前蹴りと横蹴りの役目と重要性
- 2020.08.07 Friday
- 15:00
JUGEMテーマ:格闘技全般
格闘技には多種多彩な蹴り技があります。
その中でもよく目にするのは回し蹴りでしょう。
格闘技をよく知らない人からすると、回し蹴りって一回転して蹴るキックを想像すると思います。
しかしそれは回転回し蹴りといって、回し蹴りではあるんだけどちょっと種類が違います。
一般的な回し蹴りは横から回し込んで蹴るキックのことです。
フルコンタクト空手では頻繁に使われますし、キックボクシングでもメインのキックとなっています。
パンチとの相性が良く、コンビネーションに組み込みやすいです。
また体重を乗せやすいので威力も抜群、パっと繰り出せるので速射性にも優れます。
しかしこれ以外にも大事な蹴りがあります。
それは前蹴りと横蹴りです。
どちらも読んで字のごとく、前蹴りは前に向かってまっすぐ足を突き出すキック。
横蹴りは体を横に向けて蹴るキックです。
特に横蹴りはカンフー映画でもよく見られます。
格闘技に詳しくない人の場合、一般的に想像するキックではないでしょうか。
この二つのキックはとても重要な役目があって、キックを使う格闘技の場合、強い選手は前蹴りか横蹴りがとても上手いです。
前蹴りの名手で有名なのはブアカーオです。
K-1MAXで魔裟斗さんや他のトップファイターと名試合を演じたムエタイの選手です。
魔裟斗さんが初めてブアカーオと戦った時、彼の前蹴りに手を焼いていました。
K-1ってキックよりもパンチの比重が大きいんですが、ブアカーオの前蹴りはとても素早く、魔裟斗さんはパンチの間合いに入ることはできずに苦戦を強いられていました。
また威力も抜群で、まともに喰らえば踏ん張っていても後ろへ吹っ飛ばされてしまうほどです。
前蹴りの役目は相手を突き放すことです。
間合いを詰めようとしてくる相手にはとても有効です。
しかし弱点もあります。
まっすぐ足を突き出すキックという性質上、掴まれやすいのです。
下手に前蹴りを出すとキャッチされてしまい、パンチでカウンターを食らう、もしくは足払いをかけられて転がされるなど。
ブアカーオはよく相手のキックを掴んでいました。
けど自分は決して掴ませないんです。
魔裟斗さん曰く、ブアカーオの前蹴りはとても防御しづらいそうです。
普通ならどこに蹴ってくるか読めるそうなんですが、ブアカーオの前蹴りは途中まで軌道が読めず、上段に来たとか中段に来たとか反応する頃にはもう遅いそうです。
モーションが少ないんでしょうね。
横蹴りの役目も前蹴りと似ています。
体を横に向けてドン!と突き出すキックなので、まともにヒットすれば相手は後ろへ吹き飛びます。
さらにカウンターをもらいにくいキックでもあります。
横蹴りは体を横に向け、なおかつ上体を寝かして打つので、パンチでカウンターを取るのは至難の業です。
キックによるカウンターも難しいです。
回し蹴りの場合、右で蹴るなら右手を、左で蹴るなら左手を大きく後ろへ引きます。
そうすることで蹴り足が加速し、スピードと威力が増すからです。
走る時と同じです。
膝を高くあげるなら、腕は大きく振って後ろへ引く。
回し蹴りはこれと同じ要領で蹴るわけですが、後ろへ腕を引くということは、どうしても顔面のガードが甘くなってしまいます。
もちろん腕を引かずに蹴ることも出来ますが、やはり腕を引いた方が強いキックが打てます。
その点横蹴りはこういった隙がありません。
そして横蹴りにはもう一つ、他のキックにはない大きな利点があります。
それは関節を狙えることです。
前に出てくる相手を止める場合、前蹴りなら相手の胴体を蹴ります。
しかし横蹴りなら相手の膝を蹴って止めることも出来るのです。
下へ打つ場合は体重を乗せやすいからです。
つまりクリーンヒットすれば相手の膝を破壊するほどの威力があるということです。
他にも脚の付け根の関節を狙う方法もあります。
付け根にダメージが溜まったらキックそのものが打てくなるでしょう。
最悪は完全にフットワークを殺されるので、棒立ちのまま相手の攻撃を受けることもあるでしょう。
関節に大きなダメージを与える。
あまりに強力なキックです。
だから関節へのキックは禁止している格闘技もあるほどです。
もし膝を壊してしまったらその後の人生にも大きく影響が出ていまいますから。
しかし認めている格闘技もあって、その場合はとても強力なキックとしてよく使われます。
ただし弱点もあります。
体を横に向けて蹴るという性質上、パンチとのコンビネーションの相性はあまりよくありません。
もちろん出来ないことはないですが、回し蹴りとパンチのコンビネーションに比べるとテンポは落ちてしまうでしょう。
また前蹴りと同様に掴まれやすいという危険もあります。
ただそれでも前蹴りと横蹴りはとても強いキックだし、重要なキックであることは間違いありません。
回し蹴り、前蹴り、そして横蹴り。
自在に使うファイターがいたとしたら、パンチャータイプのファイターはとても戦いづらいでしょう。
前蹴りで距離を詰めさせてもらえず、足元への横蹴りで前進を止められ、ミドルレンジに釘付けにされたところへ重い回し蹴りが飛んでくる。
下段で脚をやられ、中段で腕をやられ、相手のキックばかりに意識が向いてしまう。
最後は自分が得意なはずのパンチを食らって沈められてしまうかもしれません。
キックありの格闘技の場合、前蹴りと横蹴りは回し蹴りと並んでとても大事な蹴り技だと思います。
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