不思議探偵誌〜オカルト編集長の陰謀〜 第二十五話 さらば古代人よ(1)

  • 2017.07.27 Thursday
  • 09:32

JUGEMテーマ:自作小説
パンツ一丁で人前に出るなんていつ以来だろう?
小学生の頃にウンコを漏らした時が最後か。
ていうかそんな事はどうでもいい。
どうして俺がミスコンに出場しなければいけないのか?
いくら由香里君の頼みとはいえ、この状況は辛すぎる。
《なんて説明すればいいんだこんなの・・・・。》
観衆の目が冷たい。
南極のブリザードよりも寒い。
「ええっと・・・・・、」
しどろもどろになっていると、『ぶふッ!』と笑い声が聴こえた。
《女王の奴・・・・笑ってやがる。》
一瞬イラっとしたけど、この格好じゃ笑われても仕方ない。
だってなあ・・・ミスコンにパンツ一丁のオッサンって。
司会が困った顔で『あの・・・』とマイクを向けてくる。
『さっきの女の子は?』
「実は体調を崩してしまってな。今は休んでる。』
『なら棄権ということで?』
「いいや、棄権はしない。」
『でも体調が悪いんでしょ?』
「俺が代理を務める。」
『・・・これミスコンですよ?』
「そうだ。」
『あんたオッサンだよな?』
「見れば分かるだろう。」
『しかもなぜパンツ一丁なんだ?』
「事情があるんだ。深く聞かないでくれ。」
『まあどっちにしても男は出場できないから。棄権ってことでいいな?』
「そこをどうにかしてもらえないか?」
『無理だろ・・・。誰がオッサンの裸を見て喜ぶんだよ。』
会場は白けきっていて、スマホをいじっている奴もいる。
《クソ!やはり無理があったか・・・・。》
寒いわ恥ずかしいわで、今すぐここから消えたくなる。
・・・・いや、この突き刺すような冷たい視線、案外クセになるかも・・・、
『いいだしょよ。』
女王が前に出て来る。
『特別にお前の出場を認めるだしょ。』
「本当か!?」
喜ぶ俺だったが、司会は異論を挟んだ。
『お言葉ですがティムティム様、ミスコンにオッサンを出すのはどうかと・・・、』
『わらわが許可するだしょ。』
『しかし女王様は参加者ですから、ルールを変えることは出来な・・・・、』
『明日から雑用係になりたいだしょか?』
『OKベイベ〜!そこの男性、特別に出場を許可しよう!』
《なんて理不尽な上司だ。》
少しばかりこの司会が可哀想になる。
でもしょせんは他人事。
俺は俺自身と由香里君の為に戦うだけだ。
『ではオッサン!あなたのメッセージをみんなに伝えちゃって下さい!』
「オッサンではない。探偵の久能司だ。」
一歩前に出て、観衆を睨みつける。
「まずお詫びしたい。実は由香里君が体調を崩してしまって、俺が代理で立つことになった。」
・・・反応はない。
誰もオッサンのパンツ姿など見たくないようだ。
「気持ちは分かる。あの水着の美女はどこへ行ったのか?
どうして代理がパンツ一丁のオッサンなのか。色々不満はあるだろう。」
『ぶふッ!』
また女王の笑いが聴こえる。
ニヤニヤしながら、余裕の笑みで見つめてくる。
もはや勝利を確信しているようだ。
《なんて嫌味な顔だ。》
苛立つ気持ちを堪え、「ううん!」と仕切り直した。
《さて、パンツ一丁のオッサンが何を喋ったところで、誰も心を動かさないだろう。
正直なところ棄権していた方がマシだったかもしれない。》
観客の白けようは、南極を超える絶対零度のよう。
心象は最悪だろう。
・・・であればどうするか?
《由香里君は俺にバトンタッチした。だったら俺も、誰かにバトンタッチすればいいだけだ。》
ニヤリと笑いながら、「そこのお二人」と振り向く。
「どうだい?ここは一つ、君たちも参加してみないかね?俺の代理ということで。」
タムタムとモリモリにそう尋ねると、女王が『それはイカンだしょ』と言った。
『これ以上ルールを変えることは出来ないだしょ。』
「でも俺の参加は認めてくれたじゃないか。」
『ルールの変更は一度きりだしょ。』
そう言って司会を睨むと、『その通りでございます!』と頷いた。
『これ以上ルールの変更を求めるなら、この場で失格になりますよ。』
「そう硬いことを言わずに。」
『ダメです。』
「どうしても?」
『どうしても。』
司会は頑として譲らない。
なぜなら彼の後ろで女王が睨んでいるから。
しかし女王の隣にいる土偶とマネキンは、『面白そう!』とハモった。
『ねえティムティム、私たちも参加させてほしいもす。』
『せっかく仲直りしたんだし、出てもいいもり?』
『イカンだしょ。これ以上のルールの変更は認めないだしょ。』
『ふう〜ん・・・そういうこと言うもすか。』
『ティムティムちゃん、私たちのことを怖がってるみたいもり。』
二人はクスクスと笑う。
そして一言、『ダサ』と言い放った。
『んなッ・・・・ダサいだしょと!?』
『だって私たちのことビビってるもす。』
『ビビってなんかいないだしょ!』
『顔が真っ赤。やっぱり怖いもり?』
『違うだしょ!これ以上ルールの変更を認めたくないだけだしょ。
そうポンポンとルールを変えてしまったら、大会そのものが滅茶苦茶になってしまうだしょ。』
『ルールかあ。だったら仕方ないのかな。』
『そうだしょ。ルールだしょ。』
『でもティムティムちゃん、昔のミスコン大会ではルールを守らなかったもり?』
『は?何を言ってるだしょか?わらわは公平な戦いをしただしょ。』
『あなたが当選すれば、民は半年間の税金の免除があったもり。』
『それに私に生牡蠣を送って、食中毒で棄権させたもす。』
『そんな大昔のことなど知らんだしょ。』
『あ!もしかしたら、由香里ちゃんが棄権したのもティムティムのせいなんじゃ・・・、』
『違うだしょ!わらわは何もしていないだしょ!』
『本当かなあ?』
『本当だしょ。疑うんなら好きなように調べればいいだしょ。』
そう言ってツンとそっぽを向く。
『ねえモリモリ、ティムティムはやっぱり私たちのことが怖いみたいもす。』
『そうみたいね。だったら・・・強制参加しちゃおうかもり?』
二人は頷き合い、ピカっと光って人の姿に変わった。
どちらも女王に負けず劣らすの美少女だ。
『こらお前たち!勝手な真似は許さんだしょよ!』
女王は怒る。
しかし二人はそれを無視して、観衆に手を振った。
『アトランティスの王タムタムもす!』
『イエ〜イ!!』
『私はムー大陸で大臣をやっていたモリモリもり。』
『可愛い〜!!』
『私たち!』
『今からミスコンに参加します!』
『おおおおおおお!!』
美少女が二人増えたことで、会場は大盛り上りだ。
『というわけもす、女王陛下。』
『みんなウェルカムムードもり。』
『もし私たちの参加を拒否したら、また女王陛下のイメージが悪くなるもす。』
『来年あたりには、女王が入れ替わってるかもしれないもり。』
不敵に笑う二人の女。
女王は『むぎぎぎ〜・・・・』と歯ぎしりをした。
『お前たち・・・・覚えてろだしょ。後で絶対に酷い目に遭わせてやるだしょ。』
『え〜?なに〜?聴こえない〜もす。』
『もっと大きな声で言ってほしいもり。』
こんなこと大声言えるわけがない。
女王は『うぐうッ・・・・・』と悔しそうにした。
『・・・・・・・。』
『ティムティムちゃん?』
『参加・・・・してもいいもり?』
『・・・・勝手にしろだしょ。』
耳まで真っ赤にしながら、プイっと背中を向ける。
『というわけで〜!』
『私たちも参加するもり!』
二人が手を振ると、観衆は大いに沸いた。
そして俺を振り向き、ニコっとウィンクを飛ばした。
《助かった・・・・この二人が出てくれるのなら勝目がある。》
タムタムもモリモリも、大昔のミスコンで酷い目に遭わされている。
女王に本気で復讐するなら、今しかないと踏んだのだろう。
それならばこんなパンツ一丁のオッサンはさっさと退場するに限る。
そう思って脇へはけていくと、『どこへ行くだしょ?』と女王が睨んだ。
『逃げるつもりだしょか?』
「逃げるなんてそんな。ここはオッサンがいるような場所じゃないと思ってね。」
『わざわざルールを変えてまで参加を認めてやったんだしょ。逃げるなんて許さんだしょ。』
目に殺気が宿っている。
逃げたら後ろから刺されかねない。
「分かったよ。」
渋々ステージへ戻ると、両脇をタムタムとモリモリに挟まれた。
二人共腕を組んできて、ニコっと微笑む。
「なんだ?」
『応援するもす。』
『必ずティムティムを倒すもり。』
「もちろんそうしたいが、それは君たちに任せるよ。オッサンの俺では票は集まらないだろうから。」
『そうしたいのは山々もすが、私はもう時間がないのでもす。』
「まさか・・・もう消えてしまうのか?」
『もす。』
『だからここは・・・・探偵殿!あなたに任せるもり!』
二人はムギュっと抱きついてくる。
「おい、何をしてるんだ?」
『お前のパワーの源は煩悩もす。』
『こうして私たちが肉感を与えることで、それを刺激してるもり。』
「まさかまた股間から女王を召喚しようというのか?」
『いや、召喚の儀はもう消えてるはずもり。さっきあれだけ恥をかかされたから。』
「じゃあなんでこんな事を?」
『探偵殿は煩悩が高まると、普通ではあり得ないパワーを発揮するもり。
だからこうして色仕掛けをして、煩悩を刺激してるもり。』
そう言ってさらに身体を押し付けてくる。
「残念ながら俺にロリ属性はない。ムチっとしたボディじゃないと反応しないんだ。
君らの気持ちはありがたいが、これじゃあ息子は反応しな・・・・、」
『心配するなもす。』
『私たちだって魔術が使えるもり。』
二人はブツブツと何かを唱える。
すると一瞬でエロいお姉さんに変身した。
豊満な胸、引き締まったウエスト、むっちりしたお尻と太もも。
それら肉の塊を、ムギュっと押し付けてくる。
「はうあッ!」
息子は一瞬で反り立った。
『これなら煩悩が高まるもす。』
『こう見えても私たちはウン百万歳。子供じゃないもり。』
「うおおおおお・・・・煩悩が・・・・高まっていく。すべてのエネルギーが息子へ・・・・、」
耐え難いほどの熱が集まってくる。
痛く、熱く、そして輝いていく。
すると・・・・、
「むうああ!」
股間から土偶とマネキンが咲いた。
「おお!すごいことになったぞ!」
『うわあ・・・・、』
『探偵殿、あなたはちょっとおかしいもり・・・。』
二人はササっと離れていく。
「しょうがないじゃないか。君たちから煩悩をもらったんだ。土偶とマネキンくらい咲くさ。」
『魔術を超えた怪奇現象もす。』
『古代でもこんな光景な見たことがないもり。』
驚き、呆れ、表情を歪めていた。
『と、とにかく!今がチャンスもす。』
『その状態ならば、何かすごいことをやらかすはずもり!』
「すごい事とは?」
『知らないもす。』
『後は任せるもり。』
二人は土偶とマネキンに戻る。
美少女が消えたことで、会場は一気にトーンダウンした。
『さっきの可愛い子ちゃんたちは?』
『パンツのおっさんとかいらないんだけど。』
『なんで股間から土偶とマネキンを生やしてるんだ?』
『そういう病気じゃない?』
《そんな病気があるか!》
そう思いながらも、もしかしたら病気かもと思ってしまう。
股間から生えた土偶とマネキン。
志村けんでさえアヒルなのに・・・・。
《俺はいつからコメディアンになってしまったんだ・・・。》
『ぶふッ!』
《おのれ女王・・・・ニヤニヤ笑いやがって。》
あの顔は自分の勝ちを確信している。
モリモリとタムタムがいなくなった今、俺など敵ではないのだろう。
《いいさ、そこまで馬鹿にするならやってやろうじゃないの!》
普通なことをやったって、誰も喜んでくれない。
であれば何をするか。
《ここが正念場だ。・・・・考えろ久能司。》
股間から生える土偶とマネキン。
お笑い芸人しかしないようなこの格好で、いったい何が出来るのか・・・・。
「・・・・今からトリオ漫才をやります!その漫才の中で、私からの・・・・いや、現代人からのメッセージを伝えます。」
ポンポンと股間を叩くと、クスクスと失笑が起きた。
《受けるかズベるかのどちらかだ。・・・・頼んだぞ、土偶とマネキン。》
二人に増えた息子たち。
こいつらと一緒なら勝てる気がする。
ステージの中央に立ち、「はいどうも〜!」と漫才を始めた。


            *

土偶(以下:土)「よかったよかった、まだ雑貨屋さん開いてた。すいませ〜ん!」
マネキン(以下:マ)「はいはい、いらっしゃい。」
土「ここって埴輪って売ってますか?」
マ「ええ、置いてますよ。」
土「埴輪の友達が誕生日なんで、可愛らしい埴輪をプレゼントしようと思ってるんですけど。いいのありますか?」
マ「埴輪に埴輪をあげるんですか?」
土「やっぱおかしいですか?」
マ「人間だって美少女のフィギュアとか買うわけだからいいんじゃないですか。」
土「ですよね。で、どこに置いてます。」
マ「私です。」
土「え?」
マ「私が埴輪です。」
土「あなたマネキンじゃないですか。」
マ「そう見えますか?」
土「それ以外の何物にも見えませんよ。」
マ「私もそう思います。」
土「誰でもそう思うわ。」
マ「埴輪に憧れがあるんですよ。自分では埴輪と思ってるんです。」
土「・・・思うのは勝手だけど、こっちは本物の埴輪が欲しいんです。どこに置いてますか?」
マ「天井に。」
土「気持ち悪・・・。シャンデリアみたいにいっぱいぶら下がってんじゃん・・・・。」
マ「で、どれにいたしましょう?」
土「届かないよ!天井だから。」
マ「いま脚立をお持ちします。」
土「早くしてよ。今夜の誕生パーティーであげるんだから。」
マ「どうぞ。」
土「え?何が?」
マ「私が脚立です。」
土「なんで!?マネキンだよね?」
マ「実は脚立にも憧れているんです。」
土「何に憧れてんだよ!羨ましい要素がどこにもねえだろ。」
マ「ちなみに梯子は嫌いです。」
土「どっちでもいいわ!なんでもいいから早く埴輪を取ってよ。」
マ「そっちの棚にあるんで自分でお取り下さい。」
土「最初からそっちをすすめろよ!なんで天井にぶら下がってんだよ・・・。」
マ「僕天井にも憧れてるんですよ。」
土「アホなのか?お前の憧れなんか知らんわ。」
マ「お客様に私を理解していただくことが、接客のモットーと心得ておりまして・・・、」
土「逆だろ!お前が客を理解しろよ!お前の歪んだ性癖なんて知りたくもねえわ。」
マ「何が面白いんですか?」
土「は?」
マ「ずっと細目で笑いを堪えてらっしゃるから。」
土「土偶だからね!こういう目なの!」
マ「私の知り合いに腕の良い整形外科医が・・・、」
土「お目々パッチリさせる気はないから!目ん玉ひん剥いてる土偶なんて怖くて誰も寄ってこねえだろ。」
マ「ははは!元々怖いですよ。」
土「シバくぞ!なんだよお前は・・・・俺客だぞ?」
マ「え?いつから?」
土「最初からだよ!」
マ「説明していただかないと分かりません。」
土「よくそれで店を経営してるな!」
マ「あ、私は売り物なんで。」
土「商品だったの!?店長は?」
マ「昨日夜逃げしました。」
土「夜逃げしちゃったの!なんで?」
マ「この仕事に向いてないからって。」
土「まあ仕事は向き不向きがあるからな。」
マ「ちなみに店長も説明を受けないと客かどうか分からない人で・・・・、」
土「よく店を開いたね!そいつもお前と同じアホだな。」
マ「そういうわけなんで帰ってもらえますか?」
土「それ店に入ってきた時点で言ってくれる!無駄なやり取りしたっちゃったじゃん!ねえ?」
マ「私にはなんのことだか。」
土「何笑ってんだよ!?」
マ「愛想笑いですよ。」
土「使う状況間違えてんだよ!ていうか俺は埴輪が欲しいの!店長がいないんだったらアンタが売ってくれよ。」
マ「では商品を選んで下さい。」
土「なんなんだよまったく・・・・。埴輪はこっちの棚だったよな?」
マ「こっちってどっちですか?」
土「だからこっち。」
マ「どっちですか?」
土「だからこっちだって言ってんだろ!指差してんじゃん!」
マ「どこに指があるんですか?」
土「ここだよここ!腕の先っぽに付いてんだろ?」
マ「それ栓抜きじゃないんですか?」
土「土偶を馬鹿にしてんのか!元々こういう指なんだよ!」
マ「当店に栓抜きを必要とする飲料はございません。」
土「だから指だっつってんだろ!」
マ「すいません、そろそろラストオーダーになります。」
土「まだなんも注文してねえだろ!いいから埴輪を寄越せってつってんだよ!」
マ「分かりましたよ・・・・。」
土「なんで呆れてんだよ。こっちだよ呆れたいのは。」
マ「ちなみにご予算はどのくらいで?」
土「ん〜そうねえ。あんまり安いとあげる相手に申し訳ないしなあ。」
マ「ではお高めということで?」
土「でもあんまり高いと気い遣わせちゃうでしょ?だからそこそこっていか、ちょうどいいくらいの値段のやつないかな?」
マ「具体的には?」
土「そうだねえ・・・・だいたい一万くらいのやつかな。」
マ「すいません、万を超えるやつだと10万からになるんですよ。」
土「そうなの?じゃあ一万より安いやつでもいいよ。」
マ「一万以下だと10円のやつになりますけど。」
土「商売下手か!間を置いとけよ間を!」
マ「別の商品なら5000円のやつがあるんですけどね。」
土「そうなの?例えばどんな?」
マ「私です。」
土「お前!?微妙な値段なんだねお前。」
マ「中古なもので。」
土「誰が売りに来たんだよ!雑貨屋だろうがここ。」
マ「左腕だけなら1000円でお売りしますけど・・・、」
土「いらねえよ!タダでもいるかそんなもん!」
マ「右腕とセットだと4900円になります。」
土「えらい跳ね上がったな!腕以外は全部合わせても100円じゃねえか。」
マ「腕だけ砂鉄でできてるんですよ。」
土「重みで倒れるだろそれ!」
マ「だから売られたんですよ」
土「ごめんね!辛い過去思い出させちゃって!」
マ「そろそろ何を買うか決めてもらえますか?」
土「だから埴輪だって言ってんだろ!最初からよ!」
マ「すみませんがお客様とは分かり合えそうにありません。」
土「こっちのセリフだよ!ていうかお前が理解しろよ!客の心をよ!」
マ「・・・・・・・・。」
土「何してんだよ?いきなり顔近づけて。」
マ「いや、どこを見てるのかなと思って。」
土「は?」
マ「だってずっと目を細めてるから。」
土「土偶だからね!元々こういう目なの!」
マ「アイプチとかしたらどうですか?」
土「二重にしてどうすんだよ!そんな土偶気持ち悪いだけだろ!」
マ「ははは!元々気持ち悪いですよ!」
土「喧嘩売ってんのかお前は!マネキンに気持ち悪いって言われてくねえよ!」
マ「マネキンの悪口を言わないで下さい。」
土「お前が言わせてんの!俺だって言いたくて言ってるわけじゃないんだよ!」
マ「僕たちなんで仲良くできないんでしょうね?」
土「さっきからお前が失礼だからだろうが!なんなんだよ、散々土偶を馬鹿にしやがって。」
マ「生まれたての赤ちゃんの顔って、ちょっと土偶に似てますよね。」
土「知らねえよ!お前の主観だろうがそれ!」
マ「僕は人間に似てるってよく言われるんですよ。」
土「そりゃマネキンだからね!似てなかったら廃棄されるよ!?」
マ「でも土偶っていいですよね。」
土「何が?」
マ「だって貴重じゃないですか。土偶とか埴輪って。昔の物だから大事に扱われるでしょ?博物館とかに飾られて。」
土「まあな。それが俺らの特権だから。」
マ「それにひきかえマネキンは・・・・・、」
土「どうした?急に暗い顔して。」
マ「僕らは消耗品なんですよ。どんなに頑張ったって、埴輪や土偶ほど大事にされません。」
土「そりゃ気持ちは分かるけどさ、そればっかりは仕方ないよ。」
マ「僕の気持ち・・・・分かってくれるんですか?」
土「まあ同じ人形としてな。」
マ「よかったあ・・・。」
土「泣くなよ馬鹿野郎。」
マ「笑ってるんですけど。」
土「なんで!?」
マ「だって二人してウンコのこと考えてたなんて・・・、」
土「そんなこと考えてたの!?寂しい気持ちで暗い顔してたんじゃないのかよ!?」
マ「一日の8割はウンコのこと考えてるんですよ。」
土「暇だなお前は。仕事中に何やってんだよ。」
マ「そんな僕の気持ちを分かってくれる方がいたなんて・・・・、」
土「分かるかそんなもん!同情して損したじゃねえか・・・。」
マ「・・・・・・。」
土「なんだよ?また暗い顔して。」
マ「・・・・・・・。」
土「おい、どうした俯いて。泣いてんのか?」
マ「いや、笑ってるんですけど。」
土「だからなんで!?」
マ「二人してウンコのこと考えてたなんて!」
土「一ミリも考えてねえよ!なんなんだよお前は。」
マ「マネキンですけど?」
土「見りゃ分かるよ!」
マ「で、本日は何をお求めで?」
土「殺すぞ!埴輪だっつってんだろ!」
マ「当店にそのような物はございません。」
土「は?いや、天井からぶら下がってるじゃん。」
マ「あれはシャンデリアです。」
土「ほんとにシャンデリアだったの!?どうりでいっぱい群がってると思ったんだよ。」
マ「ちなみにそこの棚にあるのはマネキンです。」
土「これマネキンなの!?どう見ても埴輪だけど!」
マ「中にマネキンが入ってるんですよ。埴輪の頭を外すと・・・・ほら!」
土「気持ち悪!」
マ「ちなみにマネキンの中には土偶が入ってます。」
土「マトリョーシカか!いらねえよそんな気味の悪いもん。」
マ「けっこう売れてるんですよ。」
土「誰が買ってくんだよこんなもん。」
マ「埴輪です。」
土「そうなの!?あいつら趣味悪いんだね。ていうかもういいよこんな店!」
マ「あ、お客様!」
土「今さら売ろうとしても無駄だからな。こんな店で買い物できるか。」
マ「いえ、そうではなくて・・・・、」
土「なんだよ?」
マ「店の戸締りお願いできますか?」
土「なんで!?俺ただの客だよ?お前がやれよ。」
マ「でもそろそろ店に戻らないといけないんで。」
土「は?店はここにあるじゃねえか。」
マ「僕となりの店のマネキンなんですよ。」
土「最初に言えよ!なんなんだよここまでのやり取りは!?」
マ「ちなみに僕の店には一万円の埴輪があるんでよかったら・・・、」
土「もういらねえよ!」
マ「・・・・・・・・。」
土「なんだよ?急に顔を近づけて・・・。」
マ「いや、目を細めてどこ見てんのかと思って。」
土「お前を睨んでんだよ!ていうか元々こういう目のなの!何度も言わせんなよ!」
マ「またご冗談を。」
土「笑うんじゃねえ!土偶を馬鹿にしてんのか?ああ?」
マ「土偶の気持ちは分かりません。」
土「じゃあお互い様だな!理解できないもん同士、これ以上話しても意味ねえや!」
マ「・・・・・・・。」
土「なにをへこんでんだよ?お前から喧嘩売ってんだろ?」
マ「・・・・・・・・。」
土「・・・・おい?」
マ「・・・・・うう。」
土「泣くなよ・・・・ちょっと言いすぎたよ。悪かったよ。」
マ「笑ってるんですけど。」
土「殺すぞ!」
マ「すいません、またウンコのこと思い出しちゃって・・・・、」
土「もういいよ。」
土、マ「ありがとうございました〜!」

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