そしてその奥にある稲荷の世界。アンタらにとっちゃ初めて行く場所だろ?だったら案内人が欲しいはずだ。」
「そりゃ案内人がいるのに越したことはないけど、無理矢理連れてくわけにはいかないよ。」
「もちろん俺は行きたくない。その代わりといっちゃなんだが、これをやるよ。」
ポケットに手を突っ込み、小さな勾玉を取り出した。
ほんのりと青く光っている。
「これは?」
「近くに力の強い霊獣がいると反応するんだ。身を守るのに役立つぞ。」
「へえ。・・・・あ!実は俺も似たようなの持ってるんだ。」
ポケットを漁り、勾玉のような形をしたイヤリングを取り出した。
「ほらこれ。カマクラ家具の社長、トヨウケヒメからもらったんだ。」
「なッ・・・・・トヨウケヒメ様からだと!」
「落ち着ける神社を探してあげたらこれをくれたよ。」
「あの御方から直接もらったっていうのか・・・・。」
すごい驚いている。目を見開いてイヤリングを睨んでいた。
「信じられん、トヨウケヒメ様が人間ごときに・・・・。アンタ、そうとう気に入られることしたんだな。」
「別に特別なことは何も。ただ落ち着ける場所を一緒に探してあげただけで・・・・、」
「その程度でお礼を下さるような御方じゃないぞ。なにかトヨウケヒメ様の琴線に触れるようなことがあったんだろう。」
信じられないといった様子で見つめている。
そして「そんなモンを持ってるなら俺のはいらんな」と引っ込めた。
「こっちよりもそのイヤリングの方がよっぽど上等だ。」
「これさ、具体的にどんな効果があるの?」
「いま一番会いたい奴の居場所を指してくれる。」
「でも翔子さんに会いたいって願っても会えなかったぞ。代わりにもう一人の伊藤に会ったけど。」
「そうなのか?じゃあおそらくアレだな、あらかじめトヨウケヒメ様が伊藤をイメージしていたんだろう。」
「なるほど。先に別のイメージが入ってたのか。」
「逆もいけるぞ。一番会いたくない相手を思い浮かべれば、そいつのいる方角を指してくれる。近くにいたら激しく光るしな。」
「へえ、すごい便利だな。」
「そんないいモン持ってるならすぐに使え。北川翔子に会いたいと念じれば、居場所の方角を指してくれるはずだ。」
「マジで!じゃあすぐやってみる。」
頭に翔子さんを思い浮かべる。
でもウンともスンとも言わなかった。
「あれ?なんにも反応しないぞ。」
「どれ・・・。ああ、だったらこっちにはいないってことだ。」
「こっち?」
「人間の世界だ。きっと稲荷の世界に連れて行かれたんだろう。」
「てことは・・・・、」
「間違いなく社長室の隠し部屋、その奥にある稲荷の世界にいるはずだ。伊藤社長と一緒にな。」
「そっか・・・・。翔子さん、きっと助けを待ってるはずだ。すぐに行かないと。」
イヤリングをポケットに戻し、「みんな行こう!」と駆け出す。
するとモンブランが「ねえ?」と管に近づいていった。
「それ、私にちょうだい。」
ニコニコしながら手を出している。
「ちょうだいって・・・・さっきの勾玉をか?」
「だってくれるつもりだったんでしょ?」
「いや、別にアンタにやるとは言ってな・・・・、」
「いい?私は悠一の飼い猫なの。主人の物は私の物なのよ。」
《お前はジャイアンか!》
コイツの図々しさには恐れ入る。
管は「はあ・・・」と呟き、「そんなに欲しいなら」と手渡した。
「やった!見てみて!これすごい綺麗!!」
喜ぶモンブランだったが、管は「でも危険な代物でもあるぞ」と言った。
「危険?どうして?」
「あんまり使いすぎると破裂して飛び散るからな。」
「破裂!」
「近くで破裂したら霊獣でも大怪我をするほどだ。人間や動物なら即あの世逝きだ。」
「・・・・・・・。」
モンブランは俺を見る。俺もモンブランを見つめながら、「そんなリスクがあったなんて・・・」と怖くなった。
「いやいや、アンタのは大丈夫だ。」
「そ、そうなの・・・・?」
「言っただろ、トヨウケヒメ様のやつは上等だと。俺の持ってる物とはわけが違う。」
「なら破裂する心配はないんだな。」
「ある。」
「ええ!じゃあやっぱり危険じゃないか・・・・。」
「耐久性が違う。ちょっとやそっとじゃ破裂なんてしないから安心しろ。」
「そんなこと言われてもなあ・・・・、」
なんか急に使いたくなくなってきた。
管は「心配しなくても平気だ」と言うけど、どんな事にも万が一ってのがある。
「本当に必要な時だけ使うことにしよう。」
ちなみにモンブランは「私いらない」と突き返していた。
「よく見たらそんなにオシャレじゃないし。」
「素直に怖いからって言えよ。」
マサカリにツッコまれて「ふん!」とそっぽを向いた。
《これ、そんなに凄いモンだったのか。》
すごい得した気分な反面、破裂したらどうしようって恐怖もある。
するとアカリさんが「あんたさ・・・」と口を開いた。
「たまきの弟子な上に、ウズメさんに気に入られるわ、もう一人の伊藤からも気に掛けられるわ、その上にトヨウケヒメ様からもそんなの貰ってたなんて・・・・。
どんだけ大物に好かれる奴なのよ。」
呆れた様子で言うので、「自分でも分かりませんよ」と返した。
「その運、ちょっと私にも分けて欲しいわ。」
「そう言われても・・・・、」
「ほんと周りにだけは恵まれてるわよね、周りにだけは。」
「自分でもそう思います。ツムギ君にロッキー君にヒッキー君、それにアカリさん。みんなに手を貸してもらえて感謝してます。
俺だけだったらとうにこの世にいないかもしれないですから。」
そう言って笑うと、「それよそれ」と指をさされた。
「ほんと笑顔だけは人懐っこいんだから。アンタは女たらしならぬ、動物たらしというか霊獣たらしね。」
嫌味のつもりで言ってるんだろうけど、俺としては褒め言葉だ。
なんたって俺は動物探偵なんだ。動物や霊獣に好かれるの悪いことじゃない。
ちょっと嬉しくなっていると、マサカリに「女にはモテねえけどな」と冷や水をさされた。

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