霊体解剖 第十三話 研究(1)

  • 2015.06.29 Monday
  • 08:54
JUGEMテーマ:自作小説
観音菩薩の立つ本堂に、線香の煙が漂っている。
その匂いは心を落ち着かせ、それと同時に頭を冴させた。
野々村有希は外に目をやり、美しい庭を眺めた。
桜は花弁を落とし、代わりに若い緑が彩っている。
地面には萎れた花弁が散らばり、朽ちていく美しさを表現していた。
有希は観音像に向き直り、読経を再開する。
違法な薬が混ざった線香の煙が、有希の頭の一部を刺激して、極楽のような快楽へ誘った。
しばらくして読経を終えると、すぐに線香の火を消した。
そして朋広の部屋に向かい、虚ろな目で服を脱ぎ始めた。
有希は裸になる。そして背中を向けて、ゆっくりと座った。
「前より大きくなってる・・・・。このままじゃ私、悪魔になっちゃう・・・。」
有希は辛そうに、そして悲しそうに呟く。
朋広は数珠を握りしめ、姉の背中に触れた。
そこには観音菩薩の刺青が彫ってあり、凛とした表情で手を広げている。
しかしこの刺青には、一カ所だけ不気味な部分があった。
本来は閉じているはずの目が、誰かに引っ張られるように、瞼を開けようとしているのだ。
そして瞼の奥には、赤く染まった瞳があった。
激しい怒りに燃えるようなその瞳は、見ているだけで不安になるものだった。
朋広はその瞳に触れ、黒光りする数珠を掲げた。
「日に日に開いていくな。これ・・・完全に開いたら・・・・・、」
そう言いかけて、朋広は口を噤む。
「風間さん・・・・まだ生きてるんだよ。幽霊になってさ。お前の中に宿ってる以上、簡単には追い払えない。」
「分かってるわ。だけどどうにかしなきゃいけないじゃない。」
有希はそう言って「いいからいつもと同じようにして」と頼んだ。
朋広は頷き、数珠を握って手を合わせる。そしてじゃりじゃりと数珠を鳴らした。
目を閉じ、瞑想するように身体から力を抜く。
するとその途端に、わらわらと幽霊が集まってきた。
まるで朋広に呼ばれたかのように、彼の周りに群がる。
朋広は目を開け、有希の背中の観音菩薩に触れる。
そして開きかけている瞼に、そっと指を置いた。その指をゆっくりと下に動かすと、ほんの一瞬だけ瞼が閉じる。
不気味な瞳はなりを潜め、菩薩の顔に穏やかさが戻る。
その瞬間、朋広の周りに群がった幽霊が、観音菩薩の方を振り返った。
そして我先にと有希に飛びかかり、救いを求めるかのように、背中の観音菩薩にすがりついた。
朋広はまた手をすり合わせ、数珠の音を鳴らす。
すると群がった幽霊たちは、そのまま観音菩薩の中に吸い込まれていった。
・・・・・この先には、菩薩の救いが待っている・・・・・。
幽霊たちはそう信じて、次から次へと有希に群がる。
そして全ての幽霊が吸い込まれると、有希はビクンと反り返った。
朋広はすかさず有希の背中に触れ、観音菩薩の瞼を開いた。
それと同時に、有希に吸い込まれた幽霊たちの絶叫が響く。
なぜなら救いの菩薩だと信じて飛び込んだその先には、悪魔が待っていたからだ。
風間慎平という、二人の師匠だった悪魔が。
幽霊と悪魔。二つの存在が有希の中で暴れ始め、菩薩の瞼は重くなる。
そして眠るように閉じていった。
「・・・・終わったぞ。」
朋広が言うと、有希はぐったりと倒れ込んだ。
身体じゅうに汗を掻き、三日三晩徹夜でもしたかのように、疲れた顔をしている。
朋広は有希を抱きとめ、布団に寝かせた。
そして手を握りながら、「こんな事を続けてると、いつか死ぬな」と心配した。
「風間さんは、何としてもお前を殺すつもりらしい。」
そう話しかけると、「違うわ・・・・」と笑った。
