【Xファイルパロディ】疲れているのは君の方さ

  • 2017.04.13 Thursday
  • 16:59

JUGEMテーマ:自作小説

今日、俺はスカリーと結婚する。
まさかこんな日がやって来るとは思わなかった。
俺は何年も前からスカリーのハートを射止めようと頑張っていた。
キャサリンに餌をやり、彼女が好きそうなBL同人誌があればアマゾンで取り寄せ、休日だって何度も代わった。
それに脱げと言われれば脱いだし、。鞭で叩かれて笑えと言われれば笑った。
スキナーと一緒にスク水(女子用)でマンハッタンを走るという罰ゲームもこなした。
彼女の望むことは何でもやったし、彼女の好きなものは俺も好きになる努力をした。
その甲斐あっては、俺の部屋にはBL同人誌が溢れかえっている。
東京タワーとエッフェル塔、どっちが攻めでどっちが受けか?
そんな話題にもついていけるようになった。
しかしなかなか彼女は俺を愛してくれなかった。
同僚としては大事に想ってくれているらしいが、男女となると主人とペット。
それはそれで快感なのだが、やはり俺もそろそろ身を固めたい。
というわけで、三日前にプロポーズをした。
『スカリー、君の冷淡で知的な眼差しは俺の為にある。
天国へ旅立つまで、僕の隣にいてくれ。』
きっと断らられるだろうと思った。
しかし予想に反して『いいわよ』と頷いてくれた。
『私もそろそろ良い歳だしね。身を固めるのも悪くないわ。』
『本当か!まさかとは思うが、今君の頭に宇宙人のチップは・・・・、』
『それはあなたの方。脳ミソどころか、関節ごとに埋め込まれているんじゃない?』
『それは周知の事実さ。しかしな、まさか君が俺と結婚してくれるなんて・・・・、』
信じられない。
これは確実にXファイル扱いの事件だ。
しかしXファイルの捜査官は俺たちなわけで、これは実際に結婚して実証してみるしかあるまい。
『スカリー、君が欲しい。』
『嬉しいわ。でも今は足を舐めなくてもいいのよ。』
俺たちは婚約した。
そして三日後に式を挙げることになった。
なんというスピード婚!
明日世界が滅んでもおかしくない超常現象だが、これは現実だ。
俺は誓う。
必ず幸せにしてみせると。
スカリーは『期待してるわ』と微笑んだ。
ちなみにキャサリンとはスカリーの飼っている犬の名前である。

            *

「モルダー、いかしてるぞ。」
スキナーが裸に蝶ネクタイ姿で近づいてくる。
俺は「褒めてくれて嬉しいね」と肩を竦めた。
「まさかお前が彼女と結婚とはなあ。」
「僕もびっくりさ。まだ宇宙人と遭遇する方が現実味があるね。」
「まったくだ。とにかく今日は君ら二人が主役だ。心から祝福させてもらうよ。」
そう言って新郎の控室を出ていった。
背中を向けた時、ブリーフの後ろが茶ばんでいたのは見ないことにした。
「ふう・・・・あと30分で式が始まる。」
俺は鏡の前に立ち、キリっと顔を作った。
「スカリー、君を愛している。きっと世界一の夫婦になれるはずさ。」
世間では「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマが流行っているが、俺はその逆だ。
「恥を求めて正面に立つ」
スカリーのせいですっかりドMになってしまったので、恥はご褒美でしかない。
今日、彼女はどんな風に俺を罵るだろうか?
蝶ネクタイを締めながら、ご機嫌に鼻歌を歌った。
するとその時、慌ててスキナーが戻ってきた。
「どうしたスキナー。そんなの焦ると持病のいぼ痔が再発するぞ。最悪は痔ろうという恐ろしい病に罹って・・・・、」
「大変だ!スカリーがさらわれた!」
「なんだって!?」
「さっきまで控室にいたんだ!そこへ宇宙人みたいな男が現れて、彼女を連れ去った!」
「ホーリーシット!」
蝶ネクタイを叩きつけ、スカリーの控室へ走る。
スキナーの言う通り、彼女は消え去っていた。
窓ガラスが割れているので、あそこから侵入してきたんだろう。
「なんてこった・・・・ガッデム!」
宇宙人め・・・・普段はまったく現れないクセに、どうしてこんな日に限って・・・・・。
『あなた疲れてるのよ』
今日ばかりはスカリーもそんなセリフは吐けまい。
というより吐きたくてもここにいない。
「スキナー!すぐに付近一帯を封鎖してくれ!それと指名手配を!」
「無駄だ。奴はUFOに乗って逃げたからな。」
「なんだって!」
「コテコテのアダムスキー型だ。外装は段ボールだったな。」
「それでよく飛ぶもんだ。UFOはどっちへ飛んでった?」
「俺たちのオフィスがある方だ。」
「じゃあすぐに行くぞ!」
「待て!私は裸に蝶ネクタイだ!せめてブリーフを・・・・、」
「いつも裸だから問題ない!」
「ならせめて靴下を・・・・、」
俺たちは一目散にオフィスまで向かう。
身体が熱くなってきて、タキシードを脱ぎ捨てた。
白いシャツも脱ぎ捨てて、けものフレンズのTシャツが露わになる。
スカリーに合わせてBL同人誌を嗜んでいたが、やはり俺はノーマルの方がいい。
ちなみにパンツはアイマスだ。
ラブライブのキャラが描かれた痛パトカーを走らせて、オフィスまでやって来る。
すると入り口のドアの傍に、段ボールのUFOが停まっていた。
「スカリー!」
俺は段ボールを破壊し、彼女を助けようとする。
しかし中には誰もいなかった。
「モルダー・・・どうだ?」
スキナーが裸に蝶ネクタイ、そして艦これの長門がプリントされた靴下だけで走ってくる。
しかし通りがかった警官に見つかって、手錠を掛けられていた。
「コラ!何をする!私はFBIの人間だぞ!」
「はいはい、続きは署で聞くから。」
スキナーは連れて行かれた。
「なんてこった、仲間が一人減ってしまった。まあいない方がいいが。」
俺はUFOの中を調べる。
そしてとんでもない秘密に気づいた。
「これはUFOじゃない!巨大なドローンだ!」
よく見ると、UFOの上ににはプロペラが付いていた。
中にはコントローラーもある。
「ホーリーシット!あのハゲ親父め!何がUFOだ!」
あれでよくXファイルの長官が務まるものだ。
「しかしスカリーがこれで連れ去られたのは間違いなさそうだ。」
ドローンの中にはBL同人誌が落ちていた。
どうやら式の直前までこんな物を呼んでいたらしい。
相変わらず図太いというか、彼女らしいというか。
「こんな事に感心している場合じゃない!」
俺はオフィスに駆け込む。
受付にはジェフという太った元刑事がいた。
こいつはXファイルの捜査官であったが、食ってばかりで役に立たないので、スカリーがここへ蹴飛ばした。
今は一般職員として受付にいる。
ハンバーガーとチキンを食いながら。
「ようモルダー、式はどうした?披露宴の余り物があったらタッパに詰めて持ってきてく・・・・ぶべしッ!」
「黙れ!今はそれどころじゃないんだよ!」
悪玉コレステロールの製造機を蹴り飛ばし、エレベーターのボタンを押す。
しかし降りてくる時間がもどかしくて、階段を使った。
ここはオフィスといえども、二階建ての借家だ。
よくよく考えればエレベーターなど必要ないのだが、どうして付いているのだろう?
余計なことを考えながら、二階へ駆けあがる。
そしてスカリー専用の部屋の前まで来ると、「いるか!?」とノックした。
「スカリー!いたら返事してくれ!」
・・・・返事はない。
ならば仕事場だろう。
スカリーの部屋より小さな仕事場へ駆け込むと、彼女はいた。
「スカリー!」
純白のウェディングドレスを着たスカリーが倒れている。
彼女は手足を縛れて、口には猿ぐつわを嚙まされていた。
「な・・・・なんて仕打ちを。」
怒りと殺意が湧き上がる。
そして彼女の傍に立つ、一人の男を睨み付けた。
「貴様が宇宙人か!?」
男は覆面を被り、メキシコのプロレスラー、ルチャドールのような恰好をしていた。
胸にはタコみたいな火星人のイラストがプリントしてある。
そして背は俺より低いが、筋肉はムキムキだ。
「お前がモルダーか?」
低い声で尋ねてくる。
「そうだ。お前は何者だ?宇宙人か?」
「違う。私は元サッカー選手のピオレという者だ。」
「宇宙人じゃないのか!なら胸の火星人のイラストはいったい・・・・、」
「この格好はただの趣味だ。そして今は同人作家をやっている。」
「同人作家・・・・BLとかそういうのか?」
「そうだ。そしてここにいる彼女は、私の熱烈なファンなのだ。」
そう言ってスカリーを見つめる。
「確かにスカリーはBLを嗜む。しかしお前のような奴のファンだとは・・・・、」
「本当のことだ。実は一ケ月前に、私のフェイスブックにお友達申請があったのだ。スカリーからな。」
「そんな!気高い彼女が、貴様のような男に・・・・、」
「私たちは意気投合し、夜遅くまでチャットする中になった。」
「そんな・・・・俺なんか100回に一回くらいしかLINEが返ってこないのに・・・・既読無視の嵐なんだぞ!」
「ふふふ・・・・彼女は私のファンだからな。」
男は不敵に笑う。
「実は二週間前、スカリーとデートをした。」
「なッ・・・・・、」
「そしてBL同人について熱く語り合ううちに、私は彼女に惚れた。」
「ほ、惚れッ・・・・・、」
「思い切って愛を告白したが、撃沈したよ。」
「当たり前だ!スカリーが貴様のような男と付き合うわけがない!」
「いいや、そうじゃない。スカリーは熱心な私のファンなのだ。
だから男女の関係になることは出来ないと言った。
尊敬するクリエイターとそんな関係になってしまったら、もう純粋な気持ちであなたの作品を読めないからと。」
「どこのラブロマンスの言い訳だ!彼女がそんなこと・・・・、」
そう言いかけた時、スカリーは自力で猿ぐつわを食い千切った。
凄まじい咬合筋だ。
「モルダー、今のは本当のことよ。」
「スカリー・・・・君はこんな男を尊敬していたというのか?」
「だって最高の作品を生み出すアーティストだもの。でもだからこそ男女の関係にはなれない。
なれないけど・・・・彼はしつこかった。
これが他の男なら、ケツを蹴り上げて玉を捻って、毛を毟って縛り上げて、マンハッタンのど真ん中に張り付けてやるところよ。
だけど彼にそんなことは出来ない。私の尊敬する偉大な作家だもの。
だから・・・・・、」
スカリーは申し訳なさそうに首を振る。
「どうした?まさかそいつに何かされたか?」
「そうじゃないの。彼に私のことを諦めてもらう為に・・・・・あなたを利用してしまった。」
「利用?」
「私から話そう。」
ピオレが前に出る。
ピクピクと胸筋を動かして、もっこりしたあそこを見せつけた。
「スカリーはな、お前と結婚する気など無いということだ。」
「な・・・どういうことだ!?」
「彼女はお前と結婚すると嘘をつくことで、俺に諦めさせようとしたのだ。」
「嘘・・・・・だと・・・。」
目の前が真っ白になる。
けものフレンズのTシャツを握りしめながら、「そんな・・・」と崩れ落ちた。
「ふははは!お前は利用されたのだよ!」
「・・・・・・・。」
「最初は私も焦った。いきなり結婚するなんて言い出すもんだからな。
しかし相手の顔写真を見せられて、すぐに嘘だと分かった。
スカリーのような知的で高潔な女性が、貴様のような重度のアニオタと結婚するわけがないとな。」
「なんで俺の写真を見ただけで、アニオタなんて分かるんだ!?」
「背景に写っていたお前のコレクションだよ。」
「コレクション?」
「千反田えるにブラックマジシャンガール。東方の魔理沙に艦これの長門。
まどマギのほむらに、フレッシュプリキュアのイース様。
古いものだとクリーミーマミやキューティーハニーもあったな。
それらのフィギュアやポスターが所狭しと並んでいたぞ!」
「・・・・今は増えてる。レモンマジシャンガールとアップルマジシャンガールのフィギュアも買ったからな。」
「あとなぜかビリー・ヘリントンとチャック・ノリスの合成写真があったな。
おそらくこれはスカリーの影響だろう。」
「俺はノンケだ。マッチョな男の濡れ場に興味はない。」
「とにかくだ!そんな貴様はスカリーの結婚相手に相応しくない!
そして・・・・俺と結婚してもらう為に、彼女をさらうことにしたわけだ。」
ピオレは懐から一体のフィギュアを取り出す。
それは俺の部屋にあった、限定販売のラムちゃんのフィギュアだった。
「抵抗するのなら、この可愛い彼女が犠牲になるぞ?」
そう言ってグっと握りしめる。
「やめろおおおおお!」
「ふはは!情けない顔だな。そおれ!」
「うおおおおおお!やめてくれええええええ!」
「ふははは!泣け!喚け!そして悔いろ!
例え騙されていたとしても、私のスカリーと結婚などしようとしたことを。」
ピオレは俺の嫁をいじめる。
俺はただ叫ぶしかなかった。
なかったが・・・・・、
「・・・・違うな、俺の嫁はスカリーただ一人。彼女の為なら・・・・彼女の為ならすべてのコレクションを捨てても構わない!」
「馬鹿な!こいつがどうってもいいのか?」
「スカリーには代えられない。彼女は俺の相棒だからな。一心同体、一蓮托生なのさ!」
ダッシュして体当たりをかます。
しかしピオレはビクともしない。
それどころか俺を持ち上げ、床に叩きつけた。
「ぐはあ!」
「馬鹿め。伊達にマッチョなわけではないぞ。」
「クソ・・・・今日は式だから銃は持っていない・・・・。せめて警棒くらいあれば・・・・ぐはあ!」
「ほおら、苦しめ!己の弱さを恥じろ!」
ピオレはガンガン蹴ってくる。
俺はただ耐えるしかなかった。
しかしその時、「そこまでよ」とスカリーが言った。
「あなたを逮捕するわ。」
顔を上げると、スカリーが銃を突き付けていた。
どうやら自力で手足を解いたらしい。
強いにも程があるだろう。
「な、何をする!」
慌てるピオレ。
スカリーは「ふ」っと笑った。
「あなたは一流のクリエイターでしょ?ならどうして彼のコレクションにそんなことをするの?」
「なに?」
「趣味は違えど、私も彼と同じで重度のオタクよ。だから彼の気持ちが分かる。
大勢の嫁たちをどれだけ愛しているか。」
そう言って「ピオレ、あなたを誘拐、及び暴行の現行犯で逮捕する」と手錠を掛けた。
「なッ・・・・、」
「暴れないことね。本当に風穴が空くわよ?」
眉間に銃を突きつけると、ピオレは「スカリー・・・」と首を振った。
「あんなアニオタと結婚しないでくれ。私は君のことが・・・・、」
「私もあなたのことは好きよ。ただしクリエイターとしてね。異性として見たことは一度もないわ。」
「そんな・・・・、」
「モルダーは私の大事な相棒。今までも、そしてこれからも。だから・・・これ以上傷つけるなら、容赦しないわ。」
カチャリと撃鉄を引いて、殺気の籠った目で睨む。
するとそこへスキナーがやって来た。
「クソ!あの警官め・・・・俺を誰だと思ってやがるんだ。」
ブツブツ言いながら、「ぬお!」と叫ぶ。
「スカリー!無事か?」
「ええ。」
「そいつが犯人だな?」
「連行してくれるかしら?」
「もちろんだ!とっとと来い!」
裸に蝶ネクタイ、艦これの長門の靴下を履いた姿で、マッチョなピオレを連行していく。
「スカリー・・・・私は君を愛して・・・・、」
「しつこい。」
スカリーはバン!と銃を撃つ。
ピオレは「ひい!」と腰を抜かし、スキナーに引っ張らていった。
「一件落着ね。」
そう言って銃口に息を吹きかける。
「モルダー、平気?」
「ああ・・・・いつも君の蹴りを喰らってるからな。あれくらいなんてことない。」
俺は立ち上がり、「君が無事でよかった」と頷いた。
「さらわれたと聞いた時は、生きた心地がしなかったよ。」
「モルダー・・・・ごめんなさい。あなたを騙してしまって・・・、」
「いいのさ。君が無事だった、俺はそれでいいさ。」
そう言って肩を竦めると、彼女は小さく笑った。
「あなたって本当にお人好しね。呆れるくらい。」
「そういう性分さ。」
「怒鳴るとかビンタするとか、普通はそうするでしょうに・・・・・。」
呆れたように言って、俺に顔を近づける。
「モルダー、あなたは最高の相棒よ。今までも、そしてこれからも。」
そう言って唇を近づける。
しかし俺は「よそう」とその唇を止めた。
「そんなの君らしくない。」
「モルダー・・・・。私はあなたを騙してしまった。だから・・・・、」
「俺の知ってる君は、いつだって毅然としてる。気持ちは嬉しいが、お詫びでキスはしてほしくない。
だから・・・・・その、なんだ。とりあえず事件が解決してよかった。」
「・・・・モルダー。」
切な気なその目、その表情。
俺の股間は膨らむが、今は欲情するシーンではないだろう。
「全て水に流すさ。だからこれからも俺の相棒でいてくれるかい?」
「もちろんよ。私たちはXファイル捜査官、唯一無二の相棒よ。死ぬまでそれは変わらない。」
「それが聞けただけでも充分さ。」
そう、俺たちは最高の相棒だ。
これまでも、これからも。
「とりあえず会場に戻ろう。みんなに君の無事を報告しないと。」
「ピオレのドローンがあるわ。あれに乗って行きましょう。」
俺たちはオフィスを出て、狭いドローンに乗り込む。
「なあスカリー、二つ質問がある。」
「なに?」
「ウェディングドレス姿なのに、どうして銃や手錠を持っていたんだ?」
「ああ、それはあなたが襲いかかってきた時の為。新婚初夜だから、当然そういうことをしたがると思って。」
「なら君を抱こうとしていたら・・・・、」
「今頃種無しね。」
そう言って銃を向ける。
「なるほど、君らしい。で、二つ目の質問だが、ピオレは何者なんだ?
あのイカれよう・・・・ただの同人作家とは思えないが?」
「さあね、宇宙人なんじゃない。」
「ほんとに?」
「モルダーに合わせてみただけ。あなたはどう思ってるの?」
「奴は間違いなく宇宙人さ。僕の勘がそう言ってるんだ。」
「モルダー、あなた疲れてるのよ。」
「そのセリフが聞けて嬉しいよ。でも・・・・、」
「でも?」
「・・・・いや、なんでもないさ。」
コントローラーを掴み、ドローンを飛ばす。
《スカリー、疲れているのは君の方さ。なぜならこの狭いドローンの中、もっこりした俺の息子が、ずっと君の腰に当たっている。
なのに鉄拳も蹴りも飛んでこないなんて、君らしくないじゃないか。》
きっと俺を騙したことに負い目を感じているのだろう。
硬くなった息子に怒らないのは、明らかに俺へのサービス。
こんな気遣いをするなんて、やっぱり今日の君は疲れているんだろう。
スカリーは俺を見つめて、ニコリと微笑む。
《これは・・・・案外本気で俺のことを・・・・・。》
ゴクリと喉が鳴り、さらに息子が天を向く。
ちょっとだけ腰を動かしてみると、「シバくわよ?」と睨まれた。
「種無しになりたい?」
そう言って銃を向けられる。
「君と一晩過ごせるなら、それも悪くないかも。」
「ま、いつかはね。」
不敵な目をしながら、色っぽく笑う。
果たしてどこまで本気か分からないが、俺の息子はますます元気になった。
結婚は無理だったが、この先も俺たちが良きパートナーであることは変わらない。
お姫様抱っこのようにスカリーを抱えながら、空を飛んでいった。

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