ダナエの神話〜宇宙の海〜 第三十八話 神樹が蘇る時(1)

  • 2014.08.10 Sunday
  • 19:36
神樹が蘇る時

ダナエは眠りについていた。心の殻の中に閉じこもり、全てのものに目を背けようとしていた。邪神に痛めつけられ、己の無力を感じ、強力な敗北感に見舞われていた。そして何より、またしても目の前で仲間を失ってしまった。
ドリューはダナエを守る為に命を懸けて戦い、そして散っていった・・・。それはダナエの心に深い傷を与え、どんな剣で刺されるよりも耐えがたい痛みだった。
《ごめんなさい・・・ドリュー・・・。ごめんなさい・・・ドリューの家族・・・。私が役立たずなせいで・・・・ごめんなさい・・・・ごめんなさい・・・・。》
ダナエはひたすら謝っていた。自分の意識の中で、ひたすら謝っていた。いくら謝ったところでドリューが生き返るわけではないと知っているが、それでも謝らずにいられなかった。そして、自分を責めすにはいられなかった・・・・。
《ほんとに・・・私はいっつも失敗ばっかりだ・・・。せっかく成長したのに、何も出来やしない・・・。こんなんじゃ・・・どうしてユグドラシルに呼ばれてこの星へ来たのか分からない・・・・。》
ダナエは思い出していた。箱舟でこの星を通りかかった時、あの神樹に呼ばれたことを。
《ねえユグドラシル・・・あなたはどうして私を呼んだの?この広い宇宙なら、私なんかよりもっと強い人がいたはずでしょ?それなのに、どうして私みたいな役立たずを・・・。》
普段の明るいダナエはどこかへ消え去り、今はひたすら後ろ向きなダナエばかりが表に出ていた。しかしその後ろ向きなダナエも、彼女の人格の一つであった。こんな姿は決して人には見せまいと頑張ってきたが、やはり生まれ持った自分を隠すことは出来ない。
ネガティブで悲観的な面ばかりが心を覆い、もはやそこには一筋の光も見えなかった。
《・・・私・・・もうこの旅を降りたい・・・・。こんなに辛い目にばかり遭うんだったら、ずっと月にいた方がマシだった・・・。せっかく叔父さんが物語を書き変えてくれたんだから、それに従って大人しくしていればよかったんだ・・・。》
もはやダナエは、自分で掴んだ意志さえ手放そうとしていた。せっかく作者の手を超えて自分の意志を持ったのに、それをあっさりと放棄しようとしていた。
《ね叔父さん・・・。もう一度物語を書き直してよ。私は自分の意志なんて持たないから、物語の筋書きを変えて、何もかも無かったことにしてよ・・・・お願い。》
しかしいくらそう望んだところで、今さら引き返すことは出来なかった。ダナエはすでに加々美の手を離れており、この状況を打開するには、自分でどうにかするしかなかった。
《もう・・・私には何にも出来ないよ・・・。ううん、やろうとする気力さえない。だから・・・やっぱりこの旅を降りたい・・・。みんな、私は月へ帰って何事もなく暮らしたいわ・・・。だから・・・ごめん・・・。もうここで終わらせて・・・・。》
心の底から本気でそう思うダナエだったが、ふと柔らかい匂いを感じて顔を上げた。
《なんだろう、この匂いは・・・・?なんだかすごく落ち着く匂いだわ・・・。》
鼻をくすぐる柔らかい匂いは、じょじょに強くなっていく気がした。
《これは・・・・緑の匂いね。深い森に漂う、あの独特で落ち着く匂いだわ。》
ダナエは深くその匂いを吸いこみ、まるで森の中に立っているような錯覚に陥った。辺りを見渡せば落ち葉の絨毯が敷き詰められていて、遠くには小川が流れている。そして周りを囲む木立は、そよ風に揺れてサワサワと葉を鳴らしていた。
《不思議・・・・森の中に立っていると、とても気持ちが安らいでくる。緑が囲む世界って、海とは違った心地良さがあるわ。海はとても力強くて元気を与えてくれるけど、森はその反対で安らぎを与えてくれる。とっても優しい気持ちなって、嫌な気持ちを全部吸い取ってくれているみたい・・・・。》
ダナエは目を閉じ、何度も深呼吸を繰り返した。森の空気は暗い感情を消し去り、そして葉っぱの揺れる音はゆりかごのように安らぎを与えてくれた。
そして気がつけば、いつのまにか胸の中からネガティブな想いが無くなっていた。ダナエはそっと目を開け、もう一度目の前の森を見つめた。すると・・・そこには大きな樹が立っていた。さっきまでは何もなかったのに、突然見上げるほどの巨木が姿を現したのだ。
《すごい大きな樹・・・。でも・・・見ているだけでホッとするような、不思議な樹だわ。》
ダナエは足を進め、巨木の近くに行ってみた。するとその根元に誰かが座りこんでいて、こちらに気づいてゆっくりと立ち上がった。
《・・・・・・・・・・・・・。》
それは男とも女ともつかない。綺麗な顔をした人物だった。髪は青く、流れる川のように光が透けて見えた。そして全身に淡い緑の衣を巻きつけ、これまた深い緑の目で見つめてきた。
彼、もしくは彼女は、ダナエに向かってニコリと微笑んだ。そして近くまで歩いて来て、男とも女とも区別の付かない声で話しかけてきた。
《・・・・はじめまして、ダナエ。やっと会えましたね。》
《あなたは・・・もしかして・・・。》
《はい、私がユグドラシルです。》
ユグドラシルはまたニコリと微笑み、大きな樹に目を向けた。
《あの樹が私の本体です。今ここに立っているのは、私の意識のようなものです。》
《意識・・・?魂じゃないの?》
ダナエは不思議そうに尋ねた。身体から抜け出して姿を見せるなど、魂にしか出来ないことだ。しかしユグドラシルは微笑んだまま首を振り、《私に魂はありません》と答えた。
《私は命を持っていないのです。だから魂も持っていません。》
《命を・・・持たない?》
《私はかつて、北欧神話の中で生きる空想の命でした。しかし時代が移ろうにつれて、皆が私のことを忘れていったのです。そうするとどうなるか・・・分かりますか?》
そう尋ねられて、ダナエは小さく頷いた。
《空想の命は、みんなから忘れられると消えちゃうのよね?ついさっき、そうやって消えていった命を見たから・・・・・。》
《クインのことですね?》
《うん・・・・。彼女は生きたいって思ってたはずなのに、消えていっちゃったんだ・・・。
物語に必要のない自分は、生きている価値がないって言って・・・。でも、私は絶対にそんなことはないと思う。だって・・・命は自分のものでしょ?例えそれが空想の世界の住人でも、命は命じゃない。だから・・・クインが消えちゃった時、すごく悲しかった。》
そう言って俯くダナエを見て、ユグドラシルはそっと肩に手を置いた。
《気持ちは分かります。しかし、それが空想の世界の定めなのです。そして私もまた、一度は消えかかった身なのです。みんなが私のことを忘れ、誰も心に住まわせてくれなくなりました。その時に命を落とし、今は生きているでも死んでいるでもない状態です。》
《・・・・ゾンビ・・・ってこと?》
そう尋ねると、《そう思ってもらって構いません》と笑った。
《ただゾンビと決定的に違うのは、私は一度も死んでいないということです。それがどういうことか分かりますか?》
《・・・ええっと・・・・ごめん、分からない。》
ダナエは困ったように笑い、ユグドラシルの目を見つめ返した。
《生きても死んでもいないって、いったいどういうことなの?私には全然分からないわ。》
素直にそう言うと、ユグドラシルは《正直でいい答えだと思います》と笑った。
《そもそも、命とは何でしょうか?あなた達が命を考える時、生きているか死んでいるかのどちらかなのではありませんか?》
《う、う〜ん・・・・そうねえ・・・確かにそのどっちかになるわね。この世に生れて、それで人生を歩んで、最後は死んでいって・・・それが命ってことじゃないのかな?》
《そうですね。でも・・・私はこうしてここに立っています。生きているわけでも死んでいるわけでもなく、ちゃんとあなたの目の前にいます。これって、とても不思議なことだと思いませんか?》
《そりゃ思うわよ。ていうか・・・さっきからあなたの言っていることがチンプンカンプンなのよね。コウならちゃんと理解するのかもしれないけど、私って鈍チンだから。》
ダナエは頭を掻きながら苦笑いし、すぐに真剣な表情になった。
《ねえユグドラシル?》
《はい?》
《・・・どうして私なんかを呼んだの?この広い宇宙で、どうして私に頼ろうと思ったの?
