芸術はお金じゃない だからお金にはならない

  • 2018.09.05 Wednesday
  • 13:13

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JUGEMテーマ:芸術

今は体験を売る時代と言われています。
CDは売れなくてもライヴのお客さんは増えているそうです。
アイドルの握手会も盛況のようだし、人気のスポットがあればインスタ映えを求めて若い人が殺到します。
ネット全盛の今、あらゆる創作物は簡単にコピーされ、それを取り締まる法律も追いついていません。
漫画村なる漫画家にとっては一円にもならないどころか、時間と労力をかけて作り上げた漫画を無料で閲覧されてしまうようなサイトもありました。
サーバーが海外となれば簡単に規制することも出来ません。
多くの人が手軽にネットができる今、違法コピーや違法アップロードが容易いものはお金になりにくくなっています。
だけどたった一つだけネットでは手に入らないものがあります。
それが体験です。
CDはコピーできてもライブを体験することはコピーできません。
アイドルとの握手も人気スポットで写真を撮ることも、インターネットの中には転がっていないからです。
その場に足を運んで体験を得る。
実は一番アナログなものこそが違法コピーや違法アップロードを免れているんだと思います。
どう技術が発達しようが、その場に行かなければ得られないものが生の体験です。
バイクの映像を見てもバイクには乗れないし、登山の映像を見ても山には登れません。
良いカメラを見ても自分の物にはならないし、良い写真を見ても自分が同じクオリティで撮れるわけではありません。
行ってみる、やってみる、五感の全てで感じてみる。
そういった手触りのある体験は、自分自身の生の肉体を駆使してこそ得られます。
分かりやすいのは花火です。
もう花火大会の時期は過ぎてしまいましたが、昔から続くこの伝統行事は今でも人気です。
若い人からお年寄りまで、花火大会の日はたくさんの人が集まってきます。
まだ陽が高いうちから集まって、まだかまだかと待ちつつも、それまでの時間を楽しんでいます。
出店で焼きイカを買う、偶然会った友達としゃべる、景色を見ながらぶらぶらと歩く。
そして夜になって花火が打ち上げられると、面倒臭がりな出不精の人であっても、家から見える範囲なら窓から顔を出すでしょう。
今日は花火大会で、ネット中継があるからそれでいいやと満足する人がいったいどれだけいるのか?
そう思う人が多いのなら、各地の花火大会で交通整理をしたり、出店が並ぶことはないでしょう。
外でドンドン花火が上がっているのに、窓から顔を出さずにネットで見ている人はまずいないんじゃないかと思います。
ネットの普及に伴い、儲からない商売がたくさん出てきました。
反面、ライヴや握手会が盛況になったりと、生でしか体験できないことが人気を得ています。
ユーチューバーが人気なのは馬鹿なことにやってみる人がいるからだけど、あれは見ている人たちに疑似体験を売っているんだと思います。
テレビの中はプロが集まった完成された世界です。
見ている側には手の届かない別世界です。
だけど自分と距離を近く感じるユーチューバーたちが、〇〇をたくさん買ってみたとか、〇〇へ行ってみたという企画をやると人気が出ます。
自分でもやろうと思えばできるけど、そこまでしてやりたくないことを、ユーチューバーが代わりにやってくれることで、疑似体験を得ることができるからです。
ああ、こういう風になるんだなと、まるで自分が体験しているかのような錯覚を売っている商売です。
ほんとに上手い所に目を付けたなと感心します。
そういえば元都知事の石原慎太郎さんは、若い頃に先輩の作家からこんなことを言われたことがあるそうです。
若くして顔が広く、売れっ子だった石原さんに向かって、「こんなに若いうちから良い思いをしちまって、これからどうするつもりなんだ?」と。
続けて「作家なんて本来はそう儲かる商売じゃないんだよ」と。
音楽、小説、漫画やアニメに映画、写真だって芸術です。
けど歴史を振り返ってみると、たしかに芸術系が儲かった時代なんてつい最近の70年代から90年代くらいじゃないでしょうか。
よくて00年代の前半。
だからこそ昔の芸術家はパトロンを求めたんだと思います。
本来は芸術というのはお金にならないものです。
どんなに名曲や名作を作ろうが、億万長者になるなんてありえないことです。
でもそれが可能になったのは、芸術で儲ける仕組みが出来たからです。
CD、カラオケ、コミック本、VHSやDVD。
ライヴや映画館の上映だけでは決して届かない億万長者への道は、芸術家自身の力だけでは無理です。
作品で儲かる仕組みがあって、上手く時代とマッチしていたからこそ。
でもどんなに嫌でも時代は変わるものだから、それに伴ってお金を生むシステムも変わっていきます。
たんにネットの違法コピーやアップロードを批判しても、削除してはアップしてのイタチごっこです。
なぜならお金が絡むと、常識や道徳というのは後回しになってしまうからです。
重犯罪にでも手を染めないレベルなら、お金になるならいいやってリスクを背負う人たちはいつの時代もいるでしょう。
今は芸術作品を作って儲けられる時代じゃありません。
時代は体験です。それも生の。
もしくはユーチューバーのように見ている人に疑似体験を売るか。
よく芸術はお金じゃないと言うけれど、まさにその通りです。
評価されない時だけ芸術を盾にして、いざ周りから認められるとお金にうるさくなる人はたくさんいるでしょう。
でも芸術はお金じゃないからその理屈は通らないんです。
お金を生んでいるのは芸術そのものじゃなく、それをお金に換えるシステムがあるからです。
でもそんなシステムはいつでも変わってしまうから、結局は芸術そのものにお金を生み出すほどの力はありません。
芸術作品が儲からない今の時代、ネットのせいでというのは的外れです。
ただ単に70年代から90年代が恵まれていただけに過ぎません。
未だにバブルを夢見る人がいるけど、創作の世界で大金を得たいという人がいたら、それは全くバブルを夢見る人と同じです。
儲かったのは芸術そのものの力だけじゃなく、儲かる仕組みと環境があっただけのことなんですから。
芸術はお金にならない。
なぜならお金じゃないのが芸術だから。
何の役にも立たなくて、でもお金だけで計れない価値があって、説明も定義も難しいんだけど、優れた芸術にはたしかに人の心を打つ力が宿っているんです。
そんな曖昧で計算もできないものがお金になるはずがありません。
でも優れた芸術は何百年や何千年も前のものでも残っています。
お金じゃない価値があるからです。
お金に換わるってことは消耗品になるってことです。
生きているうちに儲けたいのなら、芸術の世界から足を洗って、今の時代に儲かりそうな世界に飛び込めばいいだけです。
芸術はお金じゃない、だからお金にはなりません。

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