蝶の咲く木 第二十一話 暴力の連鎖(1)

  • 2018.01.26 Friday
  • 12:35

JUGEMテーマ:自作小説

俺は電車オタクではないが、電車に揺られるのは好きである。
じっと座りながら、駆け抜ける景色を眺めるのは気持ちのいいものだ。
向かうは○○府の○○市。
ここにあの少年を殺した殺人犯がいるらしい。
場所は「羽布(ハブ)」という飲み屋。
スマホで検索をかけると、駅から近い場所にあった。
ゴトゴトと揺られる旅を終え、乗り換えの電車に駆け込む。
そして20分ほど揺られてから、目的の街まで到着した。
「大木がある街よりは都会だな。」
大都市○○府の中心から外れた街ではあるが、そこそこ大きなビルが立ち並んでいた。
目の前には車の多い通りがある。
その向こうにはごちゃごちゃと店が並んでいて、地元の人間でもなければ、どこに何があるかなんて分からないほど雑然としていた。
そんな雑居ビルの上には高速道路が通っている。
高架下の向こうには商店街があって、その中程に殺人犯行きつけの店があるのだ。
目的地へ行くのは容易い。
しかしここで問題が一つ・・・・。
《犯人の容姿を聞いてないんだよなあ。》
もっとも大事なことを聞きそびれていた。
今朝妻に電話したら、『ほんと抜けてる』と呆れられた。
そんなこと言われたって仕方ないではないか。
あの少年の幽霊を呼び出し、どんな奴か教えてというわけにはいかないのだから。
まあ・・・どうにかなるだろう。
信号を渡り、雑居ビルを越え、高架下の遠くへ伸びる商店街へと入った。
今日は休日なのにあまり人がいない。
ていうか廃れているといった方が正しいか。
駅のすぐ近くに大型の家電量販店と、大型のショッピングモールあったので、地元の人はそっちへ行くんだろう。
大手の店がこういう街へ出てくると、個人商店はことごとく淘汰されてしまう。
それでもまだ大型店が残っているうちはいい。
儲けが出ないからとそれらの店が撤退した時、ここはある意味焼け野原に変わるだろう。
廃れた商店街を見つめながら、かつてここが賑わっていた時、どんな風だったんだろうと思いを馳せた。
「・・・・・あ、さっきの店か・・・・。」
ボヤっとするのが俺の悪いクセ。
目的の店を通り過ぎてしまった。
ドアの上に大きく「羽布」と看板が出ている。
「さて、殺人犯は来てるかな?」
ドアに手を掛けるが、いくら引っ張っても開かない。
なんで?と思っていると、準備中という看板が掛かっていた。
「なんだよ?もう夕方の五時だぞ。まだ開店しないのかよ。」
少し離れて店を睨む。
ボロい木造の壁をトタンで補修している。
ドアのガラスはすすけていて、中を見ることは出来ない。
まさか潰れている?・・・と思ったが、そうでもなさそうだった。
一人の中年女が向こうから歩いて来て、ガチャガチャとドアを開けたのだ。
「あの・・・・、」
声をかけると、「なに?」と睨まれた。
見るからに柄の悪そうな女で、きょう日にヒョウ柄のジャケットを羽織っている。
これで頭が紫色なら、道頓堀でワイワイ騒いでいるおばちゃんそのものだ。
「すいません、もう営業始まりますか?」
そう尋ねると、「あんた誰?」と威圧的だ。
「誰って・・・飲みに来た客ですけど。」
「そうなの?じゃあ入って。」
「お邪魔します・・・。」
えも言えぬ迫力のあるおばちゃんで、自然と遜ってしまった。
おばちゃんは店の奥へ行き、パチっと電気を点けた。
薄橙の灯りが店内を照らして、昭和の飲み屋のような風情を醸し出す。
「どこでも好きなとこ座って。」
「あ、はい・・・。」
「あ、テーブル席はダメ。そこ常連さんが使うから。カウンターに座って。」
《どこでもいいって言ったクセに・・・・。》
いそいそと狭いカウンター席に座ると、「準備するから待ってて」と、厨房の奥へ引っ込んでしまった。
何やらガチャガチャ音が聴こえる。
一人で切り盛りしているのだろうか?
椅子を回し、狭い店内をじっくりと眺めた。
天井には行灯みたいなデザインをしたライトがあって、暖かいオレンジの光を放っている。
カウンター席は全部で五つ、その後ろには狭い通路があって、三つテーブル席が並んでいた。
家で使うような家庭的なクロスが掛けられていて、所々シミで汚れている。
《いかにも常連しか来なさそうなとこだな。酒も升に入って出てきたりして。》
スマホを取り出し、パシャっと一枚いただく。
おばちゃんはまだガチャガチャと音を立てていて、いつになったら出てくるのだろうと、厨房へ首を伸ばした。
「あの・・・・もしかして一見さんはお断りみたいな感じですか、ここ。」
「あええ!?」
「いや、常連さんが多そうな店だから・・・・、」
「流行ってないって言いたいの!?」
「そうじゃないですけど・・・・、」
「嫌なら他行きな!」
「だからそうじゃないんですけど・・・・。」
イライラしているのか、それとも元々こういう性格なのか。
話しかけても怒られるだけのようなので、黙っておくことにした。
それから数分後、ようやく注文を取ってくれた。
ビールとナスの田楽を頼み、一人もくもくと酒を舐める。
《誰も来ないな。これじゃただ飲みに来ただけだよ。》
今日は殺人犯は来ないのだろうか?
気がつけばビールは三杯目に突入し、肴も空になってしまった。
《ここへ来て一時間半か・・・・。もうちょっと待ってみるかな。》
それから更に時間を潰すこと30分、ようやく二人のおじさんが入ってきた。
いかにも土建屋みたいな格好で、おばちゃんと親しく話している。
続いて黒いジャンバーを羽織った爺さん、スーツを来た中年の男が三人と、そこそこ客が増えてきた。
《この中に犯人がいるのかな?》
あまりジロジロ見てもアレなので、横目でチラチラと確認する。
しかしそれっぽい奴はいなさそうで、どうしたものかと困ってしまった。
そもそも殺人犯に会ったことなどないので、それっぽい奴というのもただのイメージでしかないけど。
《あなたは殺人犯ですか?なんて尋ねるわけにもいかないしなあ・・・・これじゃほんとに飲みに来ただけで終わっちまう。》
少々焦りが出てくる。
しばらく酒を舐めていると、また新たな客がやって来た。
今度は若い男だ。
いや、若いっていうか子供っぽいといった方が正しい。
大人ではあるけど、顔立ちも雰囲気も幼いというか。
それにとても中性的な顔立ちをしている。
若干の無精ヒゲがあるので男だと分かるが、それを剃って女装すれば、女でも通りそうなほどだ。
おばちゃんは「いらっしゃい」と笑顔で迎える。
《初めて笑った顔見たな。知り合いか?》
ニコニコしながら「いつものでいい?」と尋ねている。
「あ、今日はカレーで。」
「何か付けようか?」
「じゃあハンバーグを。」
おばちゃんは笑顔のまま厨房へ消えていく。
そして若い男は俺から一つ離れたカウンター席に座った。
スマホを取り出し、何やら熱心に見ている。
ラインでもやっているのだろうかと、それとなく覗き込んでみると、ヤフーキッズを見ていた。
《なんだこいつ・・・・。》
カレーにハンバーグは乗せるわ、スマホでヤフーキッズは見るわ。
それに加えてこの中性的な童顔。
まるっきり子供じゃないかと、興味をそそられてしまった。
やがてハンバーグカレーが運ばれてきて、「熱いから気をつけて」とおばちゃんの愛想付きだ。
「ちょっと冷ましてあるけどね、食べられると思うよ。」
「うん。」
スプーンを持ち、少しだけ口を付けてから、すぐに水を飲んでいた。
「あ、まだ熱かった?」
「ちょっと。」
「団扇持って来ようか?」
「平気。」
「水足しとくね。氷は?」
「いい。」
愛想よく気遣うおばちゃんと、素っ気ない若者。
これじゃまるで親子の会話だ。
ていうか本当に親子なんじゃ・・・・と思ったが、そうではないとすぐに分かった。
「お父さんどう?仕事忙しい。」
「泊まりが多い。」
「新しいお母さんは慣れた?」
「まだ結婚してないよ。付き合ってるだけ。」
「なんだ、まだなの?タモっちゃんもいい加減にしないと、誰も嫁に来てくれなくなるよ。」
「誰でもいいよ僕は。最初の奴に比べたら。」
「そうだね・・・ありゃ酷かった。血の繋がった親子のクセに。」
急に切ない顔を見せるおばちゃんと、相変わらず淡々としている若者。
さらに興味を惹かれて耳を立てていると、その気配をおばちゃんに察知されてしまった。
「盗み聴きしてんじゃないよアンタ。」
「え?」
「じっとこっちの話聴いてただろ?」
「あ、いや・・・・聴こえるもんだからつい。」
「常連さんの邪魔するなら帰ってくれよ。」
「いやいや、そんな・・・・、」
怒ったおばちゃんの顔は猛牛のようで、余計な反論はやめた方がいいだろう。
「あと一杯やったら帰ってよ。」
「え?もう閉店ですか?」
「違うよ、ウチは長居する店じゃないって言ってんの。他にも馴染みの客が来るんだから、いつまでも居座らちゃ困るんだよ。」
《なるほど、やっぱり一見さんはお断りと。》
仕方ない、ここは一旦外へ出よう。
何もここで待っていなくても、外から張り込んでいればいいだけだ。
それっぽい奴が来たら声を掛けてみるか。
勘定を済ませ、店の外でウロウロする。
夕方よりも人が多くなっているのは、この商店街に飲み屋が多いせいだろう。
至る所に看板が灯っている。
タバコを点け、少し離れた場所から店を見つめる。
するとさっきの若者が出てきた。
おばちゃんはご丁寧にも見送りに出ている。
「これ、明日のおかずにでもして。」
「うん。」
白いビニール袋を受け取って、若者は店を後にした。
顔立ちも雰囲気も幼いと思ったが、歩き方まで幼さを感じる。
なんというか・・・・小学生くらいの男の子が、学校帰りにフラフラとしている足取りだ。
まっすぐ歩けるクセに歩かない。
どこかに面白いものはないかと、道草のネタを探している・・・・そんな感じがした。
「最近流行りの発達障害ってやつかな?」
見知らぬ青年がどんな病気や障害を抱えていようと知ったことではない。
ないのだが・・・・なんとなく見入ってしまうのは、年相応ではない動きと雰囲気が、新鮮なものだと感じてしまうからだろう。
まあいい、あんな青年に構っても仕方ない。
携帯灰皿にタバコを押し付け、店を振り向く。
すると・・・・、
「おうッ・・・・・、」
思わず飛び上がりそうになる。
なぜなら目の前に幽霊の少年がいたからだ。
「あの・・・・また何か伝えたいことが?」
死者の便りはまだ終わらないらしい。
気持ちのいいものではないが、せっかく来てくれたのを邪険にするのは申し訳ない。
「今日は何を伝えに来たんだ?・・・いや!ていうか俺からも聞きたいことがあるんだ。
ここへ来たはいいけど、その殺人犯がどんな奴か聞いてなかった。出来れば特徴を教えてほし・・・・、」
そう言い終える前に、少年は商店街の先を指差した。
「え?なに?」
《・・・・・・・。》
「え?まさか・・・・あの青年?」
《殺して。》
「あいつが犯人なんだな?」
《殺して、お願い。》
「・・・・とりあえず後をつけてみる。気になるなら君も一緒に来い。」
遠くに見える青年の背中を追いかける。
彼は商店街から出て、雑居ビルとは反対の方へと歩いて行った。
大きな道路が通っているが、こちらは駅前の通りとは違って閑散としている。
商店も減っていき、代わりにマンションや民家が増えてきた。
遠くには学校らしき建物も見える。
その後ろは山になっていて、上の方に送電線鉄塔が建っていた。
《この辺りは住宅街か。さっきの場所とは全然雰囲気が違うな。》
同じ街であっても、通り一つ挟んだだけで、ガラリと雰囲気が変わるのはよくあることだ。
ここに立ち並ぶマンションや民家のどこかに、彼の家はあるのだろうか。
気づかれないように距離を取って尾けていく。
大きな道はまっすぐ続いており、今振り返られたら、身を隠すのは難しい。
しかし青年はまったく振り向かない。
スマホ片手に、子供のような足取りで歩いていくだけだった。
そのまま尾行すること10分弱、青年は一軒の民家の前で立ち止まった。
俺は近くのマンションの植え込みに身を寄せた。
完全に隠れられるほどスペースがないので、スマホをいじって尾行を誤魔化す。
《あれがあいつの家か?》
やや赤みがかった瓦をした、どこにでもありそうな二階建ての家だ。
青年は門を潜り、ドアに鍵を差し込み、家の中へと消えていった。
「・・・・・・・・。」
植え込みから出て、周りを警戒しながら、その家へと近づいた。
ふと見上げると、二階の窓に人影が映った。
《ヤバッ!》
咄嗟にしゃがみ、壁に身を隠す。
・・・ちょっとだけ顔を出し、二階の窓を見上げる。
すでに人影はなく、部屋にいるのかどうかも分からなかった。
「家を突き止めたのはいいけど、これからどうしよう?」
俺は探偵でもなければ警察でもないので、捜査の仕方なんてまったく知らない。
・・・であれば、記者という肩書きを使うしかないだろう。
財布には名刺が入っている。
ここにはバッチリとオカルト雑誌の名前が印刷されているので、『この辺りでUFOの目撃例があったんですよ』なんて取材を申し込んでみよう。
アホなやり方だとは思うが、効果はてきめんなのだ。
普段の取材でも、UFOやUMAを追いかけていると言うと、大抵の人は面白がって応じてくれる。
多分あの若者も乗ってくるだろう。
名刺を取り出し、ふうっと息をつく。
玄関の前に立って、「すいませ〜ん」とチャイムを押した。
すぐにトトトと足音が近づいてきて、ガチャリとドアが開いた。
「はい?」
先ほどの青年が顔を出す。
俺は「どうも」と営業スマイルを振りまいた。
「実はわたくし、こういう者なんですが・・・、」
名刺を渡すと、特に表情を変えることなく見つめていた。
「月間アトランティスという雑誌の記者なんです。
今UFOの取材をしていまして、この辺りで目撃例があったんですよ。
それで他にも目撃者がいないかと探している最中でありまして。」
努めて笑顔で語りかけると、「見てません」とアッサリした回答だ。
「本当に?夜とかに不思議な光を見たとかありませんか?」
「ないです。」
「じゃあそういう噂を聞いたとかは?」
「ないです。」
「そうですか・・・・。じゃあ・・・、」
「ないです。お答えすることはありません。」
そう言って名刺を突き返された。
踵を返し、家の中へと消えてしまう。
「あ、ちょっと・・・・、」
バタンとドアが閉じられて、足音が遠ざかっていく。
《取り付く島もなかったな。》
まったくなんの興味も示さなかった。
こういったオカルト的なものを嫌っているのだろうか。
どうしたもんかと困っていると、後ろから「誰だ?」と声がした。
「へ?」
振り向くと、青いツナギを着た男が立っていた。
日に焼けた顔、ポツポツと目立つ白髪。
いかにも中年のオヤジといった風貌で、その目は敵意に満ちていた。
「あんた誰?」
「えっと・・・・この家の方で?」
「だとしたらなんだよ?」
「いや、実はわたくしこういう者でして。」
先ほど突き返された名刺を差し出す。
オヤジは「月間アトランティスう?」と訝しがった。
「はい。いわるゆオカルト雑誌でして。」
「あんた記者さん?」
「そうです。実はこの辺りでUFOの目撃例があったので、お話を伺えないかと・・・、」
そう言いかけた時、「帰れ!」と怒鳴られた。
「こっちは泊まりの仕事から帰って来たんだ。そんなもんに付き合ってられるか。」
ドンと俺を突き飛ばし、家の中へ消えてしまった。
「あ、ちょっと・・・・、」
また取り付く島もなかった。
「今のは青年の親父かな?」
じっと家を見上げ、「どうしよう・・・」と困る。
あの若者は本当に殺人犯なのか?
もしそうだとしたら、この家には証拠となる物が隠されているかもしれない。
どうにかして中に入れないか考えていると、《殺して》と声がした。
隣を見ると少年の幽霊が立っていた。
どうやらついて来たようだ。
「なあ?本当にあの若者が犯人で間違いないんだよな?」
《あいつが僕を殺した。》
「本当に?」
《本当。》
「本当の本当に間違いないんだな?あの青年が・・・・、」
《本当。》
「・・・・なあ、ちなみに君が殺されたのっていつ頃の話?」
《20年前。》
「20年・・・・けっこうたってるな。」
《復讐して、早く。》
「いや、それはちゃんと調べてからだな・・・・、」
《復讐して。お願い・・・・。》
そう言い残し、少年は消え去った。
俺は犯人の家を振り返り、グっと唇を噛み締めた。
「俺だけじゃこれ以上調べるのは無理か・・・・。」
・・・昨日、妻と話してから一日が経とうとしている。
もう悩む時間は終わった。
《無駄足だったな・・・・。こんな事なら最初から復讐を選んでおけばよかったのかも。》
踵を返し、家から離れる。
街灯を見つめながら、俺もとうとう人殺しになってしまうのかと、悲しいやら情けない気持ちになってきた。
ぼんやりとあれこれ考えながら、トボトボと夜道を歩いていく。
優馬のこと、子供の国のこと、ヴェヴェのこと、爺さんのこと、そしてあの少年のこと。
とりとめもなく、ここ数日に起きた出来事が、冴えない頭の中を流れていった。
・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・あれ?
ふと足が立ち止まる。
「これおかしいよな・・・・。」
おぼろげな頭で考えていた、色んな出来事。
その中に一つ、矛盾していることがあった。
「あの少年が亡くなったのは20年前・・・てことは子供の国はその後に誕生したことになる。」
子供の星は少年の絵が元になっている。
少年が死んですぐに子供の国が出来たとしても、その歴史は20年しかない。
あの屋敷の爺さんも、かつて子供の国へ行ったことがあると言っていた。そしてクローンとして蘇ったのだ。
しかしあの少年が亡くなったのは20年前。
・・・・・なんで?
《子供の国が出来たのは20年前。でも爺さんから20歳引いても子供にはならない。
てことはつまり・・・・どういうことだ?》
腕を組み、眉間に皺を寄せる。
・・・ていうか、そもそもどうしてあの少年は爺さんの家に現れたのだろう?
もちろん絵を渡す為なのだろうが、じゃあどうしてその絵があの屋敷にあったんだろう?
あの少年は孫でもなければ親戚でもない。
じゃあどうしてあの爺さんの家に?
再び悩んでしまう。
すると突然「あの・・・・」と声を掛けられた。
ビクっと振り向くと、さっきの青年が立っていた。
「すいません・・・・驚かせちゃって。」
「いや、いいんだけど・・・・どうしたの?」
「実は・・・・見たことあるんです。」
「ん?何を・・・?」
「UFO。」
「へ?」
「見たことがあるんです。ていうか・・・・しょっちゅう見てる感じです。」
「・・・・マジで?」
「まだ幼稚園くらいの頃からだから、もう20年くらい前からずっと見てます。夜になると。」
「20年・・・・、」
「さっきは素っ気ない態度とっちゃったけど、でも・・・・すいません。人見知りなんです、僕。
僕もずっとUFOみたいな光のことが気になってて、誰かに話したかったんです。
その・・・取材とかするんだったら、今からでも話を聞いてもらえますか?」
淡々とした口調は相変わらずだが、声には熱が篭っている・・・・ような気がした。
その目はまっすぐで、童顔と相まって子供に見つめられているような気分だ。
「・・・・いいよ、取材に応じてくれるならこっちも嬉しい。」
「場所変えよう」と歩き出すと、青年はトコトコとついて来た。
頼りない足音が、本物の子供のように思えた。

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