グレイヴ&リーパー〜墓場の王〜 第六十一話 父と娘(2)

  • 2016.03.31 Thursday
  • 11:27
JUGEMテーマ:自作小説
ドアの向こうから現れた女性を見て、沢尻は驚く。
「早苗・・・お前病院じゃないのか!?」
「うん・・・・そうだっんだけど、こっちの人が・・・・・、」
早苗はスーツの男に目を向ける。
「・・・・・公安か?」
沢尻が尋ねると、公安の幹部が頷いた。
「あなたの話を聞いていて思いました。これは娘さんと話し合ってもらう必要があると。」
「何がだ?」
「もしあなたが負けた時、化け物の子供を産むんでしょう?そしてそれを娘さんに育てさせるつもりだと。」
「・・・・・もしかして・・・・そのこと早苗に話したのか?」
「ええ。そうしたらお父さんに会いたいと言うから、こうして来てもらいました。」
そう言ってケータイを取り出し、「ついさっき呼んだんですよ」と笑った。
「目を盗んでコソコソ話か。いかにも公安らしい。」
沢尻は早苗に目を向け、「お腹の子は無事か?」と尋ねた。
「うん・・・・全然大丈夫。」
「そうか・・・・。緑川と戦ったんだってな、怖かっただろう?」
「うん・・・・・。」
「よく生きててくれた・・・・・ホッとした。」
「それなら・・・・・最初に会いに来てほしかったな・・・・。」
早苗は腹をさすり、思いつめた顔で俯いた。
「なあ沢尻。」
警察長官が口を開き、「いくら何でも、娘に話くらい通しておくべくだろう」と言った。
「お前が緑川に負けたら、この子は化け物の子を育てなきゃならない。それをいきなり押し付けるってのは、いくら親子でも無粋だろう?」
「・・・・なら・・・・俺が最初に提案した作戦を・・・・、」
「それしかなさそうだからな。」
そう言って公安の幹部に目配せをする。
「我々は、最初から沢尻さんの案を受け入れるつもりでいましたよ。ねえ長官?」
「うん、まあ・・・・一番良い方法かなあと。」
「倫理的な問題は多々ありますが、そもそも今起きている事自体が、倫理どうこうを超えています。
それに対抗する為には、こっちも倫理で物事を選んでいられませんので。」
二人は立ち上がり、部屋から出て行こうとする。
「東山。」
長官は足を止め、「辞めるのは自由だがな・・・・」と前置きしてから切り出した。
「それはこの件が終わってからにしろ。」
「・・・・いいんですか?もう辞めるって言っちまったのに。」
「ならせめて沢尻と娘の話が終わるまで待ってろ。決めるのはそれからでもいいだろ。」
そう言ってから「それでいいよな?」と総監に尋ねた。
「別に私はどっちでも。」
「東山の代わりなどそうそうおらんだろ。こいつが抜けて苦労するのはお前だぞ。」
「そうですかね?事態が収拾出来なけりゃ連帯責任でしょ?」
「いや、俺は取らんよ。この件の総指揮はお前に任せてるわけだし。」
「警察の中ではね。でも全体の指揮を取ってらっしゃるのは官房長官だ。」
総監はゆっくりと立ち上がり、「ご決断を」と促した。
「本当なら総理に委ねなきゃなりませんが、アレは使い物にならんでしょ。だから官房長官がお決めになって下さい。」
そう言って長官、総監、公安の幹部の三人で見下ろした。
「・・・・・・・・・・・。」
決断を迫られた官房長官は、「お前ら・・・・・、」と睨みつける。
「俺が警察の出身じゃないからって・・・・この扱いはないだろう。」
苛立ちを誤魔化すように、トントンと足を踏み鳴らす。口元は歪み、神経質に爪を噛み始める。
「今までの全部芝居か?お膳立てだけしといて、最後は俺に丸投げするつもりだったんだろう?」
「まさか。」
長官が笑う。
「何がまさかだ。白々しい・・・・。」
「たまたまですよ、こうなったのは。なあ?」
そう言って公安の幹部に目を向けると、無言で肩を竦めた。