私は大した力はないし、頭だって鈍チンだし・・・。それにいっつも失敗ばかりで、何にも上手くいかないの。だから・・・あなたが私を選んだ理由が分からない。どうしてこんな役立たずを呼び寄せたのか・・・・・教えてほしいの。》
ダナエは自分の腕をさすり、まったく自信のない顔で言った。それはいつものダナエとはほど遠い、とても暗い顔だった。するとユグドラシルは、とても涼やかな声で《顔を上げて下さい》と言った。
《確かに、あなたより有能な人はたくさんいます。あなたより強い人、あなたより頭の良い人、あなたより魔法の得意な人、そんな人は数え上げればキリがありません。しかし、それでもあなたを呼んだのには理由があります。》
ユグドラシルは自分の本体である大きな樹を見上げ、目を閉じて言った。
《あの邪神は、この星の怨念の固まりなのです。》
《怨念の・・・固まり・・・?》
《かつてこの星は、地球から侵略を受けたことがあるのです。それは空想と現実が別れる前の、もっとずっと昔の話です。地球に住む者たちは、神であれ人であれ、新たな世界を求めていました。だから鉄の箱舟に乗って、宇宙へ旅に出たのです。そしてこの星を見つけ、それを自分たちの物にしようとしました。》
《そんな・・・地球が他の星を侵略だなんて・・・・。》
《知らなくて当然です。これはもう、気が遠くなるほど昔の話なのですから。そしてこの星に降り立った地球の者たちは、元々住んでいた命を殺しにかかったのです。森を焼き払い、海を汚し、平和に暮らしていた多くの命が犠牲になりました。この星の者たちは、地球と違って争うということを知りませんでした。だから何も出来ずに、一方的に殺されるしかなかったのです。》
《・・・ひどい。この星の命はただ平和に暮らしていただけなのに、どうしてそんなことをするの?地球の命は・・・どうしてそんなに野蛮なことを・・・・。》
悲しそうに呟くと、ユグドラシルはゆっくりと振り返って答えた。
《どうして地球の者たちが、そんなに野蛮なことをしたのか?それは・・・地球の者たちが野蛮だからです。》
ユグドラシルははっきりと言い切った。それはとても事務的な口調で、何かの連絡事項を伝えるほど淡々としていた。
《ダナエ・・・地球に住む命には、みんなに共通してある意志が宿っています。それが何か分かりますか?》
《ある意志・・・・?》
ダナエはじっと考え、そしてブンブンと首を振った。
《分からない。》
《地球の者全てに宿っているある意志・・・・・それは『闘争』です。》
《闘争・・・・?》
《そうです。地球に暮らす命は、神であれ人であれ、そして虫や植物、その他の多くの動物も、この『闘争』の意志を宿しています。それは良い意味で言えば前向きな力であり、尽きることのない向上心です。しかし悪い意味で言えば、誰かを傷つけ、自分の我がままを通す欲望でもあります。地球に暮らす命たちは、その全てが生存競争という戦いの元に生きています。強ければ生き、弱ければ死ぬ。地球の掟は、昔からずっと変わらずに弱肉強食なのですよ。だから地球の者たちがこの星を見つけた時、戦って勝ち取ろうとしたのです。それは地球では当たり前のことですが、この星の者たちにしてみればそうではなかったのです。》
《それって・・・つまり・・・・。》
《はい。ラシルには闘争という概念が存在せず、皆が調和と共存という意志の元に生きていたのです。だからまさか、他の星からやって来た者に侵略を受けるなんて、考えてもいなかったでしょう。この星はいいように蹂躙され、やがては地球の者たちの手に落ちました。しかしそれでも、最後まで生き延びた者たちがいたのです。それは・・・・ダガダという小さな国の一族でした。》
《ダガダ・・・・。それって、最近どこかで聞いたような・・・・。》
ダナエは首を傾げ、そしてハッと思い出した。
