不思議探偵誌〜探偵の熱い夏〜 第五話 謎の髑髏

  • 2016.07.11 Monday
  • 10:37

JUGEMテーマ:自作小説

悪夢を見た・・・・。
二日酔いの頭を押さえ、嫌な寝汗がシャツに張り付いている。
「なんて夢だ・・・・・。」
布団から這い出て、酔い覚ましの水を呷る。
冷たいシャワーで汗を流し、コーヒーとタバコで気分を落ち着けた。
「事務所が燃えて、俺は無職に転落。
由香里君は呆れ果て、俺の元を去ってしまう・・・・。
その原因となったのは・・・・、」
先ほどの悪夢を思い出していると、部屋のチャイムが鳴った。
ガチャリとドアを開けると、そこにはスーツ姿の美人が立っていた。
「おはよう久能さん。起きてた?」
ワンレングスの長い髪を揺らしながら、艶めかしい笑顔を見せる女。
スーツの胸元は大きく開いていて、スカートはばっちり太ももが見える短さ。
それに何より、遠くからでも息子が元気になるほどのエロイ・・・・もといスタイルの良い身体をしている。
「・・・・茂美さん、実はあんたの夢を見てたんだ。」
そう答えると、「あら?」と笑った。
「嬉しいわ、そこまで私のことを考えてくれてるなんて。」
「悪夢だったけどな。あんたがクソみたいな依頼を持ち込んだせいで、俺の事務所は炎上。
由香里君まで去ってしまう夢だ。」
「確かに悪夢ね。事務所と由香里ちゃん、この二つを失ったら、久能さん首括っちゃうんじゃないの?」
「だから悪夢だと言ってるだろう。」
俺はシッシと手を払い、「悪いが帰ってくれ」と言った。
「今日はあんたの顔は見たくない。」
「せっかく依頼を持って来たのに?」
「今日は事務所は休みだ。明日頼むよ。」
「急ぎの仕事なのよ。」
そう言って自分の所で出版している雑誌を取り出した。
『月刊ケダモノ』
幽霊だのUFOだの、それに未確認生物だのを扱うオカルト雑誌だ。
いったいどこの誰がこんな三流雑誌を読んでいるのか知らないが、潰れることなく発行し続けている。
「朝からオカルト雑誌を読む気にはなれないな。」
「まあまあ、そう言わずに。」
茂美は表紙に印刷された、怪しげな髑髏を見せつける。
そしてページを開き、その髑髏の記事を読んだ。
「古代アトランティスに眠る謎の髑髏。
この髑髏を手にした物は、幸運を得るか不幸に落ちるかのどちらかと言われている。
我々取材班は、古代アトランティスの末裔が住むと言われる場所を直撃した。」
「さすがは月刊ケダモノ、何とも胡散臭い。もう戻っていいか?」
「まあまあ、最後まで聞いて。」
茂美は足を組み替え、大きく開けた胸元を強調する。
俺は若干腰を引きながら、「先を続けてくれ」と言った。
「我々はアトランティスの末裔と豪語する、謎の老人との接触に成功。
そして世界三大オーパーツの一つとされる、謎の髑髏をこの目で確認した。
所有者に幸福、もしくは災いをもたらすとされるこの髑髏。
その噂は果たして真実なのか?
現在鋭意取材中。この続きは追って報告する!」
そう締めくくり、パタンと雑誌を閉じた。
「うむ、月刊ケダモノらしい記事だな。
そんな物を読むくらいなら、クリアしたドラクエのレベルを上げていた方がマシだ。
とっとと帰ってくれ。」
そう言ってドアを閉めようとすると、茂美が「待って」と足を挟んできた。
「久能さん・・・・、」
「断る。」
「まだ何も言ってないわよ?」
「どうせその取材を俺に任せる気なんだろ?
超能力探偵!謎の古代オーパーツに挑む!とかなんとか謳って。」
「あら、よく分かったわね。さすがは超能力者だわ。」
「誰でも分かることだ。そしてそんな下らない依頼は引き受けない。誰か他の人間に・・・・、」
「久能さん。」
茂美は俺の胸に手を触れ、ゆっくりと指をなぞらせる。
