竜人戦記 第四十九話

  • 2010.09.24 Friday
  • 09:25
 カレンというゴーストのいた村から旅を続けること二週間。
ケイト達はついに地獄の門の鍵のある塔までやって来た。
塔は高くそびえ立っており、入口の扉には魔法陣が描かれている。
「魔人は襲って来ねえな。」
フェイが言った。
四週間前、ケイト達は魔人に地獄の門の鍵の地図を奪われた。
しかし地獄の門の鍵の封印を解く石はケイト達が持っている。
だからこの塔まで来れば、きっと魔人が襲ってくるだろうとみんな予想していたのだ。
しかし魔人が襲ってくる気配はない。
「まあいいじゃないか。
魔人が襲ってこないのにこしたことはない。
早くこの塔に入ろう。」
マルスが言った。
地獄の門の鍵の塔の扉には魔法陣が描かれている。
きっと勝手に誰かが入れないように封印がしてあるのだろう。
ウェインはトリスからもらった地獄の門の鍵のある塔に入る為の鍵を取り出した。
その鍵で魔法陣の描かれている扉を開ける。
扉は一瞬光ってから開いた。
中は広い部屋で、右側に上に続く階段があった。
きっと塔の最上階に地獄の門の鍵があるのだろう。
ケイト達は塔の階段を上った。
するとそこにも広い部屋があった。
階段は部屋の奥にある。
ケイト達は奥の階段に向かって歩き始めた。
すると階段の手前に魔法陣が現れて、筋肉質な体をした鋭い目つきをした男が現れた。
着ている服は、フェイ達が着ている物とそっくりだった。
どうやらこの男も武道家のようである。
その男はケイト達に向かって言った。
「お前達は地獄の門の鍵を手に入れようとしているのか?」
「ああ、そうだ。」
フェイが答えた。
するとその男は言った。
「俺の名前はリオンという。
武道家だ。
トリスに頼まれて、この塔の番をしている。」
リオンと名乗った男はそう言った。
そう言えばトリスは、地獄の門の鍵のある塔には何人か強力な見張りをつけていると言っていた。
リオンもその一人ということだろうか。
「俺の倒さねば、この先へは進めない。」
そう言ってリオンは拳を前に出して構えた。
ウェインが大剣を構えて前に出る。
それをフェイが止めた。
「ちょっと待ってくれ、ウェイン。
あいつは武道家だ。
ならあいつの相手は俺がする。」
そう言ってフェイはリオンに近づいて行った。
「私だって武道家だもん。
私も闘う。」
リンもそう言ってリオンに近づいて行く。
「どうする、ウェイン。
ここはフェイ達に任せるか?」
マルスが言った。
ウェインはフェイ達を見てから、大剣を背中に戻した。
「あいつらの好きなようにやったらいい。」
ウェインは言った。
どうやらフェイ達に闘いを任せたようである。
「お前達も武道家だな。」
フェイ達を見て、リオンが言った。
「おうよ。
まだ修行中の身だけどな。」
フェイが答える。
「そうか。
しかし修行中の身といえど、手加減はせんぞ。」
リオンは構えながら言った。
「望むところだ。」
そう言ってフェイも構える。
「私だって修行中の身だけど、負けないもん。」
リンも構えた。
「ではいくぞ!」
リオンがフェイに素早く距離を詰めると、見えないほど速いパンチを打ってきた。
フェイは何とかそれを防ぐ。
リオンは続けて蹴りを放った。
フェイはそれを防ごうとしたが間に合わず、胸にリオンの蹴りをくらってしまった。
後ろへ大きく吹き飛ばされるフェイ。
そしてフェイを追撃するリオン。
リオンの攻撃は凄まじかった。
一発一発の攻撃に重みがあり、フェイの体に攻撃が当たる度にバシン!という大きな音が響いてくる。
フェイは防戦いっぽうだった。
「お兄ちゃん!」
そこへリンが助けに入る。
「やあ!」
そう叫びながらリンは飛び蹴りを放った。
しかしリオンは片手でリンの飛び蹴りを防ぐと、リンに蹴りを放った。
それをくらって吹き飛ばされるリン。
「このお!」
フェイが怒って反撃に出た。
強烈なパンチをリオンに打ち込む。
ドスン!という低い音が響いた。
リオンはそれを両手で防ぐと、ニヤリと笑った。
「中々いいパンチをしているな。」
そう言うと、リオンも強烈なパンチを放った。
フェイの時より大きな音が響く。
フェイはリオンのパンチを両手で防いだが、そのダメージは両手を貫通して体に伝わってきた。
「ぐはあ!」
そう言いながらフェイは倒れた。
そして倒れたフェイに拳を打ち込むリオン。
「ぐふう!」
フェイは苦しそうな声をあげた。
そこへリンが助けに入る。
リオンに向かって何発もパンチを打ち込んだ。
しかしリオンは片手でそれを防いでいる。
リンは強烈な回し蹴りを放った。
リオンはしゃがんでそれをかわすと、リンのお腹に拳を打ち込んだ。
「ぐうう!」
リンはお腹を抑えて膝をついた。
そしてリオンは、リンの頭に蹴りを放った。
リンはそれをまともにくらって倒れ込んだ。
「この野郎!」
倒れていたフェイは何とか起き上がり、リオンに向かって肘打ちを放った。
リオンはそれをかわすと、膝蹴りをフェイに放った。
「ぐはああ!」
フェイはそれをくらって、苦しそうな声を出しながら再び倒れ込んだ。
リオンは強かった。
フェイとリンとでは敵わないほどに。
「ウェインさん、フェイとリンを助けて!」
ケイトは言った。
しかしウェインは首を横に振った。
「まだ闘いは終わっていない。
あいつらを信じて見守っていろ。」
ウェインはフェイ達を見ながらそう言った。
「何だ、もう終わりか?」
リオンが倒れ込んだフェイとリンを見て言う。
するとフェイはよろめきながら立ち上がった。
「まだまだ・・・。」
フェイはふらつきながら構えた。
「リン、しっかりしろ!」
フェイは倒れているリンに声をかけた。
するとリンもよろめきながら立ち上がった。
「勝負はこれからだ。」
フェイはそう言うと、リオンにパンチを放った。
それを片手で受け止めるリオン。
しかしリオンの後ろから、リンが足払いを放った。
それをくらってよろけるリオン。
そこへフェイが強烈なパンチを放った。
「はあ!」
フェイはかけ声とともにリオンに拳を打ち込んだ。
リオンは両手でそれを防ぐ。
そこへリオンの後ろからリンが回し蹴りを放った。
リンの回し蹴りは、リオンの頭に当たった。
「くっ!」
そう言ってリオンはリンの方を向いて攻撃をしかけようとした。
するとリオンの後ろからフェイが膝蹴りを放った。
それをくらってぐらつくリオン。
そしてリンはリオンにまた足払いを放った。
転びそうになるリオン。
そこへフェイが飛び蹴りを放つ。
リオンはそれをくらって倒れ込んだ。
そしてリンは倒れ込んだリオンに拳を打ち込もうとした。
しかしリオンは素早く起き上がってそれをかわした。
フェイとリンは、リオンを挟み打ちするように立っていた。
「中々やるな。」
リオンがニヤリと笑った。
そしてフェイに向かって蹴りを放ってきた。
フェイはそれを受け止めると、自分も蹴りを放った。
それを受け止めるリオン。
しかしリオンの後ろから、リンが強烈なパンチを放った。
ドスン!という低い音がして、リオンの体に当たった。
「ぐうう!」
リオンは苦しそうな声を出した。
そこへすかさずフェイも強烈なパンチを放つ。
再びドスン!という低い音が響いて、リオンの体に当たった。
「ぐはああ!」
リオンは苦しそうな声をあげた。
リオンは、フェイとリンの連携攻撃に翻弄されていた。
リオンは片手でフェイに、片足でリンに攻撃した。
しかし二人はそれをかわすと、同時に蹴りを放った。
フェイの蹴りはリオンのお腹に、リンの蹴りはリオンの頭に当たった。
リオンは大きくよろめいた。
そしてそこへ二人揃って強烈なパンチを放った。
ドスン!という音が二重に響く。
二人のパンチをくらって、リオンは倒れた。
そしてフェイが倒れているリオンの顔めがけて拳を打ち込んだ。
しかしその拳は寸止めだった。
「どうだい?
まだ続けるか?」
フェイは拳を寸止めしたままリオンに言った。
「いや、お前達の勝ちだ。」
そう言うとリオンは二コリと笑った。
「お前達は立派な武道家になれるだろう。
将来が楽しみだな。」
リオンがそう言うと、フェイはリオンに手をさしのべた。
それを掴んで起き上がるリオン。
「あんた相当強かったぜ。
きっと俺一人じゃ負けてた。」
フェイはそう言ってリンの方を見た。
リンはニコッと笑ってピースした。
「お前達の勝ちだ。
上の階段へ上がるがいい。」
リオンは言った。
「ああ、そうさせてもらうぜ。」
フェイは笑って言った。
「お前達、立派な武道家になれよ。」
リオンはフェイとリンにそう言うと、出て来た魔法陣へと戻って行った。
リオンは魔法陣の中へと消えて行った。
ケイトはフェイとリンに近づき、聖者の腕輪を使ってダメージを回復させようとした。
しかし二人はそれを断った。
「俺達は大した怪我はしてねえからいいよ。
それよりこの先は何があるか分からねえからな。
その時の為に力を温存しとけよ。」
フェイはそう言った。
「でも・・・。」
ケイトは二人が深刻なダメージを受けていないか心配だった。
「私達なら大丈夫だよ。」
リンが笑って見せる。
「二人がそう言うなら。」
ケイトは聖者の腕輪で二人を回復させるのをやめた。
「そのかわり、俺達はちょっとここで休んでいくからよ。
お前達は先に上の階段に上がって行ってくれ。」
フェイがそう言った。
「上の階段へ行こう。」
ウェインがケイトを促した。
ケイトは頷き、フェイとリンに言った。
「じゃあ先に行ってるから。
二人も休んだら上まで来てね。」
その言葉にフェイとリンは頷いた。
「さあ、行こう。」
マルスがそう言い、ケイト達は上へと続く階段を上がり始めた。
そこでケイトは後ろを振り返った。
カレンというゴーストがいた村を出て以来、ずっと背後に違和感を感じていた。
しかし振り返っても誰もいないのだ。
ケイトは背後の違和感を気にしながらも、ウェインとマルスとともに、上へと続く階段を上がって行った。
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