「殺すんじゃなくて、悪魔にするつもりなのよ。私たちが裏切ったから、復讐するつもりなんだわ・・・。」
「違う。裏切ったのは俺だけだ。いや・・・・そもそも俺は、最初からアイツの事は信用してなかったけど。」
朋広は口元を歪め、握った有希の手を見つめた。
「風間さんは・・・最後の瞬間抵抗しなかった。殺そうと思えば俺を殺せたのに、そうはしなかった。あの人はすんなり俺の手にかかって死んだ。しかも・・・・笑ってやがったんだ・・・・。」
握る手に力を込め、有希の手の感触を確かめる。そうすることで、ほんの少しだけ気持ちが落ち着いたが、それでも怒りは治まらなかった。
「あの人は、何もかも俺たちに丸投げしやがった。散々自分勝手に人を殺し、俺やお前を利用した。全ては自分の為だ。自分の思想が正しいのだと、満足する為だけの、クソみたいオナニーだ。」
声に熱が籠り、眉間に皺が寄る。有希は朋広の手を握り返し、黙って聞いていた。
「そうやって呆れるほど自分勝手なことをしてきたのに、最後の最後で迷いやがった。あいつは死ぬ間際になって、ようやく自分のやってきたことが間違いだって気づいたんだ。だから笑った。死ねば全てが終わる。自分のやって来た悪行から解放されて、楽になれると。何の責任も取らず、何の尻拭いもせず、俺たちに全てを押しつけて。お前の背中に宿ってるのは、あの人の魂じゃないよ。あの人が楽に逝く為に、わざと自分から切り離した、悪魔の心だ。アイツは自分の醜い心までも、俺たちに押しつけた。そうだろ?」
朋広は姉を見つめ、その胸にそっと顔を近づける。
乳房の間に顔を埋め、そっと胸に触れて、その柔らかさを確かめた。
「有希、俺を抱きしめてくれ。俺だって弱い人間だ。でもお前を支える為に、こうして無理をしてきた。だから俺にも、少しだけ救いを与えてくれよ・・・。」
姉の胸に顔を埋めながら、朋広も彼女の救済を求めた。
有希はそっと弟を抱きしめ、子供をあやすように、ゆっくりと頭を撫でた。
しかし身体の中で暴れる、幽霊と悪魔に力を奪われ、その手を止めた。
そして目を閉じ、「夕方になったら起こして・・・・・研究を始めるの・・・・」と眠った。
朋広はしばらく抱きついていたが、顔を上げて有希の寝顔を見た。
「・・・・唯一の救いは、あの男にお前の身体が汚されていない事だけだよ・・・・。もしお前に手を出していたら、俺はもっと早くアイツを殺していた。」
そう言って有希の唇に触れ、そのまま乳房までなぞる。
姉弟でなければ、そしてお互いの身体に”ある障害”が無ければ、今すぐにでも抱きたかった・・・・。
しかしどんなに願っても、それは無理なことであった。二人はあらゆる意味で、セックスをすることを許されないのだから。
しかし姉弟であるからこそ、離れることなく共に歩んで来た。
だがそれも長くはない・・・・・。近いうちに、今までのように共に歩くことは出来ないだろうと感じていた。
喜恵門という不思議な人間の血を引き、それを以て悪行を重ねてきた風間の行為は、誰にも言い訳できない。
観音菩薩の名前を借りて、気に食わない人間を殺してきた。誰の為でもない、世の中の為でもない・・・・・ただ自己満足の為に。
風間という男の歪んだ思想は、色濃く有希に刷り込まれていた。
もはや純粋な心は歪められ、このまま放っておけば、愛する姉は凶悪な殺人鬼に成り下がる。
朋広はもう一度唇に触れ、その寝息を感じた。
そして部屋を後にして、本堂から離れた所にある、白壁の蔵に向かった。
蔵の傍には二人の僧侶が立っていて、朋広に小さく頭を下げた。
その眼光は鋭く、僧服の上からでも鍛えられた身体をしているのが分かる。
しかし今の広明は、彼らよりも強い。
それは肉体的にも、精神的にも、そして組織内の立場という意味でもだった。
かつて自分を組み伏せた僧侶たちを、今は弟子として従えている。
朋広は僧侶たちに一瞥をくれ、心の中でこう思った。
《・・・この勘違いした連中も、近いうちに居場所を失い、世を彷徨うことになる・・・・。そしてはぐれ者同士で集まり、また徒党を組んで、風間と似たようなことを繰り返すだろうな・・・。》
そう思うと、この僧侶たちをどう処分するか、しっかりと考える必要があった。
僧侶たちはそんな朋広の考えなど知るよしもなく、強者に従う事に喜びを感じていた。
力を求める者ほど、自分より強い者に支配されたがっている。
やたらと肉体や拳を鍛える僧侶の心理を、朋広はよく知っていたし、それを上手く利用している。時が来るまでは、良いように従わせておくつもりだった。
僧侶たちは蔵の鍵を開け、重い木造の扉を引いた。
朋広は足を踏み入れ、埃を被った美術品や、仏像を睨みつけた。
そして床に膝をつき、小さな金属の出っ張りを引いた。
すると床板の一部が外れて、地下へ続く階段が現れた。
中は蛍光灯の明るい光が灯っていて、階段の先まで照らしている。
朋広は手摺りに触れながら、その階段を下りていった。
すると長い廊下が現れ、その奥には千手観音像が立っていた。
かなり大きな像で、人の倍くらいの高さがある。身体から無数の手が生えていて、悩める者たちを救済するように、四方八方に伸びていた。
この千手観音像もまた、本堂の観音菩薩像と同様に、喜恵門の力を宿した仏像だった。
しかも本来なら人を救うはずのその手には、いくつもの頭蓋骨がぶら下がっていた。
朋広はその頭蓋骨を睨み、小さく舌打ちをした。
なぜならその頭蓋骨は、風間が今までに殺してきた、喜恵門の力を受け継ぐ者たちの頭だったからだ。
異なる宗派、異なる宗教と対立していた風間は、何度もそういう者たちを暗殺してきた。
しかし喜恵門の力を受け継ぐ人間は、殺しただけでは終わらないこともある。
風間の怨念が有希に宿っているように、死後も消えない憎悪を抱え、生きた人間を襲うことがある。
それを防ぐ為に、殺した者の頭蓋骨を千手観音の手に預けていた。
そしてこの千手観音に、僧侶たちが朝晩欠かさず経を捧げる。
そうすることで、仏像に宿った喜恵門の力が、死者の力を打ち消していた。
朋広は悔しそうな顔で、千手観音像を睨む。
この千手観音の手には、本当なら風間の頭蓋骨も無いといけない。
風間を殺したあの日、朋広はその頭を切り落として、千手観音の手に預けようと思った。
死した風間が、悪霊化することを恐れたからだ。
しかしそうはいかなかった。
なぜなら途中で邪魔が入ったからだ。
あの日、風間が勉の中から追い払った、悪魔の心。そいつが有希に襲いかかろうとした。
朋広は咄嗟に有希を突き飛ばし、悪魔の勉の前に立った。
そして風間の握っていた短刀を手に取り、悪魔の勉の目を突き刺した。
勉は絶叫し、慌てて逃げようとした。
しかし後を追いかけ、もう一つの目も潰した。
勉は光を失い、発狂したように拳を振り回す。朋広は素早く離れ、有希を抱えて退散した。
そしてしばらくしてから戻ってみると、もう勉はいなかった。
それとなぜか風間の死体も消えていて、近くには銃の模型を構えた老人、そして悪魔の心を取り除かれた、人間の勉が倒れているだけだった。
老人は手を合わせ、戦争がどうたらと呟いているだけで、話しかけても振り向こうとしない。
朋広は倒れた勉をおぶり、有希と共にその場を後にした。
あの時、風間の頭さえ持ち帰っていれば、有希にとり憑くこともなかった。
今さら悔やんでも仕方ないが、それでも後悔は消えなかった。
朋広は千手観音像を睨みながら、廊下の奥へと足を進める。
