不思議探偵誌〜オカルト編集長の陰謀〜 第二十一話 ミスコン大会開催!(1)

  • 2017.07.23 Sunday
  • 10:26

JUGEMテーマ:自作小説
再び戻ってきたティムティム女王。
パワーを使い果たし、南極へ戻ったはずなのにどうして?
しかもなぜか一体のマネキンを連れてきた。
そのマネキンを見たタムタム王は『モリモリ!』と泣き崩れた。
ギュッと抱きつき、『会いたかった!』と涙している。
「久能さん・・・これはいったい・・・。」
由香里君も不思議そうな顔をしている。
「分からない。あの凶悪な少女がこんなに泣き崩れるなんて・・・。」
この謎を知るのはティムティム女王ただ一人。
俺は神妙な表情で「女王陛下」と尋ねた。
「これはいったいどういう・・・・、」
「え?来世のその次の来世も定期購読してくれるの!?」
「お前は黙ってろ!」
商魂逞しい茂美の声が鬱陶しい。
ううん!と咳払いして仕切り直した。
「ティムティム女王、これはいったいどういうことだ?どうしてタムタム王は泣いているんだ?」
『親友だからだしょ。』
「親友?」
『あのマネキンにはモリモリという古代人の魂が宿ってるんだしょ。』
「モリモリ・・・これまたなんとも微妙な名前で・・・・、」
『言っとくけど揉み揉みじゃないだしょよ。』
「え?」
『揉み揉み・・・・モミモミ・・・・モミモリ・・・・モリモリ・・・・そう考えただしょ?』
「恥ずかしながら、おっぱいを揉む所を想像してしまって・・・・、」
『天罰!』
「ぐはあ!」
杖で思い切り頭を叩かれる。
『ほんとにお前は煩悩の塊だしょね。』
「息子によく言い聞かせておく。」
コラ!と一喝して、どうにか鎮める。
ティムティム女王は汚物でも見るような目を向けた。
『先を続けてもいいだしょか?』
「もちろんさ。」
『カッコつけて笑うなだしょ。』
コツンと俺を叩いてから、キリっと表情を引きしめた。
『モリモリは古代アトランティスで大臣をやっていただしょ。』
「大臣?」
『外交大臣だしょ。彼女はいつだってムー大陸との平和を望んでいただしょ。』
「彼女ってことは女なのか?」
『だしょ。見た目はわらわたちと同じで、ちょっと幼いだしょ。でも御年300万歳の御方だしょ。』
「ふむ、古代人はみんな萌え系の見た目だったんだな。」
『んでもって、モリモリとタムタムは仲が良かったんだしょ。そしてわらわとモリモリも仲良しだったんだしょ。』
「じゃあ仲良し三人組だったわけか?」
『いや、わらわとタムタムは、最初は友達じゃなかっただしょ。』
「ならモリモリが共通の友人ってわけか。」
『だしょ。モリモリはいつだってムー大陸との友好を望んでいたんだしょ。
だから友好条約を結ぶ為に、何度もムー大陸に足を運んでくれたんだしょ。
それがキッカケで、わらわとお友達になったんだしょ。』
「平和を愛する者同士、すぐに打ち解けたわけだ?」
『だしょ。わらわは必死にお願いしただしょ。どうかその友好条約を実現させてほしいと。
モリモリは必ず実現させると約束して、アトランティスの王に進言してくれたんだしょ。
これからは友好の時代だから、ムー大陸と仲良くしようと。
そのおかげで、アトランティス王は友好条約に前向きになってくれたんだしょ。』
「ふうむ・・・ちなみにその時のアトランティスの王は・・・・、」
『タムタムの先代だしょ。彼は中々話の分かる人物で、すぐに友好条約を締結することを約束してくれただしょ。
だけど長年仲の悪かったムー大陸を、いきなり信用することは出来なかったんだしょ。
だからモリモリをムー大陸の要職として置かせてほしいと提案してきたんだしょ。』
「監視役ってわけだな?」
『だしょ。わらわは心の底から友好を望んでいたから、裏切るつもりなんて毛頭ないだしょ。
だからモリモリを大臣として置くことをOKしたわけだしょ。
そのおかげでアトランティス王の信頼を得ることが出来て、友好条約は現実味を帯びてきただしょ。』
「いい流れじゃないか。しかし現実にはそうはならなかったんだろ?」
『政治は難しいだしょ。アトランティスの民の中には、未だにムーのことを快く思わない人たちがいただしょ。
その人たちはデモを起こしたりして、友好条約に反対しただしょ。』
「しかし王様がやると言ってるんだ。いくらデモを起こそうが無駄に終わりそうなもんだが?」
『普通のデモならそうなっただしょうね。だけどそのデモの中にはある人物がいたんだしょ。
そいつが中心となり、反対派を先導していたんだしょ。』
そう言ってタムタム王に目を移した。
彼女は今もモリモリを抱きしめている。
頬を伝う涙は再会の喜び。
いったい彼女とモリモリの間に何があったのか?
『モリモリはタムタムの親友だっただしょ。それがムー大陸の大臣になってしまったものだから、寂しくて仕方なかったんだしょ。
だからアトランティスに戻ってきてほしくて、デモなんか起こしてただしょ。』
「大事な友達を取られた気分だったんだろうなあ。でもモリモリはあくまで監視役だろ?
いずれは戻ってくるじゃないか。どうしてデモを起こしてまで連れ戻そうとしたんだ?」
『あの頃のタムタムはただの平民だったんだしょ。元々は貧しい家の生まれで、明日食う物にも困ってたほどだったんだしょ。
だけどそんなタムタムに、モリモリは優しくしてくれたんだしょ。
たまたま道でぶつかって、お互いに転んじゃたんだしょ。相手は貴族だから、タムタムは焦っただしょ。』
「なるほど、あいつにもそんな過去が・・・・、」
『タムタムはすぐに土下座しただしょ。どうかお許し下さいと。
そしたらモリモリは首を振って、こっちこそごめんなさいと謝ったんだしょ。
しかも大丈夫ですか?と心配までしてくれて。
貴族にそんなことを言われたのは初めてだったから、タムタムはすごく嬉しかったんだしょ。
自分みたいな貧乏人を気遣ってくれる貴族がいるなんてと。』
「じゃあそれ以来仲良くなったわけか?」
『だしょ。タムタムはモリモリにお手紙を書いたんだしょ。
あなたみたいな優しい人は初めてもすって。
あの時あんな風に優しくしてくれて、本当に嬉しかったって。』
「いい子じゃないか。」
『普通なら平民の手紙なんて、貴族は受け取らないだしょ。
だけどモリモリは優しい子だしょから、ちゃんとそのお手紙を読んだんだしょ。
そしてお返事まで書いたんだしょ。
それ以来文通が始まって、気がつけば仲の良い友達になっていたわけだしょ。』
「ずいぶん微笑ましいじゃないか。」
『喧嘩もよくしてたみたいだしょけどね。』
「喧嘩するほど仲が良いっていうからな。」
『バチバチ殴り合ったりしていたみたいだしょよ。顎が割れるほど。』
「やりすぎだろ・・・・。」
『時にはお互いの家を水没させたり。』
「よく友情が続いたな。」
『お互い同じ男を好きになった時なんて、刀持って斬り合ってただしょ。』
「男が逃げるだろそれ。」
『そうならないように、鎖で縛ってから斬り合ってただしょ。』
「帰してやれよ・・・・。」
『他にも色々と喧嘩をして・・・・、』
「仲がいいのは充分わかった。いい加減話を進めてくれ。」
『まあとにかく、タムタムはモリモリがいなくなって寂しかったんだしょ。だからデモなんか起こしてだしょ。
それでもアトランティス王は友好条約を諦めることはなかっただしょ。。
すると業を煮やしたタムタムは、なんと単身ムー大陸に乗り込んできたんだしょよ。』
「すごい度胸だな。」
『わらわは暖かく彼女を出迎えただしょ。それにモリモリもタムタムが来てくれたことを喜んだだしょ。
そしてわらわたち三人で、お茶を飲みながらお話をしただしょ。』
「ふむ、今で言う女子会ってやつだな。」
『場所はお墓だっただしょけどね。』
「宮殿でやってやれよ。女王だろあんたは。」
『女子三人がお茶を飲みながら、腹を割って話をしただしょ。
そのおかげで、タムタムの誤解は解けたんだしょ。モリモリは決してアトランティスを捨てたわけじゃないと。』
「よかったじゃないか。」
『これでデモも治まり、ようやく友好条約が結べる。そう思って喜んでいたんだしょけど・・・・、』
「何かトラブルでもあったのか?」
『実は・・・・・、』
「実は?」
『モリモリ・・・・ムー大陸に来てから、密かに好きな男と結婚してたんだしょ。』
「な、なんだってええ!!」
『せっかく楽しいお茶会だったのに、ポロっと口を滑らせてしまったんだしょ。本当は秘密にしとくはずだったんだしょけど。』
「そりゃそうだろう。監視役として来ているのに、その国の男と結婚するなんて。」
『そのことを知ってしまったタムタムは激怒しただしょ。モリモリはアトランティスを捨てるつもりもすか?と。』
「まあなあ・・・・修羅場になるよなあ。」
『このままじゃまずいと思って、わらわは止めに入っただしょ。そうしたらタムタムはものすごい剣幕で私に怒鳴ったんだしょ。』
「女王に?どうして?」
『お前がそののかしたんだろって。』
「ああ、なるほど。」
『わらわは必死に否定したけど、タムタムは信じてくれなかっただしょ。まるで鬼のような顔になって、わらわを殺そうと襲いかかってきたんだしょ。』
「怖いな・・・・あんたは無事だったのか?」
『幸い衛兵が取り押さえてくれただしょ。』
「助かったのか、よかったじゃないか。」
『でもそのせいでタムタムは牢屋に入れられてしまっただしょ。わらわは釈放するように言ったんだしょが、女王に襲いかかったのにそれは出来ないと言われて。』
「あんたを守るのが家臣の仕事さ。」
『分かってるだしょ。でもそのせいで、わらわはとても困っただしょ。
タムタムは釈放してあげたい。だけどわらわを想う家臣の気持ちも無碍には出来ない。
どうしたもんかと悩んでると、モリモリがこんな事を提案したんだしょ。』
「どんな?」
『わらわとタムタム、どちらがより美少女かでコンテストをやったら?って言ったんだしょ。』
「それは・・・・ミスコンってことか?」
『だしょ。』
「でもどうしてそんなことを?」
『だってわらわもタムタムも美少女だしょ。だったら美貌を競って、もしタムタムが勝ったら釈放ってことにすればいいだしょ。』
「自分で美少女と言うのはいかがなものかと思うが・・・・。」
『事実だしょ。』
「自信たっぷりだな。まあいい。それで実際にミスコンをやったのか?」
『国を挙げてやっただしょ。みんな大盛り上りだっただしょ。』
「楽しそうで何よりだな。」
『どうせやるなら派手にと思って、家臣や国民からも参加者を募ったんだしょ。
その結果、5万人の応募があっただしょ。』
「選ぶだけで一苦労だな。」
『一次予選で4万9997人落ちただしょ。』
「厳しすぎだろ。」
『だから二次予選は三人だけだっただしょ。』
「すでに決勝じゃないか。その受かった三人は誰なんだ?」
『わらわとタムタムとモリモリだしょ。』
「モリモリも!?参加してたのか?」
『あの子、意外とこういうの好きなんだしょ。』
「それで二次予選はどうだったんだ?」
『タムタムが落ちただしょ。』
「なら決勝は・・・・、」
『わらわとモリモリだしょ。』
「タムタムが可哀想すぎる・・・・。」
『結果は結果だしょ。仕方ないだしょ。』
「それはそうだが、そもそもタムタムを釈放する為に始めたミスコンだろ?彼女が落ちるなら意味ないじゃないか。」
『ミスコンが盛り上がりすぎて、当初の目的を忘れてただしょ。』
「余計に可哀想だ・・・・。」
『ちなみに決勝に進んで一番はしゃいでたのはモリモリだしょ。』
「最悪じゃないか。タムタムは怒っただろう?」
『そんなことないだしょ。だってモリモリはタムタムの親友だしょ。だから彼女が優勝すれば、タムタムだって嬉しいだしょ。』
「なんとも涙ぐましい友情だな。で、結果はどうだった?」
『わらわが優勝しただしょ。』
「さらに最悪の結果に・・・・。」
えっへんと胸を張る女王陛下。
意外と頭が弱いのかもしれない。
『誰が馬鹿だしょ?』
「だってそうじゃないか。それじゃあまりにもタムタムが可哀想すぎる。
親友は決勝で敗退し、自分も釈放されない。それじゃ怒っても無理ないさ。」
『いやいや、タムタムはそこまで怒らなかっただしょ。だってみんな楽しんでたから、これはこれでいいって納得してくれただしょ。』
「なんて聞き分けのいい子だ・・・・。彼女の味方をしたくなってくる。」
『ミスコンは無事終了し、わらわはムー大陸一の美少女と決定しただしょ。』
「そうかい、実に喜ばしいな。しかしタムタムはどうなる?釈放されないままじゃないか。」
『そうだしょが、あの子は抗議しなかっただしょ。だって牢屋に入れられたのは、自分が悪いって自覚していただしょから。』
「まあなあ、先に襲いかかったのは彼女の方だからな。」
『むしろ大変だったのはモリモリの方だしょ。』
「彼女が?どうして?」
『ミスコンの結果に納得していなかったんだしょ。だから来年またミスコンをやって、その時こそ優勝してみせるって息巻いてただしょ。』
「ふうむ、女の意地ってやつか。」
『ミスコンは盛り上がるから、わらわも賛成だっただしょ。だけどそうなると、モリモリはもう一年ムー大陸にいる必要があるだしょ。』
「どうして?アトランティスに帰ってからでも、また来年参加すればいいじゃないか。」
『次のミスコンで優勝できるように、国民に根回しを始めたからだしょ。』
「意外と悪どいな・・・・。」
『根は良い子なんだしょが、勝負が絡むと人が変わるんだしょ。
なんたって貴族の娘だから、幼い頃から帝王学を叩きこまれてるだしょ。』
「何がなんでも勝負に勝ちたい性格なんだな。」
『そしてそれから一年後、またミスコンが開催されたんだしょ。この時の応募は20万人あっただしょ。』
「もはや国民的行事だな。」
『そして一次予選で19万9997人落ちたんだしょ。』
「残った三人はもしかして・・・・、」
『わらわ、モリモリ、羊飼いのおばさんだしょ。』
「タムタムは?」
『予選落ちしただしょ。』
「可哀想すぎる・・・・。」
『これも仕方ないだしょ。彼女は女王暗殺罪に問われて、ずっと牢屋の中だっただしょから。
国民から良いイメージを持たれていなかったんだしょ。』
「悲しいな。で、二次予選はどうなった?」
『わらわ、モリモリが残っただしょ。』
「去年と同じか。優勝者はどっちだ?」
『わらわだしょ。』
「またか・・・・。」
『モリモリは悔しくて怒り狂っただしょ。だからまた来年もやろうって話になっただしょ。』
「ふむ、で翌年の結果は?」
『わらわだしょ。』
「その次は?」
『わらわだしょ。』
「その次は・・・・、」
『1000年先までわらわだしょ。』
「モリモリも可哀想になってきた・・・・。」
『負ける度に怒り狂うから、顔が般若のようになってただしょ。この頃には予選落ちするようになってただしょ。』
「可哀想に。一回くらい負けてやればいいじゃないか。」
『嫌だしょ。』
「なんで?1000年も優勝したら充分だろう?」
『わらわは女王なんだしょ。だから何事も一位じゃないと気が済まないだしょ。』
「だけど連続で1000年も優勝したんだぞ。あんたが美少女だってことは誰もが認めてるわけだ。
だったらあんたは殿堂入りってことで、王座は他の誰かに譲ってやってもいいじゃないか。」
『嫌だしょ。全てにおいて一位じゃないと気が済まないだしょ。』
「なああんた・・・まさかとは思うが、不正とかはしてないよな?」
『ん?』
「あんたの勝負へのこだわりはモリモリ以上だ。だったら何か汚い手を使って優勝したんじゃないだろうな?」
『汚い手なんて使ってないだしょ。ただわらわが優勝すれば、半年の間は全ての税金が免除されることに・・・・、』
「最低の方法じゃないか!」
『女王の権限だからいいんだしょ。持ってる武器を使って何が悪いんだしょ?』
「なんてエゴの塊だ・・・・。」
見た目は可愛い少女でも、中身は図太い支配者のようだ。
『女王は楽な商売じゃないだしょ。国民に舐められないためには、常に無敵じゃなければいけないだしょ。』
「OKOK、あんたが見た目通りの可愛い性格じゃないことは分かった。
しかしそうなるとモリモリは納得しないだろう?」
『わらわが1000回目の優勝を果たす頃、モリモリは憎悪と嫉妬に狂ってただしょ。ついたあだ名が魔王だしょからね。』
「酷い・・・・。魔王はこっちの女王の方だというのに。」
『嫉妬と怒りと憎しみに支配されたモリモリは、とうとうやってはいけないことをやってしまったんだしょ。』
「やってはいけないこと・・・?まさかあんたを暗殺しようとしたとか?」
『それをやったら彼女も牢屋行きだしょ。』
「じゃあ何をしたんだ?」
『タムタムを牢屋から連れ出して、一緒にアトランティスに帰ろうとしただしょ。』
「タムタムはまだ捕まってたのか!?」
『女王を殺そうとしたわけだしょからね。本当なら死刑でもおかしくないだしょ。』
「それはそうかもしれんが・・・・、」
『罪人を勝手に連れ出すなんて許されない行為だしょ。
それにこの頃のモリモリは、外交大臣としてムー大陸に欠かせない存在になっていただしょ。
だから勝手にアトランティスに帰られちゃ困るんだしょ。』
「二人が可哀想になってきた・・・・。」
『わらわはすぐに二人を追いかけただしょ。そして来年、もう一度ミスコンをやろうと提案したんだしょ。
今度は女王としての権限は使わないから、まっとうな勝負をしようって。』
「不正をしてるって自覚はあるんだな。ちょっとホッとしたよ。」
『モリモリもタムタムも、それならばと提案を飲んでくれただしょ。
そして次の年、またミスコンの季節がやってきただしょ。』
「今度こそはモリモリが優勝したんだろうな?」
『残念ながらそうはならなかっただしょ。』
「まさか・・・また女王の権限で不正を働いたのか?」
『そんなことしてないだしょ。』
「じゃあなんでモリモリは優勝できなかったんだ。」
『羊飼いのおばさんが優勝しただしょ。』
「二回目の時のセミファイナリストが!」
『誰も予想しなかった事態だしょ。』
「俺も予想出来なかったよ・・・・。」
『モリモリは深く悲しんだだしょ。まさか羊飼いのおばさんに負けるだなんて・・・・、』
「そりゃショックだろうな。じゃあそのおばさん、相当な美人だったんだろうなあ。」
『国民にタダで羊肉を配ってただしょ。』
「また不正かよ!」
『あとから不正がバレて失格になっただしょ。それで敗者復活戦で、わらわとモリモリが一騎打ちすることになっただしょ。』
「そりゃそうだろう。で、結果は?」
『みんな白けて帰っちゃったから、誰も投票しなかっただしょ。』
「最悪!!」
真面目に話を聞いている自分がバカらしくなってきた。
『モリモリはすっかり自信を無くしてしまっただしょ。』
「だろうな。俺なら女王を訴えてる。」
『それ以来、彼女はミスコンには出なくなり、家に引きこもるようになっただしょ。』
「なんて気の毒な・・・・。」
『そのせいで二度とアトランティスに帰ることはなかっただしょ。』
「送ってやればいいじゃないか。」
『だって家から出てこないんだから仕方ないだしょ。勝手に入ったら不法侵入になるだしょ。』
「そういう時こそ女王の権限を使え!」
聞けば聞くほどバカらしくなってくる。
これじゃあモリモリは元気を無くして当然だ。
『モリモリは以前のような明るさを失い、二度と笑顔を見せることはなかっただしょ。』
「気の毒なんてもんじゃないな。」
『そのせいでタムタムは激怒して、わらわを逆恨みするようになっただしょ。』
「何をどうすれば逆恨みと解釈できるんだ?全てはあんたのせいじゃないか。」
『タムタムはアトランティスに戻り、ムー大陸との友好条約を白紙に戻す為に、先代の王を失脚させただしょ。』
「ていうかまだ締結してなかったのか・・・・。王様は何をやってたんだ。」
『アトランティスでもミスコンが開催されていて、みんな友好条約のことなんて忘れていただしょ。』
「アホの一言に尽きるぞ。」
『アトランティスの王はミスコンにのめり込むあまり、職務を怠っていただしょ。
そのせいで政治は混乱し、経済は停滞し、大陸まで沈みかけてただしょ。』
「もはや災害じゃないか。」
『タムタムはそんな王の怠慢を世間に訴え、失脚に追い込んだだしょ。』
「彼女が追い込まなくても、近いうちに失脚してただろうな。」
『タムタムは国民投票を行い、見事に新たな王様になったんだしょ。
あ、ちなみにアトランティスでは女王という称号はないから、女の子でも王様になるんだしょ。』
「どうでもいいプチ情報を感謝する。しかし問題はそこじゃない。
あんたに恨みを抱いたタムタムが王様になったということは、ますますムー大陸とアトランティスの仲が悪くなったということだろう?」
『だしょ。だから向こうから戦争を吹っかけてきたんだしょ。』
「戦争か・・・・きっと多くの犠牲者が出たんだろうな。悲しい事だ。」
『ミスコンの戦争だしょ。』
「・・・・どう返していいか分からない。」
『まずはそれぞれの大陸で予選を行い、リーグ優勝した者が大陸シリーズをかけて争うんだしょ。』
「セ・リーグとパ・リーグみたいに言うな。」
『ムー大陸の代表はもちろんわらわだしょ。そしてアトランティスの代表はタムタムだっただしょ。』
「女王と王様の一騎打ちってわけか。さぞ盛り上がっただろうな。」
『両方の大陸のすべての民が注目してただしょ。』
「そりゃあそうだろう。自分の大陸の威信が懸かってるんだ。戦いはさぞ白熱しただろうな。」
『残念ながらわらわの不戦勝だっただしょ。』
「どうして!?まさか相手が棄権でもしたのか?」
『わらわがプレゼントで送った生牡蠣を食べて食あたりに・・・・、』
「不正より酷いぞ!」
『ムー大陸の名産品なんだしょ。』
「だったら新鮮なやつを送ってやれ!」
『まあそんなこんな感じで、わらわが世界で一番の美少女に輝いたわけだしょ。』
「あんたに対するイメージがガラっと変わったよ。」
『タムタムは負け犬の烙印を押され、王様としての威厳を失ったんだしょ。』
「あんたの送った生牡蠣が原因でな。」
『そしてモリモリは未だに引きこもり。いろんな事情が重なって、今でもわらわを逆恨みしてるんだしょ。』
「だからよく逆恨みと解釈できるな!あんたは無責任のチャンピオンだよ。」
『とまあ、これが大昔から続くわらわとタムタムの因縁だしょ。
それぞれの大陸が災害で沈んだあとでも、まだわらわを逆恨みしてるんだしょ。』
「あんたがいなければ、こんな騒動が起きなかったってことがよく分かったよ。」
ここまで話を聞いて、すべての原因はこの女にあると分かった。
これではタムタムの方に味方したくなる。
由香里君も「可哀想・・・」と同情した。
「ほんとにな。この女王様、茂美以上の厄介者かもしれん。」
「いや、そうじゃなくて・・・・、」
「ん?」
「タムタムさん・・・・消えかかってます。」
「なにい!?」
目を向けると、確かに薄く消えかかっていた。
《そういえば言ってたな、美少女の姿になると長くはもたないって。》
タムタム王は『モリモリ』とマネキンを抱きしめる。
『一緒に天国に行くもす。』
『タムタム・・・・・。』
『天国に行けば好きなだけ引き込もれるもす。』
『タムタムと一緒なら、それも悪くないかも。』
二人は手を握り合う。
少女漫画ならキラキラのスクリーントーンが貼られているだろう。
『この世からさよならもす。』
『幸せな来世を期待して、二人で旅立とう・・・・もり。』
どうやら彼女も特徴的な語尾をしているらしい。
「久能さん、このままじゃ可哀想すぎますよ。」
「だな。ティムティム女王、元はといえばあんたが原因だ。なんとかならな・・・・って、あれ?どこ行った?」
「なんか地面に書置きが・・・・、」
「ん?どれどれ・・・・、」
《エネルギーが尽きたので帰るだしょ。会いたければ瞬間移動を使って南極まで来るだしょ。》
「どこまで無責任なんだあいつは!?」
怒りを通り越して呆れてくる。
「久能さん、行きましょう。この二人を救えるのは・・・・残念ながらあの人だけです。」
あの由香里君が珍しく非難的な口調になっている。
俺は「そうだな」と頷いた。
「タムタム王、モリモリ大臣。今からあのクソッタレな女王に会いに行こう。
そして二人がここまで苦しんだ責任を取ってもらうんだ。」
彼女たちは俺の声なんて聞いちゃいない。
手を握り合ったまま、遠い天国を見つめていた。
《早くしないと精神まで崩壊してしまうな。》
俺は頭の中に南極をイメージする。
《頼む!あの場所へ・・・・エゴを固めて作ったような、あのアホ女王の元へ飛ばしてくれ!》
淡い光が俺たちを包む。
そしてほんの一瞬で南極まで来た。
目の前には大きな穴があって、古代都市へと続く梯子が伸びている。
「行くか由香里君。」
「はい!」
俺はタムタム王の手を引き、由香里君はモリモリ大臣の手を引く。
落っこちないように、ゆっくりと梯子を下りていった。
その時、遠い空からカボチャのUFOが飛んできた。
「聞いて久能さん!子々孫々末代まで定期購読してくれるそうよ!これで売上部数は5割も伸びるわ!」
ここにアホがもう一人。
茂美を無視して梯子を下りていった。

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