《ダガダ・・・それってクインの名前だわ!・・・あれ?でもそうなると、もしかして本物の邪神の名前も・・・・、》
《はい、クイン・ダガダといいます。彼女はダガダという国の王女であり、マクナールが建っていた街にお城を構えていたのです。》
《ほええ・・・あの邪神が王女様だったなんて知らなかった・・・・。》
《ふふふ、彼女はあなたと同じで、一国の王女だったのですよ。しかし国は地球の者たちに焼き払われ、一緒に逃げ延びた仲間たちも、次々に殺されていきました。そして最後に残ったのが、クインと彼女の婚約者なのです。》
《邪神の婚約者・・・?》
《ええ、とても凛々しくて頼りになる、勇気ある青年です。彼は愛しい婚約者を守る為にはどうしたらいいのかを、必死に考えました。そして辿り着いた答えが・・・・闘争の意志を持つことだったのです。地球の者たちと同じように闘争という意志を宿し、反旗を翻すしかないと思ったのです。この邪神の婚約者こそが、のちに武神と呼ばれる神です。》
《武神・・・・それってカプネから何度も聞いたわ。確か邪神に殺されたのよね?》
《そうです。彼は地球の者たちに対抗する為に、闘争の意志を持ちました。そして得意の魔法を使って七つの神器を作り出し、それを使って戦いを挑みました。武神の神器はとても強力で、次々に地球の者たちを倒していきました。そして遂には、この星を守ることに成功したのです。》
ユグドラシルは樹の根元まで歩き、ダナエを振り返った。
《武神のおかげでこの星は守られ、そしてクインを守ることにも成功しました。しかし・・・それは新たな悲劇の始まりでもあったのです。》
そう言って目を閉じ、青い髪をなびかせて悲しそうに呟いた。
《侵略者たちは駆逐されましたが、それでもこの星に厄介なものを残していったのです。それは『闘争』という意志です。調和と共存しか知らなかったこの星の者たちは、戦うということを覚えてしまったのです。だから・・・死した魂はあの世には行かず、現世に留まりました。地球の者たちに復讐するという戦いの意志の元に・・・。そしてそれは、クインも同じでした。彼女は命こそ助かりましたが、それでも地球の者たちが許せなかったのです。クインの心は激しい怒りと憎悪にまみれ、死んだ魂を吸い寄せて醜い怨霊になってしまいました。そしてそのまま地球へ向かい、地球の者たちを皆殺しにしようとしたのです。武神はそんな彼女を止める為に、封印の術を施しました。たまたま近くにいた虫を捕まえて、その中にクインの魂を閉じ込めたのです。それこそが、今の邪神の姿というわけです。》
ユグドラシルは一息に説明し、ダナエの目を見つめた。
《ダナエ、少し混乱していますか?》
《・・・・え?ああ、うん・・・。ちょっとだけね・・・。ごめん、気にせずに続けて。》
ダナエはニコリと笑い、ユグドラシルに手を向けた。
《虫に封印されたクインの怨霊は、日に日に醜い力を増していきました。そして遂には、自分の目的の為に見境なく暴れ始めたのです。自分を止めようとする武神に戦いを挑み、彼を殺そうとしました。二人の戦いは幾度も繰り返され、やがてこの星は荒れ果てていきました。そして・・・最後は邪神が勝ちました。狡猾な罠を使って、武神を殺したのです。その時に彼の神器を奪い取り、自分の中に飲みこんでしまいました。神器は多くの怨霊の力を受け、やがて呪われた武器へと変化します。それこそが、今邪神が持っている神殺しの神器というわけです。あの武器は地球の者たち、特に神々や悪魔に対して力を発揮しますが、それはかつてこの星を侵略した時、もっとも酷く暴れ回ったのが神や悪魔だったからです。》
《そんな!神様まで暴れたっていうの?》
《ほんとに大昔の神々ですから、今の神々とは違った概念を持っていたのです。その思考や感じ方は人間に近く、しかも人間よりずっと強い力を持っていました。だからこの星で暴れ、多くの命を奪ったのです。》
ユグドラシルはダナエの横に立ち、悲しそうな顔をする彼女の頭を撫でた。
《邪神の中には、多くの怨霊が宿っています。そして邪神自身が、憎悪にまみれた怨霊なのです。その力は絶大で、しかも嫌気がするほど執念深い性格をしています。ならばそんな怪物と戦うとなった時、ただ力が強いとか、頭が良いだけでは到底勝てません。大勢の仲間を連れた、勇敢な戦士が必要になるのです。》
そう言ってダナエの手を取り、笑顔を消して見つめた。
《私があなたを選んだのは、それが理由です。こう言っては傷つくかもしれませんが、あなたは見た目とは裏腹に、とても臆病で後ろ向きな性格をしているでしょう?》
《・・・うん、ほんとのことだから、別に傷つかないよ。》
ダナエはチクリと胸が痛んだが、それを誤魔化すように無理矢理笑顔を見せた。
《今のは決してけなす為に言ったのはではありませんよ。そういう後ろ向きな性格をしているからこそ、それを乗り越えようと頑張っているのがあなたです。そしてそんなあなたの姿に惹かれて、多くの仲間が集まってきたでしょう?これは誰にでも出来ることではありません。あなたは誰よりも、周りと繋がる力を持っているのです。そして・・・それこそが私に力を与え、邪神を討つ鍵になるのです。》
ユグドラシルはダナエの手を握りしめ、彼女のおでこにそっと口づけをした。
《これはおまじない。あなたにほんの少しの勇気を与える、小さなおまじないです。だから・・・ここで旅を終えるなんて言わないで下さい。あなたは仲間と共に戦い、そして仲間と共に私を心に住まわせて下さい。そうすれば、私はかつての力を取り戻し、必ずや邪神を討つことが出来るでしょう。》
ユグドラシルはダナエから手を離し、大きな樹に背中をつけた。するとユラユラと揺らめいて、陽炎のように消え去っていった。
《ユグドラシル!》
《ダナエ・・・まだ戦いは終わっていません。あなたの大切な友が、命を懸けて必死に戦っています。》
《私の大切な・・・・って、もしかしてコウが!コウが一人で邪神と戦ってるの!》
《そうです。そして、コスモリングもあなたの帰りを待っています。》
「プッチーも・・・・。」
《大丈夫、あなたならきっと出来るはずです。邪神を倒し、地球とラシルを守ることが・・・。そして、私を孤独の世界から救い出すことが・・・・。》
《孤独・・・?あなたは孤独を感じてるの・・・?》
《はい。私は誰かの心に住まわせてもらわないと、ずっと孤独なままなのです。なぜなら、私は多くの意志を受けて成り立っている存在だから・・・。だからダナエとその仲間たちが私を心に住まわせてくれれば、孤独から解放されるのです。ダナエよ・・・もし邪神を倒したら、私とも友達になって下さい。私も・・・あなたのような光り輝く友がほしいから・・・・。》
ユグドラシルはそう言い残し、深い森と共に消えていった。辺りは夜のように真っ暗になり、さっきまでの森の世界が嘘のようになってしまった。
《最後に・・・一つ答えておきましょう。私は生きても死んでもいないと言いましたが、あれはまさにそのままの意味です。私はかつて、皆から忘れ去られて命を落としました。しかし死ぬことはなく、影のような存在としてこの世界に留まっているのです。なぜなら私は・・・・命ある者の心の映し身だからです。たった一人でも私を心に住まわせてくれるなら、こうしてこの世界に存在することが出来る。たとえ命がなくても、私のことを覚えてくれている者がいるなら、ずっとこの世界に・・・・。》
そう言い残してユグドラシルの声は消え、辺りに無音の闇が広がった。

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