印象と写実 イメージとリアル

  • 2017.04.22 Saturday
  • 16:21

JUGEMテーマ:写真

印象派の絵画が好きです。
色んな絵画があるけど、最も人気のあるジャンルじゃないでしょうか。
最初、印象派は否定的な意見が多かったそうです。
写実が基本とされていた時代、モネやルノワールの絵はなかなか受け入れてもらえませんでした。
見たままを基本とする写実においては、印象派は絵とみなされなかったのでしょう。
しかしある意味では印象派の方が写実的です。
そこにある景色を精密に描くことだけが、写実ではありません。
なぜなら人は、目で景色を見ているわけじゃなくて、脳で見ているからです。
目はあくまでレンズ、見ているのは脳です。
となると、ありのままの景色を見ているとは限りません。
目を通し、脳の中でイメージとして捉えているわけです。
だからありのままに描くよりも、印象派のようにイメージを強調した方が、脳が見ている景色に近くなると思います。
モネは花弁を細かく描きません。
庭園に咲く多くの花、それらの花弁を細かく描いたところで、リアルにはならないからです。
人の目には限界があって、咲き誇る花の一つ一つを細かく捉えるのは無理です。
たくさんの花が咲き乱れている光景は、鮮やかな色の広がりとして捉えているんです。
花弁の形一つ一つを解像できるほど、人の目は精密ではありません。
それは脳だって同じでしょう。
たくさんの花が並んでいる時、たくさんの色が並んでいるというイメージで捉えているはずです。
となると、細かな写実画よりも、イメージを重視した印象派の方が、人の記憶に近い絵になります。
印象派は「無いものを描く」のではなくて、「在るものを省く」ことによって、よりリアルに描いているんです。
私が写真の学校に通っていた頃、スタジオの先生がこんなことを言っていました。
「人の目はカメラとは違う。見たいものしか見ていない。だから見たままは絶対に写らない。」
綺麗な景色を見た時、感動して写真を撮る人は多いでしょう。
でも写真だと、なぜか目で見たように綺麗にならないってことはあるはずです。
人は見たいものしか見ないけど、カメラは全部写してしまうからです。
脳が見ている風景と、カメラに記録された風景では、まったく異なるわけです。
美しい景色を見て感動しているのは自分であって、カメラに感情もイメージもありません。
だから見たまま写らないんです。
絵画だってこれと同じで、細かく写実的に描くより、人間のイメージを加えた印象的な方が、リアルに見えることもあるんです。
印象派の画家は、日本の浮世絵に大きな影響を受けました。
浮世絵は完全にイメージの世界です。
だけど印象派とは異なります。
浮世絵は「そこに無いもの」さえ描きます。
空想の要素が強いんです。
でも印象派はあくまで現実です。
余計なものを省き、イメージを強調することによって、よりインパクトを増しているんです。
日本の絵と西洋の絵って、根底から違うものです。
私は浮世絵も水墨画も大好きです。
でもゴッホやルノワールのような印象派の絵画の方が好きです。
写実画はあまり好きではありません。
だけどフェルメールだけは別格です。
あれは写実を超えた写実です。
写真よりもリアルで生々しくて、写実を極めることにとって、「見えないものまで見える絵」になっています。
それは感情であったり、その場の空気であったり、音まで聴こえてきそうなほどです。
そして見えないものを見ているのは、目ではなく脳です。
頭の中に浮かぶイメージを見ているんです。
ゴッホが天才を超える超人なら、フェルメールは絵の神様です。
突き詰めていけば、印象派も写実画も、同じ場所に辿り着くのかもしれませんね。

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