そして顔を近づけ、開けた胸元をギュッと押し付けてきた。
「お、おい・・・・、」
「お願い・・・こんな事を頼めるのは久能さんしかいないの。」
「い、いや・・・・そう言われてもだな・・・・、」
「依頼料は弾むから、引き受けてくれない?」
茂美はさらに胸を押し付ける。
俺の腕は二つの柔らかいものに挟まれ、さらに腰を引く羽目になってしまった。
茂美は「ふふふ」と笑い、太ももまで押し付けてきた。
「久能さんったら・・・若いわね。もう元気になってる。」
そう言って下に視線を落とし、クスクスと笑った。
「また色仕掛けか。しかしもうそんな手には乗らないぞ。」
「どんなに嫌がっても、下は素直に反応してるわ。」
「どこのエロ本のセリフだよ。言っておくがな、俺は絶対にそんな仕事は引き受けな・・・・、」
「もし引き受けてくれたら、私の全てを久能さんに見せても・・・・、」
「前向きに検討しよう。」
ビシっと表情を引き締め、俺も茂美の腰に手を回す。
しかしその手はパシッと払われ、「せっかちは嫌いよ」と笑われた。
「ますはお仕事・・・・ね?」
「あ、ああ・・・・・。で、俺は何をすればいい?
その記事に乗ってる場所へ行って、調査でもすればいいのか?」
「いいえ、もっと大事なことを頼みたいの。」
「大事なこと?」
「謎の髑髏の噂が本当かどうか調べて欲しいのよ。」
茂美は腕を組み、「超能力探偵VS古代アトランティスのオーパーツ、面白そうでしょ?」と言った。
「OKOK・・・・分かってる。きっとそう来ると思ってたんだ。」
「すでに髑髏は手に入れてあるわ。ほら。」
そう言ってバッグの中から真っ白な髑髏を取り出した。
「ぎゃあ!」
「驚きすぎよ。」
「そんなもん持って来るなよ・・・・。」
「だって持って来なきゃ対決出来ないでしょ?」
茂美はクルクルと髑髏を回す。
それを俺の手に押し付けると、「明日またこの時間に来るわ」と言った。
「それまでその髑髏を預かっててちょうだい。」
「おい!こんな気味の悪いもんを持ってろっていうのか!?」
「ほんの一日だけよ。」
「いや、しかしなあ・・・・、」
「その髑髏の噂は本当なのか嘘なのか?
それを調べる為に、久能さんに預かってほしいの。
大丈夫よ、たったの一日だから。」
「他人事だと思って簡単に言ってくれるな。」
俺は手にした髑髏を睨み付ける。
大きさは人の手に乗るくらいで、しかも変わった形をしている。
頭から角らしき物が生え、しかも目玉の穴が三つもあるのだ。
「これ・・・いったいどんな生き物の髑髏なんだ?」
「さあね。人間っぽいけど、本当の所は分からない。」
「怪しいにもほどがあるだろ。」
嫌味ったらしく言っても、茂美は笑顔で受け流す。
くるりと踵を返し、「じゃあね久能さん」と手を振った。
「明日また来るわ。」
「・・・・分かったよ。でも依頼料は忘れるなよ。」
「分かってるわ。」
「それと・・・・茂美さんの全てを見せるという約束も・・・・、」
「もちろんよ。」
茂美は振り返り、小さく唇を舐める。
ギュッと胸元を寄せ、ウィンクを飛ばした。
「・・・また明日ね、久能さん。」
エロイ太ももとエロイお尻を振りながら、茂美は去って行く。
「息子よ・・・・明日は良い日になりそうだな。」
髑髏を持ったまま、反り立つ息子を撫でていた。
数分後、アパートの住人に通報されたのは言うまでもない。

 

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

GA

にほんブログ村

selected entries

categories

archives

recent comment

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM