ダナエの神話〜異星の邪神〜 第十話 月の女神と二つの世界(3)

  • 2014.04.05 Saturday
  • 20:10
穏やかな瀬戸内の海が見える街に、巨大な氷の像が立っていた。
魔王アーリマン。ユミルとの戦いで氷漬けにされながら、それでもまだ生きていた。
ユミルが命と引き換えにかけた霜の呪いは、アーリマンの邪悪な力を封じ込めていたが、それも限界に達していた。
《・・・もうちょっとや・・・。もうちょっとで・・・この呪いが解ける!》
アーリマンの力は、ユミルの想像を上回っていた。永遠に凍りつかせる霜の呪いを、今にも解こうとしている。
《・・・見とれ・・・この世界を滅茶苦茶にしたるわ・・・。》
激しい怒りが身体を熱くして、どんどん氷を溶かしていく。もうもうと湯気が立ち上り、遂に霜の呪いは解かれてしまった。
アーリマンを覆っていた分厚い氷は、バキバキと音を立てて砕け散っていった。
「よっしゃああああああ!見たかボケコラあああああ!」
天に向かって雄叫びを上げ、拳を握ってガッツポーズをする。
「あの氷の木偶の坊め・・・アテが外れたなあ。ワイはもう復活したでえ!これから好き放題に暴れ回ったるでえ。そんでもって、この国を全て虚無の闇で覆い尽くしたる。死んだ部下も復活させて、ここをワイの国したるんやあ!」
アーリマンはボロボロになった街を見渡し、壊れかけたビルを蹴り飛ばした。そして遠くに報道のヘリが飛んでいるのを見つけ、背中の触手を伸ばして叩き落とそうとした。
「死ねや人間!」
ヘリは慌てて逃げようとしたが、触手はすぐ目の前に迫っていた。
「うわあああああああ!」
カメラマンは死を覚悟しながらもカメラを回し続けた。アーリマンの恐ろしい姿が全国に放送され、テレビやネットを見ていた人たちが恐怖に怯える。
「人間ども!ワイの恐怖をその目に焼き付けろ!」
アーリマンの触手がヘリを叩き落とそうとする。しかしその瞬間、眩い光がヘリの前に立ちはだかった。
アーリマンの触手は弾かれ、ヘリはその隙に遠くへ逃げて行く。
「な、なんや・・・・?ワイの邪魔をするのはどこのどいつじゃい!」
アーリマンは突然現れた光を睨みつける。すると光の中から、メタトロンが「でやあ!」と現れた。
「悪の王アーリマンよ!これ以上の暴虐は許さぬ!」
「お前は・・・確か大天使の・・・・。」
「そう、我は大天使メタトロン!貴様のような悪を討つ為、この星にやって来た!」
メタトロンは翼を広げて飛び上がり、アーリマンの目の前に舞い降りた。
「貴様は虚無の闇を広げ、この国を悪の世界に変えようと企んでいるようだな。」
「そうや。ここをワイの国にするんや。そんでもってラシルの星と繋げる。」
「そのようなことは断じて許さん!この私が成敗してくれる!」
メタトロンは拳を構え、アーリマンを睨みつけた。
「ははは、おもろいやん。出来るもんならやってみんかい!」
アーリマンも拳を構え、背中の触手を動かした。
「行くぞ!でやあ!」
「望むところや!オラあ!」
メタトロンとアーリマンは、睨み合ったままじりじりと動く。お互いの隙をうかがい、ピリピリと殺気がぶつかっていた。
「でやあ!」
先に動いたのはメタトロンだった。高く飛び上がり、強烈なチョップをお見舞いする。
アーリマンは腕をクロスさせてチョップを防ぎ、メタトロンに掴みかかった。
「ぬうん!パワー勝負なら負けへんでえ!」
「なんの!これしき!」
二人はがっちりと組み合い、プロレスのように力比べをした。
「ぬううう・・・・。」
「でやあ!」
メタトロンは一瞬の隙をつき、アーリマンを投げ飛ばした。しかしクルリと回転し、見事に着地を決めた。
「なかなかやるやないか・・・。」
サッと拳を構え直すアーリマン。メタトロンは「でや!」と叫んで飛び蹴りを放った。
「ぐはあ!」
メタトロンのキックがアーリマンの胸に直撃し、遠くへ吹き飛ばされる。ビルを壊しながら倒れるアーリマン。メタトロンはチャンスとばかりに、馬乗りになって殴りかかった。
「でやあ!たああ!」
「このお!調子に乗んやなコラあああ!」