左右の壁には、それぞれ五つずつ扉があって、右側の三番目の扉の前で足を止めた。
中からは女の喘ぎ声、そして数人の男の罵る声が聞こえる。
朋広は一つ深呼吸をしてから、扉の取っ手を引いた。
その途端、女の喘ぎ声が耳に響き、見たくないものが目に飛び込んで来た。
「・・・・・・・・・。」
無言のまま中に入る。そして壁にもたれかかり、腕を組んで険しい顔をした。
扉の中には、一人の若い女。そして四人の屈強な僧兵がいた。
壁には何本もロウソクが灯っていて、暖色の光を照らしている。
部屋の中央にはテーブルが一つ置かれ、床には女性物の服と下着が散乱していた。
それ以外に物はなく、天井に不動明王の顔が描かれているだけだった。
そんな部屋の中で、女はテーブルの上に寝かされ、男たちから凌辱を受けていた。
屈強な僧兵に押さえつけられ、一糸纏わぬ姿で、ただ辱しめを受けている。
乳房や臀部を撫で回され、髪を掴んで罵られ、口、膣、肛門をペニスで埋められ、どろりとした白い液が、顔や陰部の周りに垂れている。
部屋の中には嫌な臭いがむせ返り、朋広は思わず顔をしかめた。
すると朋広のその表情に、僧兵たちは怯え、動きを止めた。
朋広は何も言わず、手を向けて続けろと合図した。
凌辱が再会され、女は声にならない声で悲鳴を上げる。
涙が頬を伝っていき、いっそのこと殺してくれと言うような目で、朋広を睨んだ。
朋広は彼女の目を睨み返し、何も言わずに凌辱を眺める。
僧兵たちは喜ぶでもなく、興奮するでもなく、ルーチンワークでもこなすような感覚で、ひたすら腰を振っている。
無表情で女を見つめ、凌辱の果てに死のうと、どうでもいいというような目つきだった。
女はそんな僧兵に弄ばれ、やがてビクンと背中をのけ反らした。
朋広は手を上げ、僧兵たちにやめるように合図する。
四人の僧兵はピタリと動きを止め、女から離れていった。
女は肩で息をしながら、短くえづく。口から白い液体が垂れ、虚ろな目で朋広を睨んだ。
「・・・・・・・・・。」
女は口を動かすが、何を言っているのか分からない。
朋広は顔を近づけ、その声を聞き取ろうとした。
その瞬間、女は口を開けて噛みつこうとした。朋広はそれを予想していたかのように、サッと顔を離した。
「まだまだ元気だな。昨日からずっと犯され続けてるってのに。」
そう言って女を見つめ、「勉君と鈴音ちゃんの居場所、そろそろ教えてくれないか?」と尋ねた。
「あんたらが匿ってることは分かってる。家にもあの神社にもいないってことは、別の場所に逃がしたんだろう?」
「・・・・・・・・・・。」
「意地張って黙ってると、あんたの頭も千手観音の手にぶら下がることになる。いい加減喋ってくれよ、星野亜希子さん。」
朋広は再び顔を近づけ、涙と精液で汚れた亜希子の顔を睨んだ。
「俺だって、本当はこんなことはしたくない。でも有希を助ける為だから、仕方なしにやってるんだ。これ以上あんたを苦しめたくないんだよ。」
そう言って亜希子の頭を撫で、「もう意地を張るのはよそうよ」と諭した。
「別にさ、俺は喜恵門の力がどうとか、宗派や宗教の違いがどうとか、そんな事はどうでもいいんだよ。あんたが憎くてやってるわけじゃないし、神道派が嫌いだから責めてるわけでもない。もっといえば、そんな下らないもんは、全部消えちまえばいいと思ってる。」
朋広は亜希子の頭を撫でながら、テーブルの端に腰かけた。
汚れた身体は異臭を放ち、精液に混じって便や尿の臭いが鼻をついて、眉間に皺を寄せた。
「俺にとって大切なのは、有希だけなんだ。でもって、アイツは風間のせいで苦しんでる。死んだ後でも、まだ有希を苦しめようとしているんだ。それをどうにかするには、勉君と鈴音ちゃんの力が必要なんだよ。だから事が終われば、全ての責任は俺が取る。焼くなり煮るなり好きにしてくれて構わない。有希が・・・・また純粋な心を取り戻すなら、俺はどうなったって構わない。」