長官も肩を竦め返し、官房長官に顔を近づけた。
「官房長官、あなたが次の総理に推薦しようとしてる豊川大臣、我々も全力で応援させて頂きます。」
「ん?」
「対立候補は警察出身の馬場君でしょう?本来ならそっちを応援したいのですが、我々は豊川外務大臣を応援させて頂こうかなと思っております。」
「・・・・うん。」
「豊川大臣といえば、官房長官が育てたも同然の方です。そんな方に総理になって頂ければ、この国も良い方向に向かうんじゃないかなあと・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「我々一同、是非ご協力させて下さい。」
そう言って軽く頭を下げると、官房長官は表情を和らげた。
足踏みをやめ、への字に曲がっていた口が元に戻る。
「・・・・あのね、この件の最高責任者は私じゃないから。」
「はい。」
「これは一国を揺るがすほどの事態で、官房長官ごときが責任を取れるようなものじゃない。」
「ええ。」
「だったら誰が責任を取るべきか・・・・ハッキリしてるよね?」
「もちろん。」
「なら良い。」
官房長官はニコリと微笑み、軽い足取りで立ち上がる。
「総理が交代する日も近いですな・・・・。」
総監が苦笑交じりに呟くと、誰もが白々しい態度で宙を睨んでいた。
「・・・・というわけで、後は親子で話し合え。ただしそう時間は取れないからな。」
長官は沢尻の肩を叩き、東山の肩も叩いて頷きかける。
そして早苗にも小さく微笑みかけ、他の者と連れだって部屋を出て行った。
「・・・・・・・・・・。」
後には沢尻、早苗、そして東山が残される。
「・・・・・・俺も出るよ。」
そう言って東山が出て行こうとすると、「いや、ここにいてくれ」と沢尻が止めた。
「あんたには迷惑かけっぱなしだからな、こんな大切な場面で除け者には出来ない。」
「馬鹿を言うな。これは親子で話し合うべき事だ。部外者がいたら邪魔なだけだ。」
踵を返し、ドアへ向かおうとする。すると早苗も「いいんです」と引き止めた。
「ここにいて下さい。」
「いや、しかし・・・・、」
「お父さんがこんな風に言うなんて、滅多にないんです。それって、東山さんのことをそれだけ信頼してるってことですから。」
「こんな狂人に信頼されても・・・・、」
ぶっきら棒に言い捨てるが、その表情は満更でもなかった。
「お父さんが信頼する人なら、私だって信用します。だから・・・・・一緒に聞いてて下さい。」
早苗の声は静かで力強く、幼い顔立ちとは似合わないほど迫力に満ちていた。
東山はボリボリと頭を掻きながら、「やっぱり親子だな・・・」と小声で笑う。
「分かったよ。そこまで言うなら俺も聞かせてもらおう。」
そう言って、腕を組んで壁にもたれ掛かった。
部屋には沈黙が流れるが、それを最初に打ち破ったのは早苗だった。
「お父さん・・・・その目・・・・・、」
「ああ、もうじき化け物になる。」
「・・・・・痛い?」
「最初は痛かったが、今は平気だ。まるで万華鏡のように見えて面白いぞ。」
冗談交じりに言って、すぐに真顔に戻る。
「早苗・・・・お父さんがこんな身体になることを選んだのはな・・・・・、」
「分かってる。アチェの子供を産む為でしょ?」
「緑川の子供でもある。」
「あいつ・・・・最悪の人殺しだよね・・・・。吐き気がするくらい嫌な奴。」
「お前は俺と似てるからな、ああいうタイプは一番許せないだろう。」
「当たり前じゃん。あいつが警察署で何をしたか・・・・・、」
そう言って、早苗は唇を噛んだ。
「何も出来なくて悔しかった・・・・・・、」
「いや、お前は立派に戦ったよ。半田なんて警察の偉いさんは、ブルブル震えてただけだからな。自分が責任者だったてのに。」
「普通はそうなると思うよ。でも私にはミントがいたから・・・・・、」
