子供の描く絵の力

  • 2017.11.13 Monday
  • 13:11

JUGEMテーマ:アート・デザイン

甥っ子の描く絵が面白いです。
この前はミニオンズにハマっていて、今はなぜか鬼の絵にハマっています。
らくがきちょうを開き、ガシっと色鉛筆を掴んで、なんの迷いもなく描き始めます。
今、私は絵を描く時に、ラフを描いて、それを元に下絵を描いて、その次に色を塗るようにしています。
だけど子供っていきなり色で描き始めます。
完成度なんてお構いなしに、上手い下手もお構いなしに、頭の中にあるイメージを描こうとします。
絵に対する姿勢って、子供が一番純粋かもしれません。
ある絵本作家は、「子供の絵には勝てない、勝てるわけがない」と言ったそうです。
けっこうインパクトのある絵を描く人なんですが、それでも子供には勝てないと言うんです。
かの岡本太郎も子供の絵が好きだったそうです。
何かの絵画展で、送られてきた絵を「みんないいからみんな飾ろう」みたいなことを言ったそうです。
一流の絵のプロは、どうしてここまで子供の絵を絶賛するのか?
・・・たぶんですけど、純粋だからだと思います。
いかに斬新で奇抜な絵を描こうとも、大人の描いたものにはどうしても「計算」が入ってしまいます。
イメージの世界であるはずの絵に、理論や思想、価値観など、意識しようとしまいと持ち込んでしまうのが大人の絵です。
数いる画家の中で、私が最も子供の絵に近いと思うのはゴッホです。
ピカソの絵も素晴らしいけど、あれは綿密に計算された絵です。
フェルメールもダ・ヴィンチも凄いけど、この二人の絵も超高度な理論の上に成り立っています。
もちろんそれが悪いわけではありません。
絵の発展に理論は欠かせないし、絵に思想や政治的内容を盛り込んではいけない決まりもありません。
むしろ優れた絵の場合、千の言葉よりも雄弁に物語ってくれる気がします。
だけど純粋という意味ではゴッホの方が上で、そのさらに上をいくのが子供です。
ラフも描かない、下書きもしない、そもそも描く時に迷いがない。
生まれてくる絵は決して上手くはありませんが、大人のような計算が入っていないからこその良さがあります。
子供の絵って、大人になると描けません。
似たような絵は描けるけど、やっぱり同じにはならないんです。
「ああ、大人がいかにも子供の絵に似せて描いてんだなあ」とバレてしまいます。
純粋なイメージじゃないから、すぐに見破られてしまうんです。
そもそもイメージって、形にしづらいものです。
頭の中にイメージがあるとき、本当に形を保っているかさえ疑問です。
子供の絵は多くの場合、大人の絵に比べて下手です。
だけど子供の描く絵こそが、人間の頭にあるイメージの姿かもしれません。
私たちは、人も風景もちゃんと見ているようで、ちゃんと見ていないんです。
だから練習なしでは上手い絵が描けないし、練習なしでは上手い写真も撮れません。
写真も絵も、ビジュアルを持つイメージの場合、まず「見る」ってことから始まります。
頭の中はモヤモヤっとしたイメージで満たされていて、それをリアルに描くには、見るってことから始まって、技術はその後に必要になります。
絵の元になるイメージは、海を漂うクラゲのように頼りないものです。
だからきっと、子供の描く絵の形こそが、頭の中の世界の正しい姿なんだと思います。
だけど大人は子供より経験があるし、手先も器用で色んなことを知っています。
それゆえに絵を描く時、子供みたいなモヤモヤっとした絵にはならず、形のないイメージに無理にでも形を持たせようとしがちです。
子供の絵を見ていると思います。
イメージって、必ずしもちゃんとした形じゃなくていいんだと。
そう考えると、子供の絵は下手なのではなく、大人のように嘘をついていないとも言えます。
イメージを素直に描き出す力。
それは子供の時にだけ備わっている、特別な能力なのかもしれません。

 

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