不思議探偵誌〜探偵の熱い夏〜 第十二話 超人対決!超能力者VS霊能力者

  • 2016.07.18 Monday
  • 12:01

JUGEMテーマ:自作小説

霊能力探偵 リチャード・田中・ジョンソン・前田・アラン
由香里君を迎えに行ったら、こんな男と出会った。
由香里君は便の遅れて帰国できず、代わりに妙な男から勝負を持ち掛けられてしまった。
『久能さん、私と勝負しましょう。逃げることは許しませんよ。』
自称霊能力者のあの男は、死にかけていた老人を復活させた。
それも徐霊という方法で。
とても信じられないが、しかし確かにこの目で見た。
こんな男と勝負などしたくないが、逃げれば呪い殺すと言う。
まさかとは思いつつ、ちょっぴり不安になったので、泣く泣く勝負を受けてしまったのだ。
男から受け取った名刺には、名前と連絡先、そしてホームページのアドレスが載っている。
奴が言うには、このアドレスにアクセスした時点で勝負開始だそうだ。
由香里君の帰国は明日。
それまでにこんな勝負を終わらせて、気持ちよく迎えに行きたい。
「さて、それじゃ言われた通りにアクセスしてみるか。」
ノートパソコンを立ち上げ、アドレスを打ち込む。
すると怪しげなページが出てきた。
「なんだこりゃ?」
真っ黒な地に、赤い文字でこう書かれている。
霊能力探偵、リチャード田中。
本名が長すぎるので、どうやら短縮しているらしい。
ていうかそんなことはどうでもいい。
問題なのは、その下に書かれていることだ。
『こんにちは。霊能力探偵のリチャード田中と申します。
イギリスで探偵をしておりますが、この度日本でも事務所を構えることにしました。
今、この国では紛い物の霊能力者や超能力者がはびこっています。
多くは偽物ですが、私は違います。
霊の声を聴き、霊の姿を見つめ、常人には無い力で依頼を解決することが出来ます。
もし嘘だと思うなら、ページの上にあるアドレスへメールを下さい。
すぐさま依頼を解決してみせましょう。
また我こそはと思う能力者がいたら、いつでも挑戦を受けます。
本物の霊能力にて、あなたが紛い物であることを証明してみせましょう。』
自信満々の文章から、あの男の顔を思い出す。
俺は「胡散臭いことこの上ないな」と辟易とした。
しかし勝負を受けた以上、挑戦せねばなるまい。
俺は奴のアドレスへメールを送ろうとした。
するとその時、突然事務所の電話が鳴った。
「まさか・・・・、」
嫌な予感を抱きながら、「久能探偵事務所です」と答える。
『もしもし?私が誰だか分かりますね?』
「ああ、さっきの霊能力者だ。」
『ホームページは御覧になられましたか?』
「見たよ、大層な自信だな。」
『私は本物ですからね。いつ、どこで、どんな能力者が相手でも、勝負を受けて立つ覚悟があります。』
奴の声は勇ましい。俺は気後れしながら、「やはり勝負をしないとダメか?」と尋ねた。
「別に色んな能力を持つ探偵がいたっていいじゃないか。どうして勝負なんか持ち掛ける?」
そう尋ねると、『ははははは!』と笑った。
『久能さん、あなたは本物なんですよ。』
「なに?」
『ホームページにも書いてある通り、多くの能力者は偽物だ。
それが霊能力であろうと超能力であろうとね。』
「確かに俺には超能力がある。しかしあんたの霊能力に比べると、随分貧弱な力なんだ。
だからそう目の仇にしなくても・・・・、」
『能力が強いか弱いかの問題ではない。本物か偽物かが重要なのです。
あなたは本物の能力者で、しかもそれを鼻にかけていない。』
「だって鼻にかけるほどのモンじゃないからな。
こんな能力なら、頭が良いとか足が速いとか、そっちの方が役に立つと思うぞ。」
『いいえ、そんな力を持つ人間は大勢います。
しかし本物の超能力を持つ人間はごくわずかだ。
私はね・・・・それが許せないんですよ。』
奴の声に怒りが灯る。
俺は「プライドか?」と尋ねた。
『そうです。本物は私一人でいい。だからあなたを倒し、この世で唯一無二の特別な探偵になりたいのです。』
「昔そう言って勝負を仕掛けてきた奴がいたよ。俺より遥かに優れた超能力者なのに、なぜか目の仇にされた。
理由はあんたと同じで、異常なまでのプライドの高さだよ。」
そう言うと、リチャード田中は『尾崎周五郎ですね』と答えた。
「知ってるのか?」
『もちろんです。彼とは以前に対決をしたことがありましてね。』
「あんたも奴と戦ったのか?」
『ええ、かなり昔の話ですが。』
「で、結果は?」
ゴクリと息を飲みながら、答えを待つ。
すると笑いながらこう答えた。
『尾崎は私の相手ではありませんでした。』
「なに?なら勝ったというのか?」
『私の一方的な勝利に終わりました。彼は大きなショックを受け、以後私の前には現れていません。』
「そんな・・・・俺はかなり苦戦したというのに・・・・、」
『確かに彼の能力はすごい。でもね、それはしょせん超能力に過ぎないんです。』
「どういうことだ?」
『霊能力には敵わないという意味です。。
超能力も素晴らしい力ではありますが、その力には限界がある。
いくら強力であろうとも、人の限界を超えられないんですよ。
しかし霊能力にはそれがない。
霊能力者は霊と交信し、そして従えることも可能です。
この意味が分かりますか?』
「まったく分からない。どういうことなんだ?」
『ふふふ・・・・すぐに分かりますよ。』
リチャード田中は不敵に笑う。
俺は不安を覚え、冷や汗を流した。
《こいつは思っていた以上の強敵だ。やはり勝負なんて受けるんじゃなかったな・・・。》
今さらながら後悔していると、リチャード田中は口を開いた。
『さて、無駄話はこれいくらいにしましょう。
今この時点から勝負を開始します。』
声を落とし、『勝負の内容を説明します』と言った。
『今から五年前、この国である失踪事件が起きました。』
「失踪事件?」
『ええ。ですが失踪したのは人ではありません。仏像です。』
「仏像・・・・?」
『有名な寺院に保管してあった、国宝級の仏像が無くなってしまったのですよ。
警察がいくら捜査しても見つからず、事件は迷宮入りしました。』
「警察でも無理だったのか・・・・。まさかそんな事件を勝負の題材にしようというのか?」
『そうです。普通の探偵なら無理でしょうが、私たちは特別だ。
だから必ず見つけることが出来るはずです。』
「いや、俺にはそんな自信は無いが・・・・、」
『私にはあります。そしてあなたよりも先に見つけ、絶対に勝利してみせますよ。』
リチャード田中は勝ち誇ったように笑う。
勝負が始まる以前から、すでに勝ちを確信しているようだ。
『事件の詳しい内容はすぐにそちらへ送ります。』
「ならFAXで送ってくれ。」
『分かりました。では番号を教えて下さい。』
番号を伝えると、電話の向こうからメモを取る音が聴こえた。
『勝負は明日の午後12時まで。それまでに仏像を見つけた方が勝ちです。』
「分かった。」
『ではご健闘を。』
リチャード田中は不敵に笑いながら電話を切る。
俺は「薄気味悪い奴だ」と受話器を置いた。
「出来るなら関わりたくない奴だが、そうもいかない。
どうにかして奴より早く仏像を見つけないと。」
しばらくすると、FAXがカタカタと鳴り始めた。
そして一枚の紙を吐き出し、「どれ」と目を通した。
『20XX年8月15日。○○市の煩悩寺という寺から、一体の仏像が盗まれた。
仏像の大きさは30センチ、木造で足の付け根が欠けている。
前日までは蔵に保管されているのを住職が確認している。
しかし事件のあった当日の朝、忽然と消えていた。
警察は盗難事件として捜査を開始。
外部犯、内部犯、両方の可能性で捜査を進めたが、まったく目ぼしい成果は上げられなかった。
捜査は難航し、現在では事実上の捜査は打ち切られている。』
FAXにはそう書かれていて、下には仏像の写真が載っていた。
白黒なので細かい部分は分からない。
しかしその顔はとても特徴的だった。
「仏像・・・・だよな?どうして犬の顔してるんだ?」
不思議に思いながら、「まあ特徴があった方が捜しやすいか」と頷く。
「事件のあった寺は・・・・この近くじゃないか!」
俺は立ち上がり、「すぐに話を聞きに行こう」と事務所を出た。
するとまたしても犬がついて来た。
「ウォン!」
「お前も行くのか?」
「ウォンウォン!」
「別に構わんが・・・邪魔だけはするなよ。」
俺はすぐに事件のあった寺まで向かった。
すると・・・・・、
「そんな・・・・どうして?」
なんと寺が無くなっていたのだ。
代わりに大きなスーパーが建っている。
「寺って・・・・無くなることがあるんだな。」
驚いていると、犬が「ウォン!」と吠えた。
「どうした?」
「ウォンウォン!」
「おいコラ!どこへ行く?」
犬はグイグイと引っ張る。
その先にあったのは、スーパーの前に屋台を出している焼き鳥屋だ。
「ウォンウォン!」
「おい、今は食い物を欲しがってる場合じゃないぞ。早く仏像を捜さないと・・・・、」
「ワフッ!」
「痛たたた!噛むんじゃない!」
犬は足に噛みつく。
そして物欲しそうに焼き鳥を見つめた。
「分かったよ、でも一本だけだぞ。」
財布を取り出し、一本だけ買ってやる。それも皮を。
しかし犬は喜んで食べた。
「それ食ったら仏像を捜しに行くぞ。」
「ウォン!」
あっという間に平らげ、まだ欲しそうにする。
「もうダメだ。焼き鳥食ってる場合じゃないんだから。」
「ウォンウォン!・・・・ワフ!」
「いくら吠えても無駄だ。これ以上邪魔するなら事務所に置いてくぞ。」
厳しい顔で怒ると、「ワフン・・・」と項垂れた。
「食い物が欲しけりゃ仕事しろ。お前だって事務所の一員なんだから。」
紐を引っ張り、焼き鳥屋から離れる。
しかし犬は踏ん張って動かない。
「おい!もう行くぞ!」
「ウォンウォン!」
「だからいくら吠えても無駄だ。餌はこれが終わってから・・・・、」
「ウォンウォンウォンウォン!ワフ!」
「なんだよそんなに吠えて。」
犬はけたたましく吠え続ける。
そしてまた俺を引っ張った。
しかし今度は焼き鳥屋にではない。
スーパーの裏にある、大きな倉庫へと向かって行った。
「どうしたんだ?」
「ウォン!」
倉庫の前まで来ると、犬は立ち止まった。
そしてシャッターの開いた倉庫の中に「ワフン!」と鳴いた。
「なんだ?この倉庫から食い物の匂いでもするのか?」
俺は倉庫の中を覗く。すると・・・・、
「どうも久能さん。」
「・・・・・お前もここへ来ていたのか。いや、それよりも・・・・、」
倉庫から出て来たのはリチャード田中だった。
そしてその腕には仏像を抱えていた。
「お前・・・・それはもしかして・・・・、」
「ええ、五年前に無くなった仏像です。」
そう言って目の前に見せつける。
仏像はFAXに載っていた通り、足の付け根が欠けている。
それに何より特徴的な顔をしていた。
「犬の顔をした仏像・・・・。」
俺はゴクリと息を飲み、「本当に見つけやがったのか」と唸った。
「しかもこんな短時間で・・・・、」
「だから言ったでしょう、私なら見つけられると。」
「いや、しかし・・・・いくら何でも早すぎる。いったいどんな手を使って・・・・、」
「霊ですよ。」
「なに?」
「霊と交信し、私の手足となって働いてもらったのです。」
「馬鹿な、そんなのあり得ない・・・・。」
「しかし現にこうして仏像を見つけた。霊の力を借りてね。」
リチャード田中は「ふふふ・・・」と笑う。
「勝負ありです。」
「待て、俺はこんなの納得しないぞ。絶対にインチキか何かに決まっている!」
「いいえ、これはインチキではありません。霊能力のおかげです。」
そう言ってポンと肩を叩き、「では」と去って行く。
「明日までに看板を降ろしておいて下さい。」
「ふざけるな!俺はこんなの認めないぞ!そんな・・・・幽霊の力を借りて見つけたなんて・・・、」
事実を受け入れることが出来ず、必死に食ってかかる。
しかしリチャード田中は一笑にふした。
「約束です。看板を降ろして下さい。」
「断る。こんな勝負は認めない。」
「では死にますか?」
「なんだと?」
「霊能力を使い、あなたを呪い殺すと言ったのですよ。」
「ふん!出来るものならやってみろ。」
「いいでしょう。ではあなたの事務所のスタッフを、全て呪い殺させてもらいます。」
「なに?全てのスタッフだと・・・・?」
「久能さん、その犬、そして・・・・本条由香里をね。」
「な・・・・なんだと?」
「あなたのことは調べさせてもらいました。
空手の強い可愛いお嬢さんが助手をなさってるようだ。」
「き、貴様・・・・由香里君にまで手を出そうというのか!」
カッと熱くなって、胸倉を掴む。
「そんなことは絶対にさせない!」
「無理ですよ、呪いを止めることは出来ない。
超能力では霊能力に勝てないのですから。」
そう言って俺の手を払い、「あなたは負けたのです」と睨んだ。
「敗者は勝者に従うしかない。だから看板を降ろして下さい。
でないとあなたの大切な助手まで・・・・・、」
ニヤリと笑い、クイっと眼鏡を直す。
「ではこれで。」
仏像を片手に、悠々と去って行くリチャード田中。
俺は呆気に取られ、奴の背中を睨むことしか出来なかった。
「馬鹿な・・・・いくら何でもこんなすぐに見つけるなんて・・・・。」
奴は言った。霊の力を借りて見つけたと。
「・・・・そんなこと・・・・信じられるものか!」
グッと拳を握り、去りゆく奴の背中を見つめる。
するとその時、犬が突然駆け出した。
「おいコラ!」
手から紐が離れ、倉庫の中へ走って行く。
そして・・・・しばらくすると、ある物を咥えて出て来た。
「おい、それは・・・・、」
「ワフ!」
俺は信じられない思いで見つめる。
犬が咥えていた物、それはリチャード田中が持っていたのと、まったく同じ仏像だった。

 

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