「ああ、お前は凄いよ。ケントにしか心を開かなかったUMAが懐いたんだ。そして一緒に戦った。本当に立派だ。」
沢尻は優しい目で頷きかけ、「でもな・・・・」と続けた。
「俺が産むかもしれない子供は、緑川の子でもあるんだ。」
「お父さんも充分凄いよ。よくそんなの産もうと思ったね、やっぱどこかズレてるっていうか・・・・そりゃお母さんも愛想尽かすよ。」
「それは自覚してる。」
笑いながら言い、「でもお前も大概だがな」と言った。
「いくらUMAと手を組んでるからって、あの緑川と戦ったんだ。普通じゃ出来ない。」
「普通じゃない父親を持ってるからね。私も頭がおかしいのかも。」
「そんな事はないさ。お前は良い子に育ってる。」
「お母さんのおかげでね。」
今度は早苗が笑い、「お父さんに育てられてたら、今頃刑事になって殉職してたかも」と肩を竦めた。
「うん、まあ・・・・・否定出来ないのが辛いところだ。」
「私ももうじきお母さんになるわけだし、ちゃんと育てないとね。絶対に刑事にはさせないから。」
「それがいい。」
沢尻は自嘲気味に笑う。
早苗は真顔に戻り、「私の答えはもう決まってるんだ」と言った。
「もしお父さんが緑川に負けちゃったら、私はどうするか決めてる。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「その時は私が戦う。」
「お前が?」
意外な答えに、沢尻は戸惑う。
「だってそうでしょ?生まれて来る子供にそんなの押し付けるわけにいかないじゃん。」
「いや、しかし・・・・、」
「言いたいことは分かってる。もし化け物の子供が生まれたら、ちゃんと戦えるように育てろって言いたいんでしょ?」
「ああ・・・・。」
「そして私の子供とパートナーを組ませるつもりでいる。」
「そうだ。幼い頃から一緒に育てば、信頼関係も築けるだろう。そうすればきっと良いパートナーになれる。」
「そうかもね。でもそれは出来ない。私は自分の子供にそんなことをさせるつもりはないし、それに・・・・・、」
「それに?」
「・・・・小さい頃から育てたりしたら、きっと化け物の子供にだって愛情が湧く。そうなったら・・・・緑川と戦わせるなんて出来ないから。」
そう言って早苗は、自分の腹に手を当てた。
「だから私がやる。お父さんが化け物の子供を産んだら、私がそれを飲み込む。そして私も化け物になって、お父さんの仇を討つ。」
「・・・・・・・・・・。」
強い口調で言い切る早苗に、沢尻は言葉を失くす。
痒くもないのに鼻を掻き、「早苗・・・・、」と呼ぶ。
「そんなことはお母さんが許さないだろう。」
「孫を戦わせることだって許さないよ。」
「そうだな・・・。でもこれは前にも言ったが、お父さんはまだ見ぬ孫のことよりも、お前の方が大事なんだ。だからお前を戦わせるなんて・・・・・、」
「お母さん昨日死んだよ。」
「何?」
唐突に言われて、沢尻はポカンと口を開ける。
「昨日蝶の大群が襲って来たでしょ?あの時家の方にまで来て・・・・・、」
「やられたのか・・・・・?」
「蝶を追いかけて来た自衛隊が、ヘリコプターの機関銃を撃ったの。その流れ弾が家に当たって、一階が滅茶苦茶になった・・・・。中には母さんがいて、それで・・・・・、」
「・・・・・・・・・・・。」
「今のお父さんも一緒にいた。二人とも・・・・すごく酷い状態で・・・・、」
「・・・・・・・・・・・。」
「私の家だけじゃなくて、他の家にも当たって死んだ人がいる・・・・。まだ避難が終わってない地区だったのに・・・・・焦ったヘリコプターが勝手に撃って・・・・・、」
「・・・・・・・・・・・。」
「病院で聞かされたの・・・・今日の朝・・・・・。さっきのスーツを着た人に・・・・・。お父さん以外には、このことは言うなって」
「・・・・・あいつら・・・・隠蔽してたのか・・・・。」
沢尻は拳を握り、血管を浮かび上がらせる。
今すぐにでも彼らを追いかけ、殴り飛ばしたかった。
しかし早苗はまだ言葉を続けようとしていて、それを聞くまではここを離れるわけにはいかない。
深呼吸して怒りを抑え、拳から力を抜いた。
「・・・・・遺体は?」
「自衛隊の基地に・・・・。でもすごく酷い状態だからって、私は見せてもらえなかった。」
「なら間違いという可能性もあるんだな?」
「・・・・・分からない。さっき私を連れて来た人に、そう言われただけだから・・・・・、」
「お母さんと連絡は?」
「着かない・・・・。」
「そうか・・・分かった。後はお父さんに任せとけ。」
「任せとけって・・・・・何を?」
「亡くなったのがお母さんかどうか確認する。もしそれが事実だったら、民間人を誤射した事実を隠蔽したことになる。」
「そんなの私でも分かるよ。」
「だったらその事実を公表しないと。さっきまでここに座ってたクソ共を、今の椅子から引きずり降ろしてやる。」
そう言って再び拳を握ると、「戦う相手が違うじゃん」と早苗は言った。
「お父さんが戦うのは緑川でしょ?」
「もちろんだ。しかしもしお母さんが誤射されていたなら、それを放っておくわけには・・・・・、」
「何言ってるのよ・・・・緑川を放っておいたら、もっとたくさんの人が死ぬじゃない・・・・・。だったらそっちをどうにかしてよ、その為に化け物になったんでしょ!」
早苗はテーブルを叩き、「お父さんは何も分かってない!」と怒鳴った。
「何でもかんでも正義を求めたって、結局何も出来ないじゃん!だったら一番悪い奴をどうにかしてよ!あいつがいなかったら、誰も不幸にならなかった!!」
「早苗・・・・、」
「お母さんが死ぬこともなかったし、お父さんが化け物になることだってなかった!信ちゃんだって、化け物に操られずに済んでたかも・・・・、」
そう言って顔を覆い、「全部あいつが悪いんだ!」と吠えた。
「あいつが憎い!ぶっ殺してやりたい!」
「・・・・・・・・・・・。」
「この手で殺してやりたい!何にも悪いことしてない人をたくさん殺して、今でも平気で生きてる!そんなの絶対に許せない!私が・・・・この手で・・・・、」
そう言って頭を抱え、うずくまるように泣き崩れた。
沢尻は早苗の隣に腰を下ろし、そっと肩を抱く。そしてあやすように背中を撫でた。
「・・・・すまん・・・・お父さんが不甲斐ないせいで・・・・、」
「違う!誰も悪くない!悪いのは全部緑川よ!」
「・・・・そうだな・・・・あいつがいなけりゃ、ここまでの事にはならなかったかもしれんな・・・・・。」
「・・・・復讐させてよ・・・・。私もあいつと戦いたい・・・・・。」
早苗は抑えていた感情をぶちまけ、か細い声で泣き続ける。
沢尻は強く抱きしめながら、娘にこれ以上の負担はかけられないと思った。
顔を上げ、後ろを向くと、東山が立っていた。
「・・・・もういいだろう。」
東山は神妙な顔でそう言った。
「・・・・・・・・。」
その一言で、早苗に化け物の子供を預けることを諦める。そして拳銃のホルダーを開け、一輪の花を取り出した。
そこには小さな花弁がついていて、「花が・・・・」と見つめた。
「それは?」
東山が尋ねる。
「山を下りる時に話したろう。ケントからの預かり物だ。」
「ああ・・・・それがそうなのか。」
「ミノリが緑川に勝ったら、これを握りつぶして「向こう」を消滅させる。逆にもし緑川が勝ったら、これを飲み込まないといけない。」
「飲み込むとどうなるかは・・・・、」
「さあな?飲み込んでからのお楽しみだ。」
そう言って花を揺らし、「これは最後の切り札だ」と睨んだ。
「もしミノリが緑川を殺したならば、俺は迷わずこれを握りつぶす。そうすればケントは死に、巨大なイナゴが解き放たれる。そして「向こう」を完全に喰らい尽くすんだ。」
