蝶の咲く木 第十一話 空に届く繭(1)

  • 2018.01.16 Tuesday
  • 12:03

JUGEMテーマ:自作小説

日本の街並みはどこも似たようなものが多い。
同じ店が増え、同じデザインの建物が並び、昔からそこにあった風情はなくなりつつある。
俺の会社がある街もそうだ。
ありふれた中核都市になってしまって、かつて城下町だった風情は絶滅しかけている。
あと10年もすれば、都道府県を47で分ける意味あがあるのか分からいないほど、旅行に行っても感動しなくなるかもしれない。
俺は全てが同じというのは嫌だ。
個性ある街並みが好きだ。
だから今日、ここへ取材に来られたことを感謝していた。
「いい場所じゃないか。」
人間ではないという少女に合う為に、新幹線と特急を乗り継いで、遠路はるばるやってきた。
降り立った駅は無人、電車はワンマン。
自動改札すらないこの状況に感動すら覚えた。
駅から出ると、新しい物と古い物が入り混じった景色が広がっていた。
駅周辺はそこそこ建物があるものの、遠くには民家や田んぼが並んでいる。
その向こうには背の低い山が連なり、やや右の方にいっとう高い山がそびえていた。
事前の調べによると、あの山へ向かう手前に川があるらしい。
かつては木蓮がたくさん咲いていたことから、木蓮川と呼ばれている。
その川の傍に、件の大木があるという。
少女によれば、大木の近くには古くから続く屋敷があるそうなので、すぐに分かるとのことだった。
とりあえず売店で飴を買い、口の中に放り込む。
駅は無人なのに売店には人がいるとは、なかなか面白い。
もっとこういう場所が増えれば、遠くへ出かけるのも面白くなるだろう。
コロコロと飴を転がしながら、目的の場所へ向かっていく。
ここもかつては城下町だったそうだが、その面影はしっかりと残っていた。
古びた木造の家屋、土壁の建物もある。
歌人の記念館に、かつて領主だった大名の菩提寺。
大通りから分岐する路地には、そのまま時代劇の撮影で使えるんじゃないかという風情が漂っていた。
「いい場所だな。」
仕事で来たことさえ忘れそうになる。
気持ちよく歩き続けていると、暢気な後輩からラインが届いた。
《その街って革が名産らしいっすよ。後で金払うんで、よさげなレザーの財布とかあったら買ってきてくれません?》
無礼極まりない内容だ。
いったいどっちが先輩だと思っているのか?
《もし見つけたらな。なかったら塩饅頭でも買って来てやるよ。》
すぐさま《それいらないっす》などと失礼な返信が来る。
せっかく気持ちよく散歩していたのになんという奴か。
・・・と思ったが、散歩気分で歩いている俺も大概だろう。
交通費だけでも4万を越す。取材は夜からなので、宿だって予約してある。気持ち良さなど吹き飛んでしまった。
財布を押さえ、どうか経費として落としてくれますようにと願う。
駅を振り返ると、ロータリーの中央に立つ大きな時計が、午後一時を指していた。
夜になるまでしばらくあるが、とりあえず約束の場所まで行ってみることにした。
途中までは大きな道が通っているので、ここを真っ直ぐ進めばいい。
10分ほどかけて歩くと、コンビニが建つ交差点が出てきた。
その向こうには大きな橋。
下には木蓮川が流れている。
一級河川に指定されているので、かなり大きな川だ。
それを挟んだ向こうの町並みは、こちらよりも城下町の風情が強い。
「たしかここを右だったな。」
橋の手前、川原沿いの細い道に入っていく。
視線を先にやると、すぼんでいく道の向こうに、例の大木らしき影が見えた。
「あれか。」
遠景を一枚と、ミラーレスの一眼でシャッターを切る。
画像を確認しながら、少し歩いてまた一枚。
その時、細い道の向こうから車がやってきて、路肩ギリギリまで身を寄せた。
俺の胸元くらいまである堤防に背を預け、車が通り過ぎるのを待つ。
「もうちょっと幅を広めればいいのに。」
思わず愚痴が出てしまう。
しかし向かいには歴史のありそうな木造家屋が並んでいる。
道路の拡張工事をしないのは、景観を守る為だろう。
風情が大事などと言いながら、俺自身も便利を望んでいることに気づかされる。
住みやすさと景観は別物。
旅先で景色を楽しめるのは、自分がその土地の者ではないからだろう。
人間ってのはいい加減なものだと自嘲しながら、大木へと近づいていった。
途中、川の方を振り向くと、さっきとは別の橋が見えた。
橋桁は真っ赤に塗られていて、まるで神社の鳥居を思わせる。
大きさはさほどでもなく、どうやら歩行者の為のものらしい。
川向こうまで伸びる橋の先には、自転車を漕ぐ爺さんがいた。
あの橋からならいい画が撮れそうだと思い、行ってみることにした。
中ほどまで歩き、そこから件の大木にレンズを向ける。
距離が近くなった分、先ほどとは違った画になる。
ズームレンズを最大まで伸ばし、圧縮効果(被写体と背景の距離が近くなる効果)で木を際立たせようと思った。
標準ズームなので大して望遠は望めないが、ボケ味は増すので引きの写真とは違った良さが出る。
液晶に映し出された大木は、枝の先までハッキリと見えた。
レンズ越しに観察していると、枝に一枚の葉がぶら下がっていることに気づいた。
今は冬、葉は落としているはずなのに・・・・と、不思議に思う。
とりあえずシャッターを切り、画像を拡大してみた。
「・・・・ん?これ葉っぱじゃないな。」
遠目だと葉に見えた物体が、実はまったく違うものだった。
「・・・・蝶かこれ?」
黒地の優雅な羽の根元に、白い模様が入っている。
おそらくクロアゲハだ。
しかしなぜ今の季節に?
この蝶がいるのは春から初秋にかけてだ。
冬にはまず見ない。
「まさかあの木から咲いたとか?」
あり得ないと思いながらも、疑ってしまう。
もう一度レンズを向け、蝶を確認してみる。
だがもうどこにもいなかった。
飛び立ってしまったのか?
「冬でも桜が咲くことはあるし、虫だって季節外れの奴がいるのかもな。」
カメラを下ろし、橋を降りようと戻っていく。
するとその時、目の前を何かが掠めていった。
「あ・・・・・、」
先ほどのクロアゲハが飛んでいた。
ふわふわと舞うその姿は、まるで空を踊っているかのよう。
蝶は俺の頭上へと舞い上がり、頭の上にとまった。
「・・・・・・・。」
言葉を失ったまま立ち尽くす。
普通、蝶は生きた人間には止まらない。
蝶がとまるのは死んだ人間だけと言われるほどだ。
それほど警戒心が強い虫が、あっさりと人の頭に座るなど、ちょっと考えられなかった。
人は恐れないわ、冬に飛んでいるわ。
なんとも珍しい奴だと思い、そっと手を伸ばした。
逃げる様子はない。
指先が触れても動じないし、つついてもじっとしている。
ふわふわと揺れる羽が指先を掠めた。
「なんだコイツ・・・・。」
そう弱っている風でもないので、飛び立つ元気がないわけでもないだろう。
面白いので写真に撮ろうと、カメラを向けた。
レンズをこっちに向けて、頭の上に運んでいく。
《逃げないでくれよ。》
心で呟き、シャッターに置いた指に力を籠める。
ミレーレス特有の、機械音だが電子音だか分からないような「カシュ!」という音が響く。
実際はレフレクターが無いのでただの電子音なのだが、機械式の音に似せるならもっとリアルにしてくれよと思うのは、俺がカメラマニアだからか?
カメラに愚痴をこぼしつつ、撮った写真を確認する。
そして・・・・液晶に映し出された蝶を見て、思わず「うおッ・・・」と叫んでしまった。
「なんじゃこりゃ?」
カメラに写ったのは蝶ではなかった。
羽は蝶そのものだが、身体が違う。
蝶は昆虫なので脚が六本ある。
しかし写真に写っている生き物は四本しかない。
しかも人間の手足によく似た形をしていて、やたらと細長い。
胴体も人間にそっくりだが、これも細長かった。
顔は人と虫を混ぜたような感じで、宇宙人のグレイのように目が大きい。
また人間の耳に当たる部分から、長い触覚のような物が生えていた。
見れば見るほど不思議な生き物で、カメラを持つ手が震えてくる。
「・・・・・・。」
無言のまま目を動かし、頭の方に視線をやる。
羽が動いているのがチラリと見えた。
・・・・どうしようか迷ったが、勇気を出して摑まえてみることにした。
そっと手を伸ばす・・・・。
するとその瞬間、奇妙な生き物は宙へ舞い上がった。
そして俺の手からカメラを奪い、慣れた手つきで弄りだす。
《え?なんでカメラを・・・・・、》
オカルト好きな俺だが、こういったものが現実に存在するとは思っていなかった。
ただ妄想が好きなだけで、夢の話を膨らませたいだけなのだ。
こいつは新種の生き物か?
それとも・・・・あの大木から咲いてきたとか?
巡る思考は答えを出せず、奇妙な生き物から目が離せない。
カメラを弄って何をしているのか?・・・・と思ったが、まさかと気づいた。
「おい!返せ!!」
手を伸ばすと、向こうから放り投げてきた。
慌てて落っこちそうになったけど、どうにか掴む。
「消したんじゃないだろうな!」
急いで確認すると、案の定だった。
さっきの写真がどこにもない。
その前に撮った枝にぶら下がっている写真も。
「お前なんてこと・・・・こんなスクープなのに・・・、」
こんな生き物に会えるチャンスなんてまずない。
もう一度カメラを向けると、いつの前にか消えていた。
「どこだ!?」
キョッロキョロ見渡すがどこにもいない。
「なんだったんだ今の・・・・・。」
しばらく捜し回ったが見つけられなかった。
あの奇妙な生き物はどこへ消えたのか?
「・・・・・・・・。」
俺は大木へと走った。
少女が言っていた通り、大木の向かいに大きな屋敷がある。
手前には白壁があって、屋敷を囲うように伸びていた。
「すごいな・・・・。」
江戸時代の豪農を思わせるような佇まいだ。
実際にこの土地の有力者が住んでいたのだろう。
こういう歴史ある建物は好きだが、今は見入っている場合ではない。
屋敷に背中を向け、道路の脇に立つ大木を見上げた。
・・・なんとも荘厳な木だった。
無数に伸びる枝は、下から見上げると空を覆い尽くしてしまう。
屋敷の方にも伸びていて、壁の向こうまで届いていた。
幹はどっしりと太く、俺が腕を回しても全然足りないだろう。
それに表面に刻まれた樹皮のでこぼこは、生き物の鱗のようにさえ見える。
根元の周囲はレンガに囲まれ、ここを通る車から守っていた。
そのせいで、ただでさえ細い道が余計に狭くなっている。
それでも撤去されないのは、個人の持ち物だからか?
それとも地元の人たちから大事にされているからか?
どちらにせよ、この大木には守るだけの価値があると感じた。
本当に蝶が咲くかどうかは分からないが、見ていて落ち着く雰囲気がある。
例えるなら、子供の頃、親の背中に守られていたような安心感があった。
しかしツイッターにあった写真のように、今は光っていない。
イルミネーション用のライトも装飾されていないし、あれはクリスマスだけのイベントなのだろうか?
「あいつここにいたんだよな。」
さっきの奇妙な生き物がいた場所を見上げる。
しかし特に変わった様子はない。
ただまっすぐ枝が伸びているだけだ。
ポンポンと木を叩き、数歩離れて眺める。
するとその時、「何しとんじゃ?」と後ろから声がした。
振り返ると腰の曲がった爺さんが立っていた。
チェックのポロシャツに、いい具合に色あせたジーンズ。
年の割りに派手な格好をしている。
「ポンポン叩かんでくれるか?」
「え?」
「その木、ウチのもんだ。」
「・・・ああ!お爺ちゃんの持ち物ですか。」
すいませんと頭を下げ、「立派だったものでつい」と笑う。
「すごい木ですね、これ。ずっと見ていたくなりますよ。」
営業スマイルを作って、怪しい者ではないと愛想を振りまく。
「思わず見とれちゃって。」
「・・・・・・。」
爺さんは何も言わずに睨んでくる。
俺は無言で圧力を掛けてくるタイプが苦手だ。
これなら石井さんのように文句を言ってくれる方がやりやすい。
「あの・・・・すいません、失礼でしたか?」
木を叩いたことを詫びると、「生き物だ」と言った。
「はい?」
「木だって生きとる。叩かれたら嫌だろ。」
「そうですね・・・すいません。」
相当怒っているようだ。
そんなに大事なら屋敷の庭に植え直すとかすればいいのにと思ったが、移動させるには大きすぎるのだろう。
これ以上ここにいても睨まれるだけ。
軽く会釈を残し、退散することにした。
「夜だろ?」
「え?」
「夜、ここに用事があるんだろ?」
唐突なことを言われ、「あの・・・・」と聞き返す。
「どうしてその事を?」
「この木に用がある人間はみんなそうだ。」
「みんな?」
「あんた・・・・子供さんを亡くしたんじゃないのか?」
「いえいえ!ちゃんと元気ですよ。」
「元気?じゃあなんでここへ来た?」
「なんでって・・・・、」
「そもそも今日はクリスマスじゃない。来ても意味ないんだがなあ。」
・・・・この爺さんは何を言っているんだ?
退散しようと思っていたが、こんな意味ありげなことを言われてはそうはいかない。
俺は名刺を取り出し、サっと差し出した。
「すいません、わたくしこういう者なんですが。」
「月刊アトランティス 円香拓・・・・。あんたなんかの記者さんか?」
「はい!宇宙人や幽霊や古代文明やオーパーツなんかを扱う雑誌です。」
「なんじゃそりゃ?」
「いわゆるオカルト雑誌です。超常現象とか未知の生物とか、そういった夢のある話をお届けする雑誌なんですよ。」
「夢のある雑誌?怪しげな雑誌の間違いじゃないのか?」
怪訝な顔で名刺を弄っている。
しかしこういう対応は慣れっこだ。
笑顔で迎えてくれる人の方が少ないし、時には名刺を突き返されることもある。
いちいち気にしていてはキリがない。
「実はですね、今日ここで人と会う約束をしていまして。」
また営業スマイルを振り撒く。
媚びを売ろうと手揉みも加えた。
「待ち合わせは夜なんですが、ちょっと下見に来た次第なんです。」
「下見?なんの?」
「夜にここで取材させて頂くんですよ。」
「誰に?」
「それはちょっと・・・・。個人情報なので。」
「それじゃあんたは待ち合わせの為だけにこの大木へ来たってのか?」
「ええ。」
努めてニコっと頷く。
すると爺さんは途端に冷めた顔をして、「なんじゃ」と名刺を突き返してきた。
「それならそうと早く言え。心配して損しちまっただろうが。」
「心配?」
「てっきり亡くなった子供に会いに来たのかと思ったんだ。
だが会えるのは夜だし、しかもクリスマスだけ。今来ても意味ないぞと言おうと思って出てきたんだが・・・・出て来て損したわい。」
背中を向け、腰が曲がっているとは思えないほどの速さでスタスタ去っていく。
「あ、ちょっとッ・・・・、」
爺さんは屋敷の門を潜ろうとしている。
慌てて引き止めて、「取材を!」と頼んだ。
「夜まで時間があるんです。その間まで是非お話を聞かせて下さい!」
「話って・・・なんの?」
「あの大木のですよ!さっき亡くなった子供がどうとか言ってたでしょ?あれどういう意味なんですか?」
「知らん。」
「知らんって・・・・自分で言ってたじゃないですか。」
「怪しげな雑誌の記者に答えることなんぞない!手え離せ!」
「どうか取材を!」
「警察呼ぶぞ!」
「取材費も出しますから!少ないけど・・・・、」
「そんなもんいらん。お前に話すことなんぞ何もないわ!」
意外と腕力のある爺さんは、あっさりと俺の手を振りほどく。
この世代は歳取っても元気だななんて、どうでもいいことを考えてしまった。
「とっとと帰れ。」
「あ!ちょっと・・・・、」
門を潜り、俺を締め出すように扉を閉じて行く。
このままでは話を聞けずに終わってしまう。
この爺さんは特別な秘密を知っているに違いない。断じて逃がすわけにはいかなかった。
どうにかして気を引けないものかと悩んでいると、ふとこんな言葉が出てきた。
「変な蝶を見たんです!」
怒鳴るようにそう叫ぶと、ピタリと爺さんの動きが止まった。
「さっきね、そこの木にぶら下がってたんですよ。最初は蝶かと思ったんですけど、よく見ると違うんです。」
門に足を踏み入れ、少しだけ扉を押し開ける。
爺さんは抵抗する様子もなく、だが受け入れる様子もないまま、視線で威圧してきた。
「すいません・・・あの・・・・出ます。」
一歩下がり、ギリギリ門の外に出る。
「最初は蝶かと思ったんですが、こいつで撮った画像を見てびっくりしました。」
首からぶら下げたカメラを見せる。
爺さんの表情が一段と険しくなった。
「画像を見てみたら、蝶とはまったく違った生き物でした。
羽は蝶なんだけど、身体が違うんです。なんていうか・・・・人間と宇宙人と虫をミックスさせたような姿でした。」
「・・・・・・・・。」
「ええっとですね・・・・アメリカの映画で「アビス」ってやつがあるんですけど、ラストで宇宙人が出てくるんですよ。
なんか妖精みたいな可愛らしい感じの。強いて言うならあれに似ていました。」
おそらく知らないだろうが、これ以外に適当な言葉が思い浮かばない。
案の定、爺さんは表情を変えなかった。
「新種の虫って可能性もあるけど、でもねえ・・・・そういう感じでもなさそうだったし。
せっかく写真に撮ったのに消されちゃうし。」
残念な顔をしながらカメラを見つめると、「消された?」と尋ねてきた。
「ええ、これ取られちゃって。ポチポチいじってるなあって思ってたら、画像を消してやがったんです。」
「そうか。ならもう写真は残っていないわけだな?」
なぜか安心した表情に変わる。
やっぱり・・・この爺さんは何かを知っているのだ!
「そうなんですよ・・・・。あ、でも復旧かければ復活するかもしれないけど。」
「復旧?」
「デジカメの写真って、パソコンで復旧できるんですよ。かなり高い確率で蘇るんです。」
「なんと・・・・、」
神妙に唸る爺さん。
めまぐるしく変わる表情の奥には、人には聞かれたくない秘密があるに違いない。
ならばここは、一にも二にも押すしかないだろう。
「今ね、俺パソコンを持ってるんです。このバッグに。」
年季の入った茶色い肩掛け鞄を叩く。
「もしよかったらお爺ちゃんも見ませんか?あんな珍しい生き物初めてですよ。絶対にテンションあがりますから。」
爺さんの顔がさらに強ばっていく。
心が揺れているようだ。
あと一発かませば落ちるかもしれない。
「さっきの変な生き物とあの大木、何か関係があるのかもしれない。だってあの大木って蝶が咲くって噂があるんでしょ?」
スマホをいじり、ツイッターにある例の写真を見せた。
すると爺さん、「なんで・・・・」と青ざめた。
「なんで写真なんかあるんだ!」
叫びというより、怒声に近い感じでスマホを奪い取る。
漫画みたいにブルブルと震え出し、スマホを持つ手も痙攣したみたいに落ち着きがなかった。
もはや青ざめるよいうより、血の気が引いているといった方が正しい。
何に怯えているのか分からないが、その顔は幽霊にでも出くわしたみたいに引きつっていた。

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