朋広の声は沈んでいて、それと同時にひどく疲れていた。
目頭を押さえ、「もう終わりにしないと・・・・、」と、誰にでもなく呟いた。
「亜希子さん、昨日神社であんたを捕えた時、あんたの弟は目の色変えて襲いかかってきたよな?彼の目を見た時、俺はピンと来るもんがあった。ああ、こいつも俺と同じで、自分の姉貴にゾッコンなんだなって。自分が生きているのは、愛する姉の為だけで、その姉を守る為なら、自分の命だって惜しくはないんだ。だから彼を殺す時、俺に躊躇いはなかったよ。彼は姉を守ろうとして死に、それはある意味じゃすごく幸せなことだったのかもしれない。そう思うと、ちょっと羨ましくもある。」
そう言って、観音像にぶら下がった頭蓋骨を思い出した。
「彼は今、千手観音の手の中にいるよ。悪霊化されて、俺の邪魔をされちゃ困るからね。でも大丈夫、あんたが勉君と鈴音ちゃんの居場所を教えてくれれば、ちゃんと骨は返してあげるから。身体は燃やしてしまったけど、頭は綺麗なままなんだ。」
疲れた声のまま、朋広は淡々と語る。すると指に激痛を感じて、思わず顔をしかめた。
見ると亜希子が噛みついていて、指を食い千切る勢いで歯を立てていた。
僧兵たちが咄嗟に動いたが、朋広は手を上げて止めた。
「俺の指が欲しけりゃくれてやるよ。一本でも二本でも、なんなら全部でもいい。」
そう言って自分の人差し指を噛み、ごりごりと歯音を立てて、食い千切ってしまった。
それを亜希子の前に吐き出すと、「もう一本いるかい?」と笑った。
「望むものがあるならくれてやる。だけどその代わりに、勉君と鈴音ちゃんの居場所を教えるんだ。そうでなければ、あんたのお父さんも死ぬことになる。どこに隠れていようとも、必ず見つけ出して殺す。そして弟の隣に並べてやるよ。千手観音の手の中で、家族そろってぶら下がってりゃいい。」
鋭い眼光を飛ばしながら、鼻が付くほど顔を近づける。
すると今まで無表情だった亜希子が、ゲラゲラと笑いだした。
「どうした?」
そう尋ねると、亜希子は汚れた顔をニヤけさせて言った。
「・・・・バカ。」
「何?」
「うちの・・・・お父さんを・・・・必ず見つけ出して殺すだって・・・・・?」
「ああ、そうだ。どこに隠れていても無駄だ。」
「だったら・・・・・自分で勉君と鈴音ちゃんを見つけろよ・・・・・。どこにいたって・・・・必ず見つけ出せばいいだろ・・・・・このバカ。」
亜希子は唾液と共に、口の中の精液を吐き飛ばす。
それは朋広の顔にかかり、たらりと垂れていった。
「いくらこんなことしたって・・・・・絶対に口は割らない・・・・・。こんなの・・・・・どうってことないわ・・・・・・。アホな男は・・・・・・レイプすりゃ女が言うことを聞くと思ってる・・・・・。いくらザーメンかけられたって、私は平気・・・・・。」
亜希子は馬鹿にしたように言い捨て、また精液混じりの唾を吐き出す。
それは朋広の手を汚し、蜘蛛の糸のように、たらりと床に落ちていった。
「一番怖いのは・・・・・自分が自分でなくなることよ・・・・。あんただって・・・・お姉さんが変わっていくのが辛かったんでしょ・・・・?このままいけば・・・・・あんた自身も、自分でなくなる・・・・・。」
亜希子は朋広を見据えながら、鬼のような顔で語る。
弟を殺されようとも、凌辱を受けようとも、亜希子の心は死なない。
微塵の怯えも見せずに、見下すような視線を向けていた。

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