幽霊ハイスクール 第六話 下着泥棒を捕まえろ
- 2010.10.31 Sunday
- 09:04
「はい、そこまで。」
教室に教師の声が響いた。
今日は中間テストの最終日だったのだ。
そして今さっき最後のテストが終わった。
回答用紙を前の席に渡していく。
テストが終わると、木原が俺の席にやって来た。
「今回も自信無いぜ。
どうせ点数悪いだろうな。
全然勉強しなかったからなあ。」
木原が言う。
「それは勉強していないお前が悪いんだろ。
少しは勉強しろよ。」
「だって面倒くさいじゃん。
勉強する暇があったら、何か他のことをやってるよ。」
そんなことをしていたら、テストの点数が悪くても仕方ない。
「健太郎君は今回のテスト、自信があるんですか?」
佳恵さんが聞いてきた。
「うん、まあ少しは。」
「健太郎君一生懸命勉強してましたからね。
きっと良い点数をとれていますよ。」
「そうだといいけどな。」
テストが終わった教室は、みんながテストについて話していた。
自信があるとか無いとか、そんな話題ばかりだ。
「佳恵さんは頭は良かったの?」
木原が聞いた。
「そうですね。
自分で言うのもあれですけど、悪くはなかったと思いますよ。」
それを聞くと、木原は笑顔で佳恵さんを見て言った。
「きっと佳恵さんは頭が良かったんだろうなあ。
だって佳恵さんからは知性を感じるもの。
美人で知的。
佳恵さんは最高だね。」
また木原が佳恵さんを褒めだした。
「俺は知的な女性に惹かれるなあ。」
木原が言った。
「そうなんですか?
木原君の好みは頭の良い女性なんですね。」
「うん、そうだよ。
佳恵さんみたいな人が好みだ。」
木原は恥ずかしいことをあっさりと言う。
佳恵さんは笑っていた。
「褒めて頂いてありがとうございます。」
佳恵さんは、弟を見るような目で言った。
木原は佳恵さんが好みのタイプだ。
しかし佳恵さんは木原を可愛い弟のようにしか見ていないだろう。
まあ佳恵さんが木原を好きになったとしても、幽霊と人間とでは交際出来ないが。
そうやって三人で話していると、美保がやって来た。
そして美保の隣には、美保の友達の宮川洋子がいた。
「今日のテストどうだった?」
美保が聞いてくる。
「俺はまあまあかな。
木原は全然自信が無いらしいけど。」
「まあどうせ木原は勉強してないんでしょ。
テストに自信が無くて当然よ。」
美保は木原を見て言った。
「よく俺が勉強してないって分かったな。」
「だっていつものことじゃない。
勉強熱心な木原なんて、想像出来ないわ。」
美保の言葉に俺も頷いた。
勉強熱心な木原なんて、俺も想像出来ない。
「それでさ、ちょっと話は変わるんだけど。」
美保が真剣な顔で言った。
「何だよ。
真剣な顔して。」
「うん、洋子のことなんだけど・・・。」
美保は宮川洋子を見た。
「宮川さんがどうかしたのか?」
木原が大きな声で言う。
「ちょっと、木原。
声がデカイ。」
美保が怒るように言った。
「ねえ、洋子。
あのこと健太郎達に相談してもいいわよね。」
すると宮川さんは恥ずかしそうに頷いた。
「何かあったのか?」
「うん、実は・・・。」
美保がまた宮川さんの方を見た。
すると宮川さんは、少し前に出て話し始めた。
「私、今悩んでいることがあるの。」
「へえ、何だい?」
木原が聞く。
すると宮川さんは、少し顔を赤くして答えた。
「実はね、私、今下着泥棒に遭ってるの。」
「下着泥棒!」
また木原が大きな声で言った。
「だから声がデカイって言ってるでしょ。」
美保が怒った。
「洋子はね、ここ最近下着を盗まれているの。
それを悩んでるのよ。
それで何か良い解決策はないかと思って、あんた達に相談したわけ。」
「下着泥棒ねえ・・・。」
俺は呟いた。
すると佳恵さんが言った。
「下着泥棒なんて許せません。
健太郎君、相談にのってあげましょう。」
珍しく佳恵さんが怒っていた。
俺は頷いて、宮川さんに聞いた。
「その下着泥棒にはいつ頃から遭ってるの?」
「一週間くらい前からかな。
下着は二階のベランダに干してあるの。
それである日、洗濯物を取り入れていたお母さんが、私の下着が無いことに気付いたの。
それで今でも私の下着がちょくちょく無くなってるの。
私、気味が悪くて。
どうしよう。」
宮川さんは、泣きそうになりながら言った。
美保が宮川さんの肩に優しく手を置く。
「警察には行ったの?」
俺は聞いた。
「まだ行ってない。
なんだか下着泥棒に遭ったって言うのが恥ずかしくて。」
そう言うと宮川さんは俯いた。
「そういうわけで、あんた達に相談しに来たわけよ。
ねえ、健太郎。
何か良い解決策はない?」
美保が聞いてくる。
「いきなりそんなこと言われてもなあ。」
すると佳恵さんが言った。
「健太郎君。
真剣に考えてあげて下さいね。
私、下着泥棒なんて許せませんから。」
すると、佳恵さんの言葉を聞いた木原が言った。
「じゃあ俺達でその下着泥棒を捕まえよう。」
「私達で捕まえるの?」
美保が驚くように言った。
「うん。
俺達で宮川さんの家を見張ってさ。
それで下着泥棒が現れたところを捕まえるんだ。」
「そんなこと出来るかなあ。」
美保は言った。
「でも解決策っていったら、それしかなさそうだよな。」
俺も木原の意見に賛成だった。
「洋子はどう思う?」
美保が宮川さんに聞いた。
「私はみんなが協力してくれるなら嬉しい。」
「じゃあ決まりだな。
俺達で下着泥棒を捕まえよう。」
木原が言った。
「木原君、えらいです。
自分たちで下着泥棒を捕まえようなんて。」
佳恵さんのその言葉を聞いて、木原は嬉しそうに笑った。
「分かったわ。
じゃあ私達で下着泥棒を捕まえましょう。
それで、いつにする?」
美保が聞いてきた。
「宮川さん、下着を盗まれる時間帯は決まってるの?」
俺は聞いた。
「うん。
うちは両親が共働きだから、お母さんが家に帰って来てから洗濯物を干すの。
だから下着を盗まれるのはいつも夜だと思う。
朝になると下着が無くなってるから。」
「夜って何時くらい?」
木原が聞く。
「お母さんが洗濯物を干すのは夜の七時くらい。
それから朝になったら下着は無くなってるの。」
おそらく下着泥棒は、人目につきにくい夜を狙って来るのだろう。
狙って来るのは、宮川さんの下着が干された夜の七時から、翌日の明るくなる前の間だろう。
下着泥棒を捕まえるには、その時間の間、ずっと見張っていなければならない。
結構大変かもしれない。
「なるべく早く下着泥棒を捕まえた方がいいな。
捕まえるのは今日の夜にしよう。」
木原が言った。
「そうね。
早く解決したいもんね。
洋子はそいれでいい?」
美保が聞く。
「うん。
私も早く下着泥棒を捕まえて欲しいから、それでいい。」
「じゃあ決まりだな。
今日の夜七時に、宮川さんの家の前に集合だ。」
木原が勢い良く言った。
「そうね、そうしましょう。」
美保も頷く。
「私も協力します。」
佳恵さんが言ってきた。
「私が宙に浮いて、二階のベランダを見張ります。
それで下着泥棒が現れたら、健太郎君達に知らせます。」
「それは良い考えだよ、佳恵さん。」
木原が大きな声で言った。
すると宮川さんが不思議そうな顔で聞いてきた。
「木原君、誰と喋ってるの?
佳恵さんて誰?」
そう聞かれて木原は慌てた。
「え、あ、いや。
何でもないよ。
ただの独り言。
ははは。」
木原は笑って誤魔化した。
俺と美保の視線が木原に突き刺さる。
木原はばつの悪そうな顔をしていた。
「ま、まあとにかく、今夜宮川さんの家の前に集合ということで。」
木原は頭を掻きながら言った。
「了解。」
美保が頷く。
宮川さんも頷いた。
「健太郎君。
私達で、必ず下着泥棒を捕まえましょうね。」
佳恵さんが力強く言ってくる。
俺はチラリと佳恵さんを見て、コクリと頷いた。
第六話 つづく
教室に教師の声が響いた。
今日は中間テストの最終日だったのだ。
そして今さっき最後のテストが終わった。
回答用紙を前の席に渡していく。
テストが終わると、木原が俺の席にやって来た。
「今回も自信無いぜ。
どうせ点数悪いだろうな。
全然勉強しなかったからなあ。」
木原が言う。
「それは勉強していないお前が悪いんだろ。
少しは勉強しろよ。」
「だって面倒くさいじゃん。
勉強する暇があったら、何か他のことをやってるよ。」
そんなことをしていたら、テストの点数が悪くても仕方ない。
「健太郎君は今回のテスト、自信があるんですか?」
佳恵さんが聞いてきた。
「うん、まあ少しは。」
「健太郎君一生懸命勉強してましたからね。
きっと良い点数をとれていますよ。」
「そうだといいけどな。」
テストが終わった教室は、みんながテストについて話していた。
自信があるとか無いとか、そんな話題ばかりだ。
「佳恵さんは頭は良かったの?」
木原が聞いた。
「そうですね。
自分で言うのもあれですけど、悪くはなかったと思いますよ。」
それを聞くと、木原は笑顔で佳恵さんを見て言った。
「きっと佳恵さんは頭が良かったんだろうなあ。
だって佳恵さんからは知性を感じるもの。
美人で知的。
佳恵さんは最高だね。」
また木原が佳恵さんを褒めだした。
「俺は知的な女性に惹かれるなあ。」
木原が言った。
「そうなんですか?
木原君の好みは頭の良い女性なんですね。」
「うん、そうだよ。
佳恵さんみたいな人が好みだ。」
木原は恥ずかしいことをあっさりと言う。
佳恵さんは笑っていた。
「褒めて頂いてありがとうございます。」
佳恵さんは、弟を見るような目で言った。
木原は佳恵さんが好みのタイプだ。
しかし佳恵さんは木原を可愛い弟のようにしか見ていないだろう。
まあ佳恵さんが木原を好きになったとしても、幽霊と人間とでは交際出来ないが。
そうやって三人で話していると、美保がやって来た。
そして美保の隣には、美保の友達の宮川洋子がいた。
「今日のテストどうだった?」
美保が聞いてくる。
「俺はまあまあかな。
木原は全然自信が無いらしいけど。」
「まあどうせ木原は勉強してないんでしょ。
テストに自信が無くて当然よ。」
美保は木原を見て言った。
「よく俺が勉強してないって分かったな。」
「だっていつものことじゃない。
勉強熱心な木原なんて、想像出来ないわ。」
美保の言葉に俺も頷いた。
勉強熱心な木原なんて、俺も想像出来ない。
「それでさ、ちょっと話は変わるんだけど。」
美保が真剣な顔で言った。
「何だよ。
真剣な顔して。」
「うん、洋子のことなんだけど・・・。」
美保は宮川洋子を見た。
「宮川さんがどうかしたのか?」
木原が大きな声で言う。
「ちょっと、木原。
声がデカイ。」
美保が怒るように言った。
「ねえ、洋子。
あのこと健太郎達に相談してもいいわよね。」
すると宮川さんは恥ずかしそうに頷いた。
「何かあったのか?」
「うん、実は・・・。」
美保がまた宮川さんの方を見た。
すると宮川さんは、少し前に出て話し始めた。
「私、今悩んでいることがあるの。」
「へえ、何だい?」
木原が聞く。
すると宮川さんは、少し顔を赤くして答えた。
「実はね、私、今下着泥棒に遭ってるの。」
「下着泥棒!」
また木原が大きな声で言った。
「だから声がデカイって言ってるでしょ。」
美保が怒った。
「洋子はね、ここ最近下着を盗まれているの。
それを悩んでるのよ。
それで何か良い解決策はないかと思って、あんた達に相談したわけ。」
「下着泥棒ねえ・・・。」
俺は呟いた。
すると佳恵さんが言った。
「下着泥棒なんて許せません。
健太郎君、相談にのってあげましょう。」
珍しく佳恵さんが怒っていた。
俺は頷いて、宮川さんに聞いた。
「その下着泥棒にはいつ頃から遭ってるの?」
「一週間くらい前からかな。
下着は二階のベランダに干してあるの。
それである日、洗濯物を取り入れていたお母さんが、私の下着が無いことに気付いたの。
それで今でも私の下着がちょくちょく無くなってるの。
私、気味が悪くて。
どうしよう。」
宮川さんは、泣きそうになりながら言った。
美保が宮川さんの肩に優しく手を置く。
「警察には行ったの?」
俺は聞いた。
「まだ行ってない。
なんだか下着泥棒に遭ったって言うのが恥ずかしくて。」
そう言うと宮川さんは俯いた。
「そういうわけで、あんた達に相談しに来たわけよ。
ねえ、健太郎。
何か良い解決策はない?」
美保が聞いてくる。
「いきなりそんなこと言われてもなあ。」
すると佳恵さんが言った。
「健太郎君。
真剣に考えてあげて下さいね。
私、下着泥棒なんて許せませんから。」
すると、佳恵さんの言葉を聞いた木原が言った。
「じゃあ俺達でその下着泥棒を捕まえよう。」
「私達で捕まえるの?」
美保が驚くように言った。
「うん。
俺達で宮川さんの家を見張ってさ。
それで下着泥棒が現れたところを捕まえるんだ。」
「そんなこと出来るかなあ。」
美保は言った。
「でも解決策っていったら、それしかなさそうだよな。」
俺も木原の意見に賛成だった。
「洋子はどう思う?」
美保が宮川さんに聞いた。
「私はみんなが協力してくれるなら嬉しい。」
「じゃあ決まりだな。
俺達で下着泥棒を捕まえよう。」
木原が言った。
「木原君、えらいです。
自分たちで下着泥棒を捕まえようなんて。」
佳恵さんのその言葉を聞いて、木原は嬉しそうに笑った。
「分かったわ。
じゃあ私達で下着泥棒を捕まえましょう。
それで、いつにする?」
美保が聞いてきた。
「宮川さん、下着を盗まれる時間帯は決まってるの?」
俺は聞いた。
「うん。
うちは両親が共働きだから、お母さんが家に帰って来てから洗濯物を干すの。
だから下着を盗まれるのはいつも夜だと思う。
朝になると下着が無くなってるから。」
「夜って何時くらい?」
木原が聞く。
「お母さんが洗濯物を干すのは夜の七時くらい。
それから朝になったら下着は無くなってるの。」
おそらく下着泥棒は、人目につきにくい夜を狙って来るのだろう。
狙って来るのは、宮川さんの下着が干された夜の七時から、翌日の明るくなる前の間だろう。
下着泥棒を捕まえるには、その時間の間、ずっと見張っていなければならない。
結構大変かもしれない。
「なるべく早く下着泥棒を捕まえた方がいいな。
捕まえるのは今日の夜にしよう。」
木原が言った。
「そうね。
早く解決したいもんね。
洋子はそいれでいい?」
美保が聞く。
「うん。
私も早く下着泥棒を捕まえて欲しいから、それでいい。」
「じゃあ決まりだな。
今日の夜七時に、宮川さんの家の前に集合だ。」
木原が勢い良く言った。
「そうね、そうしましょう。」
美保も頷く。
「私も協力します。」
佳恵さんが言ってきた。
「私が宙に浮いて、二階のベランダを見張ります。
それで下着泥棒が現れたら、健太郎君達に知らせます。」
「それは良い考えだよ、佳恵さん。」
木原が大きな声で言った。
すると宮川さんが不思議そうな顔で聞いてきた。
「木原君、誰と喋ってるの?
佳恵さんて誰?」
そう聞かれて木原は慌てた。
「え、あ、いや。
何でもないよ。
ただの独り言。
ははは。」
木原は笑って誤魔化した。
俺と美保の視線が木原に突き刺さる。
木原はばつの悪そうな顔をしていた。
「ま、まあとにかく、今夜宮川さんの家の前に集合ということで。」
木原は頭を掻きながら言った。
「了解。」
美保が頷く。
宮川さんも頷いた。
「健太郎君。
私達で、必ず下着泥棒を捕まえましょうね。」
佳恵さんが力強く言ってくる。
俺はチラリと佳恵さんを見て、コクリと頷いた。
第六話 つづく