蝶の咲く木 第十五話 これが夢なら(1)

  • 2018.01.20 Saturday
  • 14:31

JUGEMテーマ:自作小説

32年も生きていれば、人に話せないことだってあるものだ。
中学の時に万引きしただとか、高校の時に一度だけクスリをやったとか。
就職一年目の時には、超がつくほど自己中なお局様に、逆美人局を仕掛けたこともある。
友人のイケメンにお金を渡して、お局様にあてがってやった。
その写真をポストに放り込んだ次の日から、お局様は会社に来なくなった。
旦那と大喧嘩して、かなり揉めているらしいと、噂話が好きな上司が語っていた。
さすがにやり過ぎかなとは思ったけど、あのお局様の若手イジメは酷かった。
今なら確実にパワハラで訴えられているだろう。そう考えると、私を含め、若い社員を救ったと言えなくもない。
直近だと、一昨日に浮気相手に会っていた。
今の旦那に不満があるわけではないが、いかんせん妄想好きな子供じみた所がある。
家族は大事にしてくれるし、仕事も真面目にこなしているけど、男としてはどうも物足りない。
人柄は文句無しなので、人生のパートナーとしては最良の相手だけど・・・・。
でもねえ・・・・それでも満足できない部分はあって、それはこれからも変わらないだろう。
だから不満を解消する手は、必然的に外に求めることになる。
ウチの息子は重度の喘息持ちで、頻繁に近所の病院にお世話になっている。
そこに勤める壮年の医者と、少し前からそういう関係になっているのだ。
若くて好みの医者もいたけど、こちとらストレス解消で相手を求めているだけだ。
本気になられても困るというもので、あえて若いのは避けた。
不倫相手に選ぶなら、遊びは遊びと割り切ってくれる人の方がいい。
今付き合っているその医者には家庭があって、本気で私とどうこうなろうなんて考えていない。
だから一昨日の夜も軽く食事をし、近くのホテルでやることだけやって、早々に家に帰ってきた。
少し離れた所にある実家へ向かってから。
「優馬あ!ただいまあ〜!」
今年三歳になる息子は、じいじの膝から飛び跳ねてくる。
ギュっと私の膝に抱きついて、抱っこをねだってきた。
「ごめんねえ、用事で遅くなって。」
よっこらしょっと抱き上げて、実家のじいじとばあばにお礼を言う。
「ごめんね、いつも預かってもらって。」
いつものごとく小言を言われると思った。
ボランティアに励むのもいいが、もっと息子を見てやれと。
息子を預かってもらう際、適当についた嘘だったが、ボランティアといえばボランティアかもしれない。
おじさんの遊び相手をしてやっていると考えれば、じゅうぶんボランティアと言えるのではないかな?
・・・・なんて考えて、それはさすがに無理があるかと、頭から追い払った。
だが今日に限っては小言は飛んでこなかった。
代わりに予想もしない事を聞かされて、優馬を抱いたまま貝になってしまった。
「あんた何やってんの!拓ちゃん病院に運ばれたんだよ!」
ばあばが目を釣り上げながら怒鳴った。
「何度も電話掛けても出ないし、優馬がいるから私たちも病院に行けないし。」
「・・・・・・・・。」
・・・いつ?どこで?なんで?
矢継ぎ早に質問してから、「優馬見てて」と預けた。
「優馬も行く!」
「ダメダメ、発作が出たら困るから。」
ぐずる息子はじいじに抱えられ、「もうちょっとじいじとばあばと一緒に待ってような」と宥められていた。
「ごめん!帰りは明日になるかも。また電話するけど、今日は優馬お願いしていい?」
病院の場所はかなり離れている。
新幹線で4時間ほどといった所だろう。
ばあばは「いいから早く!」と背中を押した。
「ママ〜!」と叫ぶ声に後ろ髪を引かれながら、慌てて車に駆け込んだ。
「何やってんだか・・・・。」
今日は取材で遠くに行くと言っていたが、なぜ川で溺れる?
《ムー大陸の埴輪でも探してたのか?まったく・・・・。》
怒りとも呆れともつかないため息がでてくる。
しかしそれと同時に、さっきまで情事に勤しんでいたことが、急に恥ずかしく思えてきた。
こういう緊急事態、自分の行いというのは、かえって冷静に見えてくるものだ。
《もうそろそろ私も、自分の生活を改めないとな。》
ギアを入れ、急いで隣街の駅まで飛ばした。
ばあばの話によると、命に別状はないとのことだ。
しかし精神的にかなり参っていて、口も利けない状態だという。
そりゃ溺れて死にかけたんだから、ショックはショックだろうけど・・・・、
《頼むから鬱病だとかなんとか神経症になるのだけはやめてよ。優馬の喘息だけで手いっぱいなんだから。》
あの旦那から仕事を取ったら、それこそ子供と変わらない。
家計は私がフルタイムで仕事をすればすむけど、家に帰ってから大きな子供の面倒まで見る自信はない。
片や喘息で片や鬱病でなんて・・・・。
でもだからって見捨てることも出来ない。
心を病んだ人間というのは、傍で力を貸しても立ち直ることが無理な場合がある。
それなのにもし縁を切ってしまったりなんかしたら・・・・。
《しっかりすんのよあんた!ウチの弟みたいにならないでよ!》
数年前、心を病んで命を絶った弟を思い出す。
両親と私と、それに友人までが立ち直るのに力を貸したのに、ある日とつぜん姿を消してしまった。
次に弟と再会したのは警察署で、すでのこの世を旅立った後だった。
犬の散歩をしていた人が、橋の袂で首を吊っているのを見つけたという。
弟とは特別仲が良かったわけではない。
どちらかというと反りが合わず、大人になってからは距離を置いていた。
しかしそれでも、身内に自殺されるというのは言いようもないショックだった。
父も母も私も、それにあの子の友人も、深く悲しむと同時に、自分を責めた。
もっとどうにか出来たんじゃないか?
もっと親身になっていれば・・・・・。
大事な人が亡くなった時、後から考えてしまうのだ。
こうしていたら、ああしていたら・・・・と。
あの時みたいな思いをするのは二度とごめんだ。
駅に着き、切符を買い、自由席の窓際に座る。
空いている椅子があってホッとしながら、会ったらなんて話しかけようかと悩んだ。
「しっかりしろ!」と喝を入れるべきか、「ゆっくり休んで」と優しくするべきか?
答えの出ないまま、窓を流れる夜景を睨んでいた。
4時間ちょっとの旅を終え、在来線に乗り換える。
そこからさらにワンマンのローカル線に揺られて、目的の街までやってきた。
《うわ・・・・田舎。》
小さなホームを出ると何もない。
寂れた商店街のような道が続いていて、寂しく街灯が光っていた。
ロータリーの真ん中に経つ時計は0時前を指している。
ここからどうしたもんかと悩んでいると、幸い近くにタクシーが停っていた。
こんな田舎でも・・・・いや、田舎だからこそ必要になるのか。
白髪の運ちゃんに病院名を伝え、ほぼ暗闇の街を駆け抜けていく。
しばらく走ると、遠くにそこそこ大きな病院が見えてきた。
運ちゃんが言うには、○○市病院と書かれているが、個人の病院だという。
豆知識をありがとう。
小銭のお釣りはいいからと突き返し、慌てて病院へ駆け込んだ。
受付はすでに閉まっており、ご用の方は二階のナースステーションまでと書かれている。
受付の脇にある階段を駆け上がり、でっぷり太った看護師さんに事情を伝えた。
「ああ、はいはい。円香さんね。」
病室まで案内されると、そこは大部屋だった。
怪我は大したことないので、ここでも充分ってことなんだろう。
だけど問題は心の方だ。
口も利けないほどショックを受けているというので、顔を合わせた瞬間、第一声に何を話しかけるかが大事だろう。
看護師さんがシャーっとカーテンをめくると、虚ろな表情をした旦那が横たわっていた。
瞬きさえ忘れそうな顔で、じっと天井を睨んでいる。
傍には旦那の両親がいて、お義母さんが「柚子ちゃん!」と立ち上がった。
「お義母さん、遅くなってすいません。」
ペコリと頭を下げ、「どんな状態ですか?」と尋ねた。
「うん、怪我は大したことないんだけど、ショックで何も返事をしなくて・・・・。
お医者さんが言うには、一時的なものだろうって。時間が経てばちょっとずつ回復するだろうから、様子を見ましょうって。」
「そうなんですか・・・・よかった。」
一過性のものなら、心の病に罹る心配はあるまい。
弟の苦い思い出を振り払って、「お父さん」と呼んだ。
「大丈夫?私が分かる?」
手を握りながら話しかけると、少しだけ眉を動かした。
しかし言葉は返ってこない。
何度話しかけても、虚ろなまま天井を睨んでいるだけだった。
私はお義母さんを振り返り、「何があったんですか?」と尋ねた。
「いちおうウチの母から話は聞いたんですけど、いまいち要領を得なくて。
拓君は仕事でここに来てたんですよね?朝は遠出の取材だから泊まりになるって言ってて。」
「そうなのよ。読者の方からツイッター?メール?とか、インターネットで取材を申し込んだんだって。」
「それは私も聞きました。なんでも蝶の咲く木があるとかで。」
「そんなのあるわけないのに・・・いつまで夢見てるんだか。」
呆れたように息をついて、「でもそれがこの子の仕事だもんねえ」と頷いていた。
「それでね、その木の傍に大きな屋敷があるそうなんだけど、そこのお爺さんが助けてくれたそうなのよ。」
「お爺さんが?」
「拓が川で溺れてるのを引っ張り上げてくれたんですって。それで救急車を呼んで、ここまで付き添ってくれたって。」
「そうなんですか・・・・。そのお爺さんは?」
「私たちが来る前に帰られたみたい。明日ちゃんとお礼に伺わないと。」
「私も行きます。」
その日、私は病院に泊まることになった。
実家に電話して、ばあばとじいじに優馬のことをお願いする。
そして旦那の両親は近くのビジネスホテルへ。
お義父さんの足の調子が悪いので、ゆっくり休めるようにと、そっちへ泊まってもらうことにしたのだ。
そして次の日、医者から詳しい話を聞いた。
本当は昨日に聞きたかったんだけど、大した怪我じゃないからと、担当した医者はすでに帰っていた。
気い利かせて残ってろよ言いたかったが、口には出すまい。
悪い医者ではなかったが、話し方と態度がどうも上から目線の嫌な感じだったので、「どうもお〜」と目だけは笑っていない笑顔で病室から見送った。
そして医者と入れ替わりにやってきたお義母さんたちに、「転院の手続きがあるんで、ワーカーさんが後から来るそうです」と伝えた。
さすがにこの病院だと家から遠すぎる。
いつも優馬がお世話になっている所へ転院できないかお願いしたのだ。
「じゃあすいません、拓君をお願いします。」
私は旦那の着替えやタオルやらを買う為に、近くのいまむらとスーパーへ向かった。
田舎とはいえ、今はどこでも便利な店がある。
年取ったらこういう場所に住むのも悪くないかなあなんて思いながら、必要な物を買い揃えていった。
「しかしまあ・・・川で溺れるなんてねえ。たしかカナヅチじゃないはずだけど。」
去年の夏休みに行ったプールでは、息子の手を引きながら泳いでいた。
だけど川になると変わるもんなのかもしれない。
泳ぎが上手い人でも、海や川では溺れることがあるらしいから。
「医者は一過性のショックだっていうけど、もしそうじゃなかったらどうしよう。
しばらく入院って、実は酷い状態じゃないのかな?もしあのまま治らなかったら・・・・。」
嫌な考えが溢れて、「やめよ」と頭から追い払う。
肉親の自殺というのは、いつまで経っても暗い影を落とすのだなと、悲しいやら恨めしい気持ちになってきた。
・・・自殺っていうのは一番卑怯な逃げ方だと思う。
本人は死んで楽になるかもしれないが、残された者はそれを背負っていかないといけない。
弟がまだ生きるはずだった何十年という時間・・・・それがそっくりそのまま、私や両親や、あの子と仲のよかった友達に圧し掛かってくるのだから。
いつか私が寿命を終え、あの世で会ったなら、一発くらいひっぱたいてやらないと気がすまない。
・・・・まあ実際にそんな時がきたら、怒るどころか泣くだろうけど。
暗い感情を誤魔化そうと、見知らぬ街並みに目を向ける。
「あれ・・・・ここどこ?」
考え事をしていたせいか、さっき曲がるはずだった交差点がルームミラーに映っている。
どこかでUターンしようと思ったが、田舎の道は引き返そうとするドライバーに厳しかった。
「なんで一本道がずっと続いてんのよ!」
道路は広いクセに、決して曲がらせまいと、無意味に先へと誘導される。
しばらく走った後、ナビを見ながらどうにかこうにか迂回して、病院の近くへと戻ってきた。
しかしそこでも道を間違えてしまい、交差点を左に曲がってしまう。
その先には大きな川があって、それに沿うように細い道が続いていた。
・・・またしてもUターンが出来ない・・・・。
少し先に真っ赤な橋が見えてラッキーと思ったが、歩行者専用だった。
「だからあ・・・・もうちょっと引き返しやすいように作っとけっての!」
いつか田舎に住みたいと思った気持ちは、すぐに消え去った。
しかしその時、すぐ先の方に大きな木が現れた。
太い幹にたくさんの枝。
ただでさえ細い道を占領するように、根元はレンガで囲ってある。
「なんでこんな所にこんなデカイ木があんのよ!」
イライラが加速して、思わず舌打ちしてしまう。
「まったく・・・」と呟きながら、大木の脇を抜けようとした。
・・・その時、道路のすぐ近くに大きな屋敷があることに気づいた。
「おお、すごいなこれ・・・・。」
ヒビの入った土壁に、古びた瓦が乗っている。
その上には大木の枝がかかり、さらにその向こうには趣のある屋敷がそびえていた。
少しだけバックして、大木の手前に車を停める。
ドアを開けながら、大木と屋敷を交互に見つめた。
「これって・・・・、」
家を出る前、旦那が言っていたことを思い出す。
『蝶の咲く木ってやつを取材してくる。デカイ屋敷の傍にあるんだと。』
「ここで溺れたんだ・・・。」
大木の向こうにある、大きな川を振り返る。
「きっとあの木に登ろうとでもしたんだろうなあ。それで足滑らせて落っこちたんだ。」
夢のあるオカルト話には目がない人なので、興味の惹かれる物があると、周りが見えなくなるのだ。
木の下はコンクリートで舗装された堤防がある。
斜面になっていて、そのさらに下には小さな堰があった。
きっとここから田んぼとかに水を引いているんだろう。
「でも変ね・・・・あの木から落ちたら、下の堤防にぶつかるはずだと思うんだけど。
いったいどうやって堤防の向こうまで落ちたのか?
・・・謎ではあるけど、考えるだけ損な気がした。
「う〜ん・・・・川に未確認生物でも探しに行ったか?」
もしそうだとしても驚かない。
まあいずれにせよ、ここで溺れたことは間違いなんだろう。
・・・それよりも問題なのは・・・・、
「この屋敷、もしかしたら・・・・、」
旦那は屋敷に住むお爺さんに助けられた。
そして屋敷なんてものはそうそうあるものじゃない。
ここで溺れたのなら、あの屋敷のお爺さんに助けられたってことじゃないのかな。
「どうしよう・・・迷ってるうちに、旦那の命の恩人の家に来ちゃった。」
今日はお義母さんたちと一緒に、ここへお礼に伺う予定だ。
だけどこうして来てしまったわけで・・・・これはどうしたらいい?
私だけで伺うとお義母さんたちに申し訳ないような気がするし、それに菓子折りだって持って来てない。
命の恩人に手ぶらで挨拶は・・・・無いだろうな。
「いったん引き返すか。」
車に乗り込み、ゆっくりと走り出す。
するとその瞬間、目の前を蝶が横切った。
「え?なんで?」
虫に詳しくなんてないけど、冬に蝶が飛んでいないことくらい知っている。
それに・・・・、
「なんか光ってたよね、さっきの・・・・。」
ここで再び旦那から聞いた話を思い出した。
『その木には光る蝶が咲くんだって。ほらこの写真。』
そう言ってツイッターの写真を見せてくれた。
どう見ても何かのイルミネーションに思えたが、まさか本当に・・・?
《旦那ほど夢見がちな性格じゃないんだけどな・・・・でも気になるし。》
川原沿いの道を走り続け、どうにかUターンできる路肩を見つける。
そしてさっきの場所へ引き返すと、大木の枝に蝶がとまっていた。
「やっぱり光ってる・・・・。」
アゲハ蝶のような綺麗な羽をしたその蝶は、中に電球でも仕込んでいるんじゃないかと思うほど、ピカピカと輝いていた。
それと同時に、いつの間にか空模様も変わっていた。
さっきまでは青空だったのに、今は分厚い雲に覆われている。
「今日晴れじゃなかったっけ?」
不思議に思って見上げていると、光る蝶が飛んできた。
「いや、ちょっと・・・・、」
綺麗な蝶だけど、近くに来るのは勘弁してほしい・・・・。
私が触れる虫はテントウムシが限界なのだ。それも目を閉じてちょんと・・・・。
「あっち行って!」
ぶんぶん手を払っても、蝶はそれをすり抜けてくる。
それどころか私の頭にとまってきた。
「いやあ!」
バタバタと頭を叩きまくる。
しかし蝶は離れてくれない。
「ちょっと!ほんと勘弁して!!」
悪寒が止まらず、全身が泡立ってくる。
いっそのこと川に突っ込んででも払い落としてやろうかと思った。
「マジで離れろ!」
虫が頭にとまるなんて堪えられない・・・・。
もうここは覚悟を決めて、叩き潰すしかあるまい。
きっと内蔵とか出てくるんだろうけど、このままくっつかれるよりはマシだ。
拳を握って振り上げる。
そいつを思い切り頭にふり下ろそうとした時、おかしなことに気づいた。
「あれ・・・・手が・・・・、」
振り上げた腕が思うように動かせない。
なぜなら真っ白な糸が幾つも絡みついていたからだ。
その糸は頭の上から来ている。
ということは・・・・、
「ぎゃああああああ!」
蝶の羽から糸が出ていた。
ていうか今も出ている。
ワラワラと伸びてきて、私の全身を包み込んでいった。
「誰か!助けて!!」
怖いのと気持ち悪いのと吐きそうなのとで、とにかく叫びまくった。
しかしそんな事はおかまいなしに、糸は私を包んでいく。
やがて口まで塞がれて、息さえ出来なくなった。
《嫌だ!虫なんかに殺されたくない!》
・・・きっと私は餌にされるのだろう。
いや、もっと最悪なのは卵を産み付けられたりして・・・・、
《なんで・・・・なんで私がこんな目に・・・・、》
息が出来ないのと、虫に食われる恐怖とで、意識が保てなくなる。
身体も力が入らなくなって、地面を踏んでいる感覚さえなくなっていった。
《ああ・・・私・・・・ほんとに死ぬんだ・・・・。嫌だな・・・・。》
人が死ぬ時、走馬灯が見えるというけど、私には何も見えなかった。
頭に浮かんだのはただ一つ。
悔しいということだけだった。
32年生きてきた私の人生・・・・いったいなんだったんだろう。

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