アーリマンは巴投げでメタトロンを投げ飛ばし、素早く立ち上がった。そして背中の触手を伸ばして、メタトロンを巻き取った。
「ぐあ!しまった!」
「そのまま死ね!」
触手の先端には針が付いていた。その針がメタトロンに襲いかかる。
「でやあ!」
メタトロンは翼で身体を覆い、触手の針を弾く。そして羽を二枚抜いて、アーリマンに投げつけた。二枚の羽は赤いレーザーとなってアーリマンを貫いた。
「ぐはあッ・・・。」
触手はシュルシュルとメタトロンの身体から離れていく。自由に動けるようになったメタトロンは、「でやあああ!」と雄叫びを上げてジャンピングエルボーを放った。
「ごはあッ!」
メタトロンの硬い肘が、アーリマンの脳天を直撃する。
「まだまだ!」
メタトロンは回転しながらチョップを放った。キレのあるチョップがアーリマンの胸を抉る。
「ぐふうッ・・・。」
胸を押さえてうずくまるアーリマン。苦しそうに顔を歪め、メタトロンを睨みつけた。
「おどれえええ・・・・タダじゃ済まさへんでえ!」
「笑止!これで決める!」
メタトロンはサッとアーリマンの後ろに回り、バックドロップのように身体を持ち上げた。
「だああああ!」
そのまま高く飛び上がり、脳天からアーリマンを叩きつける。見事な脳天バックドロップが決まり、アーリマンは地面に突き刺さっていた。
「仕上げだ!」
メタトロンは腕をクロスさせ、ゆっくりと脇に構えた。渦巻き状の光が拳に溜まり、眩い光を放った。
「食らえ!リュケイオン光弾!」
恥ずかしげもなく技の名前を叫び、拳に溜まった光を撃ち出した。渦巻き状の光弾がアーリマンを襲い、大爆発を起こした。
「ぎゃああああああああ!」
アーリマンは苦しみの声を上げて焼かれていく。しかし・・・・まだ死ななかった。
「おどれこのダボハゼがあああああ!いちびってんとちゃうどコラあああああああ!」
「なんと!リュケイオン光弾を食らってまだ生きているとは・・・。」
「ワイはなあ・・・ワイはおどれら光のもんが死ぬほど嫌いなんじゃ!絶対に負けへんど!」
アーリマンの触手から高熱のガスが噴射され、メタトロンに襲いかかった。
「だあああ!」
「さっきのお返しじゃ!食らえ!」
アーリマンは高く飛び上がり、強烈なドロップキックをお見舞いした。
「でやああああ!」
メタトロンはビルに突っ込んで倒れて行く。後ろに立っていた電波塔が倒れ、メタトロンの上に倒れてきた。
「はははは!そのまま瓦礫に埋もれとけ!きっちりトドメ刺したるわい!」
アーリマンは四本の触手を大地に突き立て、宙へ浮かび上がった。
「ワイは悪の王アーリマンや!絶対に誰にも屈したりせえへんのじゃあああああい!」
触手から虚無の闇が広がり、メタトロンを飲み込もうとしていく。
「でやあ!」
「ははははは!そのまま闇に沈め!」
虚無の闇はズブズブとメタトロンを飲み込んでいく。必死にもがくメタトロンだったが、まるで蟻地獄のように沈んでいった。
「まずい!このままでは・・・・。」
翼を広げ、空に飛び上がって脱出しようとした。
「させるか!」
アーリマンは両手から黒い炎弾を放ち、メタトロンを撃ち落とした。
「だあああ!」
「はははは!ワイの闇からは誰も逃げられへんのじゃい!観念して闇に沈め!」
メタトロンは成す術なく闇に沈んでいく。
「このままでは・・・・本当に負けてしまう・・・。この私が・・・悪魔に負けるわけにはいかないのだ!」
メタトロンは顔の前で両腕をクロスさせ、「でやあ!」と叫んだ。すると身体の色がメタリックなグレーに変わり、翼の形状がブースターのように変化した。
「な、なんやいったい・・・。」
「これはパワーモード!その名の通り、パワーと頑強さがアップする!でやあ!」
ブースターから光が放たれ、闇の中から脱出した。
「なんやて!ワイの闇を抜けだしおった!」
「アーリマンよ!今度こそトドメだ!」
メタトロンは腕を十字架のようにクロスさせ、そのままゆっくり回しながら右手を前に出した。
「食らえ!ダンザインスマッシャーッ!」
強烈な十字架の光が、アーリマンの胸を直撃する。
「うぐおおおおおおお!」
「ぬううううううん!」
リュケイオン光弾よりも強力な必殺技が、アーリマンを焼いていく。しかし・・・・この技も効かなかった。アーリマンは有り得ないほどの凄まじいパワーで、ダンザインスマッシャーを弾き飛ばした。
「ば・・・馬鹿な・・・。」
「ははははは!こんなチンケな攻撃が今のワイに効くかい!」
アーリマンはメタトロンに体当たりをかまし、虚無の闇に叩き落した。
「だあああ!」
底なしの闇がずぶずぶとメタトロンを飲み込んでいく。
「はははは!ええザマやなあ、天使様よ。」
勝ち誇ったように笑いながら、メタトロンの前に降り立つアーリマン。大きな手でガシっとメタトロンの頭を掴み、闇の中に押し込んでいった。
「ぐうう・・・なぜだ!なぜこれほどまでに強い・・・・?」
「ワイの強さの秘密を知りたいか?まあええわ、冥土の土産に教えたろ。あそこを見てみい。」
アーリマンは遠くの空を指さした。そこには報道のヘリが浮かんでいて、こちらにカメラを向けていた。
「あれは人間のテレビカメラっちゅうやつや。あれを通してワイを見た人間どもが、恐怖と絶望に怯えとるんや。」
「ぐううッ・・・・それがどうした・・・・?」
「分からへんか?ワイは人間の恐怖や絶望を吸って力に変える。この国の人間ども・・・いや、世界じゅうの人間が、ワイの姿に恐怖しとるんや。だから無限に力が集まってくるっちゅうわけや。いくら最強の天使といえど、今のワイには勝たれへんでえ!」
「うおおおおおおおお!」
メタトロンはずぶずぶと闇の中に沈められていく。もはやこれまでかと諦めかけた時、一人の少年の声が響いた。
「頑張れええええ!」
「な、なんだ・・・?」
声のした方を見てみると、遠くに浮かぶタンカーの上から、幼い少年が手を振っていた。
「頑張れええええ!」
「あれは・・・人間の船・・・?まだこんなところに残っていたのか!」
少年は力いっぱい叫んでいる。必死に手を振り、メタトロンに声援を送っていた。少年の横には老人が立っていて、力強い目でこちらを見つめていた。
「ねえおじいちゃん?あれってウルトラマンだよね?」
「さあなあ・・・?でもきっと正義の味方だ。」
「じゃあやっぱりウルトラマンだよ!頑張れえええええ!怪獣に負けちゃダメだあああ!」
少年はメタトロンのことをウルトラマンだと思い込んでいた。その手にはウルトラマンティガの人形が握られていて、力いっぱい振っていた。
「少年よ・・・・ここは危ない・・・早く遠くへ逃げるのだ!」
「何をごちゃごちゃ言うとんねん。さっさと沈まんかい!」
「だああああ!」
メタトロンはさらに沈んでいく。肩まで闇に浸かり、負けることを覚悟して目を閉じた。
「ウルトラマン!負けるなあああああ!」
少年はウルトラマンの人形を掲げて叫ぶ。船の上には大勢の人がいて、誰もが心配そうにメタトロンを見つめていた。
そして少年につられるように、メタトロンに声援を送り始めた。
「頑張れえええ!」
「立てええええ!負けるなあああああ!」
「あんたウルトラマンなんだろ?だったら諦めるなよ!」
船の上からウルトラマンコールが沸き起こり、誰もがメタトロンを応援していた。
「さっきからなんや・・・ごちゃごちゃうるさいハエどもが・・・・。」
アーリマンは船を睨み、右手を伸ばして黒い炎弾を放とうとした。
「ウルトラマンってなんやねん?わけの分からんことぬかしよって・・・死ねや人間ども!」
アーリマンは右手に力を込めて、黒い炎弾を撃ち出そうとした。しかしその瞬間、メタトロンがその手を掴んだ。
「コラ!放さんかい!」
「・・・撃たせん・・・撃たせてなるものか!」
「このダボが・・・まだこんな力が残ってたんか・・・。」
アーリマンはメタトロンの手を払い、彼に向けて黒い炎弾を放った。
「だあああああ!」
メタトロンは黒い炎に包まれ、そのまま闇の中へ沈んでいった。
「ウルトラマン!」
「はははは!最強の天使も他愛ないのう。さあて、次はあのうるさい人間どもを始末するか。そのあとはこの国を闇に変えて・・・・、」
その時、背後から眩しい光の柱が立ち昇った。
「な、なんやこの光は・・・・?」
思わず振り返ると、顎に衝撃が走って吹き飛ばされた。
「でやあ!」
「ぐはあ!」
「ウルトラマン!」
メタトロンは闇の中から復活していた。強烈なアッパーでアーリマンを吹き飛ばし、空へ飛び上がった。
「アーリマンよ!まだ勝負は終わっていない!」
「そ、そんなアホな・・・お前は確かに闇の中に飲み込まれたはずや!」
「ああ、確かに私は闇に沈んだ・・・。だがしかし!こうして蘇ってきた!なぜだか分かるか?」
「な・・・なんじゃい!もったいぶらんと言わんかい!」
「よいかアーリマン。お前が人々の恐怖や絶望を吸いとって力を増すなら、私は人々の希望や勇気を受けて力を増すのだ!あの船から送られる声援が・・・こうして私に力を与えたのだ!」
メタトロンは船の上の人々を見つめ、少年に向かって頷きかけた。
「ウルトラマン・・・・。」
「少年よ、ウルトラマンなる者が誰だが知らぬが、お前の心は受け取った。」
メタトロンは顔の前で両腕をクロスさせ、元のモードに戻る。そして両手に四枚ずつ羽を抜き取り、虚無の闇に向かって投げた。
羽はアーリマンを囲うように突き刺さり、十字架の光を放つ。
「な、なんやこの光は・・・・?闇が・・・闇が消えていきよる・・・・。」
「アーリマンよ。お前の闇は絶望の闇・・・。ならば、私の光は希望の光だ!虚無の闇など、希望の光の前に消し去ってくれよう!」
「うおおおおおおお!」
十字架の光は瞬く間に闇を消し去り、アーリマンの力を封じていった。
「か・・身体が・・・身体が動かへん・・・・。」
「さあ、我が拳を受けてみよ!でやあああああ!」
メタトロンは翼を広げ、空高くに舞い上がる。そして右手を突きだし、拳を握ってアーリマンに向かっていった。
「ちょ、ちょっとタンマ!タイムやタイム!」
「問答無用!我が怒りの拳を食らうがいい!」
「うわああああああああ!」
メタトロンは黄金に輝き、アーリマンに直撃した。メタトロンの光と十字架の光が混ざり合い、天まで届く光の柱が立ち昇る。
「ぎょおおええええええええええ!」
日の出のような閃光が走り、辺りに眩い光が飛び散る。アーリマンは光の中でもがき苦しみ、やがて力尽きて倒れていった。
「でやあ!」
メタトロンは光の中から飛び出し、クルリと回転して着地した。
「やった!ウルトラマンの勝ちだ!」
船の上から歓声が沸き起こる。しかしメタトロンは「まだだ!」と叫んだ。
「・・・・・・・・・・・。」
光の柱の中から、ゆっくりとアーリマンが現れた。ボロボロに傷つきながらも、しっかりと歩いてメタトロンの前までやって来る。
「なんというしぶとい奴・・・・。」
「・・・・へん・・・けへんでえ・・・・・。」
危険を感じたメタトロンは、サッと後ろに飛びのいた。アーリマンから発せられる殺気は尋常ではなく、まるで空間が歪んで見えるほどであった。
「・・・けへん・・・負けへんのや・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・ワイは・・・ワイは・・・・絶対に光のもんには負けへんのじゃあああああああい!」
アーリマンの腕の形状が変化していく。まるでヒグマのように太くなり、大きく鋭い爪が生えてきた。それは艶やかに黒光りしていて、禍々しい気を放っていた。
「おどれこのボケええええええ!ワイを舐めんなよおおおおおお!」
「むうう・・・。」
アーリマンの禍々しい爪がメタトロンを斬りつける。
「だあああああ!」
「このまま引き裂いたる!オラああああああ!」
「でああああああ!」
「ウルトラマン!」
メタトロンは堪らず倒れこむ。斬られた傷がずくずくと疼き、激しい痛みが襲いかかった。
「まだまだ・・・徹底的に苦しめて殺したるわい・・・。」
アーリマンはブスリと爪を突き刺し、メタトロンを持ち上げた。
「だああああああ!」
「ほれほれ!もっと苦しまんかい!」
黒い爪から炎が放たれ、メタトロンを焼いていく。それは光を掻き消す呪いの炎で、メタトロンの力は見る見るうちに失われていった。
「だあああ・・・・。」
「もう降参か?根性ないのお、おどれは!」
アーリマンは高く飛び上がり、メタトロンを大地に投げつけた。ズシン!と大きな音が響き、ビルが倒れて地面が割れていく。
「だああ・・・・。」
「はははは!もう限界みたいやな。ほな・・・・そろそろあの世へ行ってもらおか。」
アーリマンはゆっくりと迫って来る。ニヤニヤと笑いながら、黒い爪を動かして・・・。
「ぐうッ・・・・もう・・・これまでか・・・・。」
メタトロンにはほとんど力が残されていなかった。あと一発・・・あと一発だけ、必殺技を撃つ力が残っているだけだった。
《どうしたらいい・・・?奴にはどんな技も通用しない・・・いったいどうしたら・・・・。》
良い考えが浮かばすに、それでも何とか立ち上がる。どうせ負けるなら、最後の一撃を放ってから負けようと思っていると、少年の叫び声が響いた。
「ウルトラマン!どうして必殺技を撃たないの?怪獣に負けちゃうよ!」
「少年よ・・・残念ながら、奴には私の技が効かないのだ・・・。」
「そんなことないよ。ウルトラマンはいつだって必殺技で怪獣を倒すんだから!ほら、こうやって!」
少年はスぺシウム光線の構えを取り、「ジュワ!」と叫んだ。
「いい?もう一回やるよ?ウルトラマンティガはこうやるんだ!」
少年は脇に拳を構え、胸の前で両手をクロスさせる。そしてゆっくりと腕を開き、「でゅわ!」とスぺシウム光線のポーズをとった。
「・・・・・・・・・・・・。」
メタトロンはじっと少年の動きを見つめる。頭の中で動きを思い描き、その技をイメージしていた。
「オラ、何をよそ見しとんじゃ!」
アーリマンはもうそこまで迫っていた。黒い爪を鈍く光らせ、凶悪に笑っている。もはや迷っている場合ではないと思い、メタトロンは少年から教えられたポーズを取った。
脇に拳を構え、力を溜める。そして胸の前で両手をクロスさせ、光の力を集めた。
「何をしとんねん?ワイをからかってんのかコラ!」
「・・・・・・・・・・・・・。」
クロスさせた両手が眩く光る。そしてゆっくりと腕を開くと、一筋の閃光が両手の間に走った。
アーリマンはその光に危険を感じ、爪を振り上げて襲いかかった。
「これで終わりじゃああああああ!」
「でやああああ!」
メタトロンは高く飛び上がり、アーリマンの攻撃をかわす。そして空中で一回転しながら、スぺシウム光線風のビームを放った。
「ぬぐあッ!」
そのビームはアーリマンを貫通し、大地を貫いた。
もうメタトロンに力は残されていない。もしこの攻撃を耐えられたら、それは負けを意味する。じっと息を飲み、アーリマンを見つめた。
「・・・・・・・・・・・。」
アーリマンは無言のまま、ゆっくりと振り返った。そして爪を構えて、ニヤリと笑う。
「・・・・・・・・ごふうッ!」
アーリマンは頭を押さえて苦しみ出す。そして・・・身体に一筋の閃光が走り、光を放ちながら倒れていった。
「こ・・・このワイが・・・このワイが負けるなんてええええええ!」
悔しそうに手を伸ばし、天を睨むアーリマン。身体の中から光が溢れ、大爆発を起こして消滅していった。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
メタトロンは船の上の人たちを見つめた。一番大きな声援を送っていた少年は、ニコリと笑って親指を立てる。メタトロンもビシッと親指を立てて頷いた。
「ウルトラマ〜ン!」
少年は手を振って船の上を走る。他の人々も、口ぐちに感謝の言葉を述べていた。
「少年よ・・・君のおかげで助かった。礼を言おう。」
「だから必殺技を撃てば勝てるって言ったでしょ。やったね!」
「ああ。さらばだ少年。」
「うん!」
メタトロンは翼を広げ、「でやあ!」と飛び上がった。
「ウルトラマ〜ン!またね〜!」
少年に見送られながら、メタトロンは黄龍の待つ雲へと戻って行った。

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

GA

にほんブログ村

selected entries

categories

archives

recent comment

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM