浦島太郎とオトヒメのモデルになった神様 山幸彦とトヨタマヒメ

  • 2018.03.29 Thursday
  • 14:18

JUGEMテーマ:神話・伝承全般

童話、浦島太郎に登場するオトヒメ様。
実は日本神話に登場する女神が元になっています。
まず海にはオオワダツミという神様がいて、その娘にトヨタマヒメという女神がいました。
あるとき、トヨタマヒメのところへとある神様がやってきます。
それは山幸彦(ヤマサチヒコ)という神様です。
この神様には海幸彦(ウミサチヒコ)というお兄ちゃんがいて、ひょんなことから釣り針をなくしてしまいました。
「これじゃあ魚が釣られへん!」と嘆くお兄ちゃんに代わり、弟が海まで探しにやって来ました。
その時、偶然にトヨタマヒメと出会います。
一目惚れした山幸彦は「結婚してくれ!」とプロポーズしました。
二人はめでたく結ばれ、海の宮殿で幸せな時間を過ごします。
しかし山幸彦は思い出しました。
どうして自分がここへ来たのかを。
「あかん!釣り針を見つけて兄ちゃんのところに戻らな!」
目的を思い出した山幸彦は、釣り針を持ってお兄ちゃんの待つ地上へ戻りました。
「おう!遅かったやないかい!」
「堪忍や、ほらこれ。」
無事に釣り針を返し、これで一件落着かと思われました。
しかし事態は急転します。
釣り針を取り戻し、ようやく魚を釣って飯にありついたお兄ちゃんでしたが、その後はなぜか不安に見舞われたのです。
自分の治める国がどんどん貧しくなり、「どないなっとんねん!」と激怒しました。
「思えば弟がこっちへ帰って来てからおかしいなった。あいつなんかやりよったな。」
怒りに燃えるお兄ちゃんは弟の国を攻めます。
しかし逆にフルボッコにされて、「すんまへん・・・」と軍門に下りました。
さて、この話は上にも書いたように、浦島太郎の元となっています。
どうしてお兄ちゃんは不幸に見舞われたのか?
理由は弟にありました。
実は弟が持って帰ってきた釣り針には呪いが掛けられていたのです。
トヨタマヒメの父であるオオワダツミは、たいそう娘婿のことを気に入っていました。
そこで針に呪いを掛け、兄を不幸にして弟が覇権を握れるように仕掛けをしておいたわけです。
しかしオオワダツミに夫の悩みを相談したのは、実はトヨタマヒメでした。
それは夫を助ける為でもありましたが、それと同時に地上へ戻ってしまられたらどうしようという不安もあったはずです。
会った瞬間に一目惚れされて、「君の作った味噌汁を毎日飲みたい」などとプロポーズされたのに、いまさら捨てられたたまったもんじゃありません。
そこで父に相談し、最後はまた海へ戻って来てもらう為に、針に呪いをかけるよう頼んだのではないか・・・・とも考えられます。
なぜなら兄の軍門に下ることがあれば、夫は自由を奪われ、二度と戻って来ないからです。
針の呪いはトヨタマヒメの策略ではないか・・・・と、ちょっとひねた見方もできます。
そのほかにこんな話が残っています。
山幸彦と結ばれたトヨタマヒメは子宝を授かります。
お腹は日に日に大きくなり、いよいよ出産の日を迎えました。
その時、夫にこんな忠告をしました。
「あーた、子供を産む瞬間はなにがあっても覗かないで下さいまし。」
固く釘を刺してから分娩室へと向かう妻。
なるほど、そういう瞬間は夫でも見られたくないものかと納得した山幸彦は「おk」と頷きます。
しかし「普通はあそこまで拒否するもんやろか?」と疑問に思い、その疑問はやがて好奇心へと変わりました。
「ちょっとくらいやったら覗いてもええやろ。」
安易な気持ちでドアの隙間から覗き込むと、「ほげええええ!」と腰を抜かすような光景が。
なんとそこにいたのは大きなサメだったのです。
「なんであんなでかいサメが分娩室におんねん!ワイの嫁さんはどこ行ったんや・・・・。」
まさかあのサメに食われてしまったのか?
不安になる山幸彦でしたが、ふとある事に気づきます。
「あのサメ子供を産んどるな。は!まさか・・・、」
うろたえる山幸彦・・・次の瞬間、「見たな・・・」とサメが振り返りました。
「あれほど覗くなと言ったのに・・・・。」
「ひえ!」
そう、トヨタマヒメの正体は八尋鰐(やひろのわに)という巨大なサメだったのです。
出産時は元の姿に戻ってしまうのでしょう。
だから決して覗くなと忠告したわけです。
妻の正体を知った山幸彦は慌てて地上へと逃げ出しました。
トヨタマヒメと山幸彦。
これはオトヒメと浦島太郎のモデルです。
竜宮城を去る時、玉手箱をもらった浦島太郎はオトヒメの忠告を無視して開けてしまいます。
そのせいでお爺さんになってしまうわけですが、これには諸説あります。
実は竜宮城は時間の流れが遅く、地上は何十年も経っていた。
玉手箱はその時間の流れを元に戻す物であり、だから浦島太郎は地上の時間の流れに則って、お爺さんになってしまった。
けどもう一つ考えられるのはオトヒメからの復讐です。
自分を捨てて地上へ戻ろうというのなら、タダでというわけにはいかない。
それ相応のリスクを背負ってもらうわという、一種の警告だったのではないかと思います。
山幸彦も浦島太郎も、愛した女性を残して去ってしまうという点は同じです。
自分はそれで良かったとしても、トヨタマヒメやオトヒメからしたら怒りが沸くでしょう。
どうしても戻りたいのなら戻してあげるけど、共に過ごした時間がチャラになると思うのは大間違い。
呪いの釣り針も玉手箱も、地上へ戻る為に背負わなければいけない業だったのでしょう。
実はこういう話は海外の神話にもあります。
愛した男には献身的に尽くそうとする美しい水の精霊ウンディーネ。
しかし浮気をしたならばその男を殺してしまいます。
またギリシャ神話の女神ヘラは、夫であるゼウスの浮気癖に悩まされていました。
ゼウスは神々の長であり、最強の神様でもあるので、「ちょっとアンタあああ!」と怒ることはあっても、さすがに手を下すことは出来ません。
その代わり怒りは別の相手に向います。
夫と浮気をした女に。
それが人間だろうが精霊だろうが天罰を食らわせるおっかない女神です。
今は子供向けの童話になっている物語も、元を辿れば男女の愛憎という話は珍しくありません。
童話とは古くから伝わる神話や民話を子供向けに改良したものなので、元ネタはけっこうドロドロしていたりするんですよ。
その昔、浮気は男の甲斐性を言われていました。(今はそんなこと絶対に言えませんが)
しかし同時にウンディーネやヘラやトヨタマヒメのような女性がいて、浮気に対してはそれ相応の報復を行うのも常だったのかもしれません。
なぜなら神話や民話は、その当時の出来事や世界観を物語にしたものなので、神話に登場する神様たちの性格は当時の人たちの性格を反映しているとも言えるからです。
もしかしたらですけど、玉手箱のせいでお爺さんになってしまった浦島太郎を見て、オトヒメはニヤリと笑っているかもしれませんね。
私を捨てたんだから、自分だけ幸せになるのは許さないわよ・・・・と。

calendar

S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< August 2019 >>

GA

にほんブログ村

selected entries

categories

archives

recent comment

recommend

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM