JUGEMテーマ:詩
やけに長い流れ星に
明日の願いを託して
乾ききらないコンクリートの駐輪場を
鼻歌交じりに過ぎていく
少し ほんの少しでいいから
今日より良くなるようにと
振り返ればもういない流れ星に
託した願いを念押しして
鏡に反射したLEDに照らされながら
乾ききらない歩道橋を渡る
レインシューズが水しぶきを上げる
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ほのかな梅の香り
雨上がりの夜に胸を弾ませ
憂鬱な気持ちを溶かしてくれる
並木の枝には小さな蕾
来月の今頃は満開になり
川沿いは桜を見上げる人で賑わうだろう
少しずつ 確実に 季節は入れ替わり
体を通り過ぎる風も柔らかくなっていく
橋から見える河川敷には
もうすぐ菜の花とタンポポが咲いて
蝶や鳥が踊るから 緑も鮮やかになるから
その日が来るまで顔を上げていよう
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倉庫の隣 手入れのされていない空き地
南洋植物の隣に気の早い桜が立つ
寒い空に向かってピンクの色を投げ
白い雲と美しいコントラストを描く
コンクリートにはたくさんの花びら
それでもまだまだ枝は賑やかで
冷たい風をものともせずに踊っている
暦は春なのにしぶとく居座る寒気に我慢できず
気の早い桜が次の季節へ道を通す
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変わり映えのない日々が感動を奪い
同じスケジュールの繰り返しが感性を鈍らせる
だけど稀に訪れる感動と 稀に尖る感性が
輝かしい気持ちに生まれ変わらせてくれる
同時に退屈なルーティーンへの耐性を失い
変わり映えのしない日々が苦しいと感じる
それを我慢し 感動も感性も忘れる頃
退屈への耐性が蘇り 苦しみからの解放と共に
夢も 憧れも 自分自身のことさえ
ただの石ころように なんの価値もないモノになり
心は本当に化石のようになっていく
人生は 古代の地層のように
そこで眠る恐竜やマンモスのように
ただ誰かに見つかるのを期待するように
またいつか訪れる感動と 尖る感性を
深い土の下で待ち続ける
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夢は泥の中 希望は沼の底に
現実と挫折と後悔は水中を漂い
水面に浮かぶのは無気力と虚無感
体は浮かび 心は沈み
地球と月のように引っ張り合い
一定の距離で回り続ける
車の中は冬なのに蒸し暑くて
春の勢いに飲まれている
全部がてんでバラバラで
幸せでもなければ不幸でもないし
楽しくもなければ退屈でもないから
仕方なしにまだ生きている
また一日 夜まで歩いていくだけなのに
朝の布団を剥ぎ取るのは辛い
太陽の隠れた夜明けだから
余計にそう思うのかもしれない
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どこにでも自分がいるように感じる
どこにも自分がいないようにも感じる
地に足を着いていても
どこにも立っていないような
だけど体は重く足が進まない
悲しい時はいつだってそうで
嬉しい時もいつだってそうなる
普段と違う状況になると
四方八方から強い力で引き裂かれるような
居心地の悪い気分になり
悲しかろうと嬉しかろうと
いつも通りに戻りたいと思う
何事もなく穏やかというのは
なんて幸せなんだろうと
引き裂かれるような状況の時は
相反する心身から目を逸らしたくなる
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眠る龍のように
細長い雲が西へ横たわる
にわか雨は上がり
薄い虹が街を渡る
ぬかるみに誰かの足跡
植え込みに滴る雫の群れ
雨上がりは土と木々の匂いが強い
日が暮れる頃 あの龍は目覚め
太陽の光に染まりながら
遠くへ飛んでいくだろう
どこかに新しい雨を運んで
僕の見知らぬ誰かに
僕と同じように空を見上げさせ
土と木々の匂いを与え
ほんの少しの安らぎをもたらすだろう
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魂の叫びは泥にまみれ
軋む心に体が追いつかない
彼は過去に囚われ
彼女は今に執着し
傍観者だったはずのあの人が
面白がって騒ぎ立て
彼と彼女の魂はより深い場所に沈み
傍観者だったあの人さえ
心と体が鎖で縛られる
人と人と人の繋がりは
蜘蛛の巣さえシンプルに見えるほど
まるで丸まった釣り糸のように
まるで川面の木にまとわりつく枯れ草のように
もはや解きようもなければ 元通りにすらならない
自分はただそれを見ていることしか出来ない
力になろうと近づけば
たちまち絡め取られてしまうだろう
呪いとは人のしがらみのこと
どんなに腕の良い魔術師でも
これを解くことは出来ない
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朝霜を踏み砕き
昨晩の名残り雪をつまむ
今朝切ったばかりの爪の隙間に
冷たい冬の息吹が潜り込み
ポケットを探って
ハンカチを忘れたことを思い出す
取りに戻るには家から離れた
ジンジンとかじかむ指を揉みながら
もう一度雪をつまむ
寂しくないのに切ないのは
まばらに残った雪のせいで
深く積もった時よりも
哀愁が漂い 胸の中を撫でる
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森は暗闇に閉ざされて
妖精のように 蛍のように
何かの光の球が飛び交う
それはただの埃であったり
月光の破片だったり
寝遅れた羽虫だったりする
半分瞼を閉じてボヤけると
妖精のようにさえ見えるし
魂のようにも見える
不思議で不気味で穏やかな森の夜
遠くに見える暖かい灯火は希望
だけどその光にはに背中を向け
妖精や魂の飛び交う暗闇に
気の済むまで立ち続ける
どうせ朝はやって来るから
無理に希望へ手を伸ばす必要はない
限られた夜の間に
好きなだけ悲しんで
思うだけ自分を慰めて
明日を生きる準備をしよう
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月を映す茂みの川面に
獣の鳴き声と足音が響く
身を切る冷たい風が
火照った頬に気持ち良い
枯れ草の土手道は柔らかく
どこまでも歩けそうな気がする
感傷が溢れ出し
気の早い夜に感情を預ける
このまま時間が止まって
静かで暗い日没の中に
うずくまったまま埋もれていたい
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瞼の裏に蝶が飛ぶ
モンシロチョウ アゲハチョウ
モンキチョウも飛んでいる
冬の寝床で春の光景を見て
寒さに耐えながら暖かさを待つ
雪に梅の香り 霜につくしの可愛らしさ
あられに桜の彩り 木枯らしに眠くなる陽気
春になれば入れ替わる
ギュっと堪えながら グっと食いしばりながら
いつ来るか分からない 本当に来るかも分からない
冬の先に待っているはずの春を
寒さに震えながら瞼の裏に見る
]]>JUGEMテーマ:詩
自分を苦しめる
それが必要だと信じて
自分を楽にする
頑張ろうと思っても限界になって
そうして苦楽を繰り返し
成長したかと思えばそうでもない
無駄に苦しんで 必要以上に休んで
長い目で見れば後退しているかもしれない
同じ苦しむなら価値のあることで
同じ休むなら次に役立てる為に
後になって振り返って
あれが無駄だった
これをやっておけばよかったと
また無意味に苦しむ
また今日も瞼が重い
]]>本年もヤカーブログをよろしくお願いします。
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JUGEMテーマ:詩
シンクから溢れる水が廊下を濡らす
滑る足元に注意しながら階段を下り
曇った空の割に暖かい冬の日の国道で
車の流れをぼんやり眺めながら物思いに耽る
大掃除は終わり 弁当も食い 缶コーヒーを買って
予定の無い年明けまでの時間は物思いが続く
年の瀬は なんて暇で なんて忙しくて
中身があるようでない時間が続くのだろう
年齢と共に忘年の感慨は薄くなり
一年なんてあっという間に通り過ぎ
今まで何をして これから何をするのか
考えているうちにまた新たな年の瀬がやって来る
生まれてから時間が経つにつれ
特別な日がただの日常になっていく
感動の残量もあとわずかなことに
寂しささえ感じない
人はだんだんと草木のようになっていく