「そうなれば、ミノリは放っておいても死ぬな。」
「ああ、しかし緑川はどんな手を使っても生き残ろうとするだろう。そしてずっと「こっち」の世界で猛威を振るい続けるはずだ。」
「なら安易に使えないな、それは。」
「ああ・・・・。化け物どもを殲滅するってだけなら、これを潰せば終わるんだが・・・・そう簡単にはいかない。」
「なら・・・・いっそのこと飲み込んでみるか?」
「・・・・嫌な予感しかしない・・・・・。」
花弁をつけた花を見つめ、そっとホルダーに戻す。
「これを使うのは最後の最後だ。」
「なら・・・・、」
「緑川を仕留める。さっきから腹の底がウズウズしててな。もうじき完全な化け物になるんだろう。」
「分かった、じゃあ肉挽き刀を貰ってこよう。」
東山は足早に部屋を出て行く。肉挽き刀をもらう為、そして最後の親子の時間を邪魔しない為に。
残された沢尻は、ポンポンと早苗の頭を撫でる。
「早苗・・・・・正直言うと、お父さんは自信がない。」
そう言ってテーブルに目を落とす。よく磨かれた表面は鏡のようで、複眼に自分の姿が映る。
「多分・・・・いや、きっとお父さんは死ぬ。」
「・・・・・・・・・・。」
「でもお前は一人になるわけじゃない。子供が生まれて来るんだから。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「だけど緑川がいたんじゃ、お父さんは安心して死ねない。だから決してタダではやられない。何としても緑川を仕留めて見せる。
お前にも、生まれて来る子供にも何も背負わせたりはしない。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「でもな・・・・もしそれでも化け物の子供を産む羽目になったら、その時は・・・・・、」
その時はそいつを殺してくれ。そう言おうとして、すぐに口を噤んだ。
何も背負わせないと言っておきながら、これではただ早苗を追い詰めるだけだと首を振った。
「すまん・・・・今のは忘れてくれ。もし化け物の子供が生まれてきても、それはお父さんが責任を持つ。お前は何も背負わなくて・・・・、」
そう言おうとした時、早苗は「面倒見るよ・・・・」と顔を上げた。
「殺したりなんかしない・・・・ちゃんと面倒を見る・・・・。」
「それは・・・・・、」
「だって殺すなんて可哀想じゃん!何も悪いことしてないのに・・・・。だから私が面倒を見る。」
「いや、それはお父さんの望むことじゃ・・・・、」
「私はお父さんの娘だから、その子を育てる。それでお父さんの意志を引き継いで、きっと緑川をやっつける。だから・・・・・心配しないで。」
赤く腫れた目で見つめ、「私だって戦えるよ」と微笑んだ。
「一度緑川と戦ってるんだから。あの時は負けちゃったけど、でも次は勝ってみせる。だからお父さんは何も心配しないでいいよ。
私のことや生まれて来る子供のことを気にせずに、緑川と戦って。そうじゃなきゃ・・・・きっとあいつには勝てない。」
「早苗・・・・。」
「誰かを守るとか、誰かを助けるとか、そういうのじゃきっと勝てない。ただ緑川を倒すってことだけ考えてないと、あいつには勝てないよ・・・・。」
娘にそう言われて、沢尻は「そうだな」と頷く。
早苗の方が、今何をすべきかよく分かっている。
いったい何の為に化け物になろうとしているのか、もう一度自分に言い聞かせた。
腹の底からは、おぞましい衝動が湧き上がる。
身体全体を包み込むような、不気味で得体の知れない感覚が駆け巡る。
沢尻は激しい痛みに襲われ、その場にうずくまった。
東山が肉挽き刀を持って来る頃、右目もUMAに変